宇宙貨物船

牧村竜二

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第5章

050 妊娠

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スミスとの性交は明け方まで続いた。

「もうだめ、死んじゃう」

幾度となくひっくり返されて挿入されたアリシアはぐったりとしていた。口元は緩み、よだれが糸を引いている。

「まだだ。終わらないぞ」

正常位で性器を割れ目にずぶっと刺す。精液と愛液のためスムーズに挿入できる。

「ああっ、だめぇ」

浅く深く挿入しながら抽送する。いやらしいぐちょぐちょいう音が繋がっているところから漏れる。

「あっ、あっ、深く入れたり浅く入れたり、それだめえ。あっ、あっ、いやあ、いっちゃう、いっちゃうう」

アリシアは半狂乱になった。

「まだだ、もっといけ」

「ぐっ、ひいい、いくう」

何度目かエクスタシーに追い上げられて、アリシアは気を失ってしまった。

スミスは射精するとやっと離れた。アリシアはぐったりしながら痙攣している。

「じゃあな、誕生日おめでとう」

すっきりした顔でシャワーを浴びるスミス。もうアリス3に光が差し込んでいた。


アリシアが目を覚ましたのは14時を回っていた。ふらふらしながら、ベットをきれいにして更衣の用意をしていると、どろっと、何かがあそこから出たのを覚えた。

「うう、シャワーを浴びて着替えなくては」

アリスが告げる。

「このまま出さないようにしておく事をお勧めします」

「なによ」

「ベットでこぼさないように寝て過ごすことを、お勧めします」

「もう一度寝たらいいのね。こぼさないようにか。ぶなんかわかんないけど、おやすみ」

頭が回っていないアリシアは、あくびをするとベットに潜りこんだ。



アリシアは体の不調を訴えてアリスにかかっていた。

「体温は高めです。呼吸は少し早いですが、特に悪いところはありません」

医療機器に入ったアリスは言う。

「もしかしたら…。尿を取ってみましょう。これは民間の検査薬です。おしっこを浸して窓に表示が出ればあたりということになります」

「あたり?おしっこをかければいいのね」

アリシアは検査薬に尿をかけた。検査薬が棒状の表示をする。

「あ、おめでとうございます」

いきなりアリスは祝いの言葉を言った。

「なにさ」

「御懐妊です。筐体でも妊娠できることが証明されました。妊娠用のアンドロイドをつけます。重い物を持ったり、高いところはお任せください。なお、アンドロイドは助産師の能力を持っていますから、体調が悪くなった時は相談してください。あ、スミスには連絡しましたか?このような慶事は自分の口で言うのがいいです」

アリスは甲斐甲斐しく世話を焼いた。

「妊娠かあ」

アリシアはぽつんと言う。どうも実感がない。お腹は普通に見える。ここにスミスと私の子がいるとは信じられない。パットを開いてスミスを呼び出す。

「スミス、今わかったの。あなたパパになったのよ」

パッドで告げるとスミスが破顔した。

「で女の子か男の子か?」

「まだ聞いていないわ。とりあえず妊娠がわかったから連絡したの。それにこんな早く性別はわかるの?」

「ああわかる。受精した時点で性別は決められるんだ。XX染色体とXY染色体だな。俺は無線を触っているからXX 染色体が強いんだ。しかし、女の子の方がいいな。可愛がりが違う。うん、名前はミサベルがいい。男の子だったら航宙士にするか?傭兵をさせてもいい。男の子なら名前を…何にしよう」

生まれてもいないのにスミスは言った。彼の中で子供は女の子らしかった。男の子の名前を考えていなかったということにアリシアは笑った。報告しているうちに、自分のお腹の中にスミスとの子供がいるという実感を覚えて幸せになった。

「ふふミサベルかあ。ミサベルちゃん、ママですよお。えへへへ」

お腹を撫でながら名前を呼ぶ。本当に女の子がいるようでアリシアは笑った。

「国民にはいつ知らせましょうか?スミス」

スミスは形式的に王の位置にある。国民的に、王と女王の間に、子供ができたことは嬉しいことなのだ。

「妊娠が分かってでいいんじゃないかな」

スミスは言った。

「そうかしら。でも男の子か女の子がわかってからがいいわ。国民も迷うでしょうし」

「そうすると、あと17週ですね。正確を期すなら20週といったところでしょうか」

アリスは国民に性別が分かった喜びも分かちあってはどうかと、アリシアの決定を残念に思った。気を取り直して注意をする。

「アリシア様、これから偏食はお控えくださいまし。おやつも今までのように、ばくばく食べてはいけません、袋菓子も自然のものをお選びください」

アリスは張り切った。食糧の電子脳とリンクをして妊婦食を作り出す。

「えっと、ケーキはどうかな」

おやつに毎食食べるケーキを奪われては大変と、用心深くアリスに聞く。予防線のつもりだ。

「食べすぎてはダメです。いままでのようにホール一つなどはもっての他です」

「そんなあ」

「ミサベルが、健康に産まれるためです」

アリスはピシッと言い放った。楽しみのケーキが少なくなったのに、アリシアはがっかりした。

「電子脳では分裂するのは簡単だけど、肉体は違うわね」

アリシアは言った。

「リサはどうなのかしら。マーキュリーとつるんでいるけど」

「アリシア様は気づいていないのですか?あなたの配下は皆、子供を作らないのですよ。正確には子供ができないのです。それに至る行為も。アリシア様のフェロモンが、そうさせているのでしょう」

「へえ。私、昆虫みたい」

「ああ昆虫ですね。正確には女王蜂とでも言いましょうか。女王蜂は自分の働き蜂に、フェロモンで繁殖を許さない。ところが女王蜂がいなくなったら、働き蜂も子供を作ります。女王が無秩序に生まれるのを防ぐ自然の知恵ですね」

「昆虫か」

「女王蜂は子供を作ることに専念します。今のアリシア様のように。繁栄のためには女王蜂が生む子供が必要なのです」

「でも王女や王子が林立したら国が滅びちゃうわね」

「そう、だから自然では古い女王が働き蜂を連れて新しい巣を作るのです。古い女王は寿命が尽きて死にます。そしたら新しい女王が巣を継承するんです」

「ふうん。でも電子脳は死なないわ。そしたら分蜂で国を増やしていくのかしら」

「興味深いですね」

「国民は寿命があるわ。そうすると外から連れてくるのかしら」

「そのためにはプリサンド王国に魅力がなければ、人は集まりません。福祉惑星をもっと打ち出しましょう」

アリスは言った。アリシアは分蜂の為の惑星を探した。

「太陽系の中に国ごと引っ越しするキャパはないわね。分蜂も難しいわね」

「太陽系外縁天体はいかがですか?」

「そうね。あの辺は人類も進出していないわね。エリスとか岩石惑星だしいいかも」

「メタンの氷がありますから産業は成り立ちます」

「メタン?なんか臭そう」

「酸素もありませんし、低音でマイナス200度ぐらいですから、地表に人間は降りることはできません。臭くはないですよ。臭いのは硫化水素などが混じった為でしょう。まあアンドロイドなら関係ありませんが」

「ふうん。そうすれば産業も成り立つか。しかしエリスに住むのは抵抗があるわね」

「それでは衛星のディスノミアはどうですか?」

「名前からいいわね」

興味は太陽系外縁にあった。



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