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第1章 犯罪制裁 編
生かされた平和
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「ふわぁぁ」
目を覚ますと、無機質な天井が視界にはいり、白いカーテンの外から陽の光が差し込む。
そして、ふと、右に寝返ると金髪の男性が寝息を立ててぐっすり寝ていた。
「……剣得さん、剣得さん」
男性を激しく揺らす。
「……ん? 朝か……楓彩、まだ寝かせろよ……」
薄い声でそう言うと、男は右に寝返り、また寝息を立て始めた。
「んん早く起きてください!」
「……んだよ」
楓彩は男性から掛け布団を奪い、ベットから突き落とす。
「──あだっ!!……何しやがる!!」
なぜ楓彩はこんなに急いでいるかと言うと。
「お腹空きました」
そう、つまり毎朝のことである。
「楓彩ー…着替えたかー? もう直ぐ出来るぞー?」
「はーい」
5月15日(月)
汐風香る海辺に建つマンションの一室。
ベーコンと卵を炒めるいい音と香りが広がっていた。
「剣得さーん、塩コショウわすれてません?」
という声が別室から聞こえてきた。
「あいつ、鼻効くな」
剣得は言われた通りに塩コショウを振り、皿に盛り付けると、慣れた手つきで食卓へ運ぶとそこには着替え終えたが、髪の毛がパーティー状態の楓彩が席に座って剣得を待っていた。
すると
「パンも欲しいです」
「はいよ」
「ジャムとバターも」
「くっ!」
結果、剣得は朝からキッチンとリビングを3回も往復した。
そして楓彩と剣得は料理を挟むように向かい合って席につくと
「いただきます」「いただきますっ」
2人は両手を合わせる。
何とも平和な朝である。
「楓彩、今日は職場来るだろ?」
楓彩はその質問に口の中に入っている物を飲み込んでから
「あぁ、そう言えばそうでしたね。何すればいいんですか?」
「雑用」
「ええ!? 私ゲストじゃないんですか? もっと丁重にもてなして下さいよ!!」
と立ち上がる。
「何様だオメェ。いつもやってる事をするだけだろ?」
「むぅーー。……いつも構ってくれないくせに……」
ポツリとつぶやく。
「ん? 何か言ったか?」
「何でもないです!さぁ行きましょうっ!」
「(何か今日、機嫌悪いな)」
楓彩はベーコンエッグを頬張ると皿を片付け、部屋から出ていってしまった。
「んー、今日暑いですね」
「もう夏だな。5月なのに」
2人して同じように、右手の掌を太陽に向けていた。
5月だが気温は30度を超えている。
それはこの島ならではのこと。
人工管理島。通称─セラフィス
“二十年前”
世界は崩れた。
それは一種の生物の本能による進撃によって。
瓦礫の中、生命を感じさせない風景の中で勝利したように佇む死闘の生存者。
──生存者
人類は皆、そう呼んだ。
生存者(サバイバー)から人類を隔離するために、作られた領域、それがこのセラフィス。
今では本土とこのセラフィスに分かれている。
本土は生存者の領域。
セラフィスは人類の領域。
セラフィスは人間が住むのに最適を求め、今では約三千万人が暮らしている程の巨大な島と化した。
しかし、人類最後の砦だけあって、治安は悪く、法律などはもはや存在しない。
だが、それらを統治している武力組織が存在する。
悪を淘汰し、生存者から生命を守る。
治安正統 対生存者自衛隊──通称G,S,A
このG.S.Aには剣得が総督として勤めていて、今日は楓彩もお手伝いとして出勤する。
G.S.A本部オフィス
「お、おはようございます!」
と、人見知りの楓彩にしては、元気良く挨拶をする。
すると、作業中だった髪の長い大人びた女性が椅子から立ち上がり近づいてくる。
楓彩は少し緊張するが
「ショウ、相変わらず朝早いな」
隣に立っていた剣得はその女性に挨拶を交わす。
「おはよう、楓彩、今日はお手伝いしてくれるんだって?」
容姿に寄らず優しい口調で声を掛けられたので楓彩は少し驚くが
「あ、はい、剣得さんのお手伝いを……」
「楓彩、今日はショウの手伝いをしてくれ」
剣得は携帯をいじりながら言う。
「おお、楓彩は私を手伝ってくれるのか」
と黒髪の大人びた女性は嬉しそうに笑っている。
楓彩はおどおどしながら剣得の上着の袖をつまみ
「き、きいてませんけどー?」
と、小声で話す。
「俺の方は間に合ってる、ショウ、楓彩を頼むな」
「ったく、うちは託児所じゃないけど? まぁいいや、よろしくね、楓彩」
とまたもや似合わない可愛らしい笑顔。
「よ、よろしくお願いします」
楓彩はすこし不満を持ちながらショウに付いていく。
「ショウ! 昼になったら楓彩を俺の所に連れてきてくれ」
その言葉を聞いて楓彩の表情は少し明るくなる。
「はいよー」
と、ショウは素っ気なく返事した。
兵器開発部門
「あ、あのショウさん」
「何?」
「ここって私入ってもいいんですか?」
確かに清潔感溢れる白い壁や廊下は楓彩の場違い感を醸し出していた。それだけではなく、ここは人類の最先端を行く場所で、人材も優秀な人物ばかり集まっている。
「あぁ別に構わないよ?」
「だ、だとしても私に出来ることなんかないと思うんですけど?」
自信なさげに言うと
「まぁやれることくらいはあるでしょ? 多分(楓彩をこっちに寄越した剣得の意図がよめない!!)」
そして2人はある部屋の前で止まる。
その部屋の扉にはでかでかと「ショウちゃんの工房!立ち入るな!!」と書いてある。
「ささ、入ってー」
この女性の正体は、ショウムート・ロン・トゥルン今の時代の発明を統べる、言わば最先端の女。
対生存者兵器や、軍事兵器まで、全ての兵器の生みの親。
それだけではなく彼女自身の趣味で便利グッズなども作っている。皆からは親しみを込めて「ショウ」や「ショウさん」と呼ばれている。
楓彩とショウが部屋に入るとまず……汚い、実に汚い、意味のわからないガラクタや雑誌、カップ麺の容器などが散らかり放題である。
「じゃあ、楓彩には何をしてもらおうかな?」
「掃除します」
「……へ?」
楓彩の唐突な発言にショウは素っ頓狂な声を上げてしまう。
「掃除します。さすがに汚いです。」
「そ、そう。じゃ、じゃあ私は何してればいい? ……ですか?」
楓彩のショウの部屋を見下すような表情と真剣な眼差しから自然と敬語になってしまう。
そして始まった大掃除、ショウは「座って仕事でもしていて下さい」と言われたが、集中出来るはずもなく、ただ楓彩の掃除テクをみていた。
30分後
「はい! ショウさん、よく分からないガラクタは自分で片付けて下さい!」
と重そうに運んできた機械が沢山入った箱をショウが作業している机に置く。
「あ、うんありがと───っ!!」
ショウはパソコンから目を離し、振り向くと目の前の光景に唖然する。
さっきまで足の踏みどころがない程、散らかっていた部屋が反射するまで綺麗になってたのだ。
「す、すげぇ……楓彩、本当に14歳?」
「え? そ、そうですけど……あ、他に何かする事ありますか?」
「……そ、そうだねぇ……(楓彩が何で私のところに来たかわかった気がする)」
「あ、ショウさん、少しお腹空きました」
とお腹を抑えて少し赤面した笑を浮かべる楓彩。
「んーこれだけ働いた後だもんね…売店行こうか」
「はい!」
総督室
剣得は死闘を繰り広げていた。
「あぁ、今日仕事多すぎ! なぜ!? 嫌がらせかテメェら!!」
とパソコンと資料を交互に見ながら発狂していた。
「キレないで下さい総督…あ、これもお願いします」
冷静な長髪赤毛の美人部下。
「うわぁぁ!!……楓彩をこっちに呼べば良かった…くそぉ」
「はいはい、楓彩ちゃんを使おうとしないの」
と新たに資料を剣得のデスクに置く。
総督室のデスクは資料の塔がいくつも出来上がっていた。
「昼までに終わらせなければ」
「昼に何かあるんですか?総督」
「あぁ、デートだ。─いでっ!」
後頭部に部下の一撃
「ふざけないで下さい…終わるまで見張っていますから」
と腕を組む部下。
「まて、楓彩との約束なんだよ!! 頼むから! な?」
額の前で両手を合わせている剣得に対し
「ま、まさかアンタ楓彩ちゃんに手を出しているなんて!! 警察呼びますね」
携帯を取り出してドン引きしていた。
「ぶっ!! 違う違うそういうのじゃないから!! ……あんまし言いたくないんだけどな…」
かかりつけの売店にて。
「特訓? 楓彩が?」
カゴをもったショウは自分の前でお菓子を選んでいる楓彩と話していた。
「はい、あと半月で試験なので」
とお菓子をショウのカゴに入れながら答える。
「そうか、え?14歳でしょ? 大丈夫?」
「はい、“契約”なので」
「へ、へぇ」
前々からショウの中にあった疑問が大きくなる。
確かに楓彩と剣得は同じマンションの同じ部屋で暮らしている。別に親子という関係ではなく、だからといって楓彩と剣得は14歳と29歳と歳が離れているので、交際しているという訳でもない。
その事はショウも含め施設内全員の話題となる事も珍しくない。
だが、2人とも黙秘を続けるのでさらに気になる。
昼
楓彩は総督室の扉をノックすると
「剣得さーん入りますよー」
返事が無い。
「?」
扉を開き部屋に入ると、ショウの部屋程ではないが散らかっていた。
「は、剣得さん!?」
「あれ、どうしたの剣得」
「ああ、楓彩とショウか、悪いな……立て込んでる……」
朝とは違い、剣得の声に覇気がなく、目の下にクマが出来ていた。
結果、剣得の仕事をショウと楓彩は手伝うハメになってしまったが、1時間くらいした後、楓彩は疲れてしまってショウの膝枕で寝てしまった。
剣得の仕事が落ち着いたのは午後7時
「終わったぁーー……ひとまずだけど……」
気持ちよさそうに伸びをする。
「お疲れ様、ってまだ終わってないか」
「あぁ、今日は徹夜かな? このまま行くと」
「さっすが、剣得は仕事に不真面目だねぇ、こんなになるまで貯めてたなんて(笑)」
と小馬鹿にするように口に手を当てて笑った。
「まぁ最近忙しかったからな…バカどもが騒ぎ起こしまくるから…」
頭を抱える剣得。
「あぁ、確かに犯罪増えたよねぇ」
「さぁて、楓彩んとこ行くかな」
「談話室で寝てるよ…」
「平和なやつだ」
「……剣得、私は反対だよ…楓彩を隊員にするの」
ショウの唐突な発言に対し剣得は
「……そうかい、話しちゃったか…仕方がないよ、“契約”だからな、それに、楓彩自身も今の生活には納得がいかないだろう」
と的確に返した。
「ねぇ、楓彩もそうだけど、“契約”って何? まさかとは思うけど、楓彩の生い立ちに関係してる?」
「ん? あぁ、してる。正確には俺の親父からの命令だ。それにあいつも収入が安定するし、win-winだろ?」
「はぁ。アンタ楓彩が好きなのか嫌いなのか」
ため息混じりの発言に対し剣得はストレートに
「愛してるぞ?」
「警察呼ぶね」
目を覚ますと、無機質な天井が視界にはいり、白いカーテンの外から陽の光が差し込む。
そして、ふと、右に寝返ると金髪の男性が寝息を立ててぐっすり寝ていた。
「……剣得さん、剣得さん」
男性を激しく揺らす。
「……ん? 朝か……楓彩、まだ寝かせろよ……」
薄い声でそう言うと、男は右に寝返り、また寝息を立て始めた。
「んん早く起きてください!」
「……んだよ」
楓彩は男性から掛け布団を奪い、ベットから突き落とす。
「──あだっ!!……何しやがる!!」
なぜ楓彩はこんなに急いでいるかと言うと。
「お腹空きました」
そう、つまり毎朝のことである。
「楓彩ー…着替えたかー? もう直ぐ出来るぞー?」
「はーい」
5月15日(月)
汐風香る海辺に建つマンションの一室。
ベーコンと卵を炒めるいい音と香りが広がっていた。
「剣得さーん、塩コショウわすれてません?」
という声が別室から聞こえてきた。
「あいつ、鼻効くな」
剣得は言われた通りに塩コショウを振り、皿に盛り付けると、慣れた手つきで食卓へ運ぶとそこには着替え終えたが、髪の毛がパーティー状態の楓彩が席に座って剣得を待っていた。
すると
「パンも欲しいです」
「はいよ」
「ジャムとバターも」
「くっ!」
結果、剣得は朝からキッチンとリビングを3回も往復した。
そして楓彩と剣得は料理を挟むように向かい合って席につくと
「いただきます」「いただきますっ」
2人は両手を合わせる。
何とも平和な朝である。
「楓彩、今日は職場来るだろ?」
楓彩はその質問に口の中に入っている物を飲み込んでから
「あぁ、そう言えばそうでしたね。何すればいいんですか?」
「雑用」
「ええ!? 私ゲストじゃないんですか? もっと丁重にもてなして下さいよ!!」
と立ち上がる。
「何様だオメェ。いつもやってる事をするだけだろ?」
「むぅーー。……いつも構ってくれないくせに……」
ポツリとつぶやく。
「ん? 何か言ったか?」
「何でもないです!さぁ行きましょうっ!」
「(何か今日、機嫌悪いな)」
楓彩はベーコンエッグを頬張ると皿を片付け、部屋から出ていってしまった。
「んー、今日暑いですね」
「もう夏だな。5月なのに」
2人して同じように、右手の掌を太陽に向けていた。
5月だが気温は30度を超えている。
それはこの島ならではのこと。
人工管理島。通称─セラフィス
“二十年前”
世界は崩れた。
それは一種の生物の本能による進撃によって。
瓦礫の中、生命を感じさせない風景の中で勝利したように佇む死闘の生存者。
──生存者
人類は皆、そう呼んだ。
生存者(サバイバー)から人類を隔離するために、作られた領域、それがこのセラフィス。
今では本土とこのセラフィスに分かれている。
本土は生存者の領域。
セラフィスは人類の領域。
セラフィスは人間が住むのに最適を求め、今では約三千万人が暮らしている程の巨大な島と化した。
しかし、人類最後の砦だけあって、治安は悪く、法律などはもはや存在しない。
だが、それらを統治している武力組織が存在する。
悪を淘汰し、生存者から生命を守る。
治安正統 対生存者自衛隊──通称G,S,A
このG.S.Aには剣得が総督として勤めていて、今日は楓彩もお手伝いとして出勤する。
G.S.A本部オフィス
「お、おはようございます!」
と、人見知りの楓彩にしては、元気良く挨拶をする。
すると、作業中だった髪の長い大人びた女性が椅子から立ち上がり近づいてくる。
楓彩は少し緊張するが
「ショウ、相変わらず朝早いな」
隣に立っていた剣得はその女性に挨拶を交わす。
「おはよう、楓彩、今日はお手伝いしてくれるんだって?」
容姿に寄らず優しい口調で声を掛けられたので楓彩は少し驚くが
「あ、はい、剣得さんのお手伝いを……」
「楓彩、今日はショウの手伝いをしてくれ」
剣得は携帯をいじりながら言う。
「おお、楓彩は私を手伝ってくれるのか」
と黒髪の大人びた女性は嬉しそうに笑っている。
楓彩はおどおどしながら剣得の上着の袖をつまみ
「き、きいてませんけどー?」
と、小声で話す。
「俺の方は間に合ってる、ショウ、楓彩を頼むな」
「ったく、うちは託児所じゃないけど? まぁいいや、よろしくね、楓彩」
とまたもや似合わない可愛らしい笑顔。
「よ、よろしくお願いします」
楓彩はすこし不満を持ちながらショウに付いていく。
「ショウ! 昼になったら楓彩を俺の所に連れてきてくれ」
その言葉を聞いて楓彩の表情は少し明るくなる。
「はいよー」
と、ショウは素っ気なく返事した。
兵器開発部門
「あ、あのショウさん」
「何?」
「ここって私入ってもいいんですか?」
確かに清潔感溢れる白い壁や廊下は楓彩の場違い感を醸し出していた。それだけではなく、ここは人類の最先端を行く場所で、人材も優秀な人物ばかり集まっている。
「あぁ別に構わないよ?」
「だ、だとしても私に出来ることなんかないと思うんですけど?」
自信なさげに言うと
「まぁやれることくらいはあるでしょ? 多分(楓彩をこっちに寄越した剣得の意図がよめない!!)」
そして2人はある部屋の前で止まる。
その部屋の扉にはでかでかと「ショウちゃんの工房!立ち入るな!!」と書いてある。
「ささ、入ってー」
この女性の正体は、ショウムート・ロン・トゥルン今の時代の発明を統べる、言わば最先端の女。
対生存者兵器や、軍事兵器まで、全ての兵器の生みの親。
それだけではなく彼女自身の趣味で便利グッズなども作っている。皆からは親しみを込めて「ショウ」や「ショウさん」と呼ばれている。
楓彩とショウが部屋に入るとまず……汚い、実に汚い、意味のわからないガラクタや雑誌、カップ麺の容器などが散らかり放題である。
「じゃあ、楓彩には何をしてもらおうかな?」
「掃除します」
「……へ?」
楓彩の唐突な発言にショウは素っ頓狂な声を上げてしまう。
「掃除します。さすがに汚いです。」
「そ、そう。じゃ、じゃあ私は何してればいい? ……ですか?」
楓彩のショウの部屋を見下すような表情と真剣な眼差しから自然と敬語になってしまう。
そして始まった大掃除、ショウは「座って仕事でもしていて下さい」と言われたが、集中出来るはずもなく、ただ楓彩の掃除テクをみていた。
30分後
「はい! ショウさん、よく分からないガラクタは自分で片付けて下さい!」
と重そうに運んできた機械が沢山入った箱をショウが作業している机に置く。
「あ、うんありがと───っ!!」
ショウはパソコンから目を離し、振り向くと目の前の光景に唖然する。
さっきまで足の踏みどころがない程、散らかっていた部屋が反射するまで綺麗になってたのだ。
「す、すげぇ……楓彩、本当に14歳?」
「え? そ、そうですけど……あ、他に何かする事ありますか?」
「……そ、そうだねぇ……(楓彩が何で私のところに来たかわかった気がする)」
「あ、ショウさん、少しお腹空きました」
とお腹を抑えて少し赤面した笑を浮かべる楓彩。
「んーこれだけ働いた後だもんね…売店行こうか」
「はい!」
総督室
剣得は死闘を繰り広げていた。
「あぁ、今日仕事多すぎ! なぜ!? 嫌がらせかテメェら!!」
とパソコンと資料を交互に見ながら発狂していた。
「キレないで下さい総督…あ、これもお願いします」
冷静な長髪赤毛の美人部下。
「うわぁぁ!!……楓彩をこっちに呼べば良かった…くそぉ」
「はいはい、楓彩ちゃんを使おうとしないの」
と新たに資料を剣得のデスクに置く。
総督室のデスクは資料の塔がいくつも出来上がっていた。
「昼までに終わらせなければ」
「昼に何かあるんですか?総督」
「あぁ、デートだ。─いでっ!」
後頭部に部下の一撃
「ふざけないで下さい…終わるまで見張っていますから」
と腕を組む部下。
「まて、楓彩との約束なんだよ!! 頼むから! な?」
額の前で両手を合わせている剣得に対し
「ま、まさかアンタ楓彩ちゃんに手を出しているなんて!! 警察呼びますね」
携帯を取り出してドン引きしていた。
「ぶっ!! 違う違うそういうのじゃないから!! ……あんまし言いたくないんだけどな…」
かかりつけの売店にて。
「特訓? 楓彩が?」
カゴをもったショウは自分の前でお菓子を選んでいる楓彩と話していた。
「はい、あと半月で試験なので」
とお菓子をショウのカゴに入れながら答える。
「そうか、え?14歳でしょ? 大丈夫?」
「はい、“契約”なので」
「へ、へぇ」
前々からショウの中にあった疑問が大きくなる。
確かに楓彩と剣得は同じマンションの同じ部屋で暮らしている。別に親子という関係ではなく、だからといって楓彩と剣得は14歳と29歳と歳が離れているので、交際しているという訳でもない。
その事はショウも含め施設内全員の話題となる事も珍しくない。
だが、2人とも黙秘を続けるのでさらに気になる。
昼
楓彩は総督室の扉をノックすると
「剣得さーん入りますよー」
返事が無い。
「?」
扉を開き部屋に入ると、ショウの部屋程ではないが散らかっていた。
「は、剣得さん!?」
「あれ、どうしたの剣得」
「ああ、楓彩とショウか、悪いな……立て込んでる……」
朝とは違い、剣得の声に覇気がなく、目の下にクマが出来ていた。
結果、剣得の仕事をショウと楓彩は手伝うハメになってしまったが、1時間くらいした後、楓彩は疲れてしまってショウの膝枕で寝てしまった。
剣得の仕事が落ち着いたのは午後7時
「終わったぁーー……ひとまずだけど……」
気持ちよさそうに伸びをする。
「お疲れ様、ってまだ終わってないか」
「あぁ、今日は徹夜かな? このまま行くと」
「さっすが、剣得は仕事に不真面目だねぇ、こんなになるまで貯めてたなんて(笑)」
と小馬鹿にするように口に手を当てて笑った。
「まぁ最近忙しかったからな…バカどもが騒ぎ起こしまくるから…」
頭を抱える剣得。
「あぁ、確かに犯罪増えたよねぇ」
「さぁて、楓彩んとこ行くかな」
「談話室で寝てるよ…」
「平和なやつだ」
「……剣得、私は反対だよ…楓彩を隊員にするの」
ショウの唐突な発言に対し剣得は
「……そうかい、話しちゃったか…仕方がないよ、“契約”だからな、それに、楓彩自身も今の生活には納得がいかないだろう」
と的確に返した。
「ねぇ、楓彩もそうだけど、“契約”って何? まさかとは思うけど、楓彩の生い立ちに関係してる?」
「ん? あぁ、してる。正確には俺の親父からの命令だ。それにあいつも収入が安定するし、win-winだろ?」
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