【完結】悪役令嬢なのに、冷酷王太子に溺愛されています

22時完結

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その夜、王宮の静けさに包まれながらも、私の心は揺れていた。レオナードとの会話を思い返す度に、彼の言葉が何度も頭の中で響く。

「お前ももう一度自分自身に問いかけてみろ。俺と共に戦う覚悟があるのかを」

その言葉が、まるで私を試すかのように重く感じられた。彼の言葉の裏には、私を守るという決意と共に、私自身にも何かを求める気持ちが込められているのだろう。しかし、それはただの優しさや配慮ではなく、彼が私に抱いている深い思いから来ているものだと、私は感じていた。

私はその晩、窓辺に立って王宮の外を見つめながら、自問自答していた。この先、レオナードと共に歩む覚悟があるのか。王宮での戦い、彼の冷徹な姿勢の中でどれだけ自分を保ち、共に乗り越えていけるのか。

その時、突然部屋の扉が静かにノックされた。扉を開けると、そこにはレオナードが立っていた。彼の表情はいつも通り冷静で、どこか無機質な印象を与えるものだった。

「少し話がしたい」と、彼は短く言った。

私は頷き、彼を部屋に招き入れた。レオナードは扉を閉め、私の方を見た。

「会議の結果について、思うことがあるだろう」と彼は言った。その目は冷静でありながらも、どこか不安げな一面を隠しきれずにいた。

「はい…あの会議では、王国の未来に対する思いがそれぞれ異なっていることがよく分かりました。でも、私はその中で自分の立ち位置をしっかりと考えなければならないと思っています」と私は答えた。「あなたが私に示してくれる優しさが時々、予想外すぎて、どうしても素直になれないことがあるんです。」

レオナードは無言で私の言葉を受け止め、しばらく黙っていた。そして、ゆっくりと口を開いた。

「それはお前の自由だ。だが、俺は…お前を守りたいと本気で思っている。お前の心がどんなに揺れても、俺はお前を支え続ける。だが、もしお前が今後、この王宮での生活に耐えられなくなったなら、その時はお前の意思を尊重して、離れよう。」レオナードの言葉には、普段見せない優しさが含まれていた。その眼差しは、冷徹に見えても、その奥に深い愛情と覚悟があった。

私はその言葉を聞いて、心の中で確かに何かが動いたのを感じた。レオナードの言葉に隠された思いを知るたびに、私は彼との関係をもっと深く理解しようと心に誓った。

「レオナード様、私、決心しました。あなたと共に王宮での道を歩んでいく覚悟があります。どんな困難が待ち受けていようとも、私はあなたと共に戦います。」私は彼にしっかりと目を合わせて言った。その瞬間、レオナードの顔に微かな笑みが浮かび、彼は深く頷いた。

「お前の覚悟を聞けて、俺は嬉しい。だが、覚えておけ。これから先、お前を守るために俺はどんな手段でも使う。」レオナードはそう言って、少しだけ私の顔を覗き込むように見つめた。その視線は一瞬、柔らかさを帯び、私の心に静かな波紋を広げた。

私たちはその後、少しだけ沈黙を共有した。言葉にできない感情が、二人の間に流れていることを感じていた。しかし、その沈黙は嫌なものではなく、むしろお互いをより深く理解するための時間のように思えた。

その夜、私たちは再び王宮の広間に戻り、各々の役割を果たすためにそれぞれの仕事に向かうこととなった。しかし、私の心の中で何かが大きく変わったことを、私は感じていた。それは恐怖や不安、戸惑いから解放された新たな決意だった。

王宮での生活がどれほど厳しく、過酷なものであっても、私はレオナードと共にその先にある未来を掴むために戦う覚悟を決めた。それが私の選んだ道であり、私の心が選んだ道であると信じて。

その日から、私とレオナードはさらに一歩、共に未来を切り拓くために歩みを進めることとなった。
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