生き残りBAD END

とぅるすけ

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第2章 「征」編

革変

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 西区 スラム街
 
 ショートボブの茶髪で、先に銃口が付いた銀の槍を両手で握りしめた女性──帝 臨は、生存者(サバイバー)3体を圧倒していた。

「さぁて、あと2体…」

 蜘蛛のような形をした、生物の上に乗り、槍を突き刺す臨。
 周囲を確認して残りの2体の蜘蛛型生存者(サバイバー)の位置を確認する。

「(後ろのビルに張り付いてるのが1体、右前のビルの屋上に1体…住民は避難済み…)」

 次の瞬間、後ろにいた生存者(サバイバー)は臨目がけて、液体にも近い白い糸を飛ばしてくる。

「…汚い…」

 それに対し、臨はご自慢の念力で障壁を張る。
 蜘蛛の糸は臨の目の前で広がり、臨が力を込めた瞬間に、その蜘蛛の糸を放ってきた生存者(サバイバー)に返す。
 生存者(サバイバー)は自分の糸に身を固められ身動きが取れない。

「───天丸(とびまる)…!!」

 臨は銀槍の銃口を拘束されている生存者(サバイバー)に向ける。
 次の瞬間、その銃口から放たれた一閃は生存者(サバイバー)の体を粉砕する。
 辺りに紺青の体液が撒き散らされる。

「ラスト!!」

 臨は念力を使い、ものすごいスピードで、高い位置にいる生存者(サバイバー)目がけて突進する。
 生存者(サバイバー)はその臨に対し、蜘蛛の糸の玉を飛ばしてくるが、臨の槍術で切り刻まれ、離散する。

「──ふん!!」

 臨の槍は生存者(サバイバー)の体を綺麗に両断する。
 臨はその生存者(サバイバー)の死骸の上に着地を決めると深い息を吐き出す。

「ふぅ…終わったかな……」

 その時、臨の右耳に付いているインカムから声がする。

『おい──臨!』

 剣得の声だ。

「っ!? 剣得さん? どうしました?」

 臨は耳に手を当てる。

『今すぐ──ってこい──て──しゅ──』
 「え? なんですか? よく聞こえません」

 通信は切れてしまった。
 臨は異常事態を察し、急ぎ、本部に戻ることを決める。


G,S,A本部

 剣得のいる、司令室は戦場と化していた。

「伏せろ──」

 剣得の呼びかけは遅く、剣得の近くにいた女性オペレーターの額を弾丸が貫く。
 剣得は咄嗟にしゃがんだので、弾丸には当たらなかったものの、他にも死傷者が出る瞬間を見ていた。

「っ!!」

 剣得が。男のいた入口の方を見ると、その男と同じ症状の隊員が複数、数は6人ほど、マシンガンを構え、立っていた。

「う、ううぅ……がぁ!!」

 剣得は、狂った隊員達が引き金を引くよりも速く、懐に飛び込み、目にも止まらぬ速さで6人の狂った隊員質に峰打ちを食らわせる。
 狂った隊員達は倒れ込み、それ以来動くことは無かった。

「ふぅ…」

 剣得は詰まった息を吐き出す。
 司令室にいた生き残った隊員達は剣得が何をしたのか見てはいなかったが、状況を把握し、安堵の息を漏らす者もいた。

「ちっ…何が起こってやがる…おい、非常事態だ、臨を呼び戻すぞ…通信機を貸してくれ」
「は、はい」

 男性隊員がトランシーバーを手に剣得に駆け寄ってくる。

「おい! 臨!」
『は──ん?』
「今すぐ戻ってこい、敵襲だ」
 
 通信はそこで切れた。

「っ!? おい、通信妨害か?」

 剣得は口元からトランシーバーを離す。

「本部館内全域に通信妨害が施されています! 通信はおろか、電子機器も制限されています!」
「館内放送は?」
「だめです総督! さっきの攻撃でダウンしてます」
「くそっ(…ついに来たか…SABER…っ! 楓彩…)」


ショウちゃんの工房

 「臨さん凄いですね…」

ショウと楓彩は臨の戦闘を支援するため、生存者(サバイバー)が出現した付近の監視カメラをハッキングし、モニターしていた。

「臨のおかげで、私の仕事無しか…」

 ショウは心做しか、悲しそうな顔をしていた。

「(ショウさん、普段暇なんですね…)」

 楓彩はそんなショウの横顔を優しい表情で見ていた。
 その時

「……? ショウさん…? なんだか外が騒がしくないですか?」

 楓彩は工房の扉の方へ振り向く。

「? そう? 何も聞こえないけど…気の──むぐっ!」
「静かにっ」

 楓彩はショウの口に手を当てる。
 何やら楓彩はただならぬ空気を感じ取っているようだ。

「誰か来ます…」

 ショウも、楓彩の言葉通り、耳をすませる。
 すると、工房に続く廊下の向こうから足音が聞こえてくる。

「ぷはぁっ、楓彩? どうしたの?」

 楓彩は獣のように、耳の上の寝癖を逆立てて、仮眠用のソファに置いてあった刀を手に取る。

「……」

  楓彩のただならぬ気配に、ショウにも緊張がはしり、キャスター付きの椅子を動かし、近くにあった、拳銃を握る。
 そして、廊下を歩く足音が次第に大きくなり、工房の前で、止まる。
 楓彩は鞘に収まっている刀の柄に手をかけ、ショウは拳銃を構える。

「…遊びに来たよ────」

 楓彩は刹那のうちに抜刀して、刃が全部峰になった刀を入ってきた人物の首元に触れさせる。

「ひゃっ!! ………か、楓彩ちゃん!?」

 金髪の外ハネショートカット、そして、目に余る巨大な胸。
 休暇中の雨地 小雨だ。
 肩に穴が空いた、白いカーディガンの下に黒いTシャツのオシャレな服装に、スタイリッシュなジーパン。
 絶賛休暇中という感じの私服だ。

「こ、小雨さん?」

 楓彩の体から一気に力が抜ける。
 ショウも一瞬驚くと、安堵の息を漏らす。

「楓彩ちゃん…これ退けてくれない?」

 小雨は冷や汗をたらして、真っ青な顔をして、楓彩の握っている刀を見ていた。
 
「あっ、ごめんなさい!」

 楓彩は刀を納刀し、深々と頭を下げる。
 ショウも拳銃を下げる。

「う、うん、どうしたの? そんな物騒な物持って……て言うか、楓彩ちゃん! 制服似合うね!?」

 そう言えば、小雨は楓彩の制服姿を見たことが無く、目をキラキラさせて、色々な方向から、見回していた。

「うぅ、小雨さん…そこまで見られると、恥ずかしいです…」

 楓彩は両手に納刀された刀を握り、小雨の視線を気にしてるのか、モジモジしていた。

「ところで、小雨はなんで来たの? 休暇中でしょ?」

 ショウは手にしていた拳銃を右の人差し指でクルクル回しながら尋ねる。

「いやーね? 西区で臨とショッピングしてたんだけど、生存者(サバイバー)警報が出てさ、臨がそっちに行っちゃったから、本部に行った方が安全かと思ったんだけどさ」

 小雨は仮眠用のソファに腰をかけて

「でもおかしいんだよねー、人っ子1人見かけないんだよ…それにさっき、ここに来る時、銃声を何回か聞いた」
「「え?」」
「安全だと思って、ここに来たんだけど」

 楓彩とショウに再び緊張がはしる。

「確かに、館内放送がないね…」

 ショウは不思議思い、キャスター付きの椅子を動かし、パソコンを立ち上げ、何かを調べ始めた。

「やっぱり、妨害電波が出てる、発信源は屋上か……そうだ!」

 ショウは携帯を取り出して、耳元に当てる。

「だめだ! 司令室に繋がらない…私の携帯は妨害対策してあるから、繋がるはずなんだけど、これは何かあったね…」

 ショウはモニターに目を移す。
 小雨と楓彩はキョトンとしていた。

「小雨! 楓彩! 非常事態だ!」
「「っ!!」」
「SABERの襲撃だ! 小雨? 戦える?」

 小雨の顔は恐怖に歪む。
 晴雲に埋め込まれたトラウマが蘇る。

「……楓彩…実戦だ、私の援護を頼むよ!」
「あ、あたし…た、戦えるよ!」

 小雨は立ち上がり、涙に少し濡れた目を見せる。

「……うん…わかった、指揮は私が取る、楓彩が先行して、私と小雨で楓彩のバックアップ! いいね?」
「はい!」「うん!」
「まずは司令室に行って、運が良ければ剣得や本部隊と合流、最悪を考えると剣得は……」

 楓彩を前に、これ以上は言えなかったが、楓彩は左手に握っている鞘に収まっている刀を強く握りしめ

「行きましょう! ショウさん! 小雨さん!」

 

G,S,A本部 司令室付近

「我の“傀儡”を使って、中から崩していくぞ…」

 フードを被った男性を中心に、“傀儡”となったG,S,Aの制服を着た男女と、重武装した、軍隊の様な人々が集まっていた。

「破壊工作班、作戦を実行…本部隊、我をバックアップ、まずは司令室を攻め落とす」
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