一番悪いのは誰

jun

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完落ちした国王

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執務室に現れた陛下と騎士達に俺とアルベルト、ロジーニは王太子宮に連れて行かれた。
妃殿下の部屋に突然入れられ、妃殿下に質問された。

「みんなで何を話し合っていたのかしら?
私が何度も狙われている状態なのに。
ファビオの代わりにパウロがいてくれたのだけれど、パウロはファデリカ様と通じているのが分かったから、私にはやっぱりファビオしかいないみたい。
悪いけどファビオは私専属護衛でいてね。
良いわよね、ファビオ。」

「必ずや犯人を捉えたいと思っております。
護衛の任も責任を持ってあたらせて頂きます。」と俺が言うと、妃殿下が何か言う前にアルベルトが、

「私共はイヴァン様の執務室にて、毒物の件と媚薬の件を話し合っていた所でございます。何故に陛下があちらにいらっしゃったのか分かりかねましたが、妃殿下が陛下に仰られたんですね。
それにしてもどうして妃殿下は私達が執務室にいると分かったのでしょうか?
私達四人が集まる事など最近ではほとんどありませんでしたのに、どのようにお調べになり妃殿下のお耳に入ったのでしょうか?
あの場所は限られた者のみが立ち入れる場所。妃殿下は療養の為ここにいらっしゃったはず。
では、誰があの場に私達がいる事をしれたのでしょうか、お教え頂けますか?
機密漏洩に値します。
妃殿下にもお分かり頂けるかと思いますが、
誰があの場に私達がいる事を妃殿下に進言なさったのですか?」

「たまたま通ったメイドによ」

「通っただけのメイドが私達四人が揃っていると?」

「四人がいるとは聞いていないわ。何か話し合っていると聞いたの。」

「では、申し訳ございませんが、そのメイドをお呼び下さい。
盗み聞きなど言語道断。
妃殿下もそのような事をするメイドを諌める事もしないのは如何なものかと。
私達の執務を滞らせ、あたかも悪事の企てをしているかのような言い様は、例え妃殿下であろうと許されるものではありません。
療養中で冷静さが欠けていらっしゃったのだと思っておりますが、今後このような事がないようお願い致します。
なお、ファビオ隊長はまだ休憩を取っておりません。休憩を取り次第、妃殿下の護衛に付きます故、もうしばらくお待ち頂けますようお願い申し上げます。」

「メイドはそこにいるリリーよ。

なんだか今日のアルベルトは別人みたいね。
いつもはもっと優しいのに。何かあったのかしら?
ファビオの事は分かったわ、休憩が終わったら戻ってきてね。」

アルベルトの勢いにさすがの妃殿下も負けたようだ。
とにかく助かった。今、妃殿下といるのは危険だ。
何かを察知したんだろう。
どうやって?

俺達三人はメイドを連れて部屋を出た後、俺の執務室に向かった。

そしてメイドにハンカチを貸して握らせた。
すると、
「ハア────」と息を吐いた。

「申し訳ございませんでした・・・」と床に座り、土下座した。

「君は妃殿下にハンカチを貰わなかった?」とロジーニが聞くと、ポケットからハンカチを出した。

「「「やっぱり・・・」」」

「これと同じ物を持っている人、他に知ってる?」
質問するのをロジーニに任せ、色々と聞き出した。

ハンカチは妃殿下が王太子宮に入った時に、メイドに配られたらしい。
高級なハンカチにメイド達は喜んで使っているらしい。
それからは妃殿下は会う人会う人にハンカチを配っていたそうだ。
ただ、貰ったけど使わない人も一定数いるらしいが、その人達は最初から妃殿下を苦手に思っていて、軒並みフェデリカ様の後宮に移動したのだとか。

という事は王太子宮にいる使用人はほぼ全員ハンカチを持っている事になる。
毛嫌いしている使用人はハンカチを捨てたのかもしれない。
とりあえず聞ける話しも無くなり、メイドにアルベルトのハンカチを渡し、帰らせた。
しばらく妃殿下から離れるか、フェデリカ様の後宮に移動するように伝えた。

「ファビオはこれからあの人から今まで以上の魅了を浴びせられるぞ、どうする?
ここからも恐らく出さない。
下手に帰れば家族や屋敷の使用人にまで被害が及ぶ可能性がある。
手紙のやり取りも難しくなるかもしれない。
今のうちに注意するよう手紙を出しておけ。
あ~でも検閲されたらバレるな・・・。
その辺はイヴァンと相談する。
後、ハンカチは数枚は身につけておけ。
下着に縫い付けろ。
服は脱がされたらおしまいだ。
服を脱がされた時点で詰んでるが、まだ下着を着けてたら反撃出来るだろう。
あの人は俺の魅了が解けたと思っただろう。
それを逆手に取る。
こっちに注意を向ける。
例え堕ちてもお前達が俺にハンカチを押し付けろ。
イヴァンが今陛下に何を言われているかによるが、イヴァンを封じ込められたらフェデリカ様に王妃の魅了を最優先で解除してもらい、聖女様と連絡を取れ。
しばらくこうやって集まることも出来なくなるだろうが、誰かがおかしくなったら必ず皆んなで解除しろ。
全員が魅了される事が一番怖い。
ハンカチだけは手放すなよ!」

そうして俺とアルベルト、ロジーニは別れてハンカチの箱を取り戻す為に王太子執務室にもう一度行くと、護衛も立っておらず、不審に思い、ノックをした。
「イヴァン様、ファビオです。入ります。」
と声をかけてから中へ入ると、ソファに座ったイヴァン様の顔は、殴られたのか片方の頬が真っ赤になっていた。

「イヴァン様⁉︎すぐ冷やすものをお持ちします」

タオルも無かったので備え付けの簡易キッチンに行き、水でハンカチを濡らしイヴァン様に渡した。

「これを。」ハンカチを渡すと、それを受け取ったイヴァン様は頬にハンカチを当てた。

「ありがとう、ファビオ。お前達は大丈夫だったのか?」

「私達は妃殿下の所へ連れて行かれましたが、アルベルトが完膚なきまで妃殿下をやり込めたので、何事もなく。
それよりどうして陛下はこのような事を?」

「多分、父上とリンカは唯ならぬ仲なのだろう。証拠は無いが、そうでなければあそこまて魅了されぬだろう。
父上は“私のリンカ”と言っていた。
気持ち悪くて吐きそうだった。
例え魅了されていても、息子の嫁と関係をもつなど…。
俺はもうあの女とは二度と寝る事はない。
同じ空間にいるのも嫌だ。
しばらく俺は謹慎なんだそうだ…たかが妃殿下を悲しませただけでな。
だから、急いで母上を味方につけろ。
急げ、フェデリカに伝えろ。
父上は完全に堕ちた。俺は謹慎されたと伝えてくれ。」

「御意」

すぐにフェデリカ様の所へ行こうとしたら、

「ファビオ、ハンカチ持って行け。箱は机の引き出しに入れた。」

箱を持ち、フェデリカ様の元へ急いだ。

後宮の入り口のゾルジとレオに、
「陛下が堕ちた。至急フェデリカ様に報告を!」
と言うと、黙って通してくれレオが先導し部屋まで行くと、フェデリカ様に声をかけ、すぐ会う事が出来た。

王太子執務室であった事を伝えると、

「お父様とあの女が・・・」
唇を噛み、悔しさを噛み締めていた。

「あの人は何がしたいのか分からなかった。
男を侍らすってほどでもない。
好意を持たせるだけでそれといった悪事を働いている訳でもなかった。
お兄様に好いてもらおうとしているだけなのかと思っていた。
変わったのは結婚してから。
気付いた時にはもう遅かった。
誰も私の話しを聞いてはくれなかった。
お父様もお母様もお兄様も。
挙句にジーノまで。
何か反撃出来るものは無いかと一人探しても限度あったわ。
そして直接聞こうと、この前のお茶会よ。
なのに逆に嵌められた。
もう駄目かと思ったら、パウロが来た。
そして貴方。
まだ諦めないわ、お母様の所へ行ってくる。
その箱はハンカチが入っているのね。
二枚下着に縫い付けてもらうようメイドに頼むわ。そしてお母様、お母様の侍女のスーザン、そしてお父様の分の三枚だけ頂くわ。
ごめんなさいね、大事なハンカチをたくさん頂いてしまって。」

「いえ、ローラも喜ぶと思います。」

そして、フェデリカ様は王妃様の元へ俺を連れて向かった。















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