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馬車
しおりを挟むロイ視点
今日は朝から殿下の執務の手伝いをさせられている。
この人隠密と一緒に居たいばかりにすぐサボる。
なので、隠密に叱られて渋々仕事をしている状態だから、集中出来ず捗らない。
「ハア~~~~」
「五月蝿いです、殿下。集中して下さい。」
「叱られてしまった…」
「また叱られますよ、そんなんじゃ。ちょっと隠密に言ってきましょうか?」
「やります…」
の繰り返しだ。
こっちだってリリーと居られないのに!
今頃リリーはランチを食べているだろう。
今日は誰と何を食べているんだろうか。
隣りに誰が座ってるんだろう…
あの可愛い口で何を食べてるんだろう…
「ロイ、集中しろ!」
「・・・・・・はい…」
その後はなんとか仕事を片付ける事が出来たので遅い昼食を殿下と取っていた。
「そういえばお前達の結婚式はいつなの?」
「卒業式すぐでは慌ただしいとかで、式の一カ月後です。」
「準備進んでるのか?」
「母上やマリア母様が張り切って色々やってるみたいです。」
「ドレスは?」
「ドレスは他人には任せられませんので僕も口出してます。母上達と日々闘いです。」
「あれ、リリーちゃんは?」
「リリーはなんでもいいそうです。その代わり僕とお揃いになるように、なんて可愛い事は言います。」
「…そう。しかしお前らも結婚か~」
「そうです、やっとです!」
「お前らの子供ってちょっと可哀想だよな。」
「どうしてですか?リリーと僕の子なら可愛いに決まってるじゃないですか、可哀想ではありません!」
「だって子供産まれたらリリーちゃん、子供に付きっきりになるぞ、リリーちゃん子供に取られるぞ。」
「・・・・とられる?」
「そう、取られる。」
「リリー、ガ、トラレル…」
「嘘嘘、リリーちゃんはいつでもお前のものだ!」
「子供は要りません!」
「ロイ、よく考えてみろ。リリーちゃんにそっくりな女の子が生まれてきたとしたらどうする?」
「リリーにそっくり…」
「そうだ、そっくりだ。リリーちゃんが小さなリリーちゃんを抱っこしてるんだぞ!」
「そんな極楽のような光景が見れる…」
「そうだ、だから子供は作れ!」
「はい。分かりました!」
「…良かった~危なくグランディ家潰すとこだった。」
「ところでどうして可哀想なんですか?」
「そういうところがだ!子供にも嫉妬するだろう、お前。」
「小さなリリーにどうして嫉妬するんですか、バカなんですか、殿下。」
「バカはお前だ!小さな男の子のリリーちゃんならどうする?」
「・・・可愛いです…」
「はいはい、もういいよ。」
そんなことを話してその日は帰ることなった。
教室にリリーは居なかった。
ガックリして馬車に乗ってリリーの家に向かっていた途中、急に馬車が激しく揺れたと思ったら、馬車が横倒しになった。
その時頭をあちこちにぶつけ、
僕は意識を失くした。
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