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桃源星編
2度目の勝負
しおりを挟む「戦うって…。いくらなんでもそりゃ無茶な。」
ビティは超能力の熟練者。それに対して俺はまだスタートラインに立ったばかりである。下手したら死んでしまう。
「もちろん手加減はする。それに予選までもうあと3ヶ月しかないんだ。そろそろ実戦経験を積まないきゃならん。」
「まぁ言われてみればそうですね。」
「実戦の前にアドバイスしとくぞ。まず基本的には相手と適度に距離を保て。そうすれば攻撃を回避出来る可能性がぐんと高まる。そして、攻撃を受けそうになったらその場所にエネルギーを集中させろ。」
「はい。攻撃面では何かアドバイスはありますか?」
「そうだな…。まぁさっきも言ったが相手と距離を保った状態でいることが大事だな。放出型の長所は離れた場所から攻撃出来ることだ。接近戦だと強化型の相手や自分より身体能力が優れた相手だと即死だからな。」
「分かりました。」
「じゃあ早速始めるぞ。」
ビティの開始の合図で実戦練習が始まった。俺はビティに言われた通り、ビティから少し離れて様子を窺うかがう。すると、ビティの体には黄色いモヤが溢れ始めた。その直後、その黄色いモヤが塊となって俺に向かって迫ってきた。前回は黄色い塊に全く気付けなかったが、今回は目で追えている。
ヒュン
一度交わしても次々に黄色い塊は飛んでくる。俺も反撃しなくては。そう思って俺は炎をビティに向かって放とうとした。が、その瞬間、逆に俺はビティの攻撃を食らってしまった。一瞬にして体が重くなった。攻撃に意識が行きすぎて避けるのが二の次になってしまった。
「考えてる暇なんてねぇぞ!無意識で炎を出せるようにしろ!走る時にいちいち右足を前に動かして…とか考えねぇだろ!」
「は…はい。」
前回とは違って俺は攻撃を食らってもなんとか喋れるようになっていた。攻撃は食らったが成長が実感出来たのは良かったのかもしれない。
とはいえ俺はまだしっかりと炎をイメージしないと炎は出せない。そこは要改善である。それにしても体が重い…。相変わらずえげつない能力である。だが、俺は解決策を知っている。俺はすぐに力を抜いた。
「同じ手を2度食らう程俺はアホじゃねぇ。」
ビティはそう言うと俺が力を抜いた瞬間に迫ってきた。そして、
バコッ
俺はビティのボディーブローをモロに食らってしまった。ビティは放出型とは言え、そのパンチ力は凄まじかった。臓器を吐き出しそうなくらいの激痛である。
「安心しろ。手加減してるから死ぬことはない。まぁそう簡単には起き上がれないだろうけど頑張れや。」
強烈な痛みはなかなか引かなかったが、俺はなんとか立ち上がった。このまま突っ伏したままでは前回と変わらない。まぁ前回は土壇場でビティの能力を見破ることに成功はしたわけだが。
とにかく反撃しなくては。俺は炎をビティに向けて放とうとしたが、ボディーブローが効いていて力が入らない。そしてその隙にビティが再び攻撃を始めた。
「さて…何発まで耐えれるかな?」
さっきとは異なり、ビティは黄色い塊を何発も俺に向かって放った。ボディーブローを食らったばかりの俺が避けられる訳がない。結局、2、3発程食らってしまった。
ドスン!
さっきよりも威力が強い…。俺の体が重くなりすぎて、ついに地面にヒビが入った。そして、地面は割れ、俺は地面のさらに底へ沈んでいく。
ブォン
しかし、スレスレの所で俺は宙に留まることに成功した。エアシューズのおかげで、俺は地面の底に打ち付けられずに済んだ。
「ほう…。エアシューズも大分使いこなせるようになったな。まぁあまり意味は無いがな。」
なんとか耐久しているが、やはりキツい。それにおそらくビティは全く本気を出していないだろう。もし本気だったら今頃あばら骨が捻れていただろう。
俺は地上へ上がろうとしたが、どうやらビティはその瞬間を狙っていたらしい。俺はまたしてもビティの攻撃を受けた。
「このままじゃワンサイドゲームだぜ?」
クソッ!反撃のチャンスすらねぇ!だが、ビティの攻撃のカラクリはもう分かっている。エネルギーを0にして力を抜けばいいだけだ。
だが俺はある違和感に気が付いた。体の力が抜けないのだ。勝手に力が入ってしまうのである。
訳の分からないまま、俺は割れた地面の底に叩きつけられた。何が起こったんだ…?!
「何が起こったか分からねぇだろ?」
見上げた先にいるビティがそう言った。確かにその通りである。
「俺の能力は重力を操る。重力は重ければ重い程強くなる。つまり、エネルギー量が多ければ多い程効果は絶大。つまり、前回俺の攻撃を受けた時よりエネルギー量が増大している分、簡単に能力が解除出来ないって訳だ。」
なるほど…。言われてみればそうである。2発目の時も能力を解除するのに少し時間がかかった。だがその理論でいくとおかしい点がある。
「それなら一発目の攻撃が1番重くないとおかしくないですか?その時はまだエネルギー量をほぼ消費していないわけだし。」
「それはお前がエネルギーをまだ上手く使いこなせてないからだ。本来ならば体力=エネルギー量なんだが、お前の場合はエネルギーを出す時に、エネルギー量以上に体力を消費しちまってる。気付いてないかもしれないが、エネルギーを0にするには実はそれなりに体力を消費するんだ。だからさっきはお前の残りのエネルギー量よりも体力が下回り過ぎてエネルギーを0にすることが出来なかったんだ。」
「なんとなくですけど意味は分かりましたよ…。でもそれってどうしたらいいんですか?」
「慣れるしかない。残り3ヶ月だが、そこまでに限りなくその差を0にするしかない。」
「分かりました…。」
「まぁキリがいいし今日はこの辺で終わりだ。これ以上やったらお前の骨がバキバキに折れかねないからな。後はゆっくり休め。」
「はい。」
実戦練習が終わった後に、ビティはアダムの元へ向かった。
「おい!どう言うことだ?なんでヒロは2ヶ月で能力を会得してるんだよ!お前まさか…。さてはドーピングか?!」
ビティは納得がいかないと言った感じでアダムを問い詰める。
「いやいや。突然押し掛けてきて随分な物言いですね。そんなことする訳がないでしょう。」
「じゃあなんで…」
「放出型の超能力を覚える上で1番大事なのはイメージを深めること。頭を使うのは彼の得意分野ですからねぇ。それに彼の努力は凄まじかったですよ。ヒロ君に頼まれて炎に関する資料を何冊か貸したのですが、片っ端から読み漁ってましたよ。」
「そうか。確かにアイツの長所を考えれば当然か。けど逆に言えばそれを見出した俺ってスゲェー。」
「そういうことにしときましょう。けど約束は守って下さいよ?」
約束とは賭けの内容であったリンゴ一年分のことである。
「あぁ分かってるよ。まぁ冗談はさておきそれでも時間がないことに変わりはない。あと3ヶ月でどれだけ本戦出場者と渡り合えるかはまだ未知数だ。」
「まぁそれはそうですね…。けど大丈夫ですよ。」
「軽く言ってくれるな…。けど俺の予想以上にアイツは成長している。3ヶ月後が楽しみだ。」
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