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嘘をつくと決めた
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「帰るぞ、アリシア」
とんでもないことをアーネストが言い出した
近衛兵が500人ここに来ている
王太子が動かした
それは無言の示威行為となる
場合によっては敵対も辞さない、という意思表示
相手が盗賊や謀反を企てた人物ならともかく、そうではない
王に次ぐ地位を持つ大公爵
そして、アリシアが嫁ぐ相手
白い結婚とはいえ、国のために必要な婚姻
ここでアーネストの言う通りにしたら、公爵は・・・
「ふむ、王太子殿下はよほど姉君にご執心のようだ」
公爵は少し煽り気味にそう言った
公爵には余裕がある
これは王家への貸しになるから
「ええ、アリシアは世間知らずですので、危なっかしくて外には出せないのですよ公爵、アリシアを守るのは私の義務です」
ああバカにされている、とアリシアは思った
「世間知らず・・・しかし、王女殿下はもう23でしょう、騎士として国一番の武功もあげておられる、そのような言い方はどうかと思われますぞ王太子殿下」
さっきから、アーネストは、アリシアを呼び捨てにしお前呼ばわりしている、大勢が見ている中で
そして公爵は、二人に対してフォーマルな態度を一切崩していない
これでは一方的にアーネストが、王家が、公爵に敵意を抱いていることになる
アーネストは、昔から、この公爵になぜか、こんなところがあったけれど、ここまでの敵意を見せたことはなかった
アリシアは、アーネストがわからない
なんでこんなに怒っているのか、怒るのなら、不出来な姉である自分にのはずでしょうに
「騎士になるなど許すべきではなかった、アリシアが騎士になるなど、私は許すべきではなかった
剣を学ぶなど許すべきではなかった
・・・二度とアリシアを騎士には戻しませんよ、公爵」
「ほう・・・剣士になるべきではなかったと・・・」
「ええ公爵、アリシアは剣士になどなるべきではなかった、剣士になど」
「・・・」
「・・・」
公爵も黙った
じっと、二人は対峙する、目をそらすことなく
16歳のアーネストが、父である国王より年上の大公爵に一切物おじせず対峙するその姿に、アリシアは怖気づく
他のものも同様に、じっと固唾をのんで王太子と大公爵の対峙を見守っていた
このままでは王家と公爵家に禍根を残す
「あの」
アリシアは反射的に言った
「なんだアリシア、黙っていろ」
「・・・」
アーネストの一言に、アリシアは目をつぶる、でも、言わないと、何か、何かを
「どうかなさいましたか?王女殿下」
公爵は、アリシアに発言を促した
この他人行儀でフォーマルな態度に、アリシアはアーネストに対抗する力を得た気がした
「私はこのまま、公爵様に嫁ぎたいと思います」
心にもないことを、アリシアは言った
自分の本心と正反対なことを
公爵が嫌いなわけではない
心から尊敬し信頼している
だけど嫁ぎたいとは夢にも思わない
美丈夫がそのまま初老に差し掛かった公爵は素敵な男性だとは思うけれど、これは、父への思慕の念に近い
嫁ぎたいとは一ミリも思わないしそんな対象にもならない
それはきっと公爵も同じだろう
今回の婚姻は政略結婚で、白い婚姻だとあらかじめ決められている
公爵との約束だ
だから嫁ぐことを決めた
決めることができた
でも今は
「私は、公爵様に嫁ぎたいとずっと思っておりました」
嘘を言わないといけない
嘘を
今までずっとアーネストに嘘をつき続けてきたように、嘘を、一番大きな嘘を、つこうとアリシアは決めた
とんでもないことをアーネストが言い出した
近衛兵が500人ここに来ている
王太子が動かした
それは無言の示威行為となる
場合によっては敵対も辞さない、という意思表示
相手が盗賊や謀反を企てた人物ならともかく、そうではない
王に次ぐ地位を持つ大公爵
そして、アリシアが嫁ぐ相手
白い結婚とはいえ、国のために必要な婚姻
ここでアーネストの言う通りにしたら、公爵は・・・
「ふむ、王太子殿下はよほど姉君にご執心のようだ」
公爵は少し煽り気味にそう言った
公爵には余裕がある
これは王家への貸しになるから
「ええ、アリシアは世間知らずですので、危なっかしくて外には出せないのですよ公爵、アリシアを守るのは私の義務です」
ああバカにされている、とアリシアは思った
「世間知らず・・・しかし、王女殿下はもう23でしょう、騎士として国一番の武功もあげておられる、そのような言い方はどうかと思われますぞ王太子殿下」
さっきから、アーネストは、アリシアを呼び捨てにしお前呼ばわりしている、大勢が見ている中で
そして公爵は、二人に対してフォーマルな態度を一切崩していない
これでは一方的にアーネストが、王家が、公爵に敵意を抱いていることになる
アーネストは、昔から、この公爵になぜか、こんなところがあったけれど、ここまでの敵意を見せたことはなかった
アリシアは、アーネストがわからない
なんでこんなに怒っているのか、怒るのなら、不出来な姉である自分にのはずでしょうに
「騎士になるなど許すべきではなかった、アリシアが騎士になるなど、私は許すべきではなかった
剣を学ぶなど許すべきではなかった
・・・二度とアリシアを騎士には戻しませんよ、公爵」
「ほう・・・剣士になるべきではなかったと・・・」
「ええ公爵、アリシアは剣士になどなるべきではなかった、剣士になど」
「・・・」
「・・・」
公爵も黙った
じっと、二人は対峙する、目をそらすことなく
16歳のアーネストが、父である国王より年上の大公爵に一切物おじせず対峙するその姿に、アリシアは怖気づく
他のものも同様に、じっと固唾をのんで王太子と大公爵の対峙を見守っていた
このままでは王家と公爵家に禍根を残す
「あの」
アリシアは反射的に言った
「なんだアリシア、黙っていろ」
「・・・」
アーネストの一言に、アリシアは目をつぶる、でも、言わないと、何か、何かを
「どうかなさいましたか?王女殿下」
公爵は、アリシアに発言を促した
この他人行儀でフォーマルな態度に、アリシアはアーネストに対抗する力を得た気がした
「私はこのまま、公爵様に嫁ぎたいと思います」
心にもないことを、アリシアは言った
自分の本心と正反対なことを
公爵が嫌いなわけではない
心から尊敬し信頼している
だけど嫁ぎたいとは夢にも思わない
美丈夫がそのまま初老に差し掛かった公爵は素敵な男性だとは思うけれど、これは、父への思慕の念に近い
嫁ぎたいとは一ミリも思わないしそんな対象にもならない
それはきっと公爵も同じだろう
今回の婚姻は政略結婚で、白い婚姻だとあらかじめ決められている
公爵との約束だ
だから嫁ぐことを決めた
決めることができた
でも今は
「私は、公爵様に嫁ぎたいとずっと思っておりました」
嘘を言わないといけない
嘘を
今までずっとアーネストに嘘をつき続けてきたように、嘘を、一番大きな嘘を、つこうとアリシアは決めた
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