生き残りBAD END

とぅるすけ

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第3章「奪還」編

思考

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 その夜

「「「「えぇぇ!!??」」」」

 楓彩、ショウ、臨、小雨の女性陣は目の前のテーブルに並んでいる和風料理の味に絶叫していた…いい意味で。

「ななな何ですかこれ!! 美味しすぎますよ瑛太さん!!」

 楓彩の持つ橋の速度が上がっていく。

「神ちゃん、チョー美味しーよこれ!!」

 小雨も楓彩程の早さではないが、食べるペースは他の人と比べて早かった。

「へー瑛太くん料理出来るんだね」

 臨は瑛太を見て首を傾げ、微笑む。
 恐らく、「負けてないな」などと、臨は思っている。
 瑛太はそれを知る由もなく

「えへへ、いや、一人暮らしなもので」

 と自分の後頭部に右手を回して、鼻の下を伸ばす。

「「「……(分かりやすいなぁ)」」」

 そんなことを思っている大人達を他所に

「美味しいですねぇ~シロンも喜んでますよ」

 楓彩の言う通りシロンも用意されたエサをいつもより勢いよく食べていた。



 「では、こちらで寝てください」

 その後、瑛太は5人を家の中で一番広い部屋に案内する。
 そこには4人分の布団が敷いてあった。

「いろは さんは俺と別の部屋で寝ましょう」
「何でお前と寝なければならない」

 その瞬間、瑛太の感じる空気がドッと重くなる。
 4人分の視線を感じたからだ。

「瑛太さん? なんで、いろは さんは別の部屋なんですか?」

 曇り無き眼で瑛太を見て首を傾げる楓彩。

「瑛太、あんたまさか、気にしてんの?」

 手元に右手を当ててクスクスと笑っているショウ。

「そんなこと起こんないから」

 呆れた表情で瑛太を見る小雨。

「瑛太くん……その…なの?」

 臨だけは顔を赤くして目をそらしていた。

「…かっ!! ホモじゃないです! 絶対…とにかく、小さいことに引っかからなくていいですから!! それと、この部屋から出て右手の廊下を真っ直ぐ行くと浴場がありますから後で使ってください」

 瑛太はそう言って いろは の腕を掴み部屋を出る。

「あらら行っちゃった…」


 その後、女子部屋では

「きゃあ!! 小雨さん!! や、やめて……くだ……ひぅ!!」

 小雨は楓彩の肌を触りまくる淫行に走っていた。

「楓彩ちゃんのお肌久しぶりぃー!!」
「うんんん! くすぐったいです!!」

 普段なら臨やショウが止めに入るのだが、臨は一足先に、「脳を休める、風呂時に起こして」と言って布団を敷いて寝てしまい、ショウとは言うと、先程、客間で展開した立体的な島の地図をあぐらをかきながら眺めて考え込んでいた。

「ショウさーーん!! 助けてくださいー!!」

 その時、楓彩はあぐらをかいているショウの背中に抱きつき、小雨は

「楓彩ちゃーん!! 逃がさないよー」

 と迫ってくる。
 その時

「あんた達、うるさい」

 ショウは冷たい表情で2人を睨みつける。

「「ひっ!」」

 2人はその場に正座をして

「ごめん…」「ごめんなさい…」
「今、考えてるから…次邪魔したら撃つよ?」

 ショウはそう言うと、何やら切羽詰まった状態で再び地図に向き直る。

「……楓彩ちゃん、お風呂行こっか」
「…はい」



 その後、2人は浴場に入る。
 すると、暖簾をくぐった先に割と広い脱衣場が広がっていた。

「何ここ、旅館?」
「ひ、広いですね…」

 2人は用意されていた籠に脱いだ服を入れた。

「さ、触らないでくださいよ?」

 楓彩はパンツ一丁で胸を隠しながら小雨を睨む。

「楓彩ちゃんはブラ付けないんだね」
「え? ブラ?」

 楓彩は小雨はの胸を見る。
 小雨は胸に黒色の薔薇などの装飾が施されたどこかセクシーなブラを付けていた。
 パンツも同じ柄だ。

「楓彩ちゃんも付けたら? 最初は布の簡単なやつでいいと思うよ?」
「んん、暑くないですか?」
「まぁ、最初は違和感あると思うけど、楓彩ちゃん、これからおっぱいおっきくなると思うからその時に必要かな?」
「そ、そうですか…考えたこと無かったです」

 楓彩は自分の胸に目線を下ろす。

「(まぁ、剣得くんの事だから気にしてないと思ったけどね)」
「大きくなりますか?」
「んー、あるにはあるんだけどね? 方法…」

 楓彩は自分の胸を下から持ち上げる。

「…(やっぱ大きい方がいいのかな?)」

 やがて2人はタオルを持って浴場に入る。
 そこには大理石が敷かれた床、4台並んであるシャワー台、そして何より、巨大な浴槽の奥にある大窓から、神ヶ丘邸のライトアップされた庭園が一望できる。
 2人は、4台あるシャワー台の手前の2台に入口から楓彩、小雨の順で座る。

「わぁ綺麗…すごいです…」
「そうだね…ねぇ楓彩ちゃん? …教えてあげようか?」
「胸を大きくする方法……ですか?」

 楓彩は遠慮した様子で聞き返す。

「効果はあるか知らないけど…いいらしいよ?」
「………」

 小雨はさすがに予想できていた、楓彩が黙ることに。
 実際に小雨の目の前で楓彩の目は前髪に隠れて見えないが、恐らく呆れているのだろう。

「ま、まぁ、効果があるか分からないから試さな───」
「やってみて下さい!!」
「──っへ!?」

 楓彩はキラキラした目で、小雨の目を見つめる。
 その楓彩の予想外な反応に、小雨の体は後ろへ引く。

「え? いいの?」
「はい! ものは試しです!! やってみて下さい!!」
「え…じゃ、じゃあ体洗いながら」

 小雨は、タオルにボディソープを染み込ませて恐る恐る、そして、興奮しながら楓彩の脇に腕を通す。

「じゃあやるよ?」
「はい…お願いします」

 いつもは躊躇いもなく楓彩の胸を揉める小雨だが、面と向かって揉むとなぜか緊張している。
 そして、タオル越しに小雨の手のひらに収まる小さな膨らみ。

「ひゃっ……!」

 楓彩の可愛らしい悲鳴を他所に、小雨は軽く握る。
 小ささの割にはとてつもない柔らかさで、小雨自身も、「これ、揉めてる?」と思うほど抵抗がない。
 ボディソープが泡立ち、楓彩の胸の上を小雨の手が滑らかにすべる。

「はぁ…ん………」

 楓彩がなかなかに甘い声を出すので小雨は興奮して更にいじめる。

「ふわぁっ!! ちょっ! 小雨…さん……!」
「やってくれって言ったのは楓彩ちゃんだよ? それに……楓彩ちゃんのおっぱいすごく気持ちいい…」

 小雨は楓彩の耳元で囁く。
 楓彩は抵抗したいのか、小雨の両手を退けようと掴む。

「やぁ…だ、だめぇ……」

 楓彩の体から力が抜けたのか、抵抗が弱まる。

「楓彩ちゃん? 気持ちいい?」
「わ、分からない…です…」

 小雨はトドメに楓彩の弱いであろう部位を摘み、弄る。

「───ひゃあぁん!!───」



「ショウさーん? 臨さーん? お風呂お先に入りました、次どうぞ……って、聞いてます?」

 楓彩と小雨は風呂から上がり、女子部屋に戻る。
 中では相変わらずショウはあぐらをかいてマップを見つめて考え込み、臨は可愛らしく丸くなって寝ていた。
 楓彩は臨に近寄り

「臨さん、起きてください…お風呂入ってくださいよ」
「……ん? あ? 楓彩か…もう朝?」

 臨は首だけ楓彩の方に向ける。

「まだ夜ですよ…お風呂入っちゃって下さい」
「はいよー…って、小雨はどうしたの」

 臨は起き上がると同時に、襖の近くで右頬に赤い手形を作って泣いている小雨を見る。

「うぅぅっ……ぐすっ」
「楓彩どうしたの?」
「し、知りません!」

  臨は立ち上がり、近くであぐらをかいていたショウの後ろ襟を掴み、部屋の外へ引きずり出す。

「おい! 臨! 何すんの!?」
「風呂だ風呂」

 そうして、ショウは臨に連れられて姿を消した。
 楓彩は部屋に小雨といるのは気まずいと感じたのか無言で部屋を出る。

「楓彩ちゃん?」
「…瑛太さんのところに行きます…小雨さんはす少し反省して下さい」

 女子部屋の襖をピシャリとしめる。

 
 楓彩は女子部屋から浴場の方へ二つの部屋をまたいである男子部屋に着くと、中に人の気配は無かった。
 部屋の広さは女子部屋とさほど変わらず、形状も同じだった。

「瑛太さーん? …あれ? いない…」

 部屋の中の様子は2つ布団が敷かれていて寝る準備が出来ている様子だった。
 その事から2人は風呂に行ったようだ。

「…お風呂? かな?」

 楓彩はしばらく考えた後

「…はっ!!」

 楓彩はドタドタと足音を立てて小走りで浴場へ向かう。
 その最中

「きゃあああ!!」
「うわぁぁ!! す、すみません!!」

 ショウの叫び声と、瑛太の叫び声が聞こえる。
 そして、楓彩がスピードを上げると、浴場へ向かう曲がり角で、腰にタオルを巻いただけの瑛太とぶつかる。

「きゃあ!」
「うわぁ!」

 楓彩と瑛太は後ろへ尻もちをつく。

「お、鬼月さん!?」
「いたた、瑛太さ───」

 楓彩は見てしまった、瑛太が腰につけているタオルの中にあるを。

「きゃあああ!!!!」

 続いて響く楓彩の悲鳴。
 そして、ビンタの甲高い音。



 その後、全員が風呂を済ませ、水色の通気性の良い浴衣姿で女子部屋に集合する。
 約2名が右頬に紅葉を作って…。
 6人は円になって座り、ショウの方を向いていた。

「すいません、こんな着物しかなくて…」
「いえいえ、涼しいですよ? これ」

 楓彩はこういった着物を着るのが初めてで、興奮した様子で、両腕を広げていた。
 それを他所に

「…さてと、さっきから考えてたんだけど…」

 ショウは再び円の真ん中に立体的な地図を展開する。

「摩天楼って言われてる島の中心の“スカイネクスト”から本部を狙撃するって考えを出したんだけど、やっぱり外側からの攻撃に強い装甲を持ってる本部には効きにくい…」

 地図を指さしながら説明を始めるショウ。

「じゃあ、どうするの? ショウちゃん」
「小雨って、狙撃出来る? よね?」
「うん、距離によるけど、スカイネクストから狙うなら十分だよ?」

 小雨の能力レーザーなら、ちょっとしたビルなら貫通するほどの威力を持っているため、ショウは小雨を狙撃手に任命した。

「小雨は“決めの狙撃”、そして、私は“相手の陣形を乱す狙撃をしよう”、後の近接戦闘のプロ達は頑張って突撃してくれたまえ」

「まぁ、今回の作戦は、俺達突撃隊じゃなくてショウムート達にかかってるってことだな…俺らは具体的に何をすればいい」
「へぇ? いろは あんた割と協力的じゃん」
「まぁ、借りがあるからな……」

 楓彩は いろは を見て軽く微笑む。

「味方が増えるのはいい事ですよ」

「まぁ、楓彩、いろは 、臨は本部を中から破壊する、この際、建物の破損はやむを得ない…晴雲や、敵の主戦力は狙撃班に任せて? いい? 私達がG,S,Aの最後の希望だからね? 他の隊員は洗脳されたか、捕虜になってるはずだから…」

 ショウの作戦は、狙撃班と突撃班に分かれ、突撃班は敵の戦力の殲滅、狙撃班はそれの援護。
 といった、単純だが、難しい作戦。
 さらに、問題はそれだけではない。

「剣得…あいつが敵に回ってる限り、私達に勝ち目は無い…だから、楓彩?」
「はい」
「剣得をお引き寄せてくれる? いくら剣得でも、楓彩の速さには付いてこれないと思う」
「わ、分かりました」

 楓彩はどこか自身がなさそうに返事をする。

「楓彩だけだと不安だから、瑛太が一緒に付き添って」
「了解です」
「あとは、臨と いろは で、洗脳された隊員と、その元凶の撃破を」
「あぁ」「分かった」
「いい? なんか、いろは の怪我の治りが早かったから明日には行動を起こすよ」

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