婚約破棄? ああ、そうですか。では実家に帰るので構わないでください。

ちゅんりー

文字の大きさ
15 / 27

15

しおりを挟む
「掃除だ! もっと徹底的に磨け! 埃(ほこり)一つ残すな!」

「クラウス様、落ち着いてください。もう床は鏡のように輝いております」

「ダメだ! 母上の視力を甘く見るな! あの人は3キロ先の蟻の行列も見分ける『千里眼』の持ち主だぞ!」

『ベーカリー・シナモン』の早朝。

いつもは冷静沈着なクラウスが、今日は半狂乱になってモップを振り回していた。

その姿は、歴戦の魔導騎士ではなく、ただの「母親に怯える息子」だ。

私はカウンターで頬杖をつきながら、その様子を眺めていた。

「すごいプレッシャーですね。大公妃様って、そんなに怖い方なのですか?」

「怖いなんて言葉じゃ足りない」

クラウスは蒼白な顔で手を止めた。

「母上――アデラ・フォン・ライ麦大公妃は、隣国で『氷の女帝』と呼ばれている。父上が亡くなった後、女手一つで公爵領を治め、反乱分子をその微笑み一つで凍らせてきた鉄の女だ」

「へえ、かっこいい」

「そして極度の『辛党』だ。彼女の食卓には、常に真っ赤な香辛料が並ぶ。……甘いパンなど出せば、『軟弱者の食べ物』として窓から投げ捨てられるぞ」

「パンを投げ捨てる……?」

私の目がスッと冷たくなった。

「それは許せませんね。たとえお義母様(予定)でも、パンへの冒涜は万死に値します」

「頼むから喧嘩腰にならないでくれ! 俺の寿命が縮む!」

その時だった。

店の外の気温が、急激に下がった気がした。

ザワッ……と鳥たちが飛び去り、辺りが静まり返る。

「……来た」

クラウスが絶望的な顔で呟いた。

カツ、カツ、カツ。

冷たく、正確な足音が近づいてくる。

そして、店の扉が開かれた。

「ごめんください」

現れたのは、息を呑むような美女だった。

クラウスと同じ銀色の髪を高く結い上げ、漆黒のドレスに身を包んでいる。

年齢は四十代くらいだろうか。しかし、その肌は陶器のように白く、シワ一つない。

そして何より、その瞳。

アイスブルーの瞳は、絶対零度の冷気を放っていた。

「……ここが、噂の店ですか」

彼女の声は美しかったが、聞く者の背筋を凍らせる響きがあった。

「は、母上……! 遠路はるばる、ようこそお越しくださいました!」

クラウスが直立不動で敬礼した。

セバスとフェリクス(弟)も、壁際で小さくなっている。

アデラ大公妃は、息子たちを一瞥(いちべつ)もしなかった。

彼女の視線は、まっすぐに私――シナモンに向けられた。

「貴女が、シナモン・クラスツ嬢ね」

「はい。店主のシナモンです。いらっしゃいませ」

私は負けじと笑顔で応対した。

「ふうん……」

大公妃は私を上から下まで値踏みするように眺めた。

「見た目は……まあ、悪くないわね。少し粉っぽいけれど」

「パン屋ですので。これが私の化粧(メイク)です」

「口が減らない子ね。……それで?」

大公妃は陳列棚に並んだパンを見た。

ふわふわのクリームパン。
サクサクのクロワッサン。
甘い香りのメロンパン。

彼女は美しい眉をひそめ、ハンカチで鼻を覆った。

「……甘ったるい。ここは菓子屋? それとも子供の遊び場かしら」

「パン屋です」

「パンね。……小麦粉を膨らませただけの、中身のスカスカな食べ物。噛みごたえもなければ、刺激もない。まるで、今のクラウスのようね」

彼女は冷ややかに言い放った。

「家を捨て、剣を捨て、こんな場所で粉遊びに興じる……。貴女がたぶらかしたの? この軟弱な『スポンジ』で」

ピキッ。

私の脳内で何かが切れる音がした。

パンをスポンジ呼ばわり。

しかも、クラウスの今の生き方を「軟弱」だと?

「……訂正していただけますか」

私は静かに言った。

「パンはスカスカではありません。気泡の一つ一つに、酵母の命と職人の魂が詰まっています。そして、今のクラウスさんは軟弱ではありません。毎朝4時に起きて粉袋を運び、数百度の窯と向き合う、立派な戦士です」

「ほう?」

大公妃の目が細められた。

「私に口答えするとは、いい度胸ね。……でも、言葉だけなら何とでも言えるわ」

彼女は懐から、真っ赤な扇子を取り出した。

「私は『刺激』のないものが嫌いなの。食事も、人間もね。……この店には、私の舌を満足させるだけの『熱』があるのかしら?」

挑発だ。

完全に、喧嘩を売られている。

クラウスが「母上、やめてください!」と割って入ろうとしたが、私はそれを手で制した。

「わかりました」

私は不敵に笑った。

「お望みとあらば、提供しましょう。貴女のその涼しい顔を、汗と涙でぐちゃぐちゃにするほどの『熱いパン』を」

「……面白い。やってごらんなさい」

大公妃は優雅に椅子に座った。

「制限時間は一時間。もし私の舌を唸らせられなければ……クラウスは連れて帰ります。そして、この店を氷漬けにしてあげるわ」

「上等です! 厨房へ!」

私はエプロンの紐を締め直し、戦場(キッチン)へと飛び込んだ。

***

「どうするんだシナモン! 母上は、隣国の激辛料理コンテストで優勝するほどの味覚の持ち主だぞ!」

厨房で、クラウスが頭を抱えていた。

「普通の唐辛子じゃ効かない! 『ドラゴンブレス・チリ』を丸かじりして『甘いわね』と言うような人だ!」

「ふふふ、甘いのは彼女の認識よ」

私は粉を計量しながら言った。

「パンを舐めないでほしいわね。パン生地というのは、どんな食材でも包み込む『無限の包容力』を持っているのよ」

「包容力?」

「そう。辛さをただ加えるだけじゃ芸がない。パン生地の甘みと旨味で辛さをコーティングし、油断させてから……喉元で爆発させるの」

私は棚の奥から、厳重に封印された瓶を取り出した。

ドクロマークが描かれた、禍々しい瓶だ。

「これは……?」

「かつて、害獣避けのために開発した『特製スパイス・煉獄(れんごく)』よ。ハバネロ、ジョロキア、キャロライナ・リーパーを粉末にし、さらに『火吹きキノコ』の胞子を混ぜて発酵させたもの」

「発酵させたのか!? 毒物を!?」

「発酵させると旨味が出るのよ。これを生地に練り込むわ」

私は赤い粉末を、真っ白な小麦粉に投入した。

一瞬にして、生地が血のような赤色に染まる。

「クラウスさん、チーズを用意して! それも、一番クセの強いブルーチーズを!」

「わ、わかった!」

「フェリクス様は、ハチミツの準備を!」

「私も手伝うのですか!? ……まあ、兄上が連れ戻されると、また私の仕事が増えるので協力しますが」

私たちは総力戦で挑んだ。

赤い生地をこね、中にたっぷりのチーズと、刻んだチョリソー、そして『煉獄スパイス』のペーストを包み込む。

「形はどうする?」

「可愛らしく『ハート型』にしましょう」

「悪趣味だな……」

仕上げに、表面にオリーブオイルを塗り、高温の窯へ放り込む。

「燃えろ、石窯! 地獄の業火で焼き上げるのよ!」

「炎よ! 我が母の舌を焼き尽くす温度になれ!」

クラウスの魔法で、窯の温度がマックスになる。

ジューーーッ!

香ばしい、しかし目と鼻を強烈に刺激する匂いが厨房に充満した。

「げほっ! ごほっ! 目が!」

「換気! 換気を!」

私たちは涙を流しながら、焼き上がりを待った。

そして一時間後。

「お待たせいたしました」

私はトレイを持って、大公妃の前に立った。

そこにあるのは、見た目は美しい赤色の、ハート型のパンだ。

湯気と共に、甘辛い香りが漂う。

「……見た目は可愛らしいわね」

大公妃は鼻をひくつかせた。

「商品名は?」

「『初恋の情熱(バーニング・ラブ)』です」

「……ふん。ネーミングセンスは0点ね」

大公妃はナイフとフォークを手に取った。

「いただきましょう。もし期待外れだったら……覚悟なさい」

彼女は優雅にパンを切り、一口サイズにして口へ運んだ。

パクッ。

店内が静まり返る。

クラウスとフェリクスが、祈るように見守る。

大公妃は、ゆっくりと咀嚼した。

「……」

無表情だ。

「……パン生地は、モチモチしているわね。トマトとパプリカの風味がするわ」

あれ?

反応が薄い?

「辛さは……ピリッとする程度。……期待外れね。これなら幼児の離乳食よ」

彼女がフォークを置こうとした、その時だった。

ドクン。

「……っ?」

大公妃の眉がピクリと動いた。

時間差攻撃(タイムラグ)。

パン生地の甘み(オブラート)が溶け、中に封じ込められた『煉獄スパイス』が牙を剥いたのだ。

「……んッ!?」

彼女の白い肌が、みるみるうちに赤く染まっていく。

「な、なにこれ……!?」

「来ましたか」

私はニヤリと笑った。

「そのパンは二段構えです。最初は生地の甘みで油断させ、飲み込んだ瞬間に喉の奥からカプサイシンが爆発します。そして……」

「あ、熱い……! 喉が……胃が……燃えるよう……!」

大公妃が胸元を押さえる。

しかし、彼女の手は止まらなかった。

「辛い……辛いけれど……止まらない! この中から溢れ出るチーズのコクと、ハチミツの甘みが、辛さを中和して……また次の一口を誘う……!」

「そうです。辛さ(ムチ)と甘さ(アメ)。この無限ループこそが、パンの魔力です」

「くっ……! 生意気な……!」

大公妃は汗を流しながら、パンを貪(むさぼ)り始めた。

「ハフッ、ハフッ! 水! いいえ、ワインを!」

「どうぞ、冷たいミルクです」

セバスが絶妙なタイミングでミルクを差し出す。

「んぐっ、んぐっ……ぷはぁ! ……もう一口!」

もはや「氷の女帝」の面影はない。

そこにいるのは、美味しい激辛パンに夢中になる、ただの食いしん坊な女性だった。

完食。

皿の上には、パン屑一つ残っていなかった。

大公妃はナプキンで口元を拭い、荒い息を整えた。

その瞳は、涙で潤み、頬はバラ色に輝いている。

「……ふう。……いい汗をかいたわ」

彼女は私をキッと睨んだ。

「……美味しかったわよ。悔しいけれど」

「ありがとうございます!」

「パンが、これほど攻撃的で、情熱的な食べ物だとは思わなかった。……撤回するわ。パンは軟弱ではない」

「分かっていただけて嬉しいです」

「そして……」

彼女は視線をクラウスに移した。

「クラウス。……お前も、いい顔をするようになったわね」

「え?」

「昔のお前は、氷像のように冷たい顔をしていた。でも今は……汗をかいて、必死になって、生きている顔をしている」

大公妃は立ち上がり、息子の肩に手を置いた。

「ここにいなさい。どうやら、公爵家の当主の座よりも、この店の『温度管理係』の方が、お前には合っているようだから」

「母上……!」

クラウスの顔が輝いた。

「認めてくださるのですか!」

「ええ。ただし」

大公妃は私に向き直った。

「シナモン嬢。貴女には一つ課題を与えます」

「課題?」

「この『激辛パン』、まだ改良の余地があるわ。来月また来るから、それまでにもっと刺激的な新作を用意しておきなさい。もし私の舌が満足しなければ……その時は店ごと没収よ」

「ええーっ!?」

「楽しみにしてるわよ、私の可愛い『嫁』候補さん」

大公妃はフフッと妖艶に笑い、颯爽(さっそう)と店を出ていった。

残された私たちは、ドッと疲れが出たようにその場にへたり込んだ。

「……勝ったのか?」

「一応、防衛戦には成功しましたね」

私は額の汗を拭った。

「でも、来月また来るって……」

「気に入られたな、シナモン」

クラウスが苦笑する。

「母上は、気に入った相手にしか課題を出さない。……どうやら、俺たちの平穏な日々はまだまだ遠そうだ」

「望むところですよ」

私は立ち上がった。

「パン職人に限界はありません。来月は『唐辛子酵母』を使った、世界一辛いカレーパンで迎え撃ちましょう!」

「……俺の胃袋が持つか心配だ」

こうして、最強の姑との戦いは、長期戦の様相を呈してきたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』

放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。 「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」 身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。 冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。 「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」 得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。 これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。

辺境伯へ嫁ぎます。

アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。 隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。 私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。 辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。 本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。 辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。 辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。 それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか? そんな望みを抱いてしまいます。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 設定はゆるいです。  (言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)  ❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。  (出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)

森に捨てられた令嬢、本当の幸せを見つけました。

玖保ひかる
恋愛
[完結] 北の大国ナバランドの貴族、ヴァンダーウォール伯爵家の令嬢アリステルは、継母に冷遇され一人別棟で生活していた。 ある日、継母から仲直りをしたいとお茶会に誘われ、勧められたお茶を口にしたところ意識を失ってしまう。 アリステルが目を覚ましたのは、魔の森と人々が恐れる深い森の中。 森に捨てられてしまったのだ。 南の隣国を目指して歩き出したアリステル。腕利きの冒険者レオンと出会い、新天地での新しい人生を始めるのだが…。 苦難を乗り越えて、愛する人と本当の幸せを見つける物語。 ※小説家になろうで公開した作品を改編した物です。 ※完結しました。

夫に用無しと捨てられたので薬師になって幸せになります。

光子
恋愛
この世界には、魔力病という、まだ治療法の見つかっていない未知の病が存在する。私の両親も、義理の母親も、その病によって亡くなった。 最後まで私の幸せを祈って死んで行った家族のために、私は絶対、幸せになってみせる。 たとえ、離婚した元夫であるクレオパス子爵が、市民に落ち、幸せに暮らしている私を連れ戻そうとしていても、私は、あんな地獄になんか戻らない。 地獄に連れ戻されそうになった私を救ってくれた、同じ薬師であるフォルク様と一緒に、私はいつか必ず、魔力病を治す薬を作ってみせる。 天国から見守っているお義母様達に、いつか立派な薬師になった姿を見てもらうの。そうしたら、きっと、私のことを褒めてくれるよね。自慢の娘だって、思ってくれるよね―――― 不定期更新。 この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました

ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」 政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。 妻カレンの反応は—— 「それ、契約不履行ですよね?」 「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」 泣き落としは通じない。 そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。 逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。 これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

【完結】元悪役令嬢の劣化コピーは白銀の竜とひっそり静かに暮らしたい

豆田 ✿ 麦
恋愛
 才色兼備の公爵令嬢は、幼き頃から王太子の婚約者。  才に溺れず、分け隔てなく、慈愛に満ちて臣民問わず慕われて。  奇抜に思える発想は公爵領のみならず、王国の経済を潤し民の生活を豊かにさせて。  ―――今では押しも押されもせぬ王妃殿下。そんな王妃殿下を伯母にもつ私は、王妃殿下の模倣品(劣化コピー)。偉大な王妃殿下に倣えと、王太子の婚約者として日々切磋琢磨させられています。  ほら、本日もこのように……  「シャルロット・マクドゥエル公爵令嬢!身分を笠にきた所業の数々、もはや王太子たる私、エドワード・サザンランドの婚約者としてふさわしいものではない。今この時をもってこの婚約を破棄とする!」  ……課題が与えられました。  ■■■  本編全8話完結済み。番外編公開中。  乙女ゲームも悪役令嬢要素もちょっとだけ。花をそえる程度です。  小説家になろうにも掲載しています。

処理中です...