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第ニ章:執行部の孤立
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重厚な扉が開くと、そこには円卓が置かれていた。
上座には過激派のトップ、花子さんが座っている。かつての黒髪おかっぱの良識派時代とは違い、地雷系メイクに身を包んだ彼女の表情は硬い。
彼女の隣には、副官の口裂け女。姦姦蛇螺はその「小汚い見た目」を嫌悪し、一瞥もくれない。
対面に座るのは、元会長のターボババア。
元良識派であった花子さんのクーデターにより
その地位を追われた彼女だが、妖怪協会とのパイプは健在であり、今でも良識派の精神的支柱だ。
その隣には、銀髪スレンダーな美貌の医師、
アクロバティックサラサラ(アクサラ)
が控えている。
彼女と花子、姦姦蛇螺の三人は幼馴染だが、今の立場は真っ向から対立していた。
「……では、始めましょうか。執行部の『管理責任』について。」
アクサラが、冷徹に資料を提示した。
そこには健一が貞子の呪いのDVD内に取り込まれ、パイズリ寸止めパンチという屈辱的な暴行を受ける映像のキャプチャが並んでいる。
「……ハァ、花子さん。あなたはこの事態を把握しながら、娯楽として見過ごした。報告書を自ら上げた潔さは認めますが、組織の長としてこれを見過す事は天界への反逆に等しいです。」
姦姦蛇螺が畳み掛ける。
「男性怨霊協会、妖怪協会へは話を通しました。彼らは『死人が出ていないなら』と不問に処しましたが、それはあくまで対外的な話。……無辜の人間をビデオの世界に引き込み、あのような破廉恥な行為に及んだ貞子、そしてそれを止めなかったあなた達執行部を、私は断じて許さない。」
花子さんは深く頭を下げた。
「……弁明の余地はありません。あの時、私の中で『呪い』への考えが、判断を狂わせました。彼をすぐに救出せず、貞子の暴走を許した罪は、甘んじて受け入れます。」
執行部は今、窮地に立たされていた。
良識派の真の狙いは、この失態を理由に執行部を総入れ替えし、過激派の力を削ぐことにある。
しかし、当の主犯である貞子は、すでに天界から「現世への永久追放」という、霊界の住人にとっては死よりも重い(あるいは、ある意味で幸福な)沙汰を下され、現世で人間として生きている。
「……貞子本人が女性怨霊協会としての裁きを受けられない以上、管理側が責任を取るのは当然の理屈……になるかねぇ?……花子や?」
ターボババアが低く、しかし力強い声で元右腕であった愛弟子をみつめ、きつく念を押す。
そのひと言で会議室の空気は、張り詰めた糸のように張り詰める。山村貞子という元怨霊と川里健一という一人の「終わってる男」が引き起こした波紋は、女性怨霊界の勢力図を根底から塗り替えようとしていた。
上座には過激派のトップ、花子さんが座っている。かつての黒髪おかっぱの良識派時代とは違い、地雷系メイクに身を包んだ彼女の表情は硬い。
彼女の隣には、副官の口裂け女。姦姦蛇螺はその「小汚い見た目」を嫌悪し、一瞥もくれない。
対面に座るのは、元会長のターボババア。
元良識派であった花子さんのクーデターにより
その地位を追われた彼女だが、妖怪協会とのパイプは健在であり、今でも良識派の精神的支柱だ。
その隣には、銀髪スレンダーな美貌の医師、
アクロバティックサラサラ(アクサラ)
が控えている。
彼女と花子、姦姦蛇螺の三人は幼馴染だが、今の立場は真っ向から対立していた。
「……では、始めましょうか。執行部の『管理責任』について。」
アクサラが、冷徹に資料を提示した。
そこには健一が貞子の呪いのDVD内に取り込まれ、パイズリ寸止めパンチという屈辱的な暴行を受ける映像のキャプチャが並んでいる。
「……ハァ、花子さん。あなたはこの事態を把握しながら、娯楽として見過ごした。報告書を自ら上げた潔さは認めますが、組織の長としてこれを見過す事は天界への反逆に等しいです。」
姦姦蛇螺が畳み掛ける。
「男性怨霊協会、妖怪協会へは話を通しました。彼らは『死人が出ていないなら』と不問に処しましたが、それはあくまで対外的な話。……無辜の人間をビデオの世界に引き込み、あのような破廉恥な行為に及んだ貞子、そしてそれを止めなかったあなた達執行部を、私は断じて許さない。」
花子さんは深く頭を下げた。
「……弁明の余地はありません。あの時、私の中で『呪い』への考えが、判断を狂わせました。彼をすぐに救出せず、貞子の暴走を許した罪は、甘んじて受け入れます。」
執行部は今、窮地に立たされていた。
良識派の真の狙いは、この失態を理由に執行部を総入れ替えし、過激派の力を削ぐことにある。
しかし、当の主犯である貞子は、すでに天界から「現世への永久追放」という、霊界の住人にとっては死よりも重い(あるいは、ある意味で幸福な)沙汰を下され、現世で人間として生きている。
「……貞子本人が女性怨霊協会としての裁きを受けられない以上、管理側が責任を取るのは当然の理屈……になるかねぇ?……花子や?」
ターボババアが低く、しかし力強い声で元右腕であった愛弟子をみつめ、きつく念を押す。
そのひと言で会議室の空気は、張り詰めた糸のように張り詰める。山村貞子という元怨霊と川里健一という一人の「終わってる男」が引き起こした波紋は、女性怨霊界の勢力図を根底から塗り替えようとしていた。
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