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怒り
しおりを挟むロイ視点
二人で隠密がいる別室へ向かう。
リリーが隠密にお礼がしたいという。
早く二人きりになりたかったが、仕方ない。
隠密には本当に助けられた。
大きな借りが出来たな…
別室に着き、部屋に入ると隠密はベッドの横に立って、寝ている女をジッと見ている。
こちらに気が付き、跪く。
それめんどくさくないの?
リリーは驚いているが、隠密にお礼を言っている。
するとポロポロ泣いてリリーに謝っていた。
助けられず申し訳ないと。
隠密は直様泣き止み、僕の前に来て報告する。
この寝ている女は昨日リリーに絡んだ女だと。
しかし包帯を巻いてあるので確信がなく調べてくると言い隠密は出て行った。
ふとリリーを見ると泣きそうな顔になっている。
どうしたどうした?
聞けば自分のせいで怪我をした隠密を心配し泣いている。
優しく抱きしめていたら、隠密が戻ってきた。
はや!
やはり寝ているコイツは間違いなく昨日の女だった。
リリーが隠密に泣きながら謝っている。
隠密も泣いている。
二人抱き合いながらオイオイ泣いている。
ちょっと、ちょっと落ち着いて!
あまりにも煩くてベッドの女は起きたらしい。
リリーが近づこうとするのを止めて、僕が行こうとする。
すると隠密が厳しい顔で僕を止める。
自分が行くからと。
隠密を纏う空気が変わる。
殺気を放っている…。
医師を呼んでほしいと頼まれ、リリーと医師を探し、他の別室にいた医師に意識が戻ったので診てほしいと伝え、ついでに殿下にも起きたことを伝える。
四人で戻ったら、部屋の空気がピリピリしている。見れば隠密の顔は、さっきより険しい。
医師の許可がおり、殿下が質問を始めた。
何か殿下の様子がおかしい…
何を探ってるのか…
段々分かってきた。
殿下が何を知りたいのか。
この女…
リリーを狙ったのか。
無表情を貫いているが、僕の頭の中は怒りで爆発しそうだ。
隠密を見ると、射殺さんとばかりに睨んでいる。
リリーは何も分かっていないが、空気が悪いことは感じているようだ。
殿下の質問が終わり退出しようとすると、女が誰か残ってくれと言っている。
リリーを狙ったという事は、おそらく僕に残れといっているのだろう。
残ったら縊り殺してしまいそうだ。
何か女が言っていたが、無視してリリーの手を握り部屋を出る。
部屋を出て、皆、大きな息を吐く。
リリー以外はあの女の意図に気付いた。
リリーに記入していた場所を確認する。
あの女はわざわざリリーから遠く離れた場所で様子を伺っていて、リリーが並ぶタイミングに合わせて隣りの列に並んだのだろう。
手に力が入る。
殿下と話しをしなければ。
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