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第1章 犯罪制裁 編
はぁ、休日です………
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「……ん、朝?」
楓彩が目を覚ますと、いつも通り見慣れた天井が視界に入る。
どうやらあれから家に帰っていたらしい。
だが、異変に気付く
「あれ? ……剣得さん?」
いつもは、隣に寝てる剣得の姿がない。
「……?」
楓彩は枕元にあった置き書きに気づく。
『かえでへ、仕事にいってる。
冷蔵庫にピザがあるから腹が減ったら食べてくれ。それと、最近物騒だから、あまり外に出るなよ。何かあったら俺の携帯に連絡してくれ。夜飯時には帰る。
剣得』
「はぁ、剣得さん、仕事か……」
楓彩は部屋を見渡し
「よし、暇です」
G,S,A本部
「剣得? どうしたの?」
「……いやぁね?楓彩を一人にして置いてきちゃったから、心配で」
「なーんだ、いつもの事じゃん、それとも毎回そんな、心配してたの?」
剣得は自分のデスクに伏せ、どこか憂鬱そうに、ショウを見上げる。
「ほら、シャンとして、昨日の事件の資料置いておくから」
その言葉を聞くと、剣得はスイッチが入り
「そうだ、俺なりに考察してみたんだが、奴らSABERは、俺らを囲むように根城を立てているんじゃないか? あの、戦力が出てきたのは運が悪かったが、少なくとも、俺達より早く、生存者の襲撃を察知して行動できわけだし」
「……一般の考えすぎて、ため息も出ないよ、天才が思うに、奴らの拠点は恐らくこの島に無い」
「………は?」
「この島の陸上ではなくて、海域に船でも何でも浮かべておけば拠点になるだろ、あれ以来、足取りが掴めないなんておかしい」
剣得はキョトンとした顔で尚、ショウを見つめる。
「……ないないない」
と、顔の前で大袈裟に腕をふる。
「第一に、海域に住むなんて、自殺行為だぞ?真っ先に生存者の餌になっちまう」
「そこら辺は何かカラクリがあるんだろ?知らんけど。もしくは、憶測なんだけど、このセラフィス以外にも、近くに“生きてる”島があるんじゃない?」
「? 根拠は?」
「さっきも言った通りこの島に現在、奴らは存在しない、だから、根城は島の外にある、けど、あの強力な戦力を投入できるんだから、安定した根城が必要でしょ? 島でもない限り、私たちに戦争を仕掛けるなんて、それこそ自殺行為だよ」
「なるほど」
セラフィスのある海域は、もともと太平洋と呼ばれていた。アメリカと日本のちょうど間に位置する。
13年ほど前、アメリカと日本の協力により作られた人口管理島で、世界中が注目していた。
だが、10年前の生存者事件により、人々はセラフィスを安静地として利用している。
「セラフィス以外の島、ねぇ…可能性は薄いだろ、この近くの島なんて、ハワイくらいだぞ?それももう“死んでる”し」
「大丈夫、私もこの考えを出した時、考えすぎかな? って、思ったから」
「はぁ、大変だな」
「……話変わるけどさ、楓彩と一緒に寝てるんだよね」
「あ? あん?」
「毎回、あの寝相をくらってるの?」
ショウは最近、楓彩の寝相の悪さを実感したので、剣得の事が心配だった。
だが
「…慣れれば、かわせる」
その、次元の違う回答に、言葉が出ないショウだった。
その頃、楓彩はと言うと
「くぁ、大変です!」
楓彩は生まれて初めて、洗濯物をベランダに干すということをしている。
「し、身長が、とど、かな、い!!」
楓彩はつま先をプルプルさせて、頑張ったが、結局全体の半分の量しか干せなかった。
「わ、私には無理でした……。」
そう、楓彩はいま、剣得の手助けをしようと、自分のやれることを探して、奮闘している。
洗濯の前に、料理と掃除を試してみたが、掃除は、掃除機の使い方が分からなかったので、雑巾がけをしようと思ったが、意識して床をみたら、反射するほど綺麗に掃除されていたので楓彩は
「ま、間に合ってたァ……。」
と変な声でややイラついていた。
さて、料理の方だが、剣得の工作か、包丁は鍵が無いと使用出来ないようになっていて、同じように、火も使用出来ない状況。
剣得は楓彩に料理をさせる気が無いどころか、絶対にさせないようになっていた。
「……むぅ」
そして今、洗濯を断念したところで、楓彩は既に涙目だった。
楓彩はテレビの前に置いてあるソファに腰をかける。
「私、何をしてればいいんでしょう」
グゥゥ
「……ピザ…食べますか。」
楓彩は立ち上がり、トラウマが残るキッチンへ向かい、冷蔵庫を開ける。
すると、思ったより立派なピザが入っていた。1ピース食べられていたが。
楓彩は別の皿に、3ピースとって分けると、レンジの中に入れる。
しばらくしてアラームが鳴り、レンジの中からピザを取り出すと、食卓へ運び、食べ始める。
「ふゎぁ、ひょう、なにひへまひょう(はぁ、今日、何してましょう)」
その時だった、家にある電話が、鳴り響く。
楓彩はやや駆け足で、電話に近づき、番号を確認する。
「はやほはん(剣得さん)?」
楓彩は電話機のボタンを押すと
「モヒモヒ?はやほはん? (剣得さん?)」
『おう、楓彩か、大丈夫か? 何ともないか?』
「あ、はい、はいひょうふへふよ? (大丈夫ですよ)」
『食べるか喋るかハッキリしてくれ』
「もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ」
『食べるんかい!!』
「ゴクッ……大丈夫ですよ?」
『そ、そうか、良かった』
「剣得さん、やっぱ大丈夫じゃないです」
『どうした?』
「暇です!! せめて、仕事を! 外出を!! 何かください!!」
『そ、そうか、そうだよな……テレビは?』
「つまんないです!!」
『昼寝は?』
「寝ません!! ていうか、なんですか!? 料理出来ないじゃないですか!!」
『お、お前、料理!? しようと思ったのか? 危ねぇからやめてくれ!』
「な、なんでぇ!」
『怪我して欲しくないから!』
「っ!!」
『……まぁ、あれだ、じゃあ、お使いするか?』
「お使い!!」
『ああ、トイレットペーパーと、ティッシュを頼む、金は、テレビの前のポーチから持って言ってくれ。』
「はい!」
『頼むから気をつけてくれよ?』
「分かってます!」
楓彩は電話機のボタンを押し、通話を切ると、剣得に言われた通り非常時用のお金が入っている、ポーチから必要分お金を取りだす。
「さぁ、行きますか!」
5月だが、7月並みの暑さを誇る外に出るが、楓彩は家の中にいた時よりも活き活きとしている。
「お使い♪ お使い♪ お使い♪」
やがて、徒歩5分の行きつけの商店街が見えてくる。すると
「あら、楓彩ちゃん、こんにちは」
「あ、こんにちは!」
声を掛けてきたのは商店街に入ってすぐにある、薬局の前を掃除している店主のおばさんだった。
「お使い?」
「はい!ティッシュと……えっと、そうだ!トイレットペーパーです。」
「そうかい、じゃあ、──」
「では!!」
「え、楓彩ちゃん?」
楓彩は笑顔で薬局の前を通過した。
「行っちゃった………」
そして、しばらくして
「ここって、ティッシュとトイレットペーパー売ってますよね……?」
「おかえり、楓彩ちゃん売ってるよ?」
楓彩は少し顔を赤くして
「あははは、すいません」
「ははは、いらっしゃい」
店主のおばさんは、優しく笑ってもてなしてくれた。
「まいどありー」
楓彩は、無事お使いを終えることが出来たが
「?」
お使いの帰り道、楓彩は、出会った。
「ニャー」
「猫?」
その猫は白く、すこし汚れていた。
商店街から出て、すぐの電柱の影に丸まって座り、楓彩を見上げていた。
首輪は付いておらず、どうやら野良猫のようだ。
楓彩は興味を持って、近づく。
「どうしたんです───っ?」
楓彩は荷物を足元に降ろすと
「怪我、してますね」
その白猫は、後ろ右足が赤く染まっており、どうやら動けなくなっていたようだ。
「……。」
楓彩は持っていたハンカチを右後ろ足に巻くと、右腕に抱きかかえ、荷物を拾い、歩き始める。
家に着くと、白猫をソファに降ろし、荷物を放り投げてキッチンへ急ぐ。
楓彩は冷蔵庫を開け、たまたまあった、ツナ缶をあけ、皿に移し、平皿に水道水をくみ、ソファの近くの床に置く。
「食べますか?」
白猫をソファから降ろし、皿の前に置く。
が、白猫は少し警戒しているのか、匂い嗅いでいる。
「?」
だが、楓彩の顔を見ると、なぜか安心したのか一心不乱に食べ始める。
「おぉ、慌てなくても誰も取りませんよ?」
楓彩は白猫の少し土が付いて、汚れている体を優しく撫でる。
「後でお風呂に入りましょうねぇ」
そして、白猫が食事を済ませると、楓彩は白猫を抱えてバスルームへ向かう。
「ううん、立てそうもありませんよね」
楓彩は、抱えている白猫の目を見て考える。
立てるなら、そのまま自身が服を脱がずとも洗えるが
「私も脱がなきゃダメですかね」
と言って、楓彩は衣服を濡らさないために着ている服を脱ぐ。
「ぷはぁ、さぁ、入りましょう。」
楓彩は白猫を胸元に抱えてバスルームに入ると、シャワーのヘッドからお湯を出す。
すると白猫は動けないながら、驚き、逃げようとする。
「あ! ご、ごめんなさい! ビックリしちゃいましたね」
一旦白猫落ち着かせると、床に降ろし、両手でお湯の温度調節をする。
「こんなもんですかね」
楓彩はシャワーチェアに座り、太ももの上に白猫を乗せ、首元から尻尾にかけて、優しくお湯をかける。
「気持ちいですかー?」
「ニャーゥ」
「うふふ、可愛いです。」
楓彩はシャンプーに手を伸ばし
「シャンプーはこれでいいんですかね?猫用の物が無いので」
楓彩はボディタオルを手に取りシャンプーを染み込ませる。
その後、5分ほどすると、白猫の体は文字通り綺麗な白猫になっていた。
「さぁ、お顔拭きましょうね。」
と、白猫の目に当たらないように湿らせたタオルで、優しく拭いてあげる。
「美人さんですね。」
そして、白猫の後ろ右足に、ちゃんとした包帯を巻き、ソファに腰を下ろし、膝の上に乗せる。
「あれ?寝ちゃった……。」
白猫は楓彩の膝の上で、寝てしまった。
「なんか、気持ちいですねぇ」
空いている右側にある窓の外から入ってくる心地よい風と、静かな昼下がりの空気は楓彩の眠気を誘った。
「あぁ、やっと、暇を作れたぁ、楓彩大丈夫かなぁ?」
剣得は、仕事に一区切りつけることができ、楓彩の夕食を作るために一度帰宅していた。
「ただいまー……あれ?電気がついてない」
剣得はリビングに入り、電気をつけると驚愕する。
「散らかってんなー、おい」
おそらく、お使いの時に買ってきたであろう、ティッシュとトイレットペーパーが乱雑に床に置かれ、床には、水滴が所々に落ちている。
「何してんだ、楓彩───っ!!??」
楓彩は、ソファで白猫を上に乗せて、気持ちよさそうに寝ていた。
全裸で。
「服くらい着ろよ!!」
「──ふぁあ!?」
「にゃっ!!」
楓彩と白猫は剣得の声で、目覚める。
「……は、剣得さん?……」
「まったく、風引くぞ?」
「へへへ、すいません寝ちゃいました。」
楓彩は剣得に言われた通り、服を着ると、白猫を抱きかかえて
「剣得さん、剣得さん!この猫───」
「ダメだ。」
「え……?」
「別にここペット禁止ではないけど、1人で面倒見きれないだろ、俺も家に居ることは少ないし」
「で、でも……」
剣得は白猫の右後ろ足に巻いてある包帯を見て
「…怪我が治ったら、ちゃんと放せよ?」
「……はい」
「さぁ、飯にするか」
「……はい」
楓彩が目を覚ますと、いつも通り見慣れた天井が視界に入る。
どうやらあれから家に帰っていたらしい。
だが、異変に気付く
「あれ? ……剣得さん?」
いつもは、隣に寝てる剣得の姿がない。
「……?」
楓彩は枕元にあった置き書きに気づく。
『かえでへ、仕事にいってる。
冷蔵庫にピザがあるから腹が減ったら食べてくれ。それと、最近物騒だから、あまり外に出るなよ。何かあったら俺の携帯に連絡してくれ。夜飯時には帰る。
剣得』
「はぁ、剣得さん、仕事か……」
楓彩は部屋を見渡し
「よし、暇です」
G,S,A本部
「剣得? どうしたの?」
「……いやぁね?楓彩を一人にして置いてきちゃったから、心配で」
「なーんだ、いつもの事じゃん、それとも毎回そんな、心配してたの?」
剣得は自分のデスクに伏せ、どこか憂鬱そうに、ショウを見上げる。
「ほら、シャンとして、昨日の事件の資料置いておくから」
その言葉を聞くと、剣得はスイッチが入り
「そうだ、俺なりに考察してみたんだが、奴らSABERは、俺らを囲むように根城を立てているんじゃないか? あの、戦力が出てきたのは運が悪かったが、少なくとも、俺達より早く、生存者の襲撃を察知して行動できわけだし」
「……一般の考えすぎて、ため息も出ないよ、天才が思うに、奴らの拠点は恐らくこの島に無い」
「………は?」
「この島の陸上ではなくて、海域に船でも何でも浮かべておけば拠点になるだろ、あれ以来、足取りが掴めないなんておかしい」
剣得はキョトンとした顔で尚、ショウを見つめる。
「……ないないない」
と、顔の前で大袈裟に腕をふる。
「第一に、海域に住むなんて、自殺行為だぞ?真っ先に生存者の餌になっちまう」
「そこら辺は何かカラクリがあるんだろ?知らんけど。もしくは、憶測なんだけど、このセラフィス以外にも、近くに“生きてる”島があるんじゃない?」
「? 根拠は?」
「さっきも言った通りこの島に現在、奴らは存在しない、だから、根城は島の外にある、けど、あの強力な戦力を投入できるんだから、安定した根城が必要でしょ? 島でもない限り、私たちに戦争を仕掛けるなんて、それこそ自殺行為だよ」
「なるほど」
セラフィスのある海域は、もともと太平洋と呼ばれていた。アメリカと日本のちょうど間に位置する。
13年ほど前、アメリカと日本の協力により作られた人口管理島で、世界中が注目していた。
だが、10年前の生存者事件により、人々はセラフィスを安静地として利用している。
「セラフィス以外の島、ねぇ…可能性は薄いだろ、この近くの島なんて、ハワイくらいだぞ?それももう“死んでる”し」
「大丈夫、私もこの考えを出した時、考えすぎかな? って、思ったから」
「はぁ、大変だな」
「……話変わるけどさ、楓彩と一緒に寝てるんだよね」
「あ? あん?」
「毎回、あの寝相をくらってるの?」
ショウは最近、楓彩の寝相の悪さを実感したので、剣得の事が心配だった。
だが
「…慣れれば、かわせる」
その、次元の違う回答に、言葉が出ないショウだった。
その頃、楓彩はと言うと
「くぁ、大変です!」
楓彩は生まれて初めて、洗濯物をベランダに干すということをしている。
「し、身長が、とど、かな、い!!」
楓彩はつま先をプルプルさせて、頑張ったが、結局全体の半分の量しか干せなかった。
「わ、私には無理でした……。」
そう、楓彩はいま、剣得の手助けをしようと、自分のやれることを探して、奮闘している。
洗濯の前に、料理と掃除を試してみたが、掃除は、掃除機の使い方が分からなかったので、雑巾がけをしようと思ったが、意識して床をみたら、反射するほど綺麗に掃除されていたので楓彩は
「ま、間に合ってたァ……。」
と変な声でややイラついていた。
さて、料理の方だが、剣得の工作か、包丁は鍵が無いと使用出来ないようになっていて、同じように、火も使用出来ない状況。
剣得は楓彩に料理をさせる気が無いどころか、絶対にさせないようになっていた。
「……むぅ」
そして今、洗濯を断念したところで、楓彩は既に涙目だった。
楓彩はテレビの前に置いてあるソファに腰をかける。
「私、何をしてればいいんでしょう」
グゥゥ
「……ピザ…食べますか。」
楓彩は立ち上がり、トラウマが残るキッチンへ向かい、冷蔵庫を開ける。
すると、思ったより立派なピザが入っていた。1ピース食べられていたが。
楓彩は別の皿に、3ピースとって分けると、レンジの中に入れる。
しばらくしてアラームが鳴り、レンジの中からピザを取り出すと、食卓へ運び、食べ始める。
「ふゎぁ、ひょう、なにひへまひょう(はぁ、今日、何してましょう)」
その時だった、家にある電話が、鳴り響く。
楓彩はやや駆け足で、電話に近づき、番号を確認する。
「はやほはん(剣得さん)?」
楓彩は電話機のボタンを押すと
「モヒモヒ?はやほはん? (剣得さん?)」
『おう、楓彩か、大丈夫か? 何ともないか?』
「あ、はい、はいひょうふへふよ? (大丈夫ですよ)」
『食べるか喋るかハッキリしてくれ』
「もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ」
『食べるんかい!!』
「ゴクッ……大丈夫ですよ?」
『そ、そうか、良かった』
「剣得さん、やっぱ大丈夫じゃないです」
『どうした?』
「暇です!! せめて、仕事を! 外出を!! 何かください!!」
『そ、そうか、そうだよな……テレビは?』
「つまんないです!!」
『昼寝は?』
「寝ません!! ていうか、なんですか!? 料理出来ないじゃないですか!!」
『お、お前、料理!? しようと思ったのか? 危ねぇからやめてくれ!』
「な、なんでぇ!」
『怪我して欲しくないから!』
「っ!!」
『……まぁ、あれだ、じゃあ、お使いするか?』
「お使い!!」
『ああ、トイレットペーパーと、ティッシュを頼む、金は、テレビの前のポーチから持って言ってくれ。』
「はい!」
『頼むから気をつけてくれよ?』
「分かってます!」
楓彩は電話機のボタンを押し、通話を切ると、剣得に言われた通り非常時用のお金が入っている、ポーチから必要分お金を取りだす。
「さぁ、行きますか!」
5月だが、7月並みの暑さを誇る外に出るが、楓彩は家の中にいた時よりも活き活きとしている。
「お使い♪ お使い♪ お使い♪」
やがて、徒歩5分の行きつけの商店街が見えてくる。すると
「あら、楓彩ちゃん、こんにちは」
「あ、こんにちは!」
声を掛けてきたのは商店街に入ってすぐにある、薬局の前を掃除している店主のおばさんだった。
「お使い?」
「はい!ティッシュと……えっと、そうだ!トイレットペーパーです。」
「そうかい、じゃあ、──」
「では!!」
「え、楓彩ちゃん?」
楓彩は笑顔で薬局の前を通過した。
「行っちゃった………」
そして、しばらくして
「ここって、ティッシュとトイレットペーパー売ってますよね……?」
「おかえり、楓彩ちゃん売ってるよ?」
楓彩は少し顔を赤くして
「あははは、すいません」
「ははは、いらっしゃい」
店主のおばさんは、優しく笑ってもてなしてくれた。
「まいどありー」
楓彩は、無事お使いを終えることが出来たが
「?」
お使いの帰り道、楓彩は、出会った。
「ニャー」
「猫?」
その猫は白く、すこし汚れていた。
商店街から出て、すぐの電柱の影に丸まって座り、楓彩を見上げていた。
首輪は付いておらず、どうやら野良猫のようだ。
楓彩は興味を持って、近づく。
「どうしたんです───っ?」
楓彩は荷物を足元に降ろすと
「怪我、してますね」
その白猫は、後ろ右足が赤く染まっており、どうやら動けなくなっていたようだ。
「……。」
楓彩は持っていたハンカチを右後ろ足に巻くと、右腕に抱きかかえ、荷物を拾い、歩き始める。
家に着くと、白猫をソファに降ろし、荷物を放り投げてキッチンへ急ぐ。
楓彩は冷蔵庫を開け、たまたまあった、ツナ缶をあけ、皿に移し、平皿に水道水をくみ、ソファの近くの床に置く。
「食べますか?」
白猫をソファから降ろし、皿の前に置く。
が、白猫は少し警戒しているのか、匂い嗅いでいる。
「?」
だが、楓彩の顔を見ると、なぜか安心したのか一心不乱に食べ始める。
「おぉ、慌てなくても誰も取りませんよ?」
楓彩は白猫の少し土が付いて、汚れている体を優しく撫でる。
「後でお風呂に入りましょうねぇ」
そして、白猫が食事を済ませると、楓彩は白猫を抱えてバスルームへ向かう。
「ううん、立てそうもありませんよね」
楓彩は、抱えている白猫の目を見て考える。
立てるなら、そのまま自身が服を脱がずとも洗えるが
「私も脱がなきゃダメですかね」
と言って、楓彩は衣服を濡らさないために着ている服を脱ぐ。
「ぷはぁ、さぁ、入りましょう。」
楓彩は白猫を胸元に抱えてバスルームに入ると、シャワーのヘッドからお湯を出す。
すると白猫は動けないながら、驚き、逃げようとする。
「あ! ご、ごめんなさい! ビックリしちゃいましたね」
一旦白猫落ち着かせると、床に降ろし、両手でお湯の温度調節をする。
「こんなもんですかね」
楓彩はシャワーチェアに座り、太ももの上に白猫を乗せ、首元から尻尾にかけて、優しくお湯をかける。
「気持ちいですかー?」
「ニャーゥ」
「うふふ、可愛いです。」
楓彩はシャンプーに手を伸ばし
「シャンプーはこれでいいんですかね?猫用の物が無いので」
楓彩はボディタオルを手に取りシャンプーを染み込ませる。
その後、5分ほどすると、白猫の体は文字通り綺麗な白猫になっていた。
「さぁ、お顔拭きましょうね。」
と、白猫の目に当たらないように湿らせたタオルで、優しく拭いてあげる。
「美人さんですね。」
そして、白猫の後ろ右足に、ちゃんとした包帯を巻き、ソファに腰を下ろし、膝の上に乗せる。
「あれ?寝ちゃった……。」
白猫は楓彩の膝の上で、寝てしまった。
「なんか、気持ちいですねぇ」
空いている右側にある窓の外から入ってくる心地よい風と、静かな昼下がりの空気は楓彩の眠気を誘った。
「あぁ、やっと、暇を作れたぁ、楓彩大丈夫かなぁ?」
剣得は、仕事に一区切りつけることができ、楓彩の夕食を作るために一度帰宅していた。
「ただいまー……あれ?電気がついてない」
剣得はリビングに入り、電気をつけると驚愕する。
「散らかってんなー、おい」
おそらく、お使いの時に買ってきたであろう、ティッシュとトイレットペーパーが乱雑に床に置かれ、床には、水滴が所々に落ちている。
「何してんだ、楓彩───っ!!??」
楓彩は、ソファで白猫を上に乗せて、気持ちよさそうに寝ていた。
全裸で。
「服くらい着ろよ!!」
「──ふぁあ!?」
「にゃっ!!」
楓彩と白猫は剣得の声で、目覚める。
「……は、剣得さん?……」
「まったく、風引くぞ?」
「へへへ、すいません寝ちゃいました。」
楓彩は剣得に言われた通り、服を着ると、白猫を抱きかかえて
「剣得さん、剣得さん!この猫───」
「ダメだ。」
「え……?」
「別にここペット禁止ではないけど、1人で面倒見きれないだろ、俺も家に居ることは少ないし」
「で、でも……」
剣得は白猫の右後ろ足に巻いてある包帯を見て
「…怪我が治ったら、ちゃんと放せよ?」
「……はい」
「さぁ、飯にするか」
「……はい」
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差し押さえ、債権買収、そして“後ろ盾”の意味を思い知らせる逆襲劇が幕を開ける!
これは、貴族社会の常識を覆す、ひとりの青年の成り上がりの物語。
誇りを踏みにじられた男が、金と知恵で世界を変える――!
辺境追放された「植物魔導師」の領地開拓 ~枯れ果てた死の大地は、俺の魔力で聖域(楽園)へと変貌する~
リーフレット
ファンタジー
「植物魔法? ああ、農作業にしか使えないあの地味な魔法か」
帝国騎士団の専属魔導師だったアルトは、無能な二世皇太子レオンによって、一方的に追放を言い渡された。
アルトがどれほど魔導植物を駆使し、帝国の食糧難を裏から支えていたかを知らぬまま、彼は「戦闘に役立たない役立たず」という烙印を押されたのだ。
帝国を出て行き着いた先は、魔物が跋扈し、草一本生えないと言われる最果ての荒野。
死を待つだけの地。しかし、アルトは絶望するどころか、晴れやかな顔で笑っていた。
「やっと、気兼ねなく『植物』を愛でられる。……よし、ここを世界一の庭(楽園)にしよう」
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