信じないだろうが、愛しているのはお前だけだと貴方は言う

jun

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エリーの相手

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ノア視点


ララの事も心配だが、エリーが動いたと連絡が来たので、団長の許可を取り、エリーが向かった店の近くに行くと、家の護衛が離れた場所で目立たぬよう見張っていた。
聞けば、入ったきり出てこないらしい。
店は女性物の下着専門店で入るに入れないらしい。
「俺が見てくる。」
俺が店に入ると、女性客はギョッとして出て行ってしまったが、店の従業員に声をかけた。
「彼女へのプレゼントにしたいんだ。可愛い清楚な彼女に合いそうなものを選んでくれないだろうか?」
と言うと、あれこれと薦めてくれた。

さっき出て行った客の中にエリーはいなかった。店には誰もいない。

「ねえ、この店は君の店なの?従業員はもういないの?」

「店長はいますが、今日はお休みです。従業員は午後から出勤で、今は私一人です。」
と教えてくれた。
「ねえ、この店の裏口はどこにあるの?一人では危ないから、今度街の巡回のルートに入れてあげるよ、教えてくれる?」
そう言うと、顔を赤らめ、奥に連れて行ってくれた。
「さっき、変な人に追われているから裏口から出してって言われて裏から出た女の人がいたんです。やっぱり変な人がいるんですね、怖いですぅ」と腕を絡ませてくる。
「それは危ないね。少し裏を確認するね。危ない奴がいては怖いからね。」

裏は日が当たらず湿気が多いからか足跡が残っている。足跡の行き先は二軒先の裏口で消えている。

「ありがとう。裏にはいないみたい。」

そう言って、絡まった腕を離し、下着はまた今度買いに来ると言い、店を出た。

護衛に、「店の中にはいなかった。裏口から二軒隣りの建物入ったようだ。」
二軒隣りは「売家」と書いてある。
ふとその隣りの店を見る。
薬屋だ。そういえばエリーは最初薬屋に通っていたと調査書に書いてあった。
購入記録はなかった。
あの店に行った事があるのか思い出せないが、エリーはあの薬屋の隣りの空き家に入った、それも裏口から。

逢引きか。

なら相手はどこから入るんだ?どこの裏からあの家に入る?
そもそも今日はあの店の裏から行ったが、本来はあの店ではないのかもしれない。
いちいち覚えられやすい理由を毎回言う事などないだろう。
じゃあどの店だ。
並びの店を一軒一軒外から見て行く。
それといって怪しい店はないが、外国の雑貨を扱っている店の中を除いた時、カウンターにいた男は目が合うと会釈はしていたが、どこか商人ではなく、どちらかと言えば俺達騎士が相手を値踏みするような、そんな視線だった。立ち止まる事なく通り過ぎ、後は護衛に頼み、一旦帰った。

団長にエリーがあの辺で消えた事を報告した。
あの辺の店の所有者を知りたいと聞けば、騎士団の事務所に行けば分かると教えてもらった。

事務所に行き、あの辺の登記簿を見せてもらった。

同じ名前で二軒所有している者はいないが、あの薬屋と雑貨屋の所有者は外国からの移民だった。
この登記簿には何処からの移民なのか分からず、それが分かるのかは何処か聞いたら、調べてくれた。
その二人は同じ国、東にあるマスナルダ国出身だった。

確信した。
薬はここからだ。
会ってる相手は薬屋。本来なら雑貨屋から裏に回っていたんだろう。
でも今日は護衛が付いていた。
だから下着屋に入り、中に入れないようにしたんだろう。
なかなか出て来ず、例えいなかったとしても適当に言い訳する気なんだろう。

あれから2時間は経った。さすがにそれが限度か。もう屋敷に帰った頃だろう。

あの国には俺に使った薬があるのだろうか。

団長の執務室に行き、分かった事を報告した。
「マスナルダが絡んでいたのか…王太子殿下に相談してみる。」

王太子殿下に相談するほど大事なのか⁉︎

一気に事が進み驚いたが、これでエリーを捕まえられれば、ララと結婚出来るかもしれない。

一気に先が明るくなったようで、気持ちが軽くなった。














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