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The killer of paranoid Ⅷ
第八話
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夏樹達が、急いで看護師に声を掛けて負傷している女性がタンカで運ばれる。意識はないが脈はありかろうじて生きている状態。すぐに緊急のオペ室へと運ばれた。それから姫の病室にも足を運んで彼女の無事を確かめる。不安定ではあったが今は落ち着いて眠っているとの事。
「良かった。海人君もきっと喜ぶよ」
優理がそういうと霞も頷く。
「肝心の彼がここに居ないと姫ちゃんも悲しむわね」
「あたし達が眠っている間に誘拐するなんて」
「本当に運が良かったわね、私達。その襲って来た人の目的が何か知らないけど“取るに足らない存在”だったからスルーされただけ。運悪く目が覚めていたタイミングが合ってたら殺されてたと思う」
「そう思うとゾッとする」
優理が青ざめる。道路に落ちている小石にしか見えていなかったのが幸いと思える。
「ていうかこれってどういう状況?」
窓の外を眺めると、沢山の変な物体が浮かんでいる。
すると部屋の外から誰かが叫ぶ声が聞こえた。女性の悲鳴と声を荒げている男性。夏樹は扉を勢い良く開けて廊下へと駆け出した。そこには女性を襲おうとしている暴漢魔が公衆の面前でしかも病院の中で行おうとしている様子にしか見えない。何人もの周囲の人が彼を抑えようとしているが彼の勢いは止まらない。金髪の黒肌でそこそこなイケメンにも見えなくもない。
「俺と付き合ってくれ!!とりま一緒に喫茶店にでもいこうぜ!!な?」
男性の目が正常とは言えない。
「そっからドライブデートしてクラブ行ってホテルにゴーしようぜ!!!!」
「嫌だって言ってるじゃないですか!!これから彼の見舞いなんです!!何なのこの人!?急に手を掴んで無理矢理連れて行こうとするなんて!!」
「警察呼べ!!良いから早く!!」
「病院では騒ぎを起こさないで下さい!!」
色々な人が集まりだして来る。
「うお、操られてるっすな」
バクがそういうと夏樹が呆れる。
「操られてるって・・・あの強引なナンパが?」
「自分の欲望が肥大化された結果っすねぇ。他にも別系統の命令がありそうっすが」
「それって何か・・・・」
自分達の解決した事件と酷似している。
「夏樹さん。ともかく、あれを狙って撃つっすよ」
「全く、やっと終わったと思ったら」
夏樹が手に銃を出現させてそれを発砲する。頭上にあるクリオネにヒットして消滅すると青年が正気に戻った。自分でも何をやっているのか理解出来ていない様子。
「あれ?俺なんでこんな事に・・・・・・・・・いててててて!!ちょっとやめて!!今から彼女の見舞いだから!!この人はちょっと良いなって思ったけど・・・・・・そっからちょっと気持ちが抑えられなくなったってか・・・・・・マジすんません」
急に音がしたものだから夏樹の方に視線が移ったがすぐさま銃を消して万歳する。と同時に窓の外を思い出した。
「え、こんなのが外に大量に居るっての?」
また、別のどこからか女性の大声が聞こえる。現場に駆け付けると
『ーーーーー我らテラメアの為に!!』
と、周囲の人間に暴行を加えている30代女性が居り、夏樹はすかさず頭上のクリオネに射撃すると、女性は自分が何をしているのか理解出来ない様子だった。
「何よこれ」
「こりゃ、えらい事になったっすなぁ。病院全体に結界張りますが、おいらはこの場に釘付けになるっす。陰陽庁って組織は動いてるんすかね」
バクが結界を建物に広範囲に展開すると、病院内の式神は全て壁にぶつかり消滅した。
「これで病院の中は安全っすね」
「分かったわよ。ちょっと確認する」
夏樹が携帯を取り出して、早苗に連絡を取る。
「もしもし?早苗ちゃん?」
「夏樹さん、妹さんは助かりましたか?」
「うん、こっちは上手くいったんだけどね、目が覚めたら偉い事になってて。人が血塗れで倒れてたし、浦美は封印されて球体になってたし。海人君と京子ちゃんは浚われたって言うし。もう状況ぐっちゃぐちゃで何が何だか」
「そうですね。これほどの動きを呪術師がするとは思ってませんでした。って・・・・・京子ちゃんが誘拐!?居ないんですか?相手は?」
「浦美さんが言うには男性二人組って話だけど詳しくは浦美から聞いた方がいいと思う。あたし達が眠ってる間に起こってた事だし」
早苗が息を整える。
「情報ありがとう御座います。京子ちゃんを浚った呪術師達が居ると思われる二条城に私は今居るんですが、結界が固くて壊せそうにないみたいで、良かったら来てくれませんか?結界を壊した後までは中に突入しなくて大丈夫ですので」
「二条城?」
「ええ。外に溢れている式神の出処です。ここさえ叩けば、この騒動も収まると上の判断ですから」
「・・・ちょっと考えさせてくれる?」
色々有りすぎて整理が追い付かない。自分はどうすべきなのか
バクと協力して海人と京子を独自に探すべきか
それとも数多い外の式神を沢山破壊すべきか
早苗と一緒に二条城へと向かうべきか
「分かりました。でももし来れなくても大丈夫です」
「・・・うん、ありがと」
無理をしているのが伝わってくる。殺人集団と対峙するのに怖い訳がない。かくいう夏樹自身もそんな度胸がある訳ではない。一度連絡を切る。
「あんたと出会ってなければって思う時結構多いんだけど?」
「冗談が上手いっすねぇ夏樹さん」
嫌味が通じず、夏樹は大きく息を吐いた。
「良かった。海人君もきっと喜ぶよ」
優理がそういうと霞も頷く。
「肝心の彼がここに居ないと姫ちゃんも悲しむわね」
「あたし達が眠っている間に誘拐するなんて」
「本当に運が良かったわね、私達。その襲って来た人の目的が何か知らないけど“取るに足らない存在”だったからスルーされただけ。運悪く目が覚めていたタイミングが合ってたら殺されてたと思う」
「そう思うとゾッとする」
優理が青ざめる。道路に落ちている小石にしか見えていなかったのが幸いと思える。
「ていうかこれってどういう状況?」
窓の外を眺めると、沢山の変な物体が浮かんでいる。
すると部屋の外から誰かが叫ぶ声が聞こえた。女性の悲鳴と声を荒げている男性。夏樹は扉を勢い良く開けて廊下へと駆け出した。そこには女性を襲おうとしている暴漢魔が公衆の面前でしかも病院の中で行おうとしている様子にしか見えない。何人もの周囲の人が彼を抑えようとしているが彼の勢いは止まらない。金髪の黒肌でそこそこなイケメンにも見えなくもない。
「俺と付き合ってくれ!!とりま一緒に喫茶店にでもいこうぜ!!な?」
男性の目が正常とは言えない。
「そっからドライブデートしてクラブ行ってホテルにゴーしようぜ!!!!」
「嫌だって言ってるじゃないですか!!これから彼の見舞いなんです!!何なのこの人!?急に手を掴んで無理矢理連れて行こうとするなんて!!」
「警察呼べ!!良いから早く!!」
「病院では騒ぎを起こさないで下さい!!」
色々な人が集まりだして来る。
「うお、操られてるっすな」
バクがそういうと夏樹が呆れる。
「操られてるって・・・あの強引なナンパが?」
「自分の欲望が肥大化された結果っすねぇ。他にも別系統の命令がありそうっすが」
「それって何か・・・・」
自分達の解決した事件と酷似している。
「夏樹さん。ともかく、あれを狙って撃つっすよ」
「全く、やっと終わったと思ったら」
夏樹が手に銃を出現させてそれを発砲する。頭上にあるクリオネにヒットして消滅すると青年が正気に戻った。自分でも何をやっているのか理解出来ていない様子。
「あれ?俺なんでこんな事に・・・・・・・・・いててててて!!ちょっとやめて!!今から彼女の見舞いだから!!この人はちょっと良いなって思ったけど・・・・・・そっからちょっと気持ちが抑えられなくなったってか・・・・・・マジすんません」
急に音がしたものだから夏樹の方に視線が移ったがすぐさま銃を消して万歳する。と同時に窓の外を思い出した。
「え、こんなのが外に大量に居るっての?」
また、別のどこからか女性の大声が聞こえる。現場に駆け付けると
『ーーーーー我らテラメアの為に!!』
と、周囲の人間に暴行を加えている30代女性が居り、夏樹はすかさず頭上のクリオネに射撃すると、女性は自分が何をしているのか理解出来ない様子だった。
「何よこれ」
「こりゃ、えらい事になったっすなぁ。病院全体に結界張りますが、おいらはこの場に釘付けになるっす。陰陽庁って組織は動いてるんすかね」
バクが結界を建物に広範囲に展開すると、病院内の式神は全て壁にぶつかり消滅した。
「これで病院の中は安全っすね」
「分かったわよ。ちょっと確認する」
夏樹が携帯を取り出して、早苗に連絡を取る。
「もしもし?早苗ちゃん?」
「夏樹さん、妹さんは助かりましたか?」
「うん、こっちは上手くいったんだけどね、目が覚めたら偉い事になってて。人が血塗れで倒れてたし、浦美は封印されて球体になってたし。海人君と京子ちゃんは浚われたって言うし。もう状況ぐっちゃぐちゃで何が何だか」
「そうですね。これほどの動きを呪術師がするとは思ってませんでした。って・・・・・京子ちゃんが誘拐!?居ないんですか?相手は?」
「浦美さんが言うには男性二人組って話だけど詳しくは浦美から聞いた方がいいと思う。あたし達が眠ってる間に起こってた事だし」
早苗が息を整える。
「情報ありがとう御座います。京子ちゃんを浚った呪術師達が居ると思われる二条城に私は今居るんですが、結界が固くて壊せそうにないみたいで、良かったら来てくれませんか?結界を壊した後までは中に突入しなくて大丈夫ですので」
「二条城?」
「ええ。外に溢れている式神の出処です。ここさえ叩けば、この騒動も収まると上の判断ですから」
「・・・ちょっと考えさせてくれる?」
色々有りすぎて整理が追い付かない。自分はどうすべきなのか
バクと協力して海人と京子を独自に探すべきか
それとも数多い外の式神を沢山破壊すべきか
早苗と一緒に二条城へと向かうべきか
「分かりました。でももし来れなくても大丈夫です」
「・・・うん、ありがと」
無理をしているのが伝わってくる。殺人集団と対峙するのに怖い訳がない。かくいう夏樹自身もそんな度胸がある訳ではない。一度連絡を切る。
「あんたと出会ってなければって思う時結構多いんだけど?」
「冗談が上手いっすねぇ夏樹さん」
嫌味が通じず、夏樹は大きく息を吐いた。
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