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The killer of paranoid Ⅷ
第三十七話
しおりを挟むテラメアは自身の周囲に小さなブロックを幾つも作って散布した。
「夏樹達は下がって、良く見ておきなさい!!」
動こうとする優里と海人を牽制し、声を張り上げる。浦美が手を掲げると面を付けた黒服の呪術捜査官達が、夏樹の作った足場を利用してテラメアに近づき発砲する。その際に、その小さな正方形の術式が足や肩に貼り付くと、動きが固定されて動けなくなる。次に光始めて爆発した。次々と襲いかかるものの、辿り着ける者はおらず、爆発で消滅していく。布陣から離れた所で発泡するも、阻まれてテラメアに届かず。
「あれは彼女が取り込んだ霊魂達っす」
「・・・幽霊って事?」
本来なら思う所もあっただろうが、この状況で驚く事もない。爆発四散した呪術捜査官は、浦美の側で復活する。また、開いた穴は直様別の術式が埋めて布陣に隙がない。1対多数の混戦になりながらも、テラメアはこの短い時間の中で学習している。結界を張り巡らせた限定呪術式よりも、自己強化と時限呪術式神を組み合わせた方が現時点で強みがあると判断した。
「空なら燃ゆる物はない」
朱雀が空中を舞って、羽を羽ばたかせる。
「後一撃くらいなら、何とか捻り出せらぁ」
「白虎・・・」
白虎も、立ち上がって周囲が雷光で点滅する。朱雀と白虎の2匹による、炎と雷の一撃は、真っ直ぐに伸びてテラメアに向かう。咄嗟に、散布した術式を集中させて壁を作り、威力を削る。クロスガードで自身は防ぎきったが、散布した術式は減っており、且つ正面に何も無い空間が作られる。
「これが最後です!!」
早苗の声と共に優里と海人がそれぞれ剣と鎌で一撃を入れ、呪術捜査官達が攻撃した後の隙を埋める様にマシンガンによる一斉射撃を浴びせる。夏樹は輪っかに変化したバクによって上空を駆けた。テラメアを正面に捉えて、ハンマーによる一撃を入れると
ガードした腕が完全に破砕した。
よろよろと起き上がり、眼の前の悪夢に信じられない思いで青葉が青ざめる。
あまりの出来事に手に持つキューブが掌から地面に転がり落ちた。
「こんなはずはない!!神の創生は成った!!この世に新しい神を創立させる我が夢!世界を変革させる為の希望!これが潰えていいはずがない!!一体何なんだあの荒唐無稽な力は!」
「そんなくだらない目的の為にここまでしたの!?信じらんない!!」
霞が傷付き、多くの人が巻き込まれて
死傷者も出した目的が眼の前の存在という
夏樹の怒りが頂点に達する。
「あんたのその夢とか希望とか知らないけど!!」
本来夢を司る 夢想現実の力を
壊す方向に転じさせた
妄想殺し《The killer of paranoid》
「完全にこの世から消させて貰うわ!!」
夏樹とバクが上昇して、バクを離してテラメアの真下へ急降下する。テラメアはその力の奔流に恐れを抱いた。動く前に海人が杖を振るってテラメアに足枷を嵌めて動けなくする。逃げる事も叶わず、その夏樹が創り出した巨大なハンマーの餌食となって下敷きとなる。絶命の声を上げる暇もなく、産まれたての邪神は消滅した。
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