生き残りBAD END

とぅるすけ

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第1章 犯罪制裁 編

就職です!

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 試験結果発表当日。

 本部の広いエントランスは人で埋め尽くされていた。
 楓彩は剣得とともに合格者一覧を凝視し、剣得は周りから「おい総督じゃん!」と言う目も気にしていなかった。
 その合格者一覧は成績順になっており、もちろん、楓彩は1番上の首席の枠……のはずだった。

「…………」「あれ………?」

『首席  神ヶ丘 瑛太』
『2番 鬼月 楓彩………』

「………っええええええ!!!!」

 楓彩の絶叫に周りの人も驚き、楓彩に注目する。

「な!! なんで!!」
「落ち着け!楓彩!!」

 取り乱す楓彩を抑える剣得。

「はいはい、ドードー……。」
「ふーーっふーーーっ……。」

 馬か。

「ふーー………ううぅ……。」

 落ち着いたかと思ったら今度は泣き出してしまった。

「おいおい、泣くなよ」

 剣得は一旦、人目を避けるために総督室へ楓彩を連れていく。


「ううぅぅ…………」
「楓彩?これ飲みな?」

 とコーヒーを差し出す。

「あ“り“がどうございます」

 と、一口飲む。

「ぶっ!!」
「!?」
「苦い!!」

 どうやら泣きっ面に蜂だったようだ。
 楓彩はその場にコーヒーを吹いてしまった。

「ふえぇぇ!!」
「ご、ごめん!!」

 まるで幼稚園のような光景だった。
 そこへ、ショウが入室する。

「おーっす、楓彩いるー? ……って……」
「ショウ!! 助けろ!!」

 その後、ショウはコーヒーを煎れ直し、楓彩に差し出す。

「はい、楓彩」
「グスッ………」
「剣得も飲む?」
「あぁ、くれるか?」

 ショウは剣得にもコーヒーを差し出す。

「い、いただきます(大丈夫なのか?これ、コーヒーと言うよりココアに近いんだが色的に)」

 剣得は恐る恐る口に運ぶ。
 続いて楓彩も一口飲む。

「ぶっ!! (ヘドロかこれ!!)」
「おいしいですね!!」

 剣得は盛大に吹いた。
 楓彩は美味しく飲んだ。

「オエっ! ……楓彩……大丈夫か!?」

 と、楓彩を見るが、幸せそうな顔をしていた。

「ショウさん! これ私も煎れてみたいです!」
「よかろう、今度教えてあげるよ」
「はい!」
「……で?何でそんなしょんぼりしてるの?」

 剣得は自分のパソコンの画面をショウに向け、一つの資料を見せる。

「首席………神ヶ丘 瑛太!?……楓彩じゃない!!」
「……はい、すみません」
「はぁ、ショックだね……」

 なぜ、楓彩とショウは落ち込んでいるかと言うと

「剣得さん……私……剣得さんと離れなきゃ行けないんですか?」
「………」

 剣得のその沈黙は肯定だった。
 そう、この試験の仕組みとして、主席の枠を勝ち取った者には本部で働く権利を与えられる。
 2番の者には……一般的に隊員として働くか、各部署の将校になる権利。

「ううぅ……」
「た、確かに楓彩は将校って感じじゃないよね……」

 ショウは気まずい口調で言う。

「まぁ、就職おめでとう、楓彩」

 剣得は仕切り直すかのように祝福するが

「は……はい……」

 と弱々しい返事が返ってきた。

「明日には配属場所が分かるから、心しておくように」


 翌日
 楓彩は配属場所が書かれている資料に目を通していた。

「……東区……ですか」

 隣にはショウの姿。

「ひ、東区!?」

 ショウが驚くのも無理もない。
 そこ、東区では最近、犯罪率が増加している。
 実際に先日、SABERによる警察官惨殺事件が起こった場所も近く、現在、G,S,Aでは警戒区域として指定されている。
 ショウは楓彩の腕を引っ張り、総督室の扉を壊す勢いで駆け込む。

「っ!! びっくりした!」

 剣得は肩をすくめていた。

「剣得っ!! これっ! どういうこと!?」

 とショウは楓彩の持っていた紙を剣得に突き出す。

「なんで、楓彩があんな危険なところに行くの!?」
「楓彩だからだ!」

 即答だった。

「え!?」
「……?」
「今の東区は戦力を欲している、頼れるのは楓彩くらいだからな、それに、東区には“あいつ”がいる」
「あぁ、“あいつ”……」
「“あいつ”?」

 楓彩にはショウが怒っている理由と剣得が言う“あいつ”のことも全くわからなかったが

「(やっと、剣得さんの力になれる!!)」

 と不安よりも嬉しさが圧倒的に勝っていた。
 その後、ショウは心配で仕方がなくなり、初めて東区へ行く楓彩に着いて行った。

「楓彩? 大丈夫?」
「? 何がですか?」

 その返答に

「(あ、問題無いな)」

 と自分だけが不安になっていると気づいた。

「楽しみです!」
「え?た、楽しみ?」
「はい!ずっと剣得さんの役に立ちたかったので!」
「それはよかった……」

 もうよく分からないショウだった。


 その後、しばらく歩き続けて、東区本部に到着する。
 すると

「人、少ないですね?」
「まぁ、危険区域だからね……」

 確かに、活気だっているG,S,A本部と違って、東区本部はシンとしている。

「まぁ、入ってみましょう」

 とその時

「あだっ……!」

 楓彩はショウの顔を見ながら歩いていたせいか、人にぶつかってしまう。

「す、すいません………」
「あ、こちらこそ……」

 2人は顔を合わせた、その時

「「あ……!」」

 楓彩の目の前に立っていたのは、試験当日、何かと世話になった黒髪の男性だった。

「?あれ?顔見知り?」

ショウが尋ねると

「あ、あの時はどうもありがとうございました!」

 楓彩は目が合うなりお辞儀すると

「え?あ、いやそんな…大したことしてないですけど……?」

 とやや赤面して否定する。
 その時、ショウは楓彩を肘で突き、小声で

「もう、お友達出来たの?」
「お、お友達という訳では……そ、そうだ! お、お名前を教えてくれませんか? ここにいるってことは東区配属ですよね?」

 楓彩は思い出したように尋ねる。
すると、男は

「え?俺の名前? ……“神ヶ丘 瑛太”ですけど……」
「そうですか……私は鬼月 楓彩と言います! よろし────“神ヶ丘 瑛太”!?」
「神ヶ丘 瑛太!?」

 楓彩とショウは男の名前を聞いて驚愕した。

「な、なんですか!?」
「試験で首席の!?」
「あぁ、そういえばそうでしたね…」
「な、なんでこんな所にいるんですか!本部で働けるのに!」
「え?あ、いや、色々な訳があってね……話すと長くなるから後でね?」

 すると、ショウは

「まぁ、いいけどさ、入口で話してないで入ろうか……代表室にいって挨拶してきな?」
「はーい」
「?」
「はい!」

 ショウの睨みに言い直す楓彩。


コンコン「失礼します、新人をお連れしました。」

 エントランスで待っていた、白髪でスーパー萌え袖、長い髪を太く1本にした整った顔立ちの女性は2人を代表室に案内する。

「? 新人?珍しいな東区ここに配属なんて」

 そして、楓彩と瑛太は代表室に入る。

「「失礼します」」
「ほほぅ、2人だけ?」
「はい、この2人が本部から派遣されて来た新人です」
「じゃあ、自己紹介を……ってなんでトゥルンまでいるのかな?」

 と、代表室の柔らかそうな皮質のチェアに深く腰掛けて足で椅子を回している銀髪の男はショウの方を見る。

「トゥルンって呼ぶな………楓彩の付き添いだよ」
「楓彩……?」

 男は瑛太と楓彩を交互に見ると

「あ、君か!会議の時に剣得の隣にいた!」

 と楓彩を見て思い出したように言う。

「? え?」

 楓彩も思い出してみる。

「確か……総督席のすぐ近くに座ってましたよね……?」
「そうそう……君か……剣得の所の娘は」

 そう言うと男は立ち上がり、なぜかショウに歩み寄ると

「所でトゥルンちゃん……今夜一緒に一杯どうよ…」

 とショウを壁に追い込む。

「あれ? 私の話じゃないんですか?」

 楓彩は話の変わり方にキョトンとしていた。
 そして、男はついにショウの顔の横にある壁に腕をつく。
 いわゆる壁ドン。
 もはや瑛太と楓彩、その場にいた白髪の女性は状況の変化についていけなかった。

「いい加減俺の方も向いてほしいなー」

 その時

「調子に乗るなよ、もやし」

 ショウは袖から取り出したショットガンを男の顎に当てていた。

「おっと? これは?」
「離れないと頭吹き飛ばすよ?」
「……こわいこわい」

 男はショウから離れると、立ち直って

「やぁ、新人君達!見苦しいものを見せてしまったね、自己紹介が遅れた、凍海とうかい 朝日あさひ、ここの代表だ、さぁ君たちの事を教えてくれるかな? じゃあ、女の子はあとの楽しみとしよう、男の子からお願いするよ」
「はい、自分は───」
「まった!堅苦しい!」
「は?」
「じゃあ、お名前と年齢、趣味でいいよ」
「あ、はい、あ、俺は神ヶ丘 瑛太、18歳です。趣味は読書……です」
「ほほぉ、未成年か、興味なし、次!女の子の方」

 と、ニヤニヤしながら楓彩の方を見る。

「え、わ、私はお、鬼月 楓彩と言います」
「鬼月ちゃんかぁー可愛いなー……ん? 楓彩ちゃんの方がいいかな?」
「えっと、歳は14歳です」
「「14歳!?」」

 隣にいた瑛太と朝日は驚愕した。

「若いねぇ……」

 と朝日はにやけながらの驚愕だったが

「お、鬼月さん! まだ中学生じゃないか!」
「え……いや、その……」

 その時、オドオドしている楓彩を助けたのはショウだった。

「楓彩は色々な条件を満たしたので入隊許可が降りた、剣得も承諾しているいいだろ?文句言うな」

 と、ニヤニヤしている朝日にショットガンを構える。
 朝日は両手をあげると

「じゃ、じゃあ、趣味は?」
「趣味……ですか。趣味と呼べるものは持っていませんが、動物と触れ合うことは大好きです。」

と何とも可愛らしい発言だった。

「か、可愛い……」

 朝日も予想通りの反応だった。
 ので、ショウはショットガンの引き金にかかっている指に力を入れる。
 それを見た楓彩は

「ショ、ショウさん!!そんな物騒なことしないで下さい」
「楓彩、こいつは楓彩に危害を及ぼす可能性がある、それに安心して? この銃に入っているのはただの実弾だから!」
「すこしは安心させる努力をして下さい!!」


 その後、楓彩の言うことを素直に聞いたショウはショットガンを下ろし、大人しく近くの椅子に座っていた。
 もちろん朝日を睨んで。

「さぁて、鬼月ちゃんは置いといて、問題は君、神ヶ丘だ」

 と瑛太を見る。

「お、俺ですか?」
「君、首席だよね?なんで本部で働かない?」

 楓彩とショウも先程抱いた疑問だ。

「……そうですね、俺は……“悪を滅するために前線に来た”……って感じですかね……」
「ほほぉ、そうかそうか」
「ふ、不順ですか?」
「いや? べつに? 君がいると士気が高まりそうだ」
「そうですか…」
「けど!」
「?」
「少し、君たち新人に実力でも見せてもらおうかな?」
「「!?」」

 楓彩と瑛太は唐突なことに動揺を隠せなかった。

「俺とやる訳だけど、ハンデとして俺の能力を見せておくよ」

 すると、朝日は楓彩に近寄り、手のひらを楓彩の前に出す。

「?」

 その時、差し出された手のひらに白い霧が集まり始める。

「こ、これって」

 あっという間に氷でできた綺麗な薔薇が朝日の手のひらに乗っていた。

「はい、プレゼント」
「ひゃっ!冷たっ!」
「暑いから丁度いいでしょ?まぁ、すぐ溶けるけどね……」

 楓彩は自分の手のひらに乗った薔薇に見惚れていた。

「綺麗………」
「さぁて、訓練室に行こうか」


 その後、楓彩、ショウ、瑛太は朝日と白髪の女性に連れられ訓練室へ入る。

「武器とか、つかう?」
「あ、木刀ありますか?」

 楓彩は辺りを見回して尋ねる。

「木刀?訓練用が確かあったような、あったっけ真希奈まきな?」

 と白髪の女性に尋ねる。

「知りませんよ、この前酔ってどこかに投げて遊んでたじゃないですか」

 と呆れた顔で言う。

「そ、そうだっけ? ごめんねー、鬼月ちゃん、木刀無しで行ける?」
「は、はい……」
「そのかわり!」
「?」
「鬼月ちゃんと神ヶ丘、2人でかかってきな?」
「「え?」」

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