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The killer of paranoid Ⅷ
第三十八話
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結界が壊された事により続々と警察と呪術捜査官の上層部が乗り込んでくる。救急車がやってきて負傷者を運び出している。霞も運ばれ、今は警察が遺体の確認を行っている。今更ながら、場違いな所へ来た事に夏樹は後悔を感じていた。優里と海人は力を抑えて普通に戻っている。
「おい青葉が居ないぞ、探せ!!」
「まだこの近くに居るはずだ。絶対に逃がすんじゃない!」
「え、あのおじさん逃げたの?やばくない」
「これだけ人が居るんだし、見つかるのも時間の問題じゃないかな」
光の奔流が収まり、周囲を見回したが青葉の姿は無かった。隙を見て二条城から逃げ出し、逃走を図った。老体に鞭を打ち、京都のビルの裏路地まで逃げ込む。妙に、足取りが軽い。長年の夢であった神の創生が潰えたというのに執着もない。寧ろ今の今まで時間の無駄だったのではないかとさえ思える程清々しい。
「自由の身になれただけでもこれからの選択の幅が広がったというもの」
覚束ない足で、自分の約束された未来に希望を抱いた瞬間、後ろから裸の女が青葉に抱きつく。
「・・・一人でどこへ行くの?」
萌が青葉に囁く。
「離しなさい、萌!!」
晴野浦美が二条城へ侵入した際、二条城内の更なる結界の中に飛ばされた。迷路の様な構造になっており、罠を突破して着いた先には、少しお腹の膨らんだ女性の干からびた死体があった。先程まで機能していた巨大呪術式の文様の中で萌は死に絶えていた。仮契約にて邪神によって無限の呪力を得られていたが、何かのアクシデントにより、契約履行の解除がされ、恩恵の見返りとして邪神はその命を彼女から奪った。萌はこの戦いの末には、青葉と一緒に生きる希望があると信じこんでいた。ただ実際には、“彼の夢の為の道具”である事に人生の最後に気付かされた。彼女の愛が憎しみへと変わり、その怨念が現場に満ちていた。
「貴方一人だけにはさせない。3人で一緒に落ちましょう」
狂った表情で、萌は青葉の心臓にナイフを突き刺す。悶え苦しみながら最後は萌に抱かれながら青葉は逝った。すぐ離れた所で、浦美がそれを見届けた後、現場には青葉の遺体だけ残された。
「おい青葉が居ないぞ、探せ!!」
「まだこの近くに居るはずだ。絶対に逃がすんじゃない!」
「え、あのおじさん逃げたの?やばくない」
「これだけ人が居るんだし、見つかるのも時間の問題じゃないかな」
光の奔流が収まり、周囲を見回したが青葉の姿は無かった。隙を見て二条城から逃げ出し、逃走を図った。老体に鞭を打ち、京都のビルの裏路地まで逃げ込む。妙に、足取りが軽い。長年の夢であった神の創生が潰えたというのに執着もない。寧ろ今の今まで時間の無駄だったのではないかとさえ思える程清々しい。
「自由の身になれただけでもこれからの選択の幅が広がったというもの」
覚束ない足で、自分の約束された未来に希望を抱いた瞬間、後ろから裸の女が青葉に抱きつく。
「・・・一人でどこへ行くの?」
萌が青葉に囁く。
「離しなさい、萌!!」
晴野浦美が二条城へ侵入した際、二条城内の更なる結界の中に飛ばされた。迷路の様な構造になっており、罠を突破して着いた先には、少しお腹の膨らんだ女性の干からびた死体があった。先程まで機能していた巨大呪術式の文様の中で萌は死に絶えていた。仮契約にて邪神によって無限の呪力を得られていたが、何かのアクシデントにより、契約履行の解除がされ、恩恵の見返りとして邪神はその命を彼女から奪った。萌はこの戦いの末には、青葉と一緒に生きる希望があると信じこんでいた。ただ実際には、“彼の夢の為の道具”である事に人生の最後に気付かされた。彼女の愛が憎しみへと変わり、その怨念が現場に満ちていた。
「貴方一人だけにはさせない。3人で一緒に落ちましょう」
狂った表情で、萌は青葉の心臓にナイフを突き刺す。悶え苦しみながら最後は萌に抱かれながら青葉は逝った。すぐ離れた所で、浦美がそれを見届けた後、現場には青葉の遺体だけ残された。
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