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香らない香水 シモン視点
しおりを挟むマルティノ侯爵家から帰ってきてからの俺は、即離婚にはならない事に心からホッとしていた。
食欲も戻り、具の入ったスープを吐く事もなく、残さず食べた。
ベッドに入って可愛いシャルを思い出していた。
世界で一番愛しているシャル。
可愛くて愛しくて何よりも大切なロビン。
この二人を今日は抱きしめる事が出来た事がなにより嬉しかった。
その夜久しぶりにぐっすり眠る事が出来た。
翌日、朝早く父が俺の部屋にやってきた。
何事かと驚いていると、
「シモン、あの時の事をもう一度聞くが、口で慰められた後、あのメイドを拒否しなかったのは何故だ?」
怒りではなく真剣な顔で聞いてくる父を怪訝に思いながらも、その時の事を話した。
「あの時、驚いて口淫されたて射精した後、何故出したにも関わらず性欲が収まらなくなってしまいました…。
翌日もあのメイドが近くにいると欲情してしまい、また抱いてしまいました…。
本当に申し訳ありません…。」
と項垂れていると、
「シモン、昨日モーリス…マルティノ侯爵が急に屋敷に来た。
モーリスが言うには、あのメイドはひょっとしたら何かしらの“魅了”や魔道具を持っていたのではないかと聞いてきた。
あまりにも今までのお前と今回の事が信じられないとあちらでそんな話しになったらしい。
確かに今回の件は、今までのお前の行動から考えるとあり得ないものだと私も思った。
だからあのメイドの部屋を私とモーリス、ハリスと探してみた。
すると何の香りもしない香水が出てきた。
私は匂いはしないものの嗅いでしまったから、あのメイドがいる牢には行かなかったが、モーリスとハリスにその香水のような物をあのメイドに見せた。
すると急に興奮しだして返せと暴れ出したそうだ。
そのメイドが言うには、“両想いになれる香水”だと騒いでいたそうだ。
怪しげな店で若い女性が買う、いわゆる“おまじない”の一つらしい。
それを振りかけたらお前が抱いてくれると嬉しそうに話していたそうだ。
シモン、ひょっとしたらお前は何らかの力で浮気させられていた可能性がある。」
「はあ⁉︎」
父の話しは荒唐無稽な話しに思え、思わずそんな声が出た。
「強ち間違っていないのではないかと思う。
話しを聞いた後、私もあまり近寄らないように気を付けながら牢に行ってみた。
するとお前ほどではないが、あの女を見ると全勃ちではないが反応した。
全く抱きたいとは思わなかったが、あのメイドはお前の近寄る時は余程大量にふりかけたのだろう。
だが他の男の使用人や騎士達が何の反応もない事が不明だが、とにかくあの香水は至急王宮研究所で詳しく調べてもらう。
副作用があるかもしれない。
何かおかしな所があったら直ぐにでも報告しなさい。
私はこれから女性使用人全員の持ち物検査を行うが、お前その検査が終わるまではここにいなさい。
その後は謹慎を解く。
これからシモンも詳しく検査をする事になるかもしれない。
それと、シャルが最初にお前があんな風になるのはおかしいと言い出したそうだ。
それでモーリスがもしやと思い、急いで来たと言っていた。
誰もが今回の事を信じられないとは思ったが、魔道具やおまじないなどと言われている物でおかしくなったとは思わなかった。
シャルはお前の愛情を信じているんだな。
浮気した事には変わりはないが、一先ずシャルがお前を見捨てはしなかった。良かったな。」
ポカンと口を開けて聞いていたが、途中から怒りが湧いてきた。
あのメイドはシャルの専属だった。
俺がどれだけシャルを溺愛していたか知っていたはずなのに、この所業に許せる筈もなく怒りで身体が震えた。
そして、シャルが俺のあんな姿を見たのに、冷静に俺の異常さに気付いてくれた。
いや、見たからこそ皮肉な事にその異常さに気付いたのだろう。
シャル…
今すぐシャルに会いたかった。
シャルとロビンに会いたかった。
我慢出来ず、俺はまた手紙を書き出した。
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