Voo Doo Child

夜桜一献

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The killer of paranoid Ⅷ

第三十四話

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 身動きが取れない早苗と朱雀。紅葉も連戦の疲労が蓄積されており肩で息をしている。特に白虎の動きが鈍い。青葉は増えた3人の女子高生を見聞して唯の素人だと瞬時に見抜いた。作戦開始よりも前の会議で一人の少年の顛末を聞いた。それを思い出す。

「跳び回る南瓜の少女、残り二人は新参者ですがあの少年の関係者という所でしょうか」

「海人君を返して!!どうして海人君を攫ったの!?」

「広域呪術式の生贄になった少年の事でしょうか?適正があったんでしょうねえ。なにせ初期からあの方に目を付けられてましたから。神の使徒の力の一端を授かった少年として。妹の為に悪事を平然と正当化し行える分別の無い獣。何人も貴方と共に人生を狂わせたにも関わらず悪びれようともしない。邪神の贄に値する素晴らしい存在だったと褒めてましたよ」

南瓜の表情が絶句に変わる

「もう、死んでると思いますがね!!」

銃を発砲して跳び回る南瓜の少女のランタンに当てて彼女はそれを手放した。次に2発目が頬に掠って血が流れる。距離を詰めすぎたかと焦って後退した。言葉に揺さぶられて、3人の表情が曇る。海人を助けに来たのにいきなり希望を失った。

「皆さん・・・すみません、助かります。でも無茶はしないで下さい」

ぐっと、早苗が痛む傷口を押さえながら立ちあがり
ゆっくり離して、残った手で札から刀を出現させる。彼等は力のある一般市民に過ぎない。本来手を貸してもらうべきではない。

「君たちは一体何者だ?」

「神の使徒より力を貰った人達です。夏樹さんに関して言えばすでにいくつもの事件に携わっておられ解決してます。皆さんはサポートをお願い出来ますか」

「あたし達はどうすればいい?」

「青葉は無視して、3人であの怪物をお願い出来ますか。消滅させられれば、恐らくそれで終わりです。問題は青葉をどれだけ相手出来るか・・・朱雀」

「応、丁度暇を持て余していた所よ。白虎にはすまないが、結界を3人にも付与と維持を任せるぞ」

「ケッ・・・まだまだいけるが・・いいだろう、変わってやらぁ」

「素直じゃないのよね、白虎ってば。もう立つのもやっとの癖して」

「うるせえ!!ちっと休みゃすぐに回復すらぁ!!」

夏樹の力なら、テラメアを消滅も可能と踏んだ。すでにテラメアの体に皸を入れた事を考えれば乾坤一擲の一撃を狙えるのは彼女しかいない。

「方針は決まったね。早くしてくれると助かるんだけど?」

 霞の声に焦りが見える。霞は力を貰っておらず、あの日以来発現する様になった後天的に発露した力に過ぎない。眼鏡の少女の聖騎士。巨大な甲冑に身を纏い、宙に浮かび、青葉の疑似神と近接戦闘を繰り返している。非常に珍しい自らの精神を媒介にした式神に古風を感じつつも、青葉は弱点が式神自体にある事も熟知していた。テラメアが騎士の胴体や顔に一撃を見舞うと少女の体にダメージが通っている。鼻血が出た辺りで苦しいと感じたのか攻撃を捨てて巨大な盾で防戦に入った。最後のハンマーを振り回す金髪の少女は不意打ちながら、疑似神に重いダメージを負わせていた。警戒すべきは彼女のみ。いつの間にか夏樹はテラメアの頭上へと飛んでいる。よくよく見れば薄い結界の様な物が見え、足場を作り、移動している。

「大丈夫?霞!!」

「大丈夫じゃないわよ!!痛いし、怖いし、こんな事さっさと終わらせて帰りたい!早くこいつを消して夏樹!!」

「・・・そうか、あれが神々の力の一端を授かっという。不味いですね」

冷静な青葉が焦りを感じて、夏樹の方へ移動する。烏合の集団とも言える稚拙な動きでしかないが、彼女にはこの状況を一変しうる力があると見抜いた。彼女も銃らしき物を発現させてテラメアに射撃する。テラメアに加勢しようとする青葉の前に、早苗と紅葉が対峙した。

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