生き残りBAD END

とぅるすけ

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第1章 犯罪制裁 編

試験!!試練??

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 それから楓彩は2週間、ショウの元で勉強を教わった。
 そして迎えた試験当日。

「楓彩ー受験票持ったかー?」
「はーい」

 剣得にただならぬ緊張感が走っていた。

「よし、忘れ物ないな?」
「はい!」
「行ってこい! 後で会おう!」
「行ってきまーす!!」

 楓彩は元気よく返事をすると飛び出して行った。


 楓彩がG,S,A本部に着くとまず、いつもとは違う本部の様子に圧倒される。
 私服の自分と違い、正装を纏った男女が強ばった表情で本部に入っていく。

「うわぁ………」

 周りに流されて楓彩も段々緊張してくる。
 その時だった。

「ふぁ!」

 周りに流されるように歩いていた楓彩の肩に衝撃がはしる。
 楓彩は体制を崩す。

「きゃっ!」
「あぶねっ!!」

 楓彩はとっさに右腕を引っ張られたおかげで転ばずに済んだ。

「……?」

 楓彩は体制を直し、見上げると見知らぬ黒髪の男性が心配の目を向けていた。

「ごめんなさい、大丈夫!?」

 馴れ馴れしくはあるが、とても優しい口調で尋ねてきた。
 だが

「え……あ、あの……」

 剣得やショウ以外とあまり話した事がなく、どういった反応をすればいいか、楓彩には分からなかった。

「あ……ああありありあり………」

 出てこない、感謝の言葉。
 楓彩は息を整えて

「あ、ありがとうございます」

 と謝罪と感謝の気持ちを込めて頭を下げるが

「……ってあれ?」

 男の姿はなかった。
 そして、周りの人達もいなかった。

「あ!! 遅刻します!!」


 楓彩はその後試験会場となる部屋へ入室し、間もなくして筆記試験が始まった。
 その頃剣得は……。

「剣得ーどうしたー? まーた変な顔してー」

 ショウはいつもと同様に総督室で剣得と雑談していた。

「試験だ」
「あぁ、分かりきった事聞いちゃったね」
「大丈夫かなぁ……名前書き忘れないかなー……面接は無いから大丈夫だと思うけど…」
「あれ?面接無いの?」
「あぁ、必要無いからな」
「?」

 実は、楓彩やショウは特別枠で入隊することが出来る。
 故にその実力を認められてからの、試験なので詳しいことを調べる面接は省略されている。
 楓彩の場合、G,S,Aの誰もが楓彩のことを知っているため面接は必要無いという事だろう。

「へぇー」
「お前も無かっただろ? 面接(ショウが面接なんかしたら面接官が絶対怪我するしな)」
「まぁいいや、偵察機の事だけど」
「あぁ、なんか進展あったか?」
「近くの海には生命反応なし、未だに島は見つからない」
「なんだ……進展は無しか」
「まだ話は終わってないよ?」
「?」

 ショウはソファに腰をかけると

「一つ、遠くに生存者サバイバーの群れを発見した」
「そ、それって…どういう」
「もし、それが一気にこっちに興味を示したら…」
「最悪の事態は考えておいた方がいいな。」
「あぁ、対生存者サバイバー用の範囲兵器を開発しておいた方がいいね」
「んじゃそっちは頼む」 
「あんたは? 何するの?」
「……」

 まるでかの有名な碇司令の様なポーズをとって固まる剣得。

「はいはい、祈ってるのね……」

 と、ショウは呆れた目を向ける。


 その後、楓彩は筆記試験を終え、能力・体術テストへ。

「あ……」

 そこで楓彩が目にしたのは

「あの人……」

 朝、出会った優しそうな黒髪の男性だった。
 楓彩は今朝の礼をしようと近づくが。

「はい、では只今よりテストを開始いたします、能力者の方は右側の通路へ移動してください」

 その声に合わせて人が動き始め、その流れに流されてしまう。
 そして、能力実演テストの会場へ入ると中は薄暗く、受験者の混乱を掻き立てていた。

「なんでしょう、嫌な予感がします」

 その時だった。
 明かりがついた途端に目の前に現れたのは

「こ、これは……!」

 生存者サバイバーを模したものだろうか、目測でやく20mほどの巨大なロボットが数体、受験者の前に立ちはだかっていた。
 するとアナウンスが入る。

『今から行うのは生存者サバイバーと遭遇した時の模擬戦闘です
 戦闘方法、破壊体数を評価します。尚、協力行為を認めます
 準備時間は20分です
 20分後戦闘を開始します』

 そのアナウンスが終わるとロボットの後ろにあったモニターに時間が表示される。

「じゅ、準備ったってなにをすれば…」 

 そう、彼らはほとんど丸腰の状態でこの状況下に置かれている。
 どうやら能力を最大限に生かさなければ突破は出来ないようだ。
 楓彩もそのことに気づき、ある行動に出る。
 

『それでは開始します』

 するとロボットのモノアイが光、起動音とともに立ち上がる。
 そして始まった模擬戦闘試験。
開始早々、所々に注目を浴びる人達が現れ始める。

 自分の身体の一部を硬化させて、ロボットの強烈な一撃を防ぎ、その隙に他の人々が攻撃を浴びせる戦法を取っている者や、1人で雷撃を浴びせて瞬時に撃破していく強者もいた。
 楓彩は

「よし!あのロボットなら……!!」

 せこい手ではあるが、楓彩に自覚は無く、人が狙っているロボットを自分にターゲットを取らせる間もなく、楓彩自慢の蹴りを装甲の脆い箇所に当て、撃破していく作戦。
 楓彩の速さを目で追える者が少ないことをついた作戦だ。
 その作戦で人々に気づかれることなく自分の点数を稼いでいく。
 そして30分後。
 試験会場にブザー音が鳴り響く。

『そこまで』
「ふぅ、結構倒しましたね」

 楓彩は額に流れる汗を腕で拭う。
 その時だった。

「おいお前!」
「っ!!」

 1人の見知らぬ男性が楓彩に近づいてくる。

「え……え?」

 その男は起こった表情で楓彩に詰め寄る。

「あんなせこい方法で得点稼ぎやがって!」

 どうやら見えていたらしい。

「俺の点数まで、横取りにしたよな!!」
「え、えっと……その……」

 楓彩は胸ぐらを掴まれる。
 その時

「そこまでにしろよ」

 今朝、楓彩と当たった黒髪の男性だった。

「なんだよお前……」
「この人にはこの人のやり方があるんだから、人の行為にイチャモンつける前に、まず自分で行動出来しなきゃ……な? それにこう言った唐突な場でも自分で考えて行動できる人こそ優秀な人だと思うよ? 言い訳する人は成長しませんよ?」
「んだと……?」

 楓彩はその時ハッとした。
 黒髪の男性をよく見たら先程、凄まじい破壊力を誇る雷撃で、ロボットを蹂躙していた男性だった。
 男は楓彩の方を見ると、アイコンタクトで「大丈夫?」と伺ってくる。
 男は黒髪の男性の言うことにグウの音も出ず、楓彩を離すとどこかへ行ってしまった。

「大丈夫?」
「あ……」
「?」

 やはり、剣得以外の男性と話すことが出来ない楓彩は硬直してしまう。

「まぁいいや、お互い頑張ろうね」

 優しい口調でそう言うと楓彩が返事を返すまもなく、男は去っていった。

「は、はぁ……」


 その後楓彩は試験を終えると、他の試験を終えた人達の群れから外れ、1人、総督室へ向かった。

「は、剣得さん……?」
「か、楓彩!?」

 剣得はいつもなら総督室の総督席に座ったままなのだが、今日は落ち着きなく、ウロウロしていた。
 剣得は楓彩に近づくと

「楓彩!! ど、どうだった!?」

 と詰め寄ってきた。

「は、はい、大丈夫です……多分」
「そうか……あとは結果を待つだけだな」
「……はい」

 その後楓彩は浮かない顔をして総督室のソファでダラーっとしていた。
 そこへショウが来る。

「うぃーっす、またまた来たよー……って楓彩いるじゃん」
「おう、ショウか(今は楓彩に話をかけないでくれ)」

 と、目で訴える。

「はぁー疲れたー(何があったの?試験上手くいかなかったの?)」
「(知らん)」

 2人の無言な会話は続いた。

「はぁ」
「「っ!!!」」

 楓彩のため息に2人は驚き、姿勢を立て直す。

「か、楓彩、試験……上手くいかなかったのか?」

 口を開いたのは剣得だった。

「え? あ…いえ、そういう訳では無いんですけど…」
「じゃあ、どうしたんだ?」
「なんだか、今日、人に迷惑を沢山かけてしまったみたいで…模擬戦闘試験の時に、『人のポイント横取りするな』って怒られちゃいました…………はぁ……」
「そんな事があったのか……」

 楓彩は未だに浮かない顔をして天井を見つめている。

「楓彩?」

 次にショウが口を開く。

「はい?」
「楓彩に悪意がないならそれでいいんだよ?」
「っ!」

 その言葉に今の気持ちを一掃された気がした。

「悪意が無いなら楓彩は間違ってないから」
「……ありがとうございます」

 楓彩に少しだけ、笑顔が戻った。

「よし! んじゃ今日の夕飯はピザにするか!」

 剣得は追い打ちをかけるかのように、切り出した。

「ピザ!!」

 楓彩の顔に完全に笑顔が戻る。


 その後、剣得の財布の中身が大半持っていかれたことは、この際置いておこう。
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