生き残りBAD END

とぅるすけ

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第1章 犯罪制裁 編

色んなルールがあって大変です。

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 「おーい楓彩、起きろー」

 剣得(はやと)は談話室のソファで丸くなって寝ている楓彩の肩を軽く揺らす。

「……ん? ごはんですか……?」

 どうやら寝ぼけている様子で、目は半開きだった。

「そうしたいところだけど、悪いな特訓するぞ」
「えぇ、今日はもういいですよぉー」

 と、ソファでぐだぐだしている楓彩に対し

「………そうか、今日は楓彩が大好きなピザを頼もうと思ってたけどやーめた、ショウと飯食うわぁ…楓彩は起きないらしいし」

 と悪戯な笑を浮かべる。

「うう、分かりましたよぉ、ピザを出されたら仕方ありません」

 不機嫌そうに口を尖らせる。
 という訳で、G,S,Aの戦闘実演室を使って特訓をすることに。
 G,S,Aでは毎年、入隊志願者を対象に試験を行う。

 学力を問う筆記テスト。

 運動能力を問う体力テスト。

 そして、能力実演テスト。

この能力実演テストは、射撃、対人術、そして異能力、これら3つを問われる。基本は射撃と対人術で評価されるが、異能力を持つ者はいかに自分の能力を正確に操れるかを問われる
 そして楓彩は剣得との契約を果たすため、今年中にはG,S,Aに入隊しなければならない。


 戦闘実演室

 楓彩はトレーニンウェアのような軽い素材の服を来ているが、剣得は丈の長い制服の袖を通さずに肩に掛けてマントのようにしている普段の格好だった。
 そして、2人は10mほど距離を取ると

「よーし楓彩、始めるか」

 と言って剣得は拳銃のような形をしたものを構え、楓彩は木刀を下段に構える。
 戦闘実演室は昔で言う東京ドームほどの広さがあり、方向感覚を養うために色がなく、白い密室で外からはマジックミラーで見えるようになっているが、中からは気がおかしくなりそうな位に何も無い。

「お願いします」

 楓彩は足に力を込める。

 この世界では何らかの影響で5割の人類には発達した能力が宿っている。

「───!!」

楓彩の能力とは

────刹那

 剣得の手にしていた拳銃のようなものは宙を舞い、楓彩は木刀の反りの腹部分を剣得のうなじに当てていた。

「………ウォーミングアップはこんなもんでいいだろ、速くなったな楓彩」

 と余裕な表情を浮かべる。

 そして、時間差で楓彩が元いた場所の石性の床が深くえぐれる。

「剣得さん、今日こそは本気出してください、練習になりません」

 真剣な声で訴えかけてくる楓彩に対し剣得は

「はは、まいったな、楓彩の速さなら余裕で合格なんだけどなぁ…本気で相手しなきゃだめか?」

「はい、限界を知りたいので」

 真面目な声。

「んじゃ、木刀を置け」



 ショウちゃんの工房

「さぁて、仕事終了!! 剣得達のところ行こうかな」

 ショウは今日こなすべき仕事を終え、伸びをしていた。

 白衣の下は下着で、部屋に1人だからだろう、ボタンをひとつも閉めず、黒いセクシーな下着が丸見えだ。

 その時

───ドォォン

「ん? なんだろ…地鳴り?」

───ドォォン

 その地響きのような音は立て続けに何回もG,S,A本部内を揺らしていた。

「戦闘実演室の方からだ」

 ショウはまさかと思い、ボタン閉め、ジーパンを履くと、恐る恐る戦闘実演室へ向かう。
 すると数人の役員が戦闘実演室の中をガラス越しに中を覗いていた。ショウも人々の間から覗き込むと、剣得と楓彩が取っ組みあっていた。

「おい、総督は1人で何してるんだ?」
「分からん、あの年で厨二病みたいに1人でカッコつけてる訳でも無さそうだけど」

 なんて地鳴りを聞きつけてやって来た役員達の会話が聞こえたのでショウは呆れて

「そっか、あんた達には楓彩が見えてないのか」

 とため息混じりに言った。

「ショ、ショウさん? それはどういう?」



「おい、楓彩どうした? スピード落ちてるぞ?」

 と楓彩の攻撃をかわす剣得。

「分かってますよ!! 剣得さんに掴まれないように必死なんです!!」

 と剣得に必死になって蹴りを浴びせる楓彩。
そう、楓彩は今、速さの限界に挑戦している。



「あの娘の速さは異常だからねぇ、あんた達常人じゃ目で捉えることはまず無理だね…何せ最高時速マッハ19だからねぇ…さっすが人類最速、スピードの楓彩」

と戦闘実演室の中を除きながら言う。

「とんでもない新人ですね…ちなみに、ショウさんには見えてるんですか? 楓彩ちゃんの動きが」
「もちろん。楓彩の動きを見れるのは施設内で私と剣得を含めて4人しか居ないよ」

 と誇らしげなショウだが、動きは見れても体は付いてこれないのが現実だとショウは理解していた。


前方からの左回し蹴り。

後方からの後ろ回し蹴り。

空中からのかかと落とし。

 どれも、残像が残って楓彩が分身する程凄まじい速さだが、もっと異常なのは剣得の方だ、楓彩の全力の攻撃を左腕だけで防いでいるのだから。

「いいね、どんどん加速してるじゃん」
「余裕そうな顔で言わないで下さい!!」

 剣得の煽りに半分キレ気味の楓彩はさらに加速して正拳突きをかます。

「お前の腕っ節は弱いから蹴りだけにしろって言っただろ?」

 と、二本で拳を止められてしまう。

「チッ!!」

 楓彩な剣得から距離をとる。

「楓彩、俺がお前を捕まえたら終わり───」

刹那

「そぉい!! て、手応えありです!!」

 楓彩のスピードを乗せた凄まじい威力の飛び蹴りが剣得に炸裂する。

 剣得は左腕の前腕で受けた。

 剣得のかなり後ろにある壁はもはや、風圧の影響で完成していないジグソーパズル状態になってしまったが、剣得は依然として微動だにせず、楓彩の足を掴み

「はい、俺の勝ち」
「なっ!?」

 楓彩は右足を掴まれてしまったので、落ちないために剣得の肩にしがみつく。

「おぉ、こっからどうする?」

 と煽ってくるが、剣得の力が強すぎて、右足を振り解こうにも振り解けない楓彩。

「ぐぎぎ……くっ!」

 足を振り解こうと頑張って剣得を叩いてみるが、全てかわされてしまい、やむを得ず

「ぎ、ギブです」
「本気だせって言ったのお前だぜ?」

 と言って楓彩を抱きかかえてそのまま下ろす。

「さぁて、ご飯にするか? まだ30分しかやってないけど」

と右腕にまいてあった時計を確認する。

「はぁ、はぁ、も、もうちょっとやりましょう」

 楓彩はがっつり肩で息をしていた。

「無理すんな、ピザ食べに行こ? な?」

 ピザ、この言葉に、楓彩の耳の上あたりの寝癖がぴょこんとはねる。

「うぅぅ…まだやりたいです!」

グゥゥ

 と言ったものの、楓彩の身体は正直で、腹の虫が鳴いた。
 楓彩は言ってることとやってることが違うのに気付き、顔を赤くして

「は、はやく行きましょう」

 と言って出口の方へ歩いて行ってしまった。

「ふっ」

 剣得は戦闘実演室しつを見渡すと、入ってきた時と今とで戦闘実演室のダイナマイトの威力に耐える壁に大穴が開いていたり、クレーターが出来てたりで、すっかり荒れ果てていた。


 剣得は楓彩を待って、G,S,A本部の正面入口で立たされていた。

「あいつ着替えんの遅いな」

 剣得は腕時計を見ながら貧乏ゆすりをしていた。
 すると小走りで人影が近づいてくる。楓彩のものとあと1人。

「お、お待たせしました! 剣得さん」

と両膝に手を置いて疲れている様子の楓彩。

「……おい、楓彩、俺疲れてんのかな? もう一人いない?」

 と言って目を擦る。

「おっす、剣得…楓彩に誘われちゃってねぇ?」

 黒髪が印象的な女性、ショウが白衣姿でポケットに手を入れて立っていた。

「ふっざけんな!! 何でこいつを連れてきた!? 楓彩!!」

楓彩はその声にビクッと体を震わせると弱々しい声で

「っ!! ……えっと、その、ショウさんにもお世話になったので、一緒にご飯食べたいと思って、その……」

 その今にも泣き出しそうに俯いてしまった楓彩を見て剣得は

「あ、いや、楓彩が悪いわけじゃなくて!なんて言うかな……」

 剣得が困ってる様子をみてショウは腹を抱えて静かにツボっていた。

「……何笑ってんだ?ショウ」

 とジト目を送る。

「人類最強の童貞がテンパってるの面白くて( 笑 )」

 腹を抱えて剣得に向けて右手のひらを向けていた。

「童貞言うな!!」
「どうてい?」

楓彩は理解していない様子で首を傾げる。


 その後、剣得達は「カルボン」というG,S,A本部周辺のイタリア料理専門店へ向かうことに。

「ショウ、当たり前のようについてきてるけど、奢らんぞ?」
「えぇぇ、んじゃあ、帰ろうかなぁ?」

 と悪戯な笑を浮かべる。

「おう帰れ帰れ」

 剣得は左手の甲で払う動作をする。
 その会話を聞いていた楓彩は

「ええ! 帰っちゃうんですか?」

 と、悲しそうに剣得を見る。

「……あぁ! 分かったよ! 帰るなショウ!」

 とショウを引き止める。

「んじゃ、奢ってねぇ?」

 再度、悪戯な笑を浮かべる。

「チッ(だから嫌なんだよ! 俺と同じ位稼いでるくせに…)」

 ショウは楓彩の方をみてウィンクサインをすると楓彩も嬉しそうな表情を見せる。


 店に着くとすぐさま

「おぉ! いい匂いです!!」

 と、楓彩が背伸びをして匂いを楽しみながら、店に入ってすぐにはしゃぎ始める。
 レンガを積み上げたような壁はイタリアな感じを醸し出していて、店内にはピザやパスタの匂いが漂っていた。

「いらっしゃいませ、どうぞ空いてるお席に」

 女性店員に言われた通り3人はボックス席に座ると、剣得は頬杖をつき、ショウと楓彩はメニューと睨めっこを始める。
 だが、剣得はあることに気がつく。楓彩はキラキラした目でピザのページを見ていたが、ショウはページを速く捲っていく。

「お、お前……」

 どうやらどれだけ高い物があるかを探しているのだろう。

「剣得、私これ」

 と、指差した料理は「カルボンのカルボ」という料理で2000と記されている。

「高い、1000までに収めろ」
「ケチ」

 とショウは口を尖らせる。

「剣得さん剣得さん!! 私これがいいです!」

 と、楓彩もメニューを指差して見せてくる。

「アンチョビとサラミのカルボピッツァ」 1000

「あぁ、いいぞ。で? ショウは何にする?」
「私もそれ。……仕方ないから……ボソ」

 ショウはどこか不満そうだった。
 剣得がメニューが置いてあった場所あるボタンを押すと、その装置のスピーカーから店員の声が聞こえてくる。

『はい、ご注文をお伺いします』
「アンチョビとサラミのカルボピッツァを2つ、カフェオレを1つ、以上で」
『かしこまりました。3分でお持ちします』

剣得は注文を終えるとまた、頬杖をつく。

「剣得さん、カフェオレだけで足りるんですか?」

楓彩は心配そうに尋ねる。
「あぁ、腹があんまり減ってなくてな。」

3分後

「ごゆっくりどうぞー」

 テーブルにはピザの生地の香ばしい香りと上に乗っている、具材やカルボナーラ風味の香りがが漂っていた。

「わぁ!おいしそうです!!」

 料理が来ると楓彩の興奮は最高潮になり立ち上がる直前まで行った。

「ほれ、そこのピザイーター、座りなさい」

 そして楓彩はピザを口にすると

「お、おいしいぃ~~~(*´ч`*)」

 と頬に左手を当てて幸せそうな顔をする。
見てる剣得達も幸せにしてくる。

「ふぅん、まぁおいしいね…楓彩はここ来るの初めてなの? 私は2回目? かな」

 その質問に楓彩はピザに夢中で答えられそうにないので

「楓彩と俺は常連だぞ?」
「………常連でこの反応、店側も幸せだろうね」

 呆れた顔で言う。
 こうして楓彩は幸せな一時を過ごしていた、その時だった。

「っしゃおらぁ!!! 金だせぇい!!」

と言ってチンピラ3人が店の扉を蹴破ってきた。
 この街では良くあることで、治安の悪さを象徴している。が

「またか」

 チンピラは席に座っている剣得と目が合うと

「げぇ!!王思剣得ぉ!!!???」
「し、失礼しましたぁ!! 逃げろ逃げろ!!」

 来店した3人は10秒と経たずに退店した。

「………」

 店全体が沈黙に包まれる。

「何あいつら」
「さぁ?」

 すると、店主と店員が剣得達が座ってるボックス席に集まってきて

「ありがとうございます!!」

 と一同が深々とお辞儀をする。

「え、え?」

 すると店に居合わせたお客さん全員もそれに便乗して拍手をする。

「え、俺何もしてな……」
「今日はお代いただきませんので、どんどん食べて下さい!!」
「無料ですか!!??」

 と楓彩は目をキラキラさせる。

「いやいやいや! 俺何もして──むぐぅ!?」
「ありがたくいただきます」

 ショウは剣得の口を手で塞ぎ、楓彩は頼む気まんまんでメニューを見ていた。

「ピ、ピザをここからここまで!」
「ぷはぁ! っおい!!」
「んじゃ、私これ♪」
「ショウまで……」

 数分後
 テーブルの上には料理が大量に運び込まれていた。

「お前らなぁ」
「も、もうギブ……(そこまで美味しくないし…)」

 ショウは腹に手を当てて上を向いていた。

「剣得さんも食べますか? すごく美味しいですよ?」

 とピザ、ワンピースを差し出してくる。

「帰るぞ!!」

 と、立ち上がり楓彩とショウの後ろ襟を掴み出口まで引きずる。

「んん!はやほはん!! ゴク まだ食べたいです!」

 剣得はがま口の可愛らしい財布からカードを取り出し

「会計!」

 店員を呼ぶ。

「え、その──」

 店員は少し困った表情をするも

「か! い! け! い! 」
「は、はひ!!」

 その鬼のような形相から店員は男性ながら、軽く悲鳴をあげて、レジカウンターに立つ。
 剣得は手にしていたカードをレジカウンターに置いてある機械にかざす。

「げ!? 30000!!」

 剣得は2人にゲンコツをかますと、会計を済ませて足早に店を立ち去った。
 もちろん2人を引きずって。


「ううーー、頭がぁぁーー」

 夜の商店街を両手で頭を抑えながら歩く楓彩とショウ。

「私の大事な大事な脳細胞が……」
「お前らバカやりすぎだ」

 と呆れた声をだす。

「なんでですか?」「なんで?」
「いくらタダになろうがなんだろうが相手の良心に自分の欲を出したら悪者になるぞ? それに俺何もしてないし!」
「なにそれ」
「良心はあげるもので、受け取るものじゃない。恩着せがましいと悪い印象しか受けないぞ? ってショウに言っても無駄だから…楓彩! お前は覚えとけよ?」

 と楓彩の方を向いて話す。

「あ、はい」
「(なんで私には無駄なんだ?)」

 ショウは頭をひねった。

「はぁ、さて楓彩、お前は帰るだろ? 俺は残業があるから本部にもどるけど」

 剣得は深くため息をつくと、楓彩に尋ねる。

「ええ!? ……剣得さんいないと……」
「ん?」

 すると、楓彩は恥ずかしそうな顔をして剣得の服をつまみ

「ね、寝れません……」

 剣得も顔を赤くして

「っ! (これは動悸だこれは動悸だこれは動悸………)」

 と深呼吸をして心を落ち着かせる剣得。

「剣得」
「ん、ん?」
「警察呼ぶね?」

 ショウは携帯を構えていた。

「だから違うって!!」
「あんた、ほんとに! 楓彩に手をだしたら社会的に殺して肉体的にも殺して最後に仏的にも殺すからね!?」

マジな顔だった。

「3回も殺すな、そして仏的ってなんだよ。……はぁ疲れた(まじで、疲れた……これからも残業だし)」

 剣得は前を向いてこれからの仕事を考えながら歩き始めた。
 最近は犯罪者が増え、先程も、剣得達がいなければあの店はチンピラ3人に荒らされていた。
 剣得は憂鬱だった。

「剣得!!」

 ショウの悲鳴じみた声でハッとする。
 その時、楓彩は膝から崩れ落ちる寸前だった。

「────おっと!もうこんな時間か」

 剣得はとっさに楓彩の肩を支える。

「ど、どうしたの? 楓彩」

 ショウは心配そうに尋ねる。

「寝た」
「へ?」

 その剣得のあまりに予想外な発言に素っ頓狂な声をあげてしまう。
 そしてショウが楓彩を確認してみると

「スースー」

 寝息を立てていた。

「さて、帰るか」

 剣得は楓彩をおんぶして立ち上がると平然と歩き始めた。

「剣得、私、理解が追いつかないんだけど?」
「あれ?ショウは知らなかったっけ?こいつ、9時になると確実に寝る、“確時睡眠症”なんだ」


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