1 / 28
1
しおりを挟む
王立ルミナス学園の正門。そこは私、ルミエル・ダントンにとって、ただの学び舎ではありませんでした。
目の前に広がるのは、磨き上げられた石畳と、贅を尽くした校舎。そして何より、登校してくる生徒たちが身に纏う、宝石のような輝きです。
「ああ、見えますわ……。あの方々の背後に、山積みの金貨と、一生遊んで暮らせるだけの不動産権利書の束が……!」
私は校門の影で、一人深く頷きました。
我がダントン男爵家は、名前こそ立派ですが、実情は火の車です。
昨日の夕食なんて、薄いスープと、硬くて石のようなパン一切れ。それも家族四人で分け合ったのですから、涙が出てきます。
「お父様、お母様。安心してください。私はこの学園で、必ずや『超』が付くほどの玉の輿に乗ってみせますわ!」
拳を握りしめ、私は鼻息荒く宣言しました。
私の武器は、この少しばかり整った顔立ちと、貧乏生活で培った図太い精神力。
狙うは、高位貴族の嫡男。それも、性格は二の次で、とにかく資産が潤沢な方が望ましいですわね。
そんな野望を胸に、私は意気揚々と式典会場である大講堂へと向かいました。
しかし、そこで私の目に飛び込んできたのは、期待していたキラキラした出会いではなく、一触即発の修羅場だったのです。
「エドワード様! どうしてあのような、どこの馬の骨ともしれない小娘と親しくなさっているのですか!」
高く鋭い声が、講堂の入り口付近に響き渡りました。
見れば、縦ロールの金髪を誇らしげに揺らした、一人の令嬢が立っています。
彼女の名前はセシリア・ド・ヴァルーア。この国の公爵令嬢であり、第一王子エドワード様の婚約者です。
対するエドワード王子は、眉間に深く皺を寄せ、心底うざったそうに彼女を見下ろしていました。
「セシリア、いい加減にしないか。彼女はただ、学園の案内を求めてきただけだ。君のその疑い深い性格には、正直に言って愛想が尽きている」
「なんですって……!? 私は、あなたの婚約者として当然の心配を!」
「その心配が重いと言っているんだ。少しは慎みというものを覚えたらどうだ」
王子の冷徹な言葉に、周囲にいた生徒たちがひそひそと囁き合います。
「また始まったわ。セシリア様の高飛車な態度、王子様も相当嫌気がさしているみたいね」
「このままだと、卒業を待たずに婚約破棄なんてこともあるんじゃない?」
野次馬たちの会話を聞いて、私の脳内に、激しい警報が鳴り響きました。
「(ちょっと待ちなさい……! それは困りますわ!)」
私は心の中で絶叫しました。
なぜなら、セシリア様の実家であるヴァルーア公爵家は、この国でも指折りの名門中の名門。
もし彼女が王子と円満に結婚して、そのまま公爵夫人の座を維持してくれれば、彼女は未来の社交界の女王となります。
そんな彼女と仲良くなって、「あら、ルミエルさん。あなたのような素敵な方には、私の親戚の独身大富豪を紹介してあげるわ」なんて展開を、私は密かに狙っていたのです。
しかし、もし彼女が今ここで王子に嫌われ、婚約破棄をされて実家に幽閉なんてことになったら……。
私の「有力な紹介状ルート」が、一本完全に消滅してしまいます!
「(ダメ……! 絶対にダメですわ! 私の不労所得計画に支障が出るなんて、万死に値します!)」
私はドレスの裾を翻し、修羅場の中心へと突き進みました。
「あらあら、まあまあ! なんてお美しいセシリア様でしょう!」
唐突に割り込んできた私に、セシリア様とエドワード王子、そして周囲の視線が集中します。
「な、何かしら、貴女は。今、私はエドワード様とお話ししているのよ。控えなさい」
セシリア様が、私を鋭い目付きで射抜きます。
普通の令嬢ならここで震え上がるのでしょうが、金貨の山を夢見る私にとって、この程度の視線はそよ風のようなものです。
「失礼いたしました。あまりの神々しさに、つい足が勝手に動いてしまいまして。私はルミエル・ダントンと申します」
私は最高に優雅な(そして計算高い)カーテシーを披露しました。
「ダントン……? ああ、あの地方の貧乏男爵家ね。そんな身分で、よく私に声をかけられたものだわ」
「ええ、ええ。仰る通りですわ! ですが、セシリア様のその凛とした佇まい! まさにこの学園の、いえ、この国の至宝ですわね!」
「……は? 何を言って」
呆気にとられるセシリア様を無視して、私はエドワード王子の方を向きました。
「王子殿下、失礼ながら申し上げます。セシリア様がこれほどまでに感情を露わになさるのは、偏に殿下への愛が深すぎるが故。これほど情熱的に愛される殿下は、世界一の幸せ者でございますわね!」
「……君、本気で言っているのか? これはただの嫉妬と嫌がらせだぞ」
王子が引きつった笑顔を向けますが、私は引き下がりません。
「いいえ! これは『ツン』が強すぎるあまり、表現が少しだけ、ほんの少しだけ不器用になっていらっしゃるだけですわ! ねえ、セシリア様?」
「つ、ツン……? よくわからないけれど、私がエドワード様を愛しているのは事実よ! 当然じゃない!」
セシリア様が頬を赤らめて胸を張りました。
よし、チョロい! この公爵令嬢、恐ろしいほどにチョロいですわ!
「殿下、ご覧ください。この純真無垢な反応を! セシリア様はただ、殿下に構ってほしくて甘えていらっしゃるだけなのです。さあ、ここは殿下が広い御心で、『可愛い奴だな』と頭の一つでも撫でて差し上げれば、すべて解決ですわ!」
「なっ……ななな何を言っているのよ貴女は! は、破廉恥な!」
セシリア様が茹でダコのように真っ赤になり、扇子で顔を隠しました。
王子はといえば、呆れ果てたように天を仰いでいます。
「……もういい。式典が始まる。セシリア、席に着くぞ。ダントン嬢、君の独特すぎる解釈には驚かされたが……ひとまず場を収めたことには感謝しよう」
王子はそう言い残すと、足早に去っていきました。
残されたのは、真っ赤な顔で固まっているセシリア様と、私。
「(ふふふ……。第一段階、成功ですわ)」
私は心の中で、札束を数えるような邪悪な笑みを浮かべました。
まずはセシリア様に「味方がいる」と思わせること。そして、彼女のトゲを抜き、王子との関係を破綻させない程度に矯正する。
すべては、彼女から「最高の玉の輿」を紹介してもらうお礼を引き出すため。
「セシリア様。もしよろしければ、このルミエル、お力添えをいたしますわ。殿下を虜にする『究極の淑女テクニック』を伝授いたしましょう」
「……べ、別に頼んでないわ。頼んでないけれど、貴女がそこまで言うなら、話くらいは聞いてあげてもいいわよ」
セシリア様が、チラリとこちらを見ました。
その瞳には、私に対する警戒心よりも、藁にもすがるような期待が混ざっています。
「ありがとうございます! では、放課後にお茶会を。場所は、もちろんセシリア様のお奢りでお願いいたしますわ!」
「ええ、それくらい構わないわよ」
「(やった! タダ飯ゲットですわ!)」
こうして、貧乏男爵令嬢ルミエルによる、悪役令嬢更生(プロデュース)計画が幕を開けたのです。
すべては私の、輝かしい金持ち生活のために!
目の前に広がるのは、磨き上げられた石畳と、贅を尽くした校舎。そして何より、登校してくる生徒たちが身に纏う、宝石のような輝きです。
「ああ、見えますわ……。あの方々の背後に、山積みの金貨と、一生遊んで暮らせるだけの不動産権利書の束が……!」
私は校門の影で、一人深く頷きました。
我がダントン男爵家は、名前こそ立派ですが、実情は火の車です。
昨日の夕食なんて、薄いスープと、硬くて石のようなパン一切れ。それも家族四人で分け合ったのですから、涙が出てきます。
「お父様、お母様。安心してください。私はこの学園で、必ずや『超』が付くほどの玉の輿に乗ってみせますわ!」
拳を握りしめ、私は鼻息荒く宣言しました。
私の武器は、この少しばかり整った顔立ちと、貧乏生活で培った図太い精神力。
狙うは、高位貴族の嫡男。それも、性格は二の次で、とにかく資産が潤沢な方が望ましいですわね。
そんな野望を胸に、私は意気揚々と式典会場である大講堂へと向かいました。
しかし、そこで私の目に飛び込んできたのは、期待していたキラキラした出会いではなく、一触即発の修羅場だったのです。
「エドワード様! どうしてあのような、どこの馬の骨ともしれない小娘と親しくなさっているのですか!」
高く鋭い声が、講堂の入り口付近に響き渡りました。
見れば、縦ロールの金髪を誇らしげに揺らした、一人の令嬢が立っています。
彼女の名前はセシリア・ド・ヴァルーア。この国の公爵令嬢であり、第一王子エドワード様の婚約者です。
対するエドワード王子は、眉間に深く皺を寄せ、心底うざったそうに彼女を見下ろしていました。
「セシリア、いい加減にしないか。彼女はただ、学園の案内を求めてきただけだ。君のその疑い深い性格には、正直に言って愛想が尽きている」
「なんですって……!? 私は、あなたの婚約者として当然の心配を!」
「その心配が重いと言っているんだ。少しは慎みというものを覚えたらどうだ」
王子の冷徹な言葉に、周囲にいた生徒たちがひそひそと囁き合います。
「また始まったわ。セシリア様の高飛車な態度、王子様も相当嫌気がさしているみたいね」
「このままだと、卒業を待たずに婚約破棄なんてこともあるんじゃない?」
野次馬たちの会話を聞いて、私の脳内に、激しい警報が鳴り響きました。
「(ちょっと待ちなさい……! それは困りますわ!)」
私は心の中で絶叫しました。
なぜなら、セシリア様の実家であるヴァルーア公爵家は、この国でも指折りの名門中の名門。
もし彼女が王子と円満に結婚して、そのまま公爵夫人の座を維持してくれれば、彼女は未来の社交界の女王となります。
そんな彼女と仲良くなって、「あら、ルミエルさん。あなたのような素敵な方には、私の親戚の独身大富豪を紹介してあげるわ」なんて展開を、私は密かに狙っていたのです。
しかし、もし彼女が今ここで王子に嫌われ、婚約破棄をされて実家に幽閉なんてことになったら……。
私の「有力な紹介状ルート」が、一本完全に消滅してしまいます!
「(ダメ……! 絶対にダメですわ! 私の不労所得計画に支障が出るなんて、万死に値します!)」
私はドレスの裾を翻し、修羅場の中心へと突き進みました。
「あらあら、まあまあ! なんてお美しいセシリア様でしょう!」
唐突に割り込んできた私に、セシリア様とエドワード王子、そして周囲の視線が集中します。
「な、何かしら、貴女は。今、私はエドワード様とお話ししているのよ。控えなさい」
セシリア様が、私を鋭い目付きで射抜きます。
普通の令嬢ならここで震え上がるのでしょうが、金貨の山を夢見る私にとって、この程度の視線はそよ風のようなものです。
「失礼いたしました。あまりの神々しさに、つい足が勝手に動いてしまいまして。私はルミエル・ダントンと申します」
私は最高に優雅な(そして計算高い)カーテシーを披露しました。
「ダントン……? ああ、あの地方の貧乏男爵家ね。そんな身分で、よく私に声をかけられたものだわ」
「ええ、ええ。仰る通りですわ! ですが、セシリア様のその凛とした佇まい! まさにこの学園の、いえ、この国の至宝ですわね!」
「……は? 何を言って」
呆気にとられるセシリア様を無視して、私はエドワード王子の方を向きました。
「王子殿下、失礼ながら申し上げます。セシリア様がこれほどまでに感情を露わになさるのは、偏に殿下への愛が深すぎるが故。これほど情熱的に愛される殿下は、世界一の幸せ者でございますわね!」
「……君、本気で言っているのか? これはただの嫉妬と嫌がらせだぞ」
王子が引きつった笑顔を向けますが、私は引き下がりません。
「いいえ! これは『ツン』が強すぎるあまり、表現が少しだけ、ほんの少しだけ不器用になっていらっしゃるだけですわ! ねえ、セシリア様?」
「つ、ツン……? よくわからないけれど、私がエドワード様を愛しているのは事実よ! 当然じゃない!」
セシリア様が頬を赤らめて胸を張りました。
よし、チョロい! この公爵令嬢、恐ろしいほどにチョロいですわ!
「殿下、ご覧ください。この純真無垢な反応を! セシリア様はただ、殿下に構ってほしくて甘えていらっしゃるだけなのです。さあ、ここは殿下が広い御心で、『可愛い奴だな』と頭の一つでも撫でて差し上げれば、すべて解決ですわ!」
「なっ……ななな何を言っているのよ貴女は! は、破廉恥な!」
セシリア様が茹でダコのように真っ赤になり、扇子で顔を隠しました。
王子はといえば、呆れ果てたように天を仰いでいます。
「……もういい。式典が始まる。セシリア、席に着くぞ。ダントン嬢、君の独特すぎる解釈には驚かされたが……ひとまず場を収めたことには感謝しよう」
王子はそう言い残すと、足早に去っていきました。
残されたのは、真っ赤な顔で固まっているセシリア様と、私。
「(ふふふ……。第一段階、成功ですわ)」
私は心の中で、札束を数えるような邪悪な笑みを浮かべました。
まずはセシリア様に「味方がいる」と思わせること。そして、彼女のトゲを抜き、王子との関係を破綻させない程度に矯正する。
すべては、彼女から「最高の玉の輿」を紹介してもらうお礼を引き出すため。
「セシリア様。もしよろしければ、このルミエル、お力添えをいたしますわ。殿下を虜にする『究極の淑女テクニック』を伝授いたしましょう」
「……べ、別に頼んでないわ。頼んでないけれど、貴女がそこまで言うなら、話くらいは聞いてあげてもいいわよ」
セシリア様が、チラリとこちらを見ました。
その瞳には、私に対する警戒心よりも、藁にもすがるような期待が混ざっています。
「ありがとうございます! では、放課後にお茶会を。場所は、もちろんセシリア様のお奢りでお願いいたしますわ!」
「ええ、それくらい構わないわよ」
「(やった! タダ飯ゲットですわ!)」
こうして、貧乏男爵令嬢ルミエルによる、悪役令嬢更生(プロデュース)計画が幕を開けたのです。
すべては私の、輝かしい金持ち生活のために!
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢まさかの『家出』
にとこん。
恋愛
王国の侯爵令嬢ルゥナ=フェリシェは、些細なすれ違いから突発的に家出をする。本人にとっては軽いお散歩のつもりだったが、方向音痴の彼女はそのまま隣国の帝国に迷い込み、なぜか牢獄に収監される羽目に。しかし無自覚な怪力と天然ぶりで脱獄してしまい、道に迷うたびに騒動を巻き起こす。
一方、婚約破棄を告げようとした王子レオニスは、当日にルゥナが失踪したことで騒然。王宮も侯爵家も大混乱となり、レオニス自身が捜索に出るが、恐らく最後まで彼女とは一度も出会えない。
ルゥナは道に迷っただけなのに、なぜか人助けを繰り返し、帝国の各地で英雄視されていく。そして気づけば彼女を慕う男たちが集まり始め、逆ハーレムの中心に。だが本人は一切自覚がなく、むしろ全員の好意に対して煙たがっている。
帰るつもりもなく、目的もなく、ただ好奇心のままに彷徨う“無害で最強な天然令嬢”による、帝国大騒動ギャグ恋愛コメディ、ここに開幕!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
元婚約者からの嫌がらせでわたくしと結婚させられた彼が、ざまぁしたら優しくなりました。ですが新婚時代に受けた扱いを忘れてはおりませんよ?
3333(トリささみ)
恋愛
貴族令嬢だが自他ともに認める醜女のマルフィナは、あるとき王命により結婚することになった。
相手は王女エンジェに婚約破棄をされたことで有名な、若き公爵テオバルト。
あまりにも不釣り合いなその結婚は、エンジェによるテオバルトへの嫌がらせだった。
それを知ったマルフィナはテオバルトに同情し、少しでも彼が報われるよう努力する。
だがテオバルトはそんなマルフィナを、徹底的に冷たくあしらった。
その後あるキッカケで美しくなったマルフィナによりエンジェは自滅。
その日からテオバルトは手のひらを返したように優しくなる。
だがマルフィナが新婚時代に受けた仕打ちを、忘れることはなかった。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
跡継ぎが産めなければ私は用なし!? でしたらあなたの前から消えて差し上げます。どうぞ愛妾とお幸せに。
Kouei
恋愛
私リサーリア・ウォルトマンは、父の命令でグリフォンド伯爵令息であるモートンの妻になった。
政略結婚だったけれど、お互いに思い合い、幸せに暮らしていた。
しかし結婚して1年経っても子宝に恵まれなかった事で、義父母に愛妾を薦められた夫。
「承知致しました」
夫は二つ返事で承諾した。
私を裏切らないと言ったのに、こんな簡単に受け入れるなんて…!
貴方がそのつもりなら、私は喜んで消えて差し上げますわ。
私は切岸に立って、夕日を見ながら夫に別れを告げた―――…
※この作品は、他サイトにも投稿しています。
【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る
水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。
婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。
だが――
「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」
そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。
しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。
『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』
さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。
かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。
そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。
そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。
そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。
アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。
ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。
私と義弟の安全は確保出来たので、ゆっくり恋人を探そうと思います
織り子
恋愛
18歳で処刑された大公家の令嬢、セレノア・グレイス。
目を覚ますと――あの日の6年前に戻っていた。
まだ無邪気な弟ルシアン、笑う両親。
再び訪れる“反逆の運命”を知るのは、彼女だけ。
――大公家に産まれた時点で、自由な恋愛は諦めていた。だが、本当は他の令嬢達の話を聞くたびにうらやましかった。人生1度きり。もう少し花のある人生を送りたかった。一度でいいから、恋愛をしてみたい。
限られた6年の中で、セレノアは動き出す。
愛する家族を守るため、未来を変えるために。
そして本当の願い(恋愛)を叶えるために。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる