20 / 28
20
しおりを挟む
「……アムリー。一つ聞いていいかな?」
揺れる馬車の中で、ギルバートが頬杖をつきながら尋ねた。
「はい、何でしょう旦那様。予算の追加申請ですか?」
「違う。……なぜ、私たちのハネムーンの行き先が、リゾート地ではなく『北の僻地』なんだ?」
ギルバートの視線の先には、窓の外に広がる荒涼とした雪景色があった。
本来なら、南の島でトロピカルジュースを飲むはずだった。
しかし今、二人が向かっているのは、ライオット公爵領の中でも最も北にある『極寒の温泉郷・ユキグニ』である。
アムリーは手元の地図を広げ、眼鏡を光らせた。
「理由は三つあります。第一に、南の島は観光客が多く、静養に適さない(プライバシーリスク)。第二に、日焼けによる肌へのダメージ(メンテナンスコスト増)。そして第三に……」
アムリーは地図上の赤い丸を指差した。
「この温泉郷、赤字なんです」
「……は?」
「ライオット家が所有する保養地でありながら、年々客足が遠のき、維持費ばかりが嵩んでいます。このままでは不良債権化します。よって、新婚旅行のついでに経営再建を行います」
アムリーは拳を握りしめた。
「『ついで』が逆じゃないか?」
ギルバートが呆れる。
「君と二人きりで、甘い時間を過ごしたかったんだが……」
「ご安心ください。夜のスケジュールは確保してあります。昼間は働き、夜は愛を育む。これぞワーク・ライフ・バランスです」
「……君のバランス感覚は、少し独特だな」
◇
数時間後。
二人は『秘湯の宿・白銀』に到着した。
「い、いらっしゃいませぇ……」
出迎えたのは、やる気のなさそうな支配人と、寒さで震えている数名の従業員だけだった。
建物は立派だが、あちこちが傷んでおり、廊下は薄暗い。
「……酷いですね」
アムリーは第一声で切り捨てた。
「玄関の掃除が行き届いていません。埃の堆積量から見て、三日は放置されています。それに、あの枯れた観葉植物。あれを置くことで『寂れ感』を演出する高度な戦略ですか?」
「あ、いや、その……人手が足りなくて……」
支配人がモゴモゴと言い訳をする。
アムリーはスタスタとフロントの中に入り込み、宿帳をチェックした。
「稼働率一五%。……終わってますね。これでよく倒産しませんね」
「アムリー、一応、新婚旅行だ。お手柔らかに……」
ギルバートが苦笑するが、アムリーの目は本気(マジ)だった。
「旦那様、これは私有財産の毀損です。見過ごせません」
彼女は支配人を睨みつけた。
「今から私がこの宿のコンサルティングを行います。拒否権はありません。……三日で黒字化の目処を立てますよ!」
「ひぃっ! は、はいぃ!」
◇
アムリーの改革は、その日の午後から始まった。
「まず、ターゲット層がブレています! 『静かな大人の隠れ家』を謳いながら、なぜロビーに子供向けのガチャガチャが置いてあるのですか? 即撤去!」
「食事メニューの改善! 高級食材を使えばいいというものではありません。ここの名物は『雪解け水で育った野菜』と『川魚』です。原価の高い海の魚をわざわざ取り寄せるのをやめて、地産地消で利益率を上げなさい!」
「そして、この温泉!」
アムリーは露天風呂の前に立ち、湯気を吸い込んだ。
「硫黄の匂いが強すぎます。換気設備の増設と、入りやすい温度管理の徹底。さらに『美肌効果』を数値化して看板に掲示してください。女性客は『なんとなく良い』ではなく『水分量二〇%アップ』という数字に弱いです!」
従業員たちは、アムリーの指示に従って走り回った。
最初は嫌々だった彼らも、アムリーが自ら雑巾を持って掃除を始め、的確な指示で客(サクラとして雇ったギルバートの護衛たち)が喜ぶ姿を見て、目の色が変わっていった。
「す、すげぇ……。奥様の言う通りに家具を配置変えしただけで、ロビーが広く見える……」
「料理も、地元の野菜だけなのに『田舎風御膳』って名前にしたら、凄く豪華に見えるぞ!」
宿が生き返っていく。
その様子を、ギルバートはロビーのソファで紅茶を飲みながら眺めていた。
「……私の妻は、働き者だな」
少し寂しいが、生き生きとしているアムリーを見るのは悪くない。
そう思っていた時。
「旦那様、お待たせしました」
作務衣(さむえ)に着替えたアムリーがやってきた。
髪をアップにし、うなじが見えている。
「業務は終了です。これより『プライベートタイム』に移行します」
「おお! やっとか!」
ギルバートが立ち上がる。
「では、約束通り……」
「はい。混浴露天風呂の視察……いえ、入浴に行きましょう」
◇
雪見の露天風呂。
湯気が立ち上る中、二人はお湯に浸かっていた。
「……極楽だな」
ギルバートが空を見上げる。
「ああ、こうして二人きりで湯に浸かるなんて、夢のようだ」
彼はアムリーの方へ滲り寄った。
お湯に濡れたアムリーの肌は、雪のように白く、そして桜色に染まっている。
「アムリー……」
「……成分分析完了」
アムリーが小瓶にお湯を採取しながら呟いた。
「へ?」
「pH値八・五。弱アルカリ性単純泉ですね。角質を柔らかくする効果が高い。これは『美人の湯』としてブランド化できます。ボトルに詰めて『公爵夫人愛用・化粧水』として販売すれば、原価ゼロで粗利一〇〇%……」
「アムリー」
ギルバートがアムリーの手から小瓶を取り上げ、岩の上に置いた。
「えっ、あ、旦那様?」
「仕事は終わりだと言ったはずだ」
ギルバートの顔が近づく。
濡れた髪、熱を帯びた瞳。
冷徹公爵の、色気全開モードだ。
「今は、数字じゃなくて私を見ろ」
「み、見てます! 視界の一〇〇%が旦那様です!」
「じゃあ、分析してくれ。今の私の心拍数と、体温の上昇率を」
ギルバートがアムリーの手を取り、自分の胸に当てた。
ドクン、ドクン。
早くて、強い鼓動。
それはアムリーの手のひらを通じて、彼女自身の鼓動とも共鳴した。
(異常数値……! 私の心拍数も上昇中。これは湯あたりのせい? それとも……)
「……計算不能です」
アムリーは観念したように目を閉じた。
「変数が多すぎて、処理しきれません」
「なら、考えるのをやめればいい」
ギルバートが優しく抱き寄せる。
お湯の温かさと、彼の体温が混ざり合う。
「愛してるよ、アムリー」
甘い囁きと共に、口付けが落とされる。
雪がしんしんと降る露天風呂で、アムリーの思考回路は完全にショートした。
(……明日からの売り上げ目標、上方修正しなきゃ)
そんなことを考えながらも、彼女はギルバートの首に腕を回した。
◇
翌朝。
『秘湯の宿・白銀』は、見違えるように活気づいていた。
従業員たちの挨拶は明るく、館内はピカピカだ。
「ありがとうございました、公爵様、奥様!」
支配人が涙ながらに見送る。
「おかげさまで、来月の予約が埋まり始めました! 教わった『ダイナミック・プライシング(変動料金制)』、導入してみます!」
「ええ、頑張ってください。売り上げの一〇%はコンサル料として天引きさせていただきますので」
アムリーは馬車の窓から手を振った。
「アムリー、楽しかったか?」
ギルバートが尋ねる。
「はい! 黒字化の道筋が見えた時が、一番興奮しました!」
「……そうか。まあ、君が満足なら私も嬉しいよ」
ギルバートは苦笑しつつ、アムリーの肩を抱いた。
「でも、昨夜の君も……可愛かったぞ」
「ッ……! 蒸し返さないでください!」
アムリーが真っ赤になる。
新婚旅行は、市場調査と愛の確認という二つの成果(成果物)を残して終了した。
王都へ戻る馬車の中で、アムリーは新たな事業計画書を書き始めていた。
タイトルは『全国温泉再生プロジェクト』。
アムリーの野望は、とどまるところを知らない。
揺れる馬車の中で、ギルバートが頬杖をつきながら尋ねた。
「はい、何でしょう旦那様。予算の追加申請ですか?」
「違う。……なぜ、私たちのハネムーンの行き先が、リゾート地ではなく『北の僻地』なんだ?」
ギルバートの視線の先には、窓の外に広がる荒涼とした雪景色があった。
本来なら、南の島でトロピカルジュースを飲むはずだった。
しかし今、二人が向かっているのは、ライオット公爵領の中でも最も北にある『極寒の温泉郷・ユキグニ』である。
アムリーは手元の地図を広げ、眼鏡を光らせた。
「理由は三つあります。第一に、南の島は観光客が多く、静養に適さない(プライバシーリスク)。第二に、日焼けによる肌へのダメージ(メンテナンスコスト増)。そして第三に……」
アムリーは地図上の赤い丸を指差した。
「この温泉郷、赤字なんです」
「……は?」
「ライオット家が所有する保養地でありながら、年々客足が遠のき、維持費ばかりが嵩んでいます。このままでは不良債権化します。よって、新婚旅行のついでに経営再建を行います」
アムリーは拳を握りしめた。
「『ついで』が逆じゃないか?」
ギルバートが呆れる。
「君と二人きりで、甘い時間を過ごしたかったんだが……」
「ご安心ください。夜のスケジュールは確保してあります。昼間は働き、夜は愛を育む。これぞワーク・ライフ・バランスです」
「……君のバランス感覚は、少し独特だな」
◇
数時間後。
二人は『秘湯の宿・白銀』に到着した。
「い、いらっしゃいませぇ……」
出迎えたのは、やる気のなさそうな支配人と、寒さで震えている数名の従業員だけだった。
建物は立派だが、あちこちが傷んでおり、廊下は薄暗い。
「……酷いですね」
アムリーは第一声で切り捨てた。
「玄関の掃除が行き届いていません。埃の堆積量から見て、三日は放置されています。それに、あの枯れた観葉植物。あれを置くことで『寂れ感』を演出する高度な戦略ですか?」
「あ、いや、その……人手が足りなくて……」
支配人がモゴモゴと言い訳をする。
アムリーはスタスタとフロントの中に入り込み、宿帳をチェックした。
「稼働率一五%。……終わってますね。これでよく倒産しませんね」
「アムリー、一応、新婚旅行だ。お手柔らかに……」
ギルバートが苦笑するが、アムリーの目は本気(マジ)だった。
「旦那様、これは私有財産の毀損です。見過ごせません」
彼女は支配人を睨みつけた。
「今から私がこの宿のコンサルティングを行います。拒否権はありません。……三日で黒字化の目処を立てますよ!」
「ひぃっ! は、はいぃ!」
◇
アムリーの改革は、その日の午後から始まった。
「まず、ターゲット層がブレています! 『静かな大人の隠れ家』を謳いながら、なぜロビーに子供向けのガチャガチャが置いてあるのですか? 即撤去!」
「食事メニューの改善! 高級食材を使えばいいというものではありません。ここの名物は『雪解け水で育った野菜』と『川魚』です。原価の高い海の魚をわざわざ取り寄せるのをやめて、地産地消で利益率を上げなさい!」
「そして、この温泉!」
アムリーは露天風呂の前に立ち、湯気を吸い込んだ。
「硫黄の匂いが強すぎます。換気設備の増設と、入りやすい温度管理の徹底。さらに『美肌効果』を数値化して看板に掲示してください。女性客は『なんとなく良い』ではなく『水分量二〇%アップ』という数字に弱いです!」
従業員たちは、アムリーの指示に従って走り回った。
最初は嫌々だった彼らも、アムリーが自ら雑巾を持って掃除を始め、的確な指示で客(サクラとして雇ったギルバートの護衛たち)が喜ぶ姿を見て、目の色が変わっていった。
「す、すげぇ……。奥様の言う通りに家具を配置変えしただけで、ロビーが広く見える……」
「料理も、地元の野菜だけなのに『田舎風御膳』って名前にしたら、凄く豪華に見えるぞ!」
宿が生き返っていく。
その様子を、ギルバートはロビーのソファで紅茶を飲みながら眺めていた。
「……私の妻は、働き者だな」
少し寂しいが、生き生きとしているアムリーを見るのは悪くない。
そう思っていた時。
「旦那様、お待たせしました」
作務衣(さむえ)に着替えたアムリーがやってきた。
髪をアップにし、うなじが見えている。
「業務は終了です。これより『プライベートタイム』に移行します」
「おお! やっとか!」
ギルバートが立ち上がる。
「では、約束通り……」
「はい。混浴露天風呂の視察……いえ、入浴に行きましょう」
◇
雪見の露天風呂。
湯気が立ち上る中、二人はお湯に浸かっていた。
「……極楽だな」
ギルバートが空を見上げる。
「ああ、こうして二人きりで湯に浸かるなんて、夢のようだ」
彼はアムリーの方へ滲り寄った。
お湯に濡れたアムリーの肌は、雪のように白く、そして桜色に染まっている。
「アムリー……」
「……成分分析完了」
アムリーが小瓶にお湯を採取しながら呟いた。
「へ?」
「pH値八・五。弱アルカリ性単純泉ですね。角質を柔らかくする効果が高い。これは『美人の湯』としてブランド化できます。ボトルに詰めて『公爵夫人愛用・化粧水』として販売すれば、原価ゼロで粗利一〇〇%……」
「アムリー」
ギルバートがアムリーの手から小瓶を取り上げ、岩の上に置いた。
「えっ、あ、旦那様?」
「仕事は終わりだと言ったはずだ」
ギルバートの顔が近づく。
濡れた髪、熱を帯びた瞳。
冷徹公爵の、色気全開モードだ。
「今は、数字じゃなくて私を見ろ」
「み、見てます! 視界の一〇〇%が旦那様です!」
「じゃあ、分析してくれ。今の私の心拍数と、体温の上昇率を」
ギルバートがアムリーの手を取り、自分の胸に当てた。
ドクン、ドクン。
早くて、強い鼓動。
それはアムリーの手のひらを通じて、彼女自身の鼓動とも共鳴した。
(異常数値……! 私の心拍数も上昇中。これは湯あたりのせい? それとも……)
「……計算不能です」
アムリーは観念したように目を閉じた。
「変数が多すぎて、処理しきれません」
「なら、考えるのをやめればいい」
ギルバートが優しく抱き寄せる。
お湯の温かさと、彼の体温が混ざり合う。
「愛してるよ、アムリー」
甘い囁きと共に、口付けが落とされる。
雪がしんしんと降る露天風呂で、アムリーの思考回路は完全にショートした。
(……明日からの売り上げ目標、上方修正しなきゃ)
そんなことを考えながらも、彼女はギルバートの首に腕を回した。
◇
翌朝。
『秘湯の宿・白銀』は、見違えるように活気づいていた。
従業員たちの挨拶は明るく、館内はピカピカだ。
「ありがとうございました、公爵様、奥様!」
支配人が涙ながらに見送る。
「おかげさまで、来月の予約が埋まり始めました! 教わった『ダイナミック・プライシング(変動料金制)』、導入してみます!」
「ええ、頑張ってください。売り上げの一〇%はコンサル料として天引きさせていただきますので」
アムリーは馬車の窓から手を振った。
「アムリー、楽しかったか?」
ギルバートが尋ねる。
「はい! 黒字化の道筋が見えた時が、一番興奮しました!」
「……そうか。まあ、君が満足なら私も嬉しいよ」
ギルバートは苦笑しつつ、アムリーの肩を抱いた。
「でも、昨夜の君も……可愛かったぞ」
「ッ……! 蒸し返さないでください!」
アムリーが真っ赤になる。
新婚旅行は、市場調査と愛の確認という二つの成果(成果物)を残して終了した。
王都へ戻る馬車の中で、アムリーは新たな事業計画書を書き始めていた。
タイトルは『全国温泉再生プロジェクト』。
アムリーの野望は、とどまるところを知らない。
0
あなたにおすすめの小説
うちに待望の子供が産まれた…けど
satomi
恋愛
セント・ルミヌア王国のウェーリキン侯爵家に双子で生まれたアリサとカリナ。アリサは黒髪。黒髪が『不幸の象徴』とされているセント・ルミヌア王国では疎まれることとなる。対してカリナは金髪。家でも愛されて育つ。二人が4才になったときカリナはアリサを自分の侍女とすることに決めた(一方的に)それから、両親も家での事をすべてアリサ任せにした。
デビュタントで、カリナが皇太子に見られなかったことに腹を立てて、アリサを勘当。隣国へと国外追放した。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
私に婚約者がいたらしい
来栖りんご
恋愛
学園に通っている公爵家令嬢のアリスは親友であるソフィアと話をしていた。ソフィアが言うには私に婚約者がいると言う。しかし私には婚約者がいる覚えがないのだが…。遂に婚約者と屋敷での生活が始まったが私に回復魔法が使えることが発覚し、トラブルに巻き込まれていく。
居場所を失った令嬢と結婚することになった男の葛藤
しゃーりん
恋愛
侯爵令嬢ロレーヌは悪女扱いされて婚約破棄された。
父親は怒り、修道院に入れようとする。
そんな彼女を助けてほしいと妻を亡くした28歳の子爵ドリューに声がかかった。
学園も退学させられた、まだ16歳の令嬢との結婚。
ロレーヌとの初夜を少し先に見送ったせいで彼女に触れたくなるドリューのお話です。
婚約破棄寸前だった令嬢が殺されかけて眠り姫となり意識を取り戻したら世界が変わっていた話
ひよこ麺
恋愛
シルビア・ベアトリス侯爵令嬢は何もかも完璧なご令嬢だった。婚約者であるリベリオンとの関係を除いては。
リベリオンは公爵家の嫡男で完璧だけれどとても冷たい人だった。それでも彼の幼馴染みで病弱な男爵令嬢のリリアにはとても優しくしていた。
婚約者のシルビアには笑顔ひとつ向けてくれないのに。
どんなに尽くしても努力しても完璧な立ち振る舞いをしても振り返らないリベリオンに疲れてしまったシルビア。その日も舞踏会でエスコートだけしてリリアと居なくなってしまったリベリオンを見ているのが悲しくなりテラスでひとり夜風に当たっていたところ、いきなり何者かに後ろから押されて転落してしまう。
死は免れたが、テラスから転落した際に頭を強く打ったシルビアはそのまま意識を失い、昏睡状態となってしまう。それから3年の月日が流れ、目覚めたシルビアを取り巻く世界は変っていて……
※正常な人があまりいない話です。
【完結】婚約破棄されたら、呪いが解けました
あきゅう
恋愛
人質として他国へ送られた王女ルルベルは、その国の人たちに虐げられ、婚約者の王子からも酷い扱いを受けていた。
この物語は、そんな王女が幸せを掴むまでのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる