【完結】追放された悪役令嬢ですが、冷酷旦那様に愛されてます

22時完結

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婚約破棄と追放命令

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壮麗な舞踏会

煌びやかなシャンデリアが輝き、貴族たちの笑い声が響く広間。その中心に立つ私は、婚約者である王太子アレストの隣で微笑みを浮かべていた。この夜、私は社交界の頂点に立つ者として、その地位を確信していた――その時までは。

「リリアナ・エヴァンス。貴様に話がある。」

冷たい声に振り返ると、アレストの目が私を鋭く射抜いていた。その視線に違和感を覚える間もなく、彼の言葉は次のように続いた。

「貴様が、マリアに対して数々の陰湿な嫌がらせを行っていた証拠が上がった。」

広間のざわめきが一瞬で静まり返った。視線が私に集まり、背筋に冷たいものが走る。

「待ってください。私は何も――」

「証拠ならここにある。」

彼は侍従に命じ、数枚の手紙を取り出させた。それらは私がマリアに送ったとされるもので、内容は冷酷な脅迫だった。

「これは偽造です!」

必死に訴える私に、アレストは冷笑を浮かべた。

「まだ言い訳をするのか? 貴様のような者は、王太子妃にふさわしくない。」

その言葉に広間中が再びざわめいた。

悪役令嬢としての烙印

「これ以上、弁解の余地はない。リリアナ・エヴァンス。貴様との婚約を破棄する。」

宣言と同時に、私の足元から世界が崩れ落ちるような感覚が広がった。婚約破棄だけでなく、王都からの追放命令が下され、私の家族であるエヴァンス侯爵家も、私をかばうことなく背を向けた。

屋敷に戻ることも許されず、ほんのわずかな衣類と食料を持たされ、私は王都を去ることになった。

追放後の旅路

王都を離れた私に待ち受けていたのは、貴族としての生活とは全く異なる現実だった。

一人で進む荒れた野道。馬車も使えず、歩き続ける足は重く、何度も倒れそうになった。途中で出会う旅人たちからの視線は冷たく、私が「悪役令嬢」として知られていることを痛感させられる。

飢えと疲労が限界に達し、私はついに森の中で膝をついた。

「もう……これで終わりでもいい……。」

誰も私を助けない。王太子に見放され、家族にも捨てられた私は、このまま朽ち果てるのだろう――そう思った瞬間だった。

冷酷な辺境伯との出会い

「何をしている。」

低く鋭い声が耳に届いた。顔を上げると、そこには一人の男性が立っていた。

銀髪に鋭い瞳。整った顔立ちを持つその男は、重厚な鎧を身にまとい、馬上から私を見下ろしていた。

「……あなたは……?」

「アレクシス・ヴォルフ。辺境伯だ。」

その名を聞いた瞬間、私は息を呑んだ。辺境伯アレクシスは冷酷無比な男として知られ、貴族たちでさえ彼を恐れていた。

「貴族の娘が一人でこんなところにいるとは、珍しいな。」

彼は馬を降り、私に近づいた。冷たい瞳で私をじっと見つめる彼に、私は正体を隠そうとしたが、無駄だった。

「その姿を見る限り、王都を追放された者か。」

彼の鋭い指摘に、私は唇を噛んだ。

契約結婚の提案

アレクシスは、私がどうしてここにいるのかを詳しく尋ねることもなく、突然言った。

「私のところへ来い。形だけの妻になれば、住む場所と食事くらいは与えてやる。」

突拍子もない提案に、私は目を見開いた。

「……なぜ、そんなことを?」

「王太子への牽制になるからだ。それ以上を知る必要はない。」

冷徹な声でそう告げる彼の目に、揺るぎない決意があった。

悩んだ末、私はその提案を受け入れることにした。このまま死を待つより、彼の手を取る方が賢明だと判断したのだ。

「……分かりました。お受けします。」

その瞬間、彼はわずかに唇を歪めて笑ったように見えた――それが本物の笑みだったのかは、分からないままだった。
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