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「――甘いね。甘すぎるよ、スカーレット」
翌日。
私の執務室は、またしてもガレリア帝国のルーカス皇太子に占拠されていました。
彼は私のデスクに勝手に腰掛け、私が徹夜で作成した『物流改革法案』をパラパラと捲りながら、鼻で笑いました。
「この『関所の通過手続きの簡略化』。なぜここで三段階の確認印を残すんだ? これではタイムロスがなくならない」
「それは……地方領主のメンツを立てるためです。彼らの権限を完全に奪えば、反発を招き、結果として物流の妨害工作が行われるリスクがありますから」
私は反論しました。
これは政治的な妥協点です。合理性だけでは動かない「人間の感情」に配慮した、苦渋の決断なのです。
しかし、ルーカス殿下はチッチッ、と指を振りました。
「だから甘いと言うんだ。僕ならこうする」
彼は懐から赤いペンを取り出し(私の愛用している赤ペンと同じメーカーです!)、書類に豪快に線を引きました。
「確認印は全廃。代わりに、領主には『通行税の一部』をマージンとして自動還元するシステムを作る」
「マージン?」
「そう。判子を押す権限ではなく、何もしなくても金が入る権利を与えるんだ。そうすれば、彼らは喜んで関所を開放するし、むしろ『もっと通れ』と旗を振るようになる」
「……!」
目から鱗が落ちました。
領主たちが守りたいのは「権威」だと思っていましたが、その本質は「利益」と「支配欲」。
ならば、利益を保証しつつ、実務(支配)からは遠ざける。
「さらに、この浮いた人件費を『魔導ゲート』の設置費用に回せば、通過時間は現在の三十分の一に短縮できる。……どうだい?」
「……完璧ですわ」
私は震える声で認めざるを得ませんでした。
「悔しいですが、貴方の案の方が、遥かに効率的で、持続可能です」
「だろう? 僕の頭の中には、帝国の膨大な成功事例(と失敗事例)のデータがある。君一人で悩むより、二人で知恵を出し合えば、もっと凄いことができると思わないかい?」
ルーカス殿下は、悪魔的な魅力を放つ笑顔で私に顔を寄せました。
「僕と結婚すれば、この『最適解』が毎日手に入るよ。……毎日だよ、スカーレット」
「毎日……」
「君の悩みは、僕の悩みだ。君の仕事は、僕の仕事だ。二人で世界を、パズルのように美しく組み直そう」
グラリ、と心が揺れました。
この人は分かっている。
私が宝石やドレスよりも、「美しい法案」や「無駄のないシステム」に興奮する女だということを。
最高のパートナー。知的な共犯者。
もし彼と手を組めば、私の理想とする国作りは、今の十倍の速度で進むでしょう。
「……スカーレット」
そこへ、沈痛な声がかかりました。
ハッとして振り返ると、ソファの隅で小さくなっているレオンハルト様の姿がありました。
彼は膝の上で拳を握りしめ、悲しげな目で私を見ていました。
「……楽しそうだな」
「えっ? あ、いえ、これは仕事の話で……」
「私には分からん」
彼はポツリと言いました。
「マージンだの、魔導ゲートだの、システムだの……。私には、君たちが何を話しているのか、その半分も理解できない」
「レオンハルト様……」
「君が目を輝かせているのは分かる。……そして、その輝きを引き出したのが、私ではなく彼だということも」
レオンハルト様は立ち上がりました。
その背中には、いつもの自信に満ちたオーラはなく、どこか寂しげな哀愁が漂っています。
「少し、頭を冷やしてくる。……邪魔をしてすまなかった」
「あ、待ってください!」
私が止める間もなく、彼は執務室を出て行ってしまいました。
「おや、拗ねちゃったね」
ルーカス殿下は肩をすくめました。
「でも仕方ないよ。知性のレベルが合う相手というのは、稀有な存在だ。彼は筋肉担当、僕は頭脳担当。君に必要なのがどちらか、明白だろう?」
「……黙りなさい」
私はルーカス殿下を睨みつけました。
「貴方の案は素晴らしいですが、デリカシーという概念を学習した方がよろしくてよ」
私はペンを置き、レオンハルト様を追いかけようとしました。
しかし、今の私に何が言えるでしょう?
「貴方の方が好きです」と言っても、「でも仕事の話が合うのはあいつだろ?」と言われたら、否定できない自分がいるのです。
***
その頃、王宮の中庭。
レオンハルトはベンチに座り込み、深いため息をついていました。
「……負けた」
剣技なら誰にも負けない。
家柄も財力も申し分ない。
だが、「スカーレットを熱狂させる会話」において、自分はルーカスに完敗している。
それが悔しくて、情けなくて、胸が張り裂けそうでした。
「あ、レオンハルト様だぁ! どうしたんですかぁ、そんな『捨てられた子犬』みたいな顔して」
能天気な声と共に、リリィがバケツを持って現れました。
掃除の休憩中のようです。
「……リリィか」
レオンハルトは力なく笑いました。
「その通りだ。捨てられるかもしれん」
「ええっ!? スカーレットお姉様にですか!?」
リリィは目を丸くして、レオンハルトの隣に座りました。
「まさかぁ。お姉様、レオンハルト様のこと大好きですよ? いっつも『彼が淹れるコーヒーが一番美味しい』とか『あの背中を見ると安心する』とか、惚気てますもん」
「……本当か?」
「本当ですよぉ! 私、何度ご馳走様って言ったことか」
「だが……私には、彼女の仕事の話についていけない」
レオンハルトは苦悩を吐露しました。
「ルーカス皇太子は、彼女と同じ言葉を話す。同じ速度で思考する。……二人が話している時、二人の間には誰も入れない完璧な世界ができているんだ。それを見ているのが、辛い」
「あー、なるほどぉ」
リリィはポンと手を打ちました。
「趣味が合う友達と盛り上がってる時に、彼氏が嫉妬しちゃうやつですね!」
「……そんな軽いものではないが、まあ似たようなものか」
「でもぉ、レオンハルト様。お姉様が求めてるのって、本当に『同じ言葉を話す人』なんですかね?」
「どういう意味だ?」
リリィは人差し指を振りました。
「だって、お姉様自身がスーパーコンピューターみたいな人じゃないですか。そこに、もう一台コンピューターが来ても、計算が早くなるだけですよね?」
「ふむ」
「でも、コンピューターだって熱暴走するし、疲れるし、たまには電源切りたい時もあると思うんです。……そういう時に必要なのって、計算ができる人じゃなくて、コンセントを抜いて『もう休め』って抱きしめてくれる人じゃないですか?」
「……!」
レオンハルトは目を見開きました。
このポンコツだと思っていた元ヒロインが、核心を突いた発言をしたことに驚愕しました。
「リリィ……君は、天才か?」
「えへへ、よく言われますぅ! 主に『サボりの天才』って!」
「いや、恋愛の天才かもしれん」
レオンハルトの目に、光が戻りました。
そうだ。
自分はルーカスになろうとしていた。スカーレットと同じ土俵で、知性を競おうとしていた。
だが、それは間違いだ。
彼女が求めているのは「第二の頭脳」ではない。「安らぎ」だ。
あの田舎の別荘で、彼女が一番幸せそうにしていたのは、難しい議論をしている時ではなく、私の作ったシチューを食べ、私の隣で眠っている時だったはずだ。
「ありがとう、リリィ。目が覚めた」
レオンハルトは立ち上がりました。
「私には私の戦い方がある。……今夜のディナーで、それを証明してやる」
「頑張ってくださいぃ! あ、お礼に購買部の限定プリン奢ってくださいね!」
「いくらでも奢ろう。ダースで買ってやる」
レオンハルトは風のように走り去りました。
目指すは厨房。
帝国皇太子の「完璧な理論」に対抗するには、最高級の「癒し」と「愛妻(予定)料理」しかない。
騎士団長エプロン・オン。
戦いの舞台は、執務室からダイニングへと移されました。
翌日。
私の執務室は、またしてもガレリア帝国のルーカス皇太子に占拠されていました。
彼は私のデスクに勝手に腰掛け、私が徹夜で作成した『物流改革法案』をパラパラと捲りながら、鼻で笑いました。
「この『関所の通過手続きの簡略化』。なぜここで三段階の確認印を残すんだ? これではタイムロスがなくならない」
「それは……地方領主のメンツを立てるためです。彼らの権限を完全に奪えば、反発を招き、結果として物流の妨害工作が行われるリスクがありますから」
私は反論しました。
これは政治的な妥協点です。合理性だけでは動かない「人間の感情」に配慮した、苦渋の決断なのです。
しかし、ルーカス殿下はチッチッ、と指を振りました。
「だから甘いと言うんだ。僕ならこうする」
彼は懐から赤いペンを取り出し(私の愛用している赤ペンと同じメーカーです!)、書類に豪快に線を引きました。
「確認印は全廃。代わりに、領主には『通行税の一部』をマージンとして自動還元するシステムを作る」
「マージン?」
「そう。判子を押す権限ではなく、何もしなくても金が入る権利を与えるんだ。そうすれば、彼らは喜んで関所を開放するし、むしろ『もっと通れ』と旗を振るようになる」
「……!」
目から鱗が落ちました。
領主たちが守りたいのは「権威」だと思っていましたが、その本質は「利益」と「支配欲」。
ならば、利益を保証しつつ、実務(支配)からは遠ざける。
「さらに、この浮いた人件費を『魔導ゲート』の設置費用に回せば、通過時間は現在の三十分の一に短縮できる。……どうだい?」
「……完璧ですわ」
私は震える声で認めざるを得ませんでした。
「悔しいですが、貴方の案の方が、遥かに効率的で、持続可能です」
「だろう? 僕の頭の中には、帝国の膨大な成功事例(と失敗事例)のデータがある。君一人で悩むより、二人で知恵を出し合えば、もっと凄いことができると思わないかい?」
ルーカス殿下は、悪魔的な魅力を放つ笑顔で私に顔を寄せました。
「僕と結婚すれば、この『最適解』が毎日手に入るよ。……毎日だよ、スカーレット」
「毎日……」
「君の悩みは、僕の悩みだ。君の仕事は、僕の仕事だ。二人で世界を、パズルのように美しく組み直そう」
グラリ、と心が揺れました。
この人は分かっている。
私が宝石やドレスよりも、「美しい法案」や「無駄のないシステム」に興奮する女だということを。
最高のパートナー。知的な共犯者。
もし彼と手を組めば、私の理想とする国作りは、今の十倍の速度で進むでしょう。
「……スカーレット」
そこへ、沈痛な声がかかりました。
ハッとして振り返ると、ソファの隅で小さくなっているレオンハルト様の姿がありました。
彼は膝の上で拳を握りしめ、悲しげな目で私を見ていました。
「……楽しそうだな」
「えっ? あ、いえ、これは仕事の話で……」
「私には分からん」
彼はポツリと言いました。
「マージンだの、魔導ゲートだの、システムだの……。私には、君たちが何を話しているのか、その半分も理解できない」
「レオンハルト様……」
「君が目を輝かせているのは分かる。……そして、その輝きを引き出したのが、私ではなく彼だということも」
レオンハルト様は立ち上がりました。
その背中には、いつもの自信に満ちたオーラはなく、どこか寂しげな哀愁が漂っています。
「少し、頭を冷やしてくる。……邪魔をしてすまなかった」
「あ、待ってください!」
私が止める間もなく、彼は執務室を出て行ってしまいました。
「おや、拗ねちゃったね」
ルーカス殿下は肩をすくめました。
「でも仕方ないよ。知性のレベルが合う相手というのは、稀有な存在だ。彼は筋肉担当、僕は頭脳担当。君に必要なのがどちらか、明白だろう?」
「……黙りなさい」
私はルーカス殿下を睨みつけました。
「貴方の案は素晴らしいですが、デリカシーという概念を学習した方がよろしくてよ」
私はペンを置き、レオンハルト様を追いかけようとしました。
しかし、今の私に何が言えるでしょう?
「貴方の方が好きです」と言っても、「でも仕事の話が合うのはあいつだろ?」と言われたら、否定できない自分がいるのです。
***
その頃、王宮の中庭。
レオンハルトはベンチに座り込み、深いため息をついていました。
「……負けた」
剣技なら誰にも負けない。
家柄も財力も申し分ない。
だが、「スカーレットを熱狂させる会話」において、自分はルーカスに完敗している。
それが悔しくて、情けなくて、胸が張り裂けそうでした。
「あ、レオンハルト様だぁ! どうしたんですかぁ、そんな『捨てられた子犬』みたいな顔して」
能天気な声と共に、リリィがバケツを持って現れました。
掃除の休憩中のようです。
「……リリィか」
レオンハルトは力なく笑いました。
「その通りだ。捨てられるかもしれん」
「ええっ!? スカーレットお姉様にですか!?」
リリィは目を丸くして、レオンハルトの隣に座りました。
「まさかぁ。お姉様、レオンハルト様のこと大好きですよ? いっつも『彼が淹れるコーヒーが一番美味しい』とか『あの背中を見ると安心する』とか、惚気てますもん」
「……本当か?」
「本当ですよぉ! 私、何度ご馳走様って言ったことか」
「だが……私には、彼女の仕事の話についていけない」
レオンハルトは苦悩を吐露しました。
「ルーカス皇太子は、彼女と同じ言葉を話す。同じ速度で思考する。……二人が話している時、二人の間には誰も入れない完璧な世界ができているんだ。それを見ているのが、辛い」
「あー、なるほどぉ」
リリィはポンと手を打ちました。
「趣味が合う友達と盛り上がってる時に、彼氏が嫉妬しちゃうやつですね!」
「……そんな軽いものではないが、まあ似たようなものか」
「でもぉ、レオンハルト様。お姉様が求めてるのって、本当に『同じ言葉を話す人』なんですかね?」
「どういう意味だ?」
リリィは人差し指を振りました。
「だって、お姉様自身がスーパーコンピューターみたいな人じゃないですか。そこに、もう一台コンピューターが来ても、計算が早くなるだけですよね?」
「ふむ」
「でも、コンピューターだって熱暴走するし、疲れるし、たまには電源切りたい時もあると思うんです。……そういう時に必要なのって、計算ができる人じゃなくて、コンセントを抜いて『もう休め』って抱きしめてくれる人じゃないですか?」
「……!」
レオンハルトは目を見開きました。
このポンコツだと思っていた元ヒロインが、核心を突いた発言をしたことに驚愕しました。
「リリィ……君は、天才か?」
「えへへ、よく言われますぅ! 主に『サボりの天才』って!」
「いや、恋愛の天才かもしれん」
レオンハルトの目に、光が戻りました。
そうだ。
自分はルーカスになろうとしていた。スカーレットと同じ土俵で、知性を競おうとしていた。
だが、それは間違いだ。
彼女が求めているのは「第二の頭脳」ではない。「安らぎ」だ。
あの田舎の別荘で、彼女が一番幸せそうにしていたのは、難しい議論をしている時ではなく、私の作ったシチューを食べ、私の隣で眠っている時だったはずだ。
「ありがとう、リリィ。目が覚めた」
レオンハルトは立ち上がりました。
「私には私の戦い方がある。……今夜のディナーで、それを証明してやる」
「頑張ってくださいぃ! あ、お礼に購買部の限定プリン奢ってくださいね!」
「いくらでも奢ろう。ダースで買ってやる」
レオンハルトは風のように走り去りました。
目指すは厨房。
帝国皇太子の「完璧な理論」に対抗するには、最高級の「癒し」と「愛妻(予定)料理」しかない。
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