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「――母上。提言があります」
平和な休日の朝。
アイゼン公爵邸のサンルームで、私が優雅に紅茶を楽しんでいると、視界の低い位置から凛とした声がかかりました。
見下ろすと、そこには私と同じ銀髪(レオンハルト様似)と、私と同じ切れ長の紫の瞳(私似)を持つ、五歳の少女が立っていました。
我が娘、エレナです。
彼女は背中に手を組み、五歳児とは思えない厳しい表情で私を見上げています。
「何かしら、エレナ。朝の挨拶より先に提言とは、随分と合理的ですね」
「時間は有限ですから」
エレナは懐から、一枚の紙(クレヨン書き)を取り出しました。
「本日のおやつの配分について、再考を求めます。現在、兄様と私でクッキーが均等に配分されていますが、これは不公平です」
「なぜ? 平等でしょう?」
「いいえ。兄様は食べるのが早く、味わうことをしません。対して私は、一口につき三十回噛み、風味を分析しながら食します。……つまり、兄様の消費スピードに合わせると、私の精神的満足度が著しく損なわれるのです」
娘は小さな指でグラフのような図形を指し示しました。
「よって、兄様の分を二割削減し、その分を『味わって食べる私の分』に上乗せすることが、おやつ全体の価値を最大化する『全体最適』であると考えます」
「……」
私はこめかみを押さえました。
誰に似たのか。いえ、考えるまでもありません。
この「屁理屈」……もとい「論理構築能力」は、間違いなく私の遺伝子です。
「却下します、エレナ」
私は冷徹に告げました。
「貴女の理論には欠陥があります。兄様の分を減らせば、彼は『空腹』というストレスを感じ、結果として貴女のおやつを武力で強奪するリスクが高まります。それは貴女のリスク管理不足です」
「むぅ……。確かに、あの筋肉ゴリラの暴走リスクは計算に入れていませんでした」
「誰が筋肉ゴリラだ」
そこへ、庭から豪快な笑い声と共に、もう一人の怪獣が飛び込んできました。
「母上ー! 見てくれ! 新しい必殺技だ!」
泥だらけの服、擦りむいた膝、そして輝くような笑顔。
我が息子、アレクです。
彼は私の赤髪(私似)を持ちながら、中身は完全に父親譲りの「体育会系」でした。
「とぉぉぉっ!」
アレクはいきなり、ソファでくつろいでいたレオンハルト様に向かってダイブしました。
「むんっ」
レオンハルト様は新聞を読みながら、片手で息子のタックルを受け止めました。
「甘いぞ、アレク。腰が入っていない」
「くそーっ! 父上、強すぎるぞ! ドラゴンより硬い!」
「ドラゴンと戦ったことはないだろう。……ほら、母上の前で暴れるな。埃が立つ」
レオンハルト様は息子を軽々と持ち上げ、高い高いをしてやりました。
「キャッホー! 高いぞー!」
「ふふ、元気だな」
レオンハルト様はデレデレの笑顔です。
「スカーレット、見たか? あいつ、昨日より体幹が強くなっている。将来は間違いなく騎士団長だ」
「ええ。そしてエレナは間違いなく法務大臣か詐欺師ですわね」
私はため息をつきました。
「どうしてこう、極端に分かれたのかしら。足して二で割れば、もう少し育てやすい『普通の子』になったでしょうに」
「だが、私にとってはどちらも愛おしい。……君の知性を受け継いだ娘と、私の体力を受け継いだ息子。最強の双子じゃないか」
「まあ、否定はしませんけれど」
そこへ、エレナが再び攻撃を仕掛けてきました。
「母上。交渉が決裂した以上、私は『ストライキ』権を行使します」
「ストライキ?」
「はい。おやつが増えるまで、私は父上の膝の上から動きません。父上の新聞を読む権利を阻害します」
エレナはトテトテと歩き、レオンハルト様のもう片方の膝にのぼりました。
「おおっ、エレナ! 父さんに甘えてくれるのか!」
レオンハルト様は歓喜しました。
「違います。これは人質作戦です。父上のデレデレ顔を利用して、母上の譲歩を引き出す高度な戦術です」
「……利用されていると分かっていても嬉しいぞ!」
レオンハルト様は娘を抱きしめ、頬擦りをしました。
「父上、髭が痛いです。訴訟を検討します」
「か、辛辣だなぁ……」
一方、アレクも負けていません。
「ずるいぞエレナ! 俺も父上の膝がいい!」
「やめなさいアレク、定員オーバーです。重量過多で父上の腰が崩壊します」
「関係ねぇ! 突撃ぃぃ!」
「ぐわぁっ! ふ、二人同時は……さすがに……重い……幸せだが……重い……!」
最強の騎士団長が、五歳児二人の波状攻撃(物理と精神)に沈んでいきます。
私は優雅にカップを置きました。
「……降伏なさい、レオンハルト様」
「す、スカーレット……助太刀を……」
「無理です。私まで巻き込まれたら、服が汚れますし、耳が痛くなります」
私はベルを鳴らしました。
チリン、チリン。
すぐに、ドアが開きました。
「はーい、お呼びでしょうかぁ? スカーレットお姉様、旦那様!」
現れたのは、今やメイド長として屋敷を取り仕切るリリィでした。
その手には、湯気の立つ焼き立てのアップルパイが乗ったワゴンがあります。
「おやつの時間ですよぉ! 今日は特製、ハチミツたっぷりのパイですぅ!」
ピタリ。
双子の動きが止まりました。
「「アップルパイ!」」
二人の目が輝きました。
「交渉成立です。ストライキを解除します」
エレナが素早く父の膝から降りました。
「うぉぉ! 一番乗りだぁ!」
アレクもロケットのようにワゴンへ走ります。
「こらこら、喧嘩しないのぉ。ちゃんと半分こですよぉ」
リリィは慣れた手つきで二人を座らせ、パイを取り分けました。
「リリィ……。君が神に見えるよ」
レオンハルト様が、もみくちゃにされた服を直しながら、疲労困憊の体で呟きました。
「あはは、旦那様も甘いですねぇ。子供は『アメとムチ』じゃなくて、『アメとアメ』で釣るのが一番早いんですよぉ」
かつてポンコツヒロインだったリリィも、今や立派な「猛獣使い(保育士)」です。
「……平和ね」
私は騒がしいリビングを見渡しました。
書類の山と格闘していた日々も、王太子と戦った日々も充実していましたが、この「制御不能な日常」も悪くありません。
「スカーレット」
レオンハルト様が、私の隣に座り直しました。
「ん?」
「ありがとう」
彼は私の手を握りました。
「こんなに騒がしくて、愛おしい家族をくれて」
「……お礼を言うのは早いですわ」
私は苦笑しました。
「これから彼らが成長すれば、もっと大変なことになります。アレクは壁を破壊するでしょうし、エレナは学校の先生を論破して呼び出しを食らうでしょう」
「……ありそうで怖いな」
「その時、謝りに行くのは貴方の役目ですよ、パパ?」
「えっ、私が? 君の交渉術の方が……」
「私は家で『お説教』の準備をして待ち構えていますから」
私が意地悪く言うと、レオンハルト様は「勘弁してくれ」と笑いました。
窓の外には、どこまでも広がる青空。
私の「計画」にはなかったけれど、最高に「効率的」な幸せの形が、ここにありました。
(さて……)
私は懐中時計を見ました。
「そろそろ、お昼寝の時間ですね」
「ああ。子供たちも満腹になれば眠るだろう」
「いえ、私が寝るのです。……レオンハルト様、貴方は子供たちの相手をお願いしますね?」
「ええっ!?」
「効率的休息です。おやすみなさい」
私はウィンクをして、ソファにごろりと横になりました。
「……やれやれ。勝てないな、我が家の女王様には」
レオンハルト様の幸せそうな溜息をBGMに、私はまどろみの中へと落ちていきました。
平和な休日の朝。
アイゼン公爵邸のサンルームで、私が優雅に紅茶を楽しんでいると、視界の低い位置から凛とした声がかかりました。
見下ろすと、そこには私と同じ銀髪(レオンハルト様似)と、私と同じ切れ長の紫の瞳(私似)を持つ、五歳の少女が立っていました。
我が娘、エレナです。
彼女は背中に手を組み、五歳児とは思えない厳しい表情で私を見上げています。
「何かしら、エレナ。朝の挨拶より先に提言とは、随分と合理的ですね」
「時間は有限ですから」
エレナは懐から、一枚の紙(クレヨン書き)を取り出しました。
「本日のおやつの配分について、再考を求めます。現在、兄様と私でクッキーが均等に配分されていますが、これは不公平です」
「なぜ? 平等でしょう?」
「いいえ。兄様は食べるのが早く、味わうことをしません。対して私は、一口につき三十回噛み、風味を分析しながら食します。……つまり、兄様の消費スピードに合わせると、私の精神的満足度が著しく損なわれるのです」
娘は小さな指でグラフのような図形を指し示しました。
「よって、兄様の分を二割削減し、その分を『味わって食べる私の分』に上乗せすることが、おやつ全体の価値を最大化する『全体最適』であると考えます」
「……」
私はこめかみを押さえました。
誰に似たのか。いえ、考えるまでもありません。
この「屁理屈」……もとい「論理構築能力」は、間違いなく私の遺伝子です。
「却下します、エレナ」
私は冷徹に告げました。
「貴女の理論には欠陥があります。兄様の分を減らせば、彼は『空腹』というストレスを感じ、結果として貴女のおやつを武力で強奪するリスクが高まります。それは貴女のリスク管理不足です」
「むぅ……。確かに、あの筋肉ゴリラの暴走リスクは計算に入れていませんでした」
「誰が筋肉ゴリラだ」
そこへ、庭から豪快な笑い声と共に、もう一人の怪獣が飛び込んできました。
「母上ー! 見てくれ! 新しい必殺技だ!」
泥だらけの服、擦りむいた膝、そして輝くような笑顔。
我が息子、アレクです。
彼は私の赤髪(私似)を持ちながら、中身は完全に父親譲りの「体育会系」でした。
「とぉぉぉっ!」
アレクはいきなり、ソファでくつろいでいたレオンハルト様に向かってダイブしました。
「むんっ」
レオンハルト様は新聞を読みながら、片手で息子のタックルを受け止めました。
「甘いぞ、アレク。腰が入っていない」
「くそーっ! 父上、強すぎるぞ! ドラゴンより硬い!」
「ドラゴンと戦ったことはないだろう。……ほら、母上の前で暴れるな。埃が立つ」
レオンハルト様は息子を軽々と持ち上げ、高い高いをしてやりました。
「キャッホー! 高いぞー!」
「ふふ、元気だな」
レオンハルト様はデレデレの笑顔です。
「スカーレット、見たか? あいつ、昨日より体幹が強くなっている。将来は間違いなく騎士団長だ」
「ええ。そしてエレナは間違いなく法務大臣か詐欺師ですわね」
私はため息をつきました。
「どうしてこう、極端に分かれたのかしら。足して二で割れば、もう少し育てやすい『普通の子』になったでしょうに」
「だが、私にとってはどちらも愛おしい。……君の知性を受け継いだ娘と、私の体力を受け継いだ息子。最強の双子じゃないか」
「まあ、否定はしませんけれど」
そこへ、エレナが再び攻撃を仕掛けてきました。
「母上。交渉が決裂した以上、私は『ストライキ』権を行使します」
「ストライキ?」
「はい。おやつが増えるまで、私は父上の膝の上から動きません。父上の新聞を読む権利を阻害します」
エレナはトテトテと歩き、レオンハルト様のもう片方の膝にのぼりました。
「おおっ、エレナ! 父さんに甘えてくれるのか!」
レオンハルト様は歓喜しました。
「違います。これは人質作戦です。父上のデレデレ顔を利用して、母上の譲歩を引き出す高度な戦術です」
「……利用されていると分かっていても嬉しいぞ!」
レオンハルト様は娘を抱きしめ、頬擦りをしました。
「父上、髭が痛いです。訴訟を検討します」
「か、辛辣だなぁ……」
一方、アレクも負けていません。
「ずるいぞエレナ! 俺も父上の膝がいい!」
「やめなさいアレク、定員オーバーです。重量過多で父上の腰が崩壊します」
「関係ねぇ! 突撃ぃぃ!」
「ぐわぁっ! ふ、二人同時は……さすがに……重い……幸せだが……重い……!」
最強の騎士団長が、五歳児二人の波状攻撃(物理と精神)に沈んでいきます。
私は優雅にカップを置きました。
「……降伏なさい、レオンハルト様」
「す、スカーレット……助太刀を……」
「無理です。私まで巻き込まれたら、服が汚れますし、耳が痛くなります」
私はベルを鳴らしました。
チリン、チリン。
すぐに、ドアが開きました。
「はーい、お呼びでしょうかぁ? スカーレットお姉様、旦那様!」
現れたのは、今やメイド長として屋敷を取り仕切るリリィでした。
その手には、湯気の立つ焼き立てのアップルパイが乗ったワゴンがあります。
「おやつの時間ですよぉ! 今日は特製、ハチミツたっぷりのパイですぅ!」
ピタリ。
双子の動きが止まりました。
「「アップルパイ!」」
二人の目が輝きました。
「交渉成立です。ストライキを解除します」
エレナが素早く父の膝から降りました。
「うぉぉ! 一番乗りだぁ!」
アレクもロケットのようにワゴンへ走ります。
「こらこら、喧嘩しないのぉ。ちゃんと半分こですよぉ」
リリィは慣れた手つきで二人を座らせ、パイを取り分けました。
「リリィ……。君が神に見えるよ」
レオンハルト様が、もみくちゃにされた服を直しながら、疲労困憊の体で呟きました。
「あはは、旦那様も甘いですねぇ。子供は『アメとムチ』じゃなくて、『アメとアメ』で釣るのが一番早いんですよぉ」
かつてポンコツヒロインだったリリィも、今や立派な「猛獣使い(保育士)」です。
「……平和ね」
私は騒がしいリビングを見渡しました。
書類の山と格闘していた日々も、王太子と戦った日々も充実していましたが、この「制御不能な日常」も悪くありません。
「スカーレット」
レオンハルト様が、私の隣に座り直しました。
「ん?」
「ありがとう」
彼は私の手を握りました。
「こんなに騒がしくて、愛おしい家族をくれて」
「……お礼を言うのは早いですわ」
私は苦笑しました。
「これから彼らが成長すれば、もっと大変なことになります。アレクは壁を破壊するでしょうし、エレナは学校の先生を論破して呼び出しを食らうでしょう」
「……ありそうで怖いな」
「その時、謝りに行くのは貴方の役目ですよ、パパ?」
「えっ、私が? 君の交渉術の方が……」
「私は家で『お説教』の準備をして待ち構えていますから」
私が意地悪く言うと、レオンハルト様は「勘弁してくれ」と笑いました。
窓の外には、どこまでも広がる青空。
私の「計画」にはなかったけれど、最高に「効率的」な幸せの形が、ここにありました。
(さて……)
私は懐中時計を見ました。
「そろそろ、お昼寝の時間ですね」
「ああ。子供たちも満腹になれば眠るだろう」
「いえ、私が寝るのです。……レオンハルト様、貴方は子供たちの相手をお願いしますね?」
「ええっ!?」
「効率的休息です。おやすみなさい」
私はウィンクをして、ソファにごろりと横になりました。
「……やれやれ。勝てないな、我が家の女王様には」
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