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第一回ピンク肉食女子対策会議
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ピンク肉食女子対策会議
「では、第一回ピンク肉食女子対策会議を始める。」
アクセル様が進行役として、何だか間抜けな議題を高らかに宣言した。
「先ずは、その『貴方の愛は私のもの~肉食女子と草食男子のピンクな学園生活』の登場人物を改めて頭に叩き込もう。
ヒロインは、“アリサ・クランス男爵令嬢、13歳。
ゲームの流れでは、今は男爵に引き取られ貴族としての教育が行われている時期だが、一度様子を見ておこうと思う。
それは僕の部下にやらせよう。
そのピンクとの出会いは高等部入学式で、迷子になったピンクを生徒会メンバーが見つけ、入学式会場まで案内する。
だそうだが、よく考えてほしい。
入学式のクソ忙しい時間帯、どこの学校に生徒会全員が一団でウロウロしているというのだ?あり得んだろ⁉︎
それぞれがバラバラに自分の役割をこなしているその時に、どうやって全員集まるタイミングがあると思う?」
「はい、宜しいでしょうか?」
「リーチェ嬢・・・面倒なので敬称は省かせてもらう。
リーチェ、なんだい?」
「はい。確かに普通ではあり得ないのですが、この転生モノというのは“強制力”というものが働く場合があるのです。
自分では抗えない力と言いますか、何故か自然とそうなってしまう、それが一番怖いのです。
どんなに予防していようとも催眠術にかかったように、引っ張られるように、ヒロインに近づいてしまう、そんな力がないとも言えないのです。」
「何⁉︎そんな恐ろしい事があるのか⁉︎」
「はい。そこで登場するのが、魅了除けの魔道具でございます。
この世界には魔法があります。
そして便利なアイテムが抱負にあります。
それをフル活用するしか防止出来ませんね。」
「なるほど…じゃあ今からここにいる全員魔道具をつける事にしよう。
準備はもちろん僕がするよ。
怖いから二つは付けよう。
それでとりあえずは強制力には対抗出来そう?」
「はい。大丈夫だと思います。」
「じゃあ次ね。
攻略対象者は、シークレットの留学生以外はここにいるから魔道具で防御するって事で、様子を見よう。
次は…“悪役令嬢”のゾーイ・ミルズ、ミルズ国の第一王女、12歳だね。
その人ね、実はね、高等部から留学してくる事が既に決まってるんだ。
弟のエレンの婚約者候補なんだけど、エレンがとにかく王女を嫌ってるんだよ。
少し、というか凄く我儘な人でね、エレンが毛嫌いしてる。
でも王女はエレンが好きみたいでね、ちょっと面倒なんだよ。
誰か他の人と婚約させたいんだけど、エレンの世代、というか僕達もなんだけど自称ヒロインだらけで中々決められなくてね。」
「はい!」
「はい、ケイト。」
「あの、その王女様の性格を矯正する事は出来ないのですか?」
「それが出来てたらあんな風にはならないよ、ケイト。
とにかく向こうの国王が溺愛してるんだ。」
「じゃあ高等部ではなく中等部からの入学にして全員で教育し直せは出来ないですか?」
「うーん、難しいかな~。とにかく話しを聞かないだよ。
思い込みが激しいっていうか、何を言っても“私はエレン様と結ばれる運命なんですもの”の一点張りなんだよ…。
本来ならエレンも中等部からここに入学する予定だったんだよ。
でもゾーイ王女も行くとか言い出したから、高等部からに変更したんだ。」
私とリーチェは顔を見合わせた。
もしかすると、パート2とか、スピンオフとか別の話しがあるのか⁉︎
リーチェが、
「アクセル様、ひょっとすると別の物語があるのかもしれません。
私は1種類しかやっておりませんが、もしかするとパート2、スピンオフなど同じ世界でもストーリーが違うものがあるのかもしれません。
私はバスの事故で死んでしまったので、パート1しか知りませんが、もしパート2が出ていたら、ゾーイ様が主役の物語がパート2なのかもしれません。
もしパート1とパート2が同時進行しているのなら、攻略対象者の方々は両方から狙われる確率が高いです。
そして、ゾーイ様は前世の記憶があるのかもしれません。」
「ええ~~そんなに前世持ちっているーー⁉︎
もうなんで僕らの世代にこんなにおかしな人が集まってるんだよー!」
アクセル様は頭を抱えている。
タイラー様が、
「“バス”とは何だろうか?」と言うので、リーチェが答えた。
「バスというのは私達が住んでいた世界の交通手段の一つです。
こちらでは馬車や馬で移動しますが、前世の世界では、こちらで言うと乗合馬車のようなものです。
決められた時間に決められたルートを走り、途中“停留所”に停まり、乗りたい人はお金を払って乗るんです。
例えば、城から魔法学校までのコースを途中何ヶ所かの停留所に停まり、生徒を乗せて学校に行くって感じですね。
私も駅から学校までのバスに乗っている途中で事故で死んでしまったようです。」
「なるほど、中々画期的な乗り物なのだな。
で、動力はなんだ?」
結局、バス、駅、電車、自転車、飛行機、自動車の説明を延々させられた。
「凄いな異世界!俺も行きたい!」と興奮するアクセル様を含め、結局興奮した私とリーチェ以外が、あれをこうしよう、あれはこうしたらと何やら別の会議が始まってしまい、今日はこれにて解散となってしまった。
生徒会の皆さんは、“異世界”、“ヒロイン”、“悪役令嬢”、“ゲーム”、“マンガ”など用語は知っていても、よく意味は分からなかったらしい。
まだまだ対策を練るまでには遠そうだ。
「では、第一回ピンク肉食女子対策会議を始める。」
アクセル様が進行役として、何だか間抜けな議題を高らかに宣言した。
「先ずは、その『貴方の愛は私のもの~肉食女子と草食男子のピンクな学園生活』の登場人物を改めて頭に叩き込もう。
ヒロインは、“アリサ・クランス男爵令嬢、13歳。
ゲームの流れでは、今は男爵に引き取られ貴族としての教育が行われている時期だが、一度様子を見ておこうと思う。
それは僕の部下にやらせよう。
そのピンクとの出会いは高等部入学式で、迷子になったピンクを生徒会メンバーが見つけ、入学式会場まで案内する。
だそうだが、よく考えてほしい。
入学式のクソ忙しい時間帯、どこの学校に生徒会全員が一団でウロウロしているというのだ?あり得んだろ⁉︎
それぞれがバラバラに自分の役割をこなしているその時に、どうやって全員集まるタイミングがあると思う?」
「はい、宜しいでしょうか?」
「リーチェ嬢・・・面倒なので敬称は省かせてもらう。
リーチェ、なんだい?」
「はい。確かに普通ではあり得ないのですが、この転生モノというのは“強制力”というものが働く場合があるのです。
自分では抗えない力と言いますか、何故か自然とそうなってしまう、それが一番怖いのです。
どんなに予防していようとも催眠術にかかったように、引っ張られるように、ヒロインに近づいてしまう、そんな力がないとも言えないのです。」
「何⁉︎そんな恐ろしい事があるのか⁉︎」
「はい。そこで登場するのが、魅了除けの魔道具でございます。
この世界には魔法があります。
そして便利なアイテムが抱負にあります。
それをフル活用するしか防止出来ませんね。」
「なるほど…じゃあ今からここにいる全員魔道具をつける事にしよう。
準備はもちろん僕がするよ。
怖いから二つは付けよう。
それでとりあえずは強制力には対抗出来そう?」
「はい。大丈夫だと思います。」
「じゃあ次ね。
攻略対象者は、シークレットの留学生以外はここにいるから魔道具で防御するって事で、様子を見よう。
次は…“悪役令嬢”のゾーイ・ミルズ、ミルズ国の第一王女、12歳だね。
その人ね、実はね、高等部から留学してくる事が既に決まってるんだ。
弟のエレンの婚約者候補なんだけど、エレンがとにかく王女を嫌ってるんだよ。
少し、というか凄く我儘な人でね、エレンが毛嫌いしてる。
でも王女はエレンが好きみたいでね、ちょっと面倒なんだよ。
誰か他の人と婚約させたいんだけど、エレンの世代、というか僕達もなんだけど自称ヒロインだらけで中々決められなくてね。」
「はい!」
「はい、ケイト。」
「あの、その王女様の性格を矯正する事は出来ないのですか?」
「それが出来てたらあんな風にはならないよ、ケイト。
とにかく向こうの国王が溺愛してるんだ。」
「じゃあ高等部ではなく中等部からの入学にして全員で教育し直せは出来ないですか?」
「うーん、難しいかな~。とにかく話しを聞かないだよ。
思い込みが激しいっていうか、何を言っても“私はエレン様と結ばれる運命なんですもの”の一点張りなんだよ…。
本来ならエレンも中等部からここに入学する予定だったんだよ。
でもゾーイ王女も行くとか言い出したから、高等部からに変更したんだ。」
私とリーチェは顔を見合わせた。
もしかすると、パート2とか、スピンオフとか別の話しがあるのか⁉︎
リーチェが、
「アクセル様、ひょっとすると別の物語があるのかもしれません。
私は1種類しかやっておりませんが、もしかするとパート2、スピンオフなど同じ世界でもストーリーが違うものがあるのかもしれません。
私はバスの事故で死んでしまったので、パート1しか知りませんが、もしパート2が出ていたら、ゾーイ様が主役の物語がパート2なのかもしれません。
もしパート1とパート2が同時進行しているのなら、攻略対象者の方々は両方から狙われる確率が高いです。
そして、ゾーイ様は前世の記憶があるのかもしれません。」
「ええ~~そんなに前世持ちっているーー⁉︎
もうなんで僕らの世代にこんなにおかしな人が集まってるんだよー!」
アクセル様は頭を抱えている。
タイラー様が、
「“バス”とは何だろうか?」と言うので、リーチェが答えた。
「バスというのは私達が住んでいた世界の交通手段の一つです。
こちらでは馬車や馬で移動しますが、前世の世界では、こちらで言うと乗合馬車のようなものです。
決められた時間に決められたルートを走り、途中“停留所”に停まり、乗りたい人はお金を払って乗るんです。
例えば、城から魔法学校までのコースを途中何ヶ所かの停留所に停まり、生徒を乗せて学校に行くって感じですね。
私も駅から学校までのバスに乗っている途中で事故で死んでしまったようです。」
「なるほど、中々画期的な乗り物なのだな。
で、動力はなんだ?」
結局、バス、駅、電車、自転車、飛行機、自動車の説明を延々させられた。
「凄いな異世界!俺も行きたい!」と興奮するアクセル様を含め、結局興奮した私とリーチェ以外が、あれをこうしよう、あれはこうしたらと何やら別の会議が始まってしまい、今日はこれにて解散となってしまった。
生徒会の皆さんは、“異世界”、“ヒロイン”、“悪役令嬢”、“ゲーム”、“マンガ”など用語は知っていても、よく意味は分からなかったらしい。
まだまだ対策を練るまでには遠そうだ。
応援ありがとうございます!
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