私の役って一体何なんですか?

jun

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乗り物に夢見る男達

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「おい、電車って凄くないか⁉︎何百人も一度に移動出来るんだぞ!それも遠くまで⁉︎」
と電車に喰いついたアクセル。

「アクセル、違うぞ、自動車が素晴らしい。
馬車では何日も掛かる道のりをたった数時間で移動出来るんだぞ、一家に一台ほしい。」
とタイラーが唸る。

「俺、飛行機が良いなあ~空飛ぶんだよ、空⁉︎そんな事魔法でだって出来ないよ⁉︎」
とキーガンが叫ぶ。

「僕はバスが良いなぁ~馬車は四人が限度だけど、たくさん乗れて荷物までたくさん運べるんですよ、便利じゃないですか。」
バスの実用性に目をつけたザイル。

「俺はバイクかな。ケイトの絵ではなんじゃこりゃ⁉︎って思ったけど、ザイルが描き直したバイクは超カッコいい。
馬の何倍も早いし、何処までも行けそうだしな。」
とサミーユは見た目とスピードが気に入ったようだ。

「俺、本気で電車引いちゃおうかな…。王都から各地に何日もかけずに行けるなんて、効率もいいし、貴賓用と一般用に分ければ俺達でも使えるし。」

「だが、“レール”というものがないと走れないぞ。そのレールを何処から何処まで引いて、どの領地を通るのかで揉めると思うぞ。
だったら自動車を開発した方が早い。」
自動車派のタイラーは電車に難癖をつける。

「あ、バスって自動車ですよね?所謂超大型乗合い馬車で、一般用にも貴賓用にも出来るんだから、電車を引くより自動車を実用化する方が早いと思います!」
とバス派のザイルは熱弁をふるう。

「あ!バイクも一種の自動車です!車輪の数が違うだけですから。
俺も自動車の開発に一票!」
とバイクに乗りたいサミーユが多数決に持ち込んだ。

「だったら俺も自動車かな。飛行機は魅力的だけど、安全性がイマイチかな。」
と飛行機派だったキーガンが自動車派に参入。

「俺は・・・自転車に乗りたい…」
突然ボソッと呟いたアンソニー。

「「「「「え⁉︎なんで⁉︎」」」」」

「だって、気持ち良さそうだから。馬も気持ち良いけど、ちょっとそこまでって時に馬や馬車だと場所も人もいるだろ?
でも自転車ならスイスイって一人行ってこれる。動力は自分で漕ぐだけだし、変速機能も付けたら坂道でも楽だし。」
と淡々と自転車の利便性をあげるアンソニー。

「なるほど。それは便利かもしれない。」
自動車派筆頭のタイラーは自転車の良さに感心した。

「考えてみたら、自転車だった車輪付いてるんだから自動車の仲間みたいなもんじゃないの?」
とキーガンは自転車を自動車の部類に入れた。

そうすると、アクセル以外は全員が自動車派となる。

「それはそうなんだけど、でもさ、電車だったら他国と協力したら移動も楽になると思わない?」
とたった一人の電車派のアクセルは弱々しくも電車をアピールする。

「電車は後々でいいと思う。お前が国王となった時にやるべき政策にしろ。
今は馬車に変わる新たな移動手段となる自動車の開発が先だと思う。」
バッサリ、アクセルの発言を切り捨てたタイラー。

「分かったよ、分かった。父上に進言してみるよ!
でも電車の事も言う!」
と半ばヤケクソなアクセル。

「自動車の仕組みに詳しい人間がいたらいいのだが…。ケイト嬢もリーチェ嬢も詳しくは分からないようだしな。」
タイラーがため息をつく。

「それなんだけどさ、リーチェ嬢が亡くなった時ってバスの事故でって言ってたよね?
バスって事はたくさん人が乗ってたんでしょ?
リーチェ嬢が転生したなら他の人も転生したんじゃないの?」
とキーガン。

「「「「「あ⁉︎ピンク⁉︎」」」」」

「そう。どうして自称ヒロインが増加したのか、この訳の分かんない状況はバスの事故で亡くなった人達なんじゃないの?」
と意外にも冷静に推理したキーガン。

「なるほど…通勤通学での事故ならゲームやマンガにハマってる人も多かったのかもしれないな。」
タイラーも納得する。

「確かにそうなのかもしれない。今までもそういった前世がどうとかいう人がいたのは史実にも残っている。
それでも数十年に一人だ。
なのに今世代は既に何人も出ている。
もし事故で亡くなった人が転生してきているなら、ピンクはまだ出てくる可能性もある。
そして、転生したのが女性だけとは限らない。男性、それも大人の男だ。
そんな人がどう生きているのか…。
真っ当に生きているなら良い。
もし、この世界の物語を知っていて、悪用しようとしていたら・・・。」
険しい顔で考え込むアクセル。

「こんな学生だけでワイワイ話している場合じゃない。
どれくらいの人数の人間がこちらに転生したのか、どんな人間が乗っていたのか、年代、性別、それらの聞き取りをリーチェ嬢に詳しく話してもらうのが最優先だと思う。」
とタイラーも真面目な顔で話す。

「じゃあケイトは?どうしてケイトは何も覚えてないんだろう?バスの事故じゃないのかな?」
とザイルは考え込んだ。

「でも同じ年代だ。おそらく覚えていないだけで、バスには乗っていたんだと思うが…今の段階ではなんとも言えないな。」
アクセルも考え込む。

「考えられるのは事故に遭う前には亡くなっていたとか?」
とキーガン。

「「「「「え⁉︎」」」」」

「だってバスに乗ってた人は今の所前世を覚えてるでしょ?
でもケイト嬢は覚えていない。
バスには乗ってたけど、何か心臓発作とかの突然死でバスの中で亡くなった。
その後事故にあったから覚えていない・・・な~んて違うか。」
と意外にも鋭い事を言うキーガン。

「「「「「・・・・・・・・・」」」」」
他の五人は黙り込んだ。


「ケイトの死因はなんだったんだ・・・」
サミーユがポツリと呟いた時、


「あれ?あんなに盛り上がってたのに皆さんどうしたの?」
と男性陣から離れてワイワイと話し込んでいた女子達から離れてケイトが話しかけてきた。

一斉にケイトへ視線を向けた六人は、前世の事を何も覚えていない理由が今後に大きく関わる事になるなど考えもしなかった。















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