生き残りBAD END

とぅるすけ

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第3章「奪還」編

黙ってましたけど…

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 まだ静かな朝の街を歩く6人。
 ショウの注意から、周囲に敵影が無いか注意しながら進む緊張感が張り詰めていた。

「そこの角を右」

 丹精な住宅街、進んでいくとやがて人影が見え始める。

「っ!! …なんだ、猫か…」


 例え、前を歩く猫でさえ、6人は警戒してしまう。
 SABERの支配の手は今現在どこまで伸びているのか分からない。

「割と歩くね…」

 そんな事を呟く臨。
 その時。

「っ!!」

 前方を歩いていた楓彩と瑛太が止まる。
 その強ばった目から敵影を発見した模様。

「…下がってください、迂回しましょう…」

 声にならない声で手話も混ぜて伝える瑛太。
 ショウ一行は多少遠回りにはなるが、ショウの武器庫へ確実に向かっていた。


 2時間ほど歩いただろうか、ショウか昔使っていたという武器庫に到着する。
 が、目の前にあるのは完全に営業中のホテルだった。

「あの、ショウさん?」

 瑛太はその建物を見上げて息を飲んだ。

「何?」
「ここ…」
「うん、ラブホ」

 楓彩、小雨、いろは はキョトンとしていた。
 
「ま、とにかく入って…」

 中に入ると早速、色っぽい雰囲気が漂っていた。
 カウンターにはワックスで髪をキメた男性が立っていた。

「いらっしゃいませ…お休みですか?」

 ショウはカウンターに近づき

「コードC…」

 ショウがそう言うと立っていた男は青白く光りながら姿を消す。

「これは…ホログラム…?」

 それと同時に入ってきた入口にシャッターが掛かる。
 そして、カウンターと、その奥の壁が開き、一つの扉が姿を現す。

「さてと、ロック解除」
《承認》

 解錠音と同時に鉄の扉は開き、室内に明かりがつく。
 
「おぉ」

 瑛太はそこに広がる光景に胸を踊らせた。
 四畳半程の空間に軍隊が装備しているようなライフル、拳銃、弾薬から刀剣まで、綺麗に、そして大量に並べられていたのだ。

「どう? これが私の武器庫だよ?」

 皆が中に入ると、ショウは誇らしげに言う。

「さっさと武器を持てるだけ持って、いろは の能力で帰ろう!」
「? ショウちゃん? なら、行きも使えばよかったんじゃないの?」

 誰もが思う疑問を小雨がぶつける。
 その時、いろは は武器庫にあった刀を手に見つめながら

「それは無理だな、俺の能力はテレポート先のイメージが掴めてないとうまく出来ない…まさかそれに気づいていたなんてな…ショウムート…」

 刀を元あった場所に置き、半見でショウを見る。

「まぁね、帰りは頼んだよ? いろは」
「あぁ…」

 その後、一行は必要以上の武器を手に取り、アタッシュケースや武器用のスーツケースに詰め込み、 いろは のテレポートで神ヶ丘邸の前に一瞬で到着する。

「さんきゅ、いろは」
「…構わん」

 ショウ、楓彩は慣れたのか普通にしていた。
 だが、臨、小雨、瑛太は両脇に銃器を抱え、唖然としていた。

「便利だなぁ」
「便利だ」
「便利ですね」

 6人は門をくぐり、玄関までの石が敷かれた道を歩き、ショウを先頭に開き戸を開ける。
 その時

「ショウムート…!! 待て!」

 ショウは家の中に片足を踏み入れて静止する。

「誰かいる…」

 いろは の目は臨戦状態に入る。

「シ、シロンですよ…多分」

 楓彩はそう言いつつ、持っていた銃器を下ろし、心鉄器しんてっきに手をかける。

「いや、人の気配だね…」

 臨も楓彩の後ろから低い声で注意を呼びかける。
 そして、瑛太はショウの前に出て

「下がってください、俺の電気は弾をはじけます…」

 と瑛太が縁の下を潜ったその時

「はぁ、皆さん、大丈夫です」

 安堵の声と共に緊張を解く瑛太。

「「「「「?」」」」」

 そして、瑛太と5人は半ば緊張しながら家に上がる。
 
「武器はそこの角を右に曲がって真っ直ぐ行くと格技場がありますのでそこに置いてください…俺はやることがあるので…」

 瑛太はそう言うと、いろは に持っていた銃器を預けて皆とは反対の左側の廊下を小走りで駆ける。


 「花麗みちるー? 帰ってるのかぁ?」

 瑛太は人の気配がする客間の襖を開けて1人の名前を呼ぶ。
 
「んーー? 瑛太ぁ? どこ行ってたのだぁ?」

 夜色に染まったセミロングの猫の耳の様なくせっ毛と、腰の尾骨辺りから生えている白い毛に包まれた尻尾の様な物が特徴的な、12歳前後の小学生が腹にシロンを抱えて仰向けで瑛太を見る。
 パンツ一丁で。

「なーなー、この子可愛いなぁ、 どこの子だー?」

 上体を起こし、元気な表情で瑛太を見る。
 
「よその猫だよ…その前に、花麗、服を着なさい」
「暑いから嫌なのだー」
「お客さんがいるからみんなに見られちゃうぞぉ?」
「おお、そうかそうか、ならウチと瑛太のイチャイチャを見せようではないか」

 と悪戯な笑みを浮かべる花麗。
 その時

「瑛太さーん? 荷物運び終わりました…」

 楓彩が空いている襖から顔を出して瑛太の名を呼ぶ。
 花麗は楓彩の声に反応して、素早く尻尾を背中に隠す。

「? あの子か? お客と言うのは」
「そうだよ…服着ろよ」

 シロンは花麗の腕から抜け出して、楓彩に駆け寄ると

「わぁ?」

 自分の足に体を擦り付けてくるシロンを、楓彩は抱きかかえて

「ただいまです、…寂しかったですか?」
「ミャー」
「ほー? オヌシの猫であったか」
「──ひゃっ!?」

 目の前にヌッと顔を出してきた花麗に驚き、後ずさる楓彩。

「ほほぅ、オヌシは幸せ者だな、シロンよ」
「? な、なんでシロンの名前を」
「シロンから聞いたのだよ…」
「え?」

 そしてその時、楓彩の後ろに、ショウ、小雨、臨、いろは が姿を現す。
 花麗は一度に大人数が来てしまったため、脅えて、部屋の奥に戻り、ちゃんとした、着物をサッと着ると再び戻ってくる。

「ん? この娘誰?」
「何このちっちゃい超カワイイ子ーーっ!」
「瑛太くんの妹さん?」

 皆、花麗を見てそれぞれの感想を述べる。
 小雨だけは、触ろうとしてしまったため、腹を蹴られて悶絶していたが…。


 改めて。


「こちら、片町かたまち 花麗みちるです…ほら、挨拶」
「ふふふ、遠町 花麗だ…愚民ども…天に仰ぎみる我を虚しく見上げるが良い」

 と右目を左手で隠している花麗を身長的に見下ろす6人。

「…瑛太…抱っこ…」

 瑛太は花麗の両脇に後ろから手を入れて持ち上げる。

「ふはははっ!! 愚かな人間どもぉ!!」

 ───初見絡みがダルい

 瑛太は花麗が満足した顔を見せたことを確認すると、静かに下ろす。
 その後、一人一人、名乗った後、花麗は興味を持ったのか、楓彩に近づく。

「?」
「座るのだ…」
「はい…」

 楓彩は静かに腰を下ろして正座になる。

「オヌシ…動物と会話ができるのか?」

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