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第2章 「征」編
解放
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翌朝、剣得は上体を起こし、寝ぼけた楓彩が腰にしがみついたまま、朝日と携帯で電話していた。
楓彩はどうやら寝たまま隣に、寝ていた剣得の敷布団に侵入していたらしく、朝、起きると腰にしがみついていた。
「朝日、今日は楓彩、本部で用事があるからよろしく頼む」
『はいよー…寂しいなぁ…まだ鬼月ちゃんと、何もしてないの?』
「切るぞー」
『はいはい、分かりましたよ、俺は二度寝します…おやすみ』
「おやすみ…」
剣得は携帯の画面をタップして通話を終える。
ふと、ベッドで寝てるショウに目を向けると、ショウの上には丸くなって寝ている白猫──シロンの姿が、どうやら2日目にして、ショウに慣れたようだ。
昨日はショウを警戒して姿を表さなかったが。
剣得は自分の腰にしがみつく楓彩の頭を撫でる。
「むにゃぁー…」
指と指の隙間から楓彩の寝癖がぴょんっと跳ねる。
なんだか…可愛い。
「おーい…楓彩ー起きろー…」
「んんーっむにゃー」
楓彩は剣得の腹に顔を擦り当てるだけで起きない様子だった。
剣得は楓彩の頭を撫でたまま
「ピザ」
「っ! どこぉ? ピザぁ…」
どうやら起きたようだ。目は半開きだが、ピザを探しているのか、抱きしめていた腕を解き何やら暴れている。
「嘘だ、起きろ…」
「えぇ…おやすみなさい…」
剣得は楓彩の両頬をつねる。
「いひぃ! いはい! 起きまふ! 起きまふから!」
それから、ショウも起床し、昨日の朝と同じように、3人は食卓につき、テーブルの上にはロールパンとそれに付けるジャムが並んでいた。
「楓彩、今日は本部に行くぞ…?」
楓彩は口の中に入っているものを飲み込んでから
「どうしてですか?」
「特訓をするからだ…今日から1週間ほどな…」
ショウはそれを聞かないふりして、パンを食べていた。
その後、剣得達は本部の戦闘実演室に行き、楓彩は動きやすい薄い素材のトレーニングウェアに着替える。
「誰も…いませんね…」
楓彩は木刀を右手に下げ、広い真っ白な部屋の中に剣得と一緒に立っていた。
ショウは楓彩達を、部屋の外から窓こしに見ていた。
「あ、特訓するとは伝えてあるけど…まだ解放してなかった」
剣得は思い出したように言う。
「ええ?」
楓彩の肩から力が一気に抜け、木刀が地面に当たる音が響く。
「じゃあ、呼んでくる───」
「来たぞ…」
一瞬にして、1人のキリッとした目元、黒よりの青色の髪の毛で、耳が隠れるほどの髪の毛の長さで、剣得よりは身長が低い男が楓彩達の目の前に現れる。
「っ!? あっれぇ!? 何でテレポート出来てんの?」
スピーカーから室内にショウの驚きの声が響く。
「? この声、ショウムートか…貴様が作ったのか知らんが…檻についてた装置…」
男は姿が見えないショウに話しかける。
「あれをどうしたの…?」
「いや、どうしたも何も…充電切れだなあれは…」
「っ!!」
ショウの中に稲妻がはしる。
「わ、私とした事がぁぁ!!!!」
スピーカーからショウの絶叫が響く、正直うるさい。
楓彩、剣得、男性は耳を塞ぐ。
「まぁいいや…で? 王志 剣得…何をすればいい…」
男は向き直って、首を傾げ、鋭利な瞳を向ける。
「そうだな…とりあえず、楓彩の相手をしてやってくれ…」
と剣得は楓彩の後ろに下がり、2人から距離を置く。
「え、えっと…お名前は…」
楓彩はもじもじしながら小さい声で尋ねる。
恐らく聞こえていないだろう。
「…貴様は確か、前にここで素振りしてたガキだよな…かえで…って言ったか…?」
楓彩は首を小さく縦に振り、肯定する。
「まぁ、お前の戦闘スタイルは大体分かってる…「速さで圧倒」て感じか?」
男は右手を高く突き上げる。
すると、虚空から木刀が出現して、男の右手に収まる。
「俺はこの通り、便利な能力なんでな…最近はこれに頼ってる……お前もその足に頼るのはいいが、剣術を磨かなければ、その足も意味がない…」
男は木刀の先を楓彩に向ける。
「まず、見てやるよ…貴様の剣を…」
楓彩は少しあたふたするも、右手に提げていた木刀を下段に構える。
「よ、よろしくお願いしますっ」
そして、始まった打ち合い、いつも通り、楓彩の動きは速すぎて常人には目で捉えることが出来ない。
ただひたすら、広い室内には木と木がぶつかり合う甲高い音が連続して響いていた。
剣得とショウは危険なので部屋の外で観察していた。
右側からの斬撃。
背後からの斬撃。
遠距離からの急撃。
どれも、刹那の内に楓彩が男に叩き込んでいる。
だが、男はその場を1歩も動かずに、背面で木刀を持ち替えたりして、見事に防ぎ切っていた。
「はぁ…はぁ…」
楓彩は1度、動きを止め、呼吸を落ち着かせる。
「………」
楓彩は再び、木刀を構え
「まだまだっ!」
と足に力を込める。
が
「終わりだ…」
「え?」
「おしまいだ……話にならん…おい!王志!!」
男は剣得の名前を呼ぶ。
すると、剣得は扉を開け、楓彩達の方に駆け寄ってくる。
「どうしたー?」
「終わりだ…こいつにはやる気がない…」
楓彩は驚愕の表情をする。
「ど、どういう事ですか!?」
男は木刀を肩に預け
「こいつ、俺を傷つけようとしてない…」
「っ!?」
男のその言葉は楓彩の心を貫いた。
「さっきから貴様、俺の木刀を弾くことを狙っているだろ…」
刹那、男は楓彩の眼前に移動してくる。テレポートだ。
「──っ!!」
楓彩は咄嗟に構えようとするが
「遅い!」
楓彩の持っていた木刀はへし折れ、男が振り上げた木刀は楓彩を高く打ち上げた。
剣得は反応出来なかった。
「───ゴフッ!!!!」
「──っ!!??」
剣得は咄嗟に、落下地点に向けて、見事なスライディングキャッチを決める。
そして剣得は男を睨みつける。
「おいお前!! 何のつもりだ!!」
男は2人を見下すように見つめる。
「腹が立ったんでな…一撃見舞ってやった…」
剣得は楓彩の上体を起こす。
「おい! しっかりしろ! 楓彩!」
楓彩は胸元を抑えて、自力で上体を起こす。
「くっ! くはっ!」
少量の吐血。
「は、剣得…さん…木刀を…」
楓彩は剣得の上着を掴み、立ち上がろうとする。
「もうやめとけ…貴様にはこの世界は向いてない…甘い世界にもどれ…」
「…ってない…」
「あ?」
「…終わってない!!」
楓彩は足元おぼつかない様子で立ち上がる。
「ふっ、じゃあ見せてみろ…貴様の本性を…」
「…剣得さん…木刀を!」
─── 嫌だ! 中途半端は!
男は左手を高く上げる。そして、先ほどと同様に虚空から木刀を取り出す。
そして、2本目の木刀を楓彩に投げて渡す。
その木刀を両手でキャッチする楓彩。
「あ、ありがとうございますっ!!」
そして、楓彩は木刀を下段に構える。
「…いい目だ…」
「(うっ、楓彩…この殺気…ほんとに楓彩か?)」
剣得は楓彩の放つ殺気に驚愕の表情を見せる。
そして、部屋の外でハラハラしながら見ていたショウもその楓彩の殺気を感じ取っていた。
「あの楓彩の目…」
ショウは思い出していた。
楓彩が洗脳されたG,S,A隊員2人に襲われた時に見せた…狩人(人殺し)の目。
「お願いします…」
【力を貸してあげる…存分に…】
──刹那
男は体勢を反らし楓彩の木刀をかわす。
「くっ!」
そして、続く第二撃、楓彩の回し蹴りを男は空いている左手で、楓彩の足の軌道を捻じ曲げ、否した。
「(なんつー速さだよ! 楓彩…)」
剣得は楓彩の速さを目で追うことしか出来なかった。
そして、今になって、楓彩がさっきまで立っていた場所の床は深くえぐれる。
「…きっ、貴様!! そいつが本性かっ!」
その時、男が見た楓彩の表情は、まるで人を殺し回っていた時の自分を写した鏡を見ているようだった。
───人殺しめ…
そして、木刀が打ち合う甲高い音が雨のように響き渡る。
楓彩の攻撃はどれも殺傷を目的とする急所を狙った、危険行為だった。
「…っ!(こいつ! 俺以上の人殺しのセンスが…)」
男の頬を楓彩の木刀がかすめる。
「…ちっ!」
男は楓彩から距離を取る。
男の頬から鮮血が伝う。
「なんだか…ぬるいですね…本気ですか?」
楓彩は真顔で冷たい表情を男に向ける。
「ははっ、舐められたものだな…いいぜ? 教えてやる…俺の本気を…」
楓彩はどうやら寝たまま隣に、寝ていた剣得の敷布団に侵入していたらしく、朝、起きると腰にしがみついていた。
「朝日、今日は楓彩、本部で用事があるからよろしく頼む」
『はいよー…寂しいなぁ…まだ鬼月ちゃんと、何もしてないの?』
「切るぞー」
『はいはい、分かりましたよ、俺は二度寝します…おやすみ』
「おやすみ…」
剣得は携帯の画面をタップして通話を終える。
ふと、ベッドで寝てるショウに目を向けると、ショウの上には丸くなって寝ている白猫──シロンの姿が、どうやら2日目にして、ショウに慣れたようだ。
昨日はショウを警戒して姿を表さなかったが。
剣得は自分の腰にしがみつく楓彩の頭を撫でる。
「むにゃぁー…」
指と指の隙間から楓彩の寝癖がぴょんっと跳ねる。
なんだか…可愛い。
「おーい…楓彩ー起きろー…」
「んんーっむにゃー」
楓彩は剣得の腹に顔を擦り当てるだけで起きない様子だった。
剣得は楓彩の頭を撫でたまま
「ピザ」
「っ! どこぉ? ピザぁ…」
どうやら起きたようだ。目は半開きだが、ピザを探しているのか、抱きしめていた腕を解き何やら暴れている。
「嘘だ、起きろ…」
「えぇ…おやすみなさい…」
剣得は楓彩の両頬をつねる。
「いひぃ! いはい! 起きまふ! 起きまふから!」
それから、ショウも起床し、昨日の朝と同じように、3人は食卓につき、テーブルの上にはロールパンとそれに付けるジャムが並んでいた。
「楓彩、今日は本部に行くぞ…?」
楓彩は口の中に入っているものを飲み込んでから
「どうしてですか?」
「特訓をするからだ…今日から1週間ほどな…」
ショウはそれを聞かないふりして、パンを食べていた。
その後、剣得達は本部の戦闘実演室に行き、楓彩は動きやすい薄い素材のトレーニングウェアに着替える。
「誰も…いませんね…」
楓彩は木刀を右手に下げ、広い真っ白な部屋の中に剣得と一緒に立っていた。
ショウは楓彩達を、部屋の外から窓こしに見ていた。
「あ、特訓するとは伝えてあるけど…まだ解放してなかった」
剣得は思い出したように言う。
「ええ?」
楓彩の肩から力が一気に抜け、木刀が地面に当たる音が響く。
「じゃあ、呼んでくる───」
「来たぞ…」
一瞬にして、1人のキリッとした目元、黒よりの青色の髪の毛で、耳が隠れるほどの髪の毛の長さで、剣得よりは身長が低い男が楓彩達の目の前に現れる。
「っ!? あっれぇ!? 何でテレポート出来てんの?」
スピーカーから室内にショウの驚きの声が響く。
「? この声、ショウムートか…貴様が作ったのか知らんが…檻についてた装置…」
男は姿が見えないショウに話しかける。
「あれをどうしたの…?」
「いや、どうしたも何も…充電切れだなあれは…」
「っ!!」
ショウの中に稲妻がはしる。
「わ、私とした事がぁぁ!!!!」
スピーカーからショウの絶叫が響く、正直うるさい。
楓彩、剣得、男性は耳を塞ぐ。
「まぁいいや…で? 王志 剣得…何をすればいい…」
男は向き直って、首を傾げ、鋭利な瞳を向ける。
「そうだな…とりあえず、楓彩の相手をしてやってくれ…」
と剣得は楓彩の後ろに下がり、2人から距離を置く。
「え、えっと…お名前は…」
楓彩はもじもじしながら小さい声で尋ねる。
恐らく聞こえていないだろう。
「…貴様は確か、前にここで素振りしてたガキだよな…かえで…って言ったか…?」
楓彩は首を小さく縦に振り、肯定する。
「まぁ、お前の戦闘スタイルは大体分かってる…「速さで圧倒」て感じか?」
男は右手を高く突き上げる。
すると、虚空から木刀が出現して、男の右手に収まる。
「俺はこの通り、便利な能力なんでな…最近はこれに頼ってる……お前もその足に頼るのはいいが、剣術を磨かなければ、その足も意味がない…」
男は木刀の先を楓彩に向ける。
「まず、見てやるよ…貴様の剣を…」
楓彩は少しあたふたするも、右手に提げていた木刀を下段に構える。
「よ、よろしくお願いしますっ」
そして、始まった打ち合い、いつも通り、楓彩の動きは速すぎて常人には目で捉えることが出来ない。
ただひたすら、広い室内には木と木がぶつかり合う甲高い音が連続して響いていた。
剣得とショウは危険なので部屋の外で観察していた。
右側からの斬撃。
背後からの斬撃。
遠距離からの急撃。
どれも、刹那の内に楓彩が男に叩き込んでいる。
だが、男はその場を1歩も動かずに、背面で木刀を持ち替えたりして、見事に防ぎ切っていた。
「はぁ…はぁ…」
楓彩は1度、動きを止め、呼吸を落ち着かせる。
「………」
楓彩は再び、木刀を構え
「まだまだっ!」
と足に力を込める。
が
「終わりだ…」
「え?」
「おしまいだ……話にならん…おい!王志!!」
男は剣得の名前を呼ぶ。
すると、剣得は扉を開け、楓彩達の方に駆け寄ってくる。
「どうしたー?」
「終わりだ…こいつにはやる気がない…」
楓彩は驚愕の表情をする。
「ど、どういう事ですか!?」
男は木刀を肩に預け
「こいつ、俺を傷つけようとしてない…」
「っ!?」
男のその言葉は楓彩の心を貫いた。
「さっきから貴様、俺の木刀を弾くことを狙っているだろ…」
刹那、男は楓彩の眼前に移動してくる。テレポートだ。
「──っ!!」
楓彩は咄嗟に構えようとするが
「遅い!」
楓彩の持っていた木刀はへし折れ、男が振り上げた木刀は楓彩を高く打ち上げた。
剣得は反応出来なかった。
「───ゴフッ!!!!」
「──っ!!??」
剣得は咄嗟に、落下地点に向けて、見事なスライディングキャッチを決める。
そして剣得は男を睨みつける。
「おいお前!! 何のつもりだ!!」
男は2人を見下すように見つめる。
「腹が立ったんでな…一撃見舞ってやった…」
剣得は楓彩の上体を起こす。
「おい! しっかりしろ! 楓彩!」
楓彩は胸元を抑えて、自力で上体を起こす。
「くっ! くはっ!」
少量の吐血。
「は、剣得…さん…木刀を…」
楓彩は剣得の上着を掴み、立ち上がろうとする。
「もうやめとけ…貴様にはこの世界は向いてない…甘い世界にもどれ…」
「…ってない…」
「あ?」
「…終わってない!!」
楓彩は足元おぼつかない様子で立ち上がる。
「ふっ、じゃあ見せてみろ…貴様の本性を…」
「…剣得さん…木刀を!」
─── 嫌だ! 中途半端は!
男は左手を高く上げる。そして、先ほどと同様に虚空から木刀を取り出す。
そして、2本目の木刀を楓彩に投げて渡す。
その木刀を両手でキャッチする楓彩。
「あ、ありがとうございますっ!!」
そして、楓彩は木刀を下段に構える。
「…いい目だ…」
「(うっ、楓彩…この殺気…ほんとに楓彩か?)」
剣得は楓彩の放つ殺気に驚愕の表情を見せる。
そして、部屋の外でハラハラしながら見ていたショウもその楓彩の殺気を感じ取っていた。
「あの楓彩の目…」
ショウは思い出していた。
楓彩が洗脳されたG,S,A隊員2人に襲われた時に見せた…狩人(人殺し)の目。
「お願いします…」
【力を貸してあげる…存分に…】
──刹那
男は体勢を反らし楓彩の木刀をかわす。
「くっ!」
そして、続く第二撃、楓彩の回し蹴りを男は空いている左手で、楓彩の足の軌道を捻じ曲げ、否した。
「(なんつー速さだよ! 楓彩…)」
剣得は楓彩の速さを目で追うことしか出来なかった。
そして、今になって、楓彩がさっきまで立っていた場所の床は深くえぐれる。
「…きっ、貴様!! そいつが本性かっ!」
その時、男が見た楓彩の表情は、まるで人を殺し回っていた時の自分を写した鏡を見ているようだった。
───人殺しめ…
そして、木刀が打ち合う甲高い音が雨のように響き渡る。
楓彩の攻撃はどれも殺傷を目的とする急所を狙った、危険行為だった。
「…っ!(こいつ! 俺以上の人殺しのセンスが…)」
男の頬を楓彩の木刀がかすめる。
「…ちっ!」
男は楓彩から距離を取る。
男の頬から鮮血が伝う。
「なんだか…ぬるいですね…本気ですか?」
楓彩は真顔で冷たい表情を男に向ける。
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