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王都まであと一日の距離にある宿場町、エルン。
私たちは、この町で最も堅牢だと言われる宿『石壁の守り亭』に転がり込んだ。
「……ハンス。窓の隙間に目張りを。あと、換気口には細かい網を張って。微細なピンク色の粉末さえ通さないようにするのよ」
私は部屋に入るなり、震える声で指示を出した。
「お嬢様、もう勘弁してくださいだ。網を張っても、あのお方は壁を抜けてきそうですぞ……」
ハンスが半べそをかきながら、慣れた手つきで部屋を要塞化していく。
私は部屋の中央に置かれたベッドの脚をガタガタと揺らし、隠しスイッチがないか確認した。
「……ふふ。ターリア様、そんなところまで。抜かりありませんね」
アルベルト様が、感心したように入り口に立っている。
「アルベルト様……。笑い事じゃないわ。さっき、町の入り口で見たでしょう? あの不吉な光景を!」
「不吉な、ですか? ……ああ、あのお祭りのことですね」
宿場町は今、年に一度の『桃色の花祭り』の最中だった。
町中の家々にピンク色の花が飾られ、人々はピンク色の服を着て、楽しげに歌い踊っている。
(……そんなの、私にとっては『血の祝祭』にしか見えないわよ!)
「あんなに大量のピンク色に囲まれて、よく平気でいられるわね! あれはきっと、彼女の勢力圏がここまで拡大したっていう宣言よ!」
「……なるほど。深読みしすぎだと思っていましたが、確かに。祭りに紛れて刺客を送り込むのは、暗殺の常套手段です。ターリア様は、あの浮かれた空気の裏側に潜む殺意を見抜いておられる……」
アルベルト様は真剣な顔で顎に手を当てた。
「よし、今夜の食事はすべて私が毒味しましょう。水も、私が井戸から直接汲んできたもの以外は口にしないでください」
「……ありがとう、アルベルト様。あなたが毒味してくれるなら、少しは安心できるわ。でも、イチゴが入っていたら即座に捨ててね。イチゴは彼女の『盗聴器』かもしれないから」
「……イチゴが盗聴器。魔法的な触媒というわけですか。勉強になります」
アルベルト様は、私の妄想じみた発言をすべて「高度な軍事知識」としてノートにメモし始めた。
やめて。後で読み返した時に恥ずかしくなるのは私なのよ。
しばらくして、宿の主人が夕食を運んできた。
「はい、お待ちどうさま! 今夜は祭り特別メニュー、『ピンクソースの煮込み料理』だよ!」
「……ぎゃああああああああああ!!」
私は、運ばれてきた皿を見て絶叫した。
「お、お嬢様!? どうしました、ただのビーツのソースですよ!」
「出せ! 今すぐその毒物を部屋から出せぇええ!!」
私は椅子から飛び上がり、部屋の隅へと逃げ込んだ。
「主人、下がれ! この料理は私が検品する!」
アルベルト様が鋭い声で主を追い出し、剣の先でソースを少し掬って口に運んだ。
「……む。……これは……」
「……ど、毒なの? フローラ様の髪の毛の成分でも検出されたの!?」
「……いえ、非常に美味です。……ですが、確かにターリア様の仰る通り、この鮮やかすぎる色は精神的なプレッシャーを与えますね。戦意を削ぐための心理戦……恐ろしい相手だ」
ただの郷土料理です、アルベルト様。
結局、私は何も喉を通らず、ハンスが持っていた非常食の干し肉を齧ることにした。
夜が更け、町からは祭りの太鼓の音がドンドンと響いてくる。
その音が、私にはフローラ様が大地を蹴ってこちらに向かってくる足音にしか聞こえない。
「……ねえ、アルベルト様。隣の部屋にいてくれる? 壁一枚隔てているだけでも不安なの」
「……。ターリア様、もしよろしければ……私がこの部屋の椅子で、一晩中貴女を見守りましょうか?」
アルベルト様が、少し顔を赤らめて提案してくれた。
「本当!? いいの!? 助かるわ! もし私が寝ている間に彼女が天井から降ってきたら、すぐに私の身代わりになってね!」
「……身代わり? ええ、喜んで。貴女の盾になれるなら本望です」
アルベルト様は嬉しそうに頷き、部屋の入り口に近い椅子に腰掛けた。
私はようやく人心地ついて、ベッドに潜り込んだ。
……数時間後。
祭りの喧騒も止み、静まり返った深夜。
カサリ、と。
枕元で、何かが擦れる音がした。
「……ッ!?」
私は飛び起きた。
「アルベルト様! 今、音がしたわ! 枕の下よ!」
「なんですって!?」
アルベルト様が即座に駆け寄り、私の枕をひっくり返した。
そこには――。
一通の、ピンク色の封筒が置かれていた。
「……ヒッ、ヒギィ……ッ!!」
「……馬鹿な。私は一歩も部屋から出ていないし、誰も入ってきていないはずだ……!」
アルベルト様が戦慄しながら、その手紙を手に取った。
宛名は、流麗な文字で『親愛なるお姉様へ』と書かれている。
アルベルト様が、震える手で封を切った。
中には、小さな押し花と、たった一行のメッセージが。
『今夜のお料理、お口に合いませんでしたか? 次は、私が直接作って差し上げますわね♡』
「……あ、あ、あああああ……」
私は、その場で泡を吹いて倒れそうになった。
「……この宿の主人か? それとも、壁を通り抜ける術者がいるのか……? くっ、敵は想像以上にこちらの動向を把握している!」
アルベルト様が部屋の窓を乱暴に開け、外を睨みつけた。
そこには、月明かりの下。
屋根の上を、まるで猫のような身軽さで飛び跳ねながら、遠ざかっていく「ピンク色の影」が一瞬だけ見えた。
「……逃がさん!!」
アルベルト様が窓から飛び出そうとしたが、私は必死で彼の腰にしがみついた。
「行かないで! 一人にしないで! 追ったら負けよ! あの子、誘い込んで私を孤立させるつもりなのよぉお!」
「……はっ! そうか、分断作戦か! 危ないところでした、ターリア様!」
アルベルト様は私を抱き寄せ、部屋の扉に幾重もの鍵をかけ直した。
「……大丈夫です。私はどこへも行きません。たとえ世界がピンク色に染まろうとも、私だけは貴女の味方だ」
「……うう。ありがとう、アルベルト様……。でも、もうその『ピンク色』っていう単語も禁止にして……」
私たちは、夜明けまで一睡もできずに、互いの体温を確かめ合いながら(主に私が恐怖で震えながら)過ごした。
王都クローデル。
そこには、どんな魔物も寄せ付けない強力な『聖域の塔』があるという。
今の私にとって、そこは唯一の、そして最後の希望の地だった。
私たちは、この町で最も堅牢だと言われる宿『石壁の守り亭』に転がり込んだ。
「……ハンス。窓の隙間に目張りを。あと、換気口には細かい網を張って。微細なピンク色の粉末さえ通さないようにするのよ」
私は部屋に入るなり、震える声で指示を出した。
「お嬢様、もう勘弁してくださいだ。網を張っても、あのお方は壁を抜けてきそうですぞ……」
ハンスが半べそをかきながら、慣れた手つきで部屋を要塞化していく。
私は部屋の中央に置かれたベッドの脚をガタガタと揺らし、隠しスイッチがないか確認した。
「……ふふ。ターリア様、そんなところまで。抜かりありませんね」
アルベルト様が、感心したように入り口に立っている。
「アルベルト様……。笑い事じゃないわ。さっき、町の入り口で見たでしょう? あの不吉な光景を!」
「不吉な、ですか? ……ああ、あのお祭りのことですね」
宿場町は今、年に一度の『桃色の花祭り』の最中だった。
町中の家々にピンク色の花が飾られ、人々はピンク色の服を着て、楽しげに歌い踊っている。
(……そんなの、私にとっては『血の祝祭』にしか見えないわよ!)
「あんなに大量のピンク色に囲まれて、よく平気でいられるわね! あれはきっと、彼女の勢力圏がここまで拡大したっていう宣言よ!」
「……なるほど。深読みしすぎだと思っていましたが、確かに。祭りに紛れて刺客を送り込むのは、暗殺の常套手段です。ターリア様は、あの浮かれた空気の裏側に潜む殺意を見抜いておられる……」
アルベルト様は真剣な顔で顎に手を当てた。
「よし、今夜の食事はすべて私が毒味しましょう。水も、私が井戸から直接汲んできたもの以外は口にしないでください」
「……ありがとう、アルベルト様。あなたが毒味してくれるなら、少しは安心できるわ。でも、イチゴが入っていたら即座に捨ててね。イチゴは彼女の『盗聴器』かもしれないから」
「……イチゴが盗聴器。魔法的な触媒というわけですか。勉強になります」
アルベルト様は、私の妄想じみた発言をすべて「高度な軍事知識」としてノートにメモし始めた。
やめて。後で読み返した時に恥ずかしくなるのは私なのよ。
しばらくして、宿の主人が夕食を運んできた。
「はい、お待ちどうさま! 今夜は祭り特別メニュー、『ピンクソースの煮込み料理』だよ!」
「……ぎゃああああああああああ!!」
私は、運ばれてきた皿を見て絶叫した。
「お、お嬢様!? どうしました、ただのビーツのソースですよ!」
「出せ! 今すぐその毒物を部屋から出せぇええ!!」
私は椅子から飛び上がり、部屋の隅へと逃げ込んだ。
「主人、下がれ! この料理は私が検品する!」
アルベルト様が鋭い声で主を追い出し、剣の先でソースを少し掬って口に運んだ。
「……む。……これは……」
「……ど、毒なの? フローラ様の髪の毛の成分でも検出されたの!?」
「……いえ、非常に美味です。……ですが、確かにターリア様の仰る通り、この鮮やかすぎる色は精神的なプレッシャーを与えますね。戦意を削ぐための心理戦……恐ろしい相手だ」
ただの郷土料理です、アルベルト様。
結局、私は何も喉を通らず、ハンスが持っていた非常食の干し肉を齧ることにした。
夜が更け、町からは祭りの太鼓の音がドンドンと響いてくる。
その音が、私にはフローラ様が大地を蹴ってこちらに向かってくる足音にしか聞こえない。
「……ねえ、アルベルト様。隣の部屋にいてくれる? 壁一枚隔てているだけでも不安なの」
「……。ターリア様、もしよろしければ……私がこの部屋の椅子で、一晩中貴女を見守りましょうか?」
アルベルト様が、少し顔を赤らめて提案してくれた。
「本当!? いいの!? 助かるわ! もし私が寝ている間に彼女が天井から降ってきたら、すぐに私の身代わりになってね!」
「……身代わり? ええ、喜んで。貴女の盾になれるなら本望です」
アルベルト様は嬉しそうに頷き、部屋の入り口に近い椅子に腰掛けた。
私はようやく人心地ついて、ベッドに潜り込んだ。
……数時間後。
祭りの喧騒も止み、静まり返った深夜。
カサリ、と。
枕元で、何かが擦れる音がした。
「……ッ!?」
私は飛び起きた。
「アルベルト様! 今、音がしたわ! 枕の下よ!」
「なんですって!?」
アルベルト様が即座に駆け寄り、私の枕をひっくり返した。
そこには――。
一通の、ピンク色の封筒が置かれていた。
「……ヒッ、ヒギィ……ッ!!」
「……馬鹿な。私は一歩も部屋から出ていないし、誰も入ってきていないはずだ……!」
アルベルト様が戦慄しながら、その手紙を手に取った。
宛名は、流麗な文字で『親愛なるお姉様へ』と書かれている。
アルベルト様が、震える手で封を切った。
中には、小さな押し花と、たった一行のメッセージが。
『今夜のお料理、お口に合いませんでしたか? 次は、私が直接作って差し上げますわね♡』
「……あ、あ、あああああ……」
私は、その場で泡を吹いて倒れそうになった。
「……この宿の主人か? それとも、壁を通り抜ける術者がいるのか……? くっ、敵は想像以上にこちらの動向を把握している!」
アルベルト様が部屋の窓を乱暴に開け、外を睨みつけた。
そこには、月明かりの下。
屋根の上を、まるで猫のような身軽さで飛び跳ねながら、遠ざかっていく「ピンク色の影」が一瞬だけ見えた。
「……逃がさん!!」
アルベルト様が窓から飛び出そうとしたが、私は必死で彼の腰にしがみついた。
「行かないで! 一人にしないで! 追ったら負けよ! あの子、誘い込んで私を孤立させるつもりなのよぉお!」
「……はっ! そうか、分断作戦か! 危ないところでした、ターリア様!」
アルベルト様は私を抱き寄せ、部屋の扉に幾重もの鍵をかけ直した。
「……大丈夫です。私はどこへも行きません。たとえ世界がピンク色に染まろうとも、私だけは貴女の味方だ」
「……うう。ありがとう、アルベルト様……。でも、もうその『ピンク色』っていう単語も禁止にして……」
私たちは、夜明けまで一睡もできずに、互いの体温を確かめ合いながら(主に私が恐怖で震えながら)過ごした。
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