私のような彼と彼のような私

jun

文字の大きさ
4 / 14

お母様の話 クララ視点

しおりを挟む


私とお母様は領地でのんびりしている。
毎日、お散歩したり、街のカフェでケーキを食べたり、好きな事をしている。
まだパブロの事を考えると胸が痛むけど、もう少し経てばこの胸の痛みもなくなるだろう。

カフェの個室にいる私達は誰にも邪魔されないでお喋りしているが、気になっていた事をお母様に聞いてみた。

「お母様、気になっていたのですが、お父様には何も声をかけずに来てしまいました。
良かったのですか?」

「あーー、それね…。
良いのよ、クララは気にしなくて良いの。
少し反省すれば良いんだわ!」

「お母様はお父様と喧嘩しているのですか?」

「喧嘩というか・・・ね、なんというか…クララには言うまいと思ってたんだけどね…。
実は、私達が学生だった時、一度だけお父様が浮気したのよ…それも相手はラーナよ。
一回キスしただけってすぐ私に言ってくれたんだけど、一回と言っても私を裏切ったのは変わらないじゃない?
だから婚約は解消しようって言ったの。
でも二人で私とセルゲイに泣いて謝ったの。
そのキスした理由っていうのがね、ラーナとセルゲイが喧嘩して、その事で悩んでたラーナを慰めている時に、あまりにも可哀想だったから、何となくやってしまった”だって。
普通、相談するなら私にじゃない?
女同士でするもんでしょ?
それを親友の婚約者に相談するってどうなのって思ったの。
そして、その相談を受けたニコライも二人きりで会うっておかしいでしょ?
それでキスよ。
結局セルゲイが許したから、私も許すしかなくて今に至ってるんだけど、私はあの時から二人を信用していないの。
だから貴方達の婚約は絶対反対だったの。
だって死ぬまで縁が切れないんだもの。
だけどニコライとラーナは貴方達をくっ付けようと必死だったのよ、不自然なくらい。

それで思ったの。
あの二人は、結ばれなかった自分達の代わりに、貴方達を結ばせようとしてるんじゃないかって。
気持ち悪いでしょ、本当だったら。
本人に聞いてないから、本当の所は分からないわ。
でも、私はそう思ってる。
今も二人が付き合っているとは思わないけど、学生時代は隠れて付き合ってたんだと思う。

ごめんなさいね、娘に聞かせる話しではないけど、パブロはやっぱりラーナの子供なのねって実感したわ。」

ショックだった。
お父様もおば様もやってる事はパブロと同じだ。
本当かどうかは分からないけど、一度聞いてしまったら、そういう目で見てしまう。

「おじ様は何も言わないの?お父様ととっても仲が良さげに見えていたけど。」

「私とラーナだって仲良く見えていたでしょ?それと同じだと思うわ。
ニコライもラーナも私達に罪悪感があるから強く出れないのよ。
少し強く私が言っても言い返さないもの。
それはラーナも同じ。

クララももう大人だから教えたけど、大好きな父親を悪く言ってしまってごめんなさいね。あの人がクララを大切に思ってる事も、愛している事も偽りではない事だけは信じてあげて。」

一気にお父様もパブロもおば様も私の敵になってしまったようで、私は何もする気がなくなってしまった。








一方のミゲルも父親から両親の学生時代の話しを聞かされていた。














しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

真実の愛の祝福

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
皇太子フェルナンドは自らの恋人を苛める婚約者ティアラリーゼに辟易していた。 だが彼と彼女は、女神より『真実の愛の祝福』を賜っていた。 それでも強硬に婚約解消を願った彼は……。 カクヨム、小説家になろうにも掲載。 筆者は体調不良なことも多く、コメントなどを受け取らない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。

あなたの思い通りにはならない

木蓮
恋愛
自分を憎む婚約者との婚約解消を望んでいるシンシアは、婚約者が彼が理想とする女性像を形にしたような男爵令嬢と惹かれあっていることを知り2人の仲を応援する。 しかし、男爵令嬢を愛しながらもシンシアに執着する身勝手な婚約者に我慢の限界をむかえ、彼を切り捨てることにした。 *後半のざまあ部分に匂わせ程度に薬物を使って人を陥れる描写があります。苦手な方はご注意ください。

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

ミュリエル・ブランシャールはそれでも彼を愛していた

玉菜きゃべつ
恋愛
 確かに愛し合っていた筈なのに、彼は学園を卒業してから私に冷たく当たるようになった。  なんでも、学園で私の悪行が噂されているのだという。勿論心当たりなど無い。 噂などを頭から信じ込むような人では無かったのに、何が彼を変えてしまったのだろう。 私を愛さない人なんか、嫌いになれたら良いのに。何度そう思っても、彼を愛することを辞められなかった。 ある時、遂に彼に婚約解消を迫られた私は、愛する彼に強く抵抗することも出来ずに言われるがまま書類に署名してしまう。私は貴方を愛することを辞められない。でも、もうこの苦しみには耐えられない。 なら、貴方が私の世界からいなくなればいい。◆全6話

【完】お望み通り婚約解消してあげたわ

さち姫
恋愛
婚約者から婚約解消を求められた。 愛する女性と出会ったから、だと言う。 そう、それなら喜んで婚約解消してあげるわ。 ゆるゆる設定です。3話完結で書き終わっています。

エレナは分かっていた

喜楽直人
恋愛
王太子の婚約者候補に選ばれた伯爵令嬢エレナ・ワトーは、届いた夜会の招待状を見てついに幼い恋に終わりを告げる日がきたのだと理解した。 本当は分かっていた。選ばれるのは自分ではないことくらい。エレナだって知っていた。それでも努力することをやめられなかったのだ。

【完結】さよなら私の初恋

山葵
恋愛
私の婚約者が妹に見せる笑顔は私に向けられる事はない。 初恋の貴方が妹を望むなら、私は貴方の幸せを願って身を引きましょう。 さようなら私の初恋。

なくなって気付く愛

戒月冷音
恋愛
生まれて死ぬまで…意味があるのかしら?

処理中です...