霊力ゼロの陰陽師見習い

テラトンパンチ

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不穏な影

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朝の学園は、穏やかな光に包まれていた。
 教室の窓から差し込む光は柔らかく、机の上の教科書やノートを照らす。
 だが、玄弥の胸中は穏やかではなかった。

 ――昨日の九尾の尾二本による暴走。
 体の熱と疼きは残り、代償の恐ろしさを再認識していた。

 マトリはそっと隣に座り、机の端で手をもじもじさせる。
 「……あの……本当に大丈夫ですか……?」
 声は小さく、震えている。目は心配でいっぱいだった。

 玄弥は小さくうなずく。
 「尾二本は圧倒的な力が出せる……でも代償が大きすぎる。体力も、精神も限界に近い」

 マトリは目を伏せ、小さく息をついた。
 「そ、そうですよね……あの……無理しすぎないでください……」
 手が机の上で小さく握られる。怖がりながらも、仲間を心配する気持ちは強い。

     ◆

 その日の放課後、学園内に異変が生じる。
 廊下の一角に、人の気配に紛れた異質な霊力。
 ――魔王軍の刺客が、学園に潜入している。

 その刺客は四天王直属の部下。
 酒呑童子、四尺坊などの命を受け、学園の状況を探るために派遣されていた。
 人間の生徒として潜む姿は一見普通だが、胸の奥に妖気が滲む。

 「……玄弥を……追い詰めろ」
 心の中で低く響く命令。
 生徒を器にし、少しずつ力を引き出す作戦だ。

     ◆

 一方、玄弥は体育館で九尾と共に修練を行っていた。
 一本の尾だけを使った防御と攻撃、体術との連携、霊力波のコントロール。
 尾二本を出す前提の練習ではなく、基礎能力だけで敵を迎え撃つ感覚を磨く。

 尾一本でさえ、体力と霊力の消耗は大きい。
 九尾の尾が一瞬光るたびに、胸の奥が疼き、呼吸が乱れる。

 マトリは観戦しているが、机に顔を埋めるようにして小さく震えている。
 「……ああ……怖い……でも、頑張って……」
 小声で呟きながら、玄弥の集中を乱さないように必死で背中を見守っていた。

 玄弥は汗を拭いながらうなずく。
 「……分かった。今日は尾一本でも最後まで耐える」

     ◆

 夜になり、学園の寮は静まり返った。
 だが、廊下の影には刺客の姿。
 人知れず玄弥の動向を探り、仲間との連携を確認し、侵入のタイミングを窺っている。

 ――玄弥も黙ってはいない。
 尾一本での修練で制御と反応速度を磨き、仲間との連携の練習も進めている。

     ◆

 マトリが玄弥の肩にそっと手を置く。
 「……もし、何かあっても……私、……支えます……」
 声は震えている。だが、心の奥にはしっかりした決意も見える。

 玄弥は微かに笑う。
 「……ああ。力だけじゃなく、仲間がいれば、次はもっと戦える」

教室には、普段通りの生徒たちの声が響く。
 しかし、玄弥の視線は無意識に一人の新しい生徒に向かう。

 ――
クラスに今朝から紛れ込んでいる、見知らぬ転入生。

 黒髪で端正な顔立ち、落ち着いた雰囲気。だが胸の奥から、何か異質な気配が漂う。
 まるで周囲の霊力を微かに吸い上げるかのような違和感。

 「……誰だろう……」
 玄弥の背筋に薄い寒気が走る。

 教室では普通に挨拶を交わしているが、視線の端に、尾一本の微かな霊気が反応する。
 ――この生徒の霊力は、人間とは違う。

 マトリも、いつものように小さく手を握り、そっと玄弥を気にしている。
 「……あの子、ちょっと……変な感じがします……」

     ◆

 放課後、玄弥は体育館で九尾と共に修練を行う。
 尾一本で防御と攻撃を繰り返し、体術との連携、霊力波のコントロールを確認する。
 尾二本を出す前提の練習ではなく、基礎能力だけでの戦闘に慣れる訓練だ。

 九尾の尾が一瞬光るたび、胸に疼きが走る。
 「無理をするな……だが集中しろ」
 尾一本でも、体力と霊力の消耗は大きい。

 マトリはそっと後ろに座り、机に顔を埋めて小さく震える。
 「……怖い……でも……玄弥くんなら……」
 その目には不安と期待が混じる。

     ◆

 夜。学園の廊下は静まり返っていた。
 だが、一つの影が人目を避けるように歩く。
 ――転入生として紛れ込んだ刺客だ。

 人間の姿を保ちながらも、胸の奥で妖気が滲む。
 授業中、友人のフリをしながら玄弥を観察し、次の戦いのタイミングを窺っている。

 「……そろそろ、引き出す時か……」
 刺客の心に低く響く命令。
 玄弥の力を刺激し、無理やり引き出す計画は、静かに始まろうとしていた。
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