生き残りBAD END

とぅるすけ

文字の大きさ
58 / 159
第4章 見えた世界 偏

ショウのストレス

しおりを挟む
 「ふわぁ…おはよー」

 客間に欠伸をしながら入ってきたのは小雨だった。
 着物がはだけて上の黒の下着を露出していた。

「おはよう、小雨…あんたの寝相凄かったよ」
「臨だって同じようなものだよぉ」

 小雨は臨の隣に腰を下ろして、再度、欠伸をする。

「小雨…ショウの奴は?」

 剣得は腰に抱きついている楓彩の頭を撫でながら小雨に問う。

「あぁ、布団かぶって寝てるよー」
「そうか……ちょっと様子見に行くかな」
「ふぅー優っ男ー」

 茶化してくる小雨。

「んじゃ臨、楓彩を頼んでいいか?」
「了解です」

 と、剣得は楓彩を引き離すため、楓彩の肩をポンポン叩く。

「…んんんん!」

 離す気配は無い。
 超ご機嫌ななめ。

「楓彩ちゃんどしたの?」
「まぁ…かくかくしかじか」
「へぇ、そう…気にしないで? 楓彩ちゃん!」

 小雨のエールの言葉も届かず。
 結果、楓彩は剣得に抱き抱えられたまま連れていかれた。

 ショウ達が泊まっている部屋の前。

「おーい、ショウ? 大丈夫かー?」

 返事は無い。

 「?」

 剣得は左腕が楓彩を抱き抱えるので塞がってしまっているので、器用に足で襖を開ける。

「あれ、いない…」

 ショウがいるはずの部屋に、人影はなかった。





 その頃、格技場では、

「シッ…シッ…」

 鈍い破裂音が響いていた。
 赤色のオープンフィンガーグローブ。
 黒のタンクトップ。
 瑛太はサンドバッグを殴り続けていた。
 やがて、蹴りも含め始めた。
 瑛太の稽古とはキックボクシングの事である。

「技の精度上がったかな…」

 どうやら瑛太が得意なのはブラジリアンキックと呼ばれる変則的な蹴り。
 それ以外も、プロ顔負けの速さと精度である。

「試してあげようか?」

 その時、瑛太の後方に開いてある大戸の方から声が聞こえる。

「…ショ…ショウさん…?」

 胸元が大きく開いた(わざと)着物を来ているショウだった。

「いやぁね? 運動しようかなーって」
「だ、だから…?」
「あんたキックボクシングやってるんだ…」

 ショウはゆっくり瑛太に歩み寄ってくる。
 瑛太にはショウの逆光でよく見えない笑顔が怖く見えた。

「っ! ショウさん…胸元開けすぎです…」
「エロいか? ……ごめんごめん、刺激が強いか」

 ショウは着物を着直すと、腰に右手を当てて

「ほら…かかってきな…」

 と、左手の人差し指で挑発する。

「いや…でも…!」
「あっ、そっか…グローブ貸して?」

 左手で、瑛太の持っているグローブを催促するショウ。

「えっ、これしか無くて…」
「じゃあ…それでいいや…貸して」
「でも、俺が素手だとショウさん怪我しませんか…?」
「舐めてるね…いいから貸せよ」

 もはや脅しに近い。

「は、はい」

 瑛太は恐る恐るショウにグローブを渡す。
 グローブを受け取ったショウは慣れた手つきでグローブを装着すると、右肩を引いて、左肩を瑛太に向ける半身の姿勢になる。
 尚、両手は下がっており、構えていない。

「最初に言っておくけど、私強いよ?」
「…怪我しても俺のせいじゃありませんからね…」

 瑛太は一応警告しておく。
 すると、

「もち!」

 と、軽い返事が帰ってきた。
 瑛太は戸惑いを振り払って、両拳を顔の位置まで上げ、軽快なフットワークを見せる。

「───シッ!」

 先手の瑛太の右ストレート。
 だが、その拳は空を切る。
 ショウは首を傾げて交わしたようだ。
 何にせよ、ショウの反射神経は以上だ。

「ほら、一発だけかい?」
「───シッ!」

 その挑発に乗った瑛太は割と自信のあるラッシュをお見舞いする。
 しかし

「まぁ、速いけど…当たらないね…」
「くっ! (狙いがすぐにズレる!)」
「さぁ、こっちから行くぞ」

 ───刹那

 ショウは激しい攻撃の間を縫うように瑛太の眼前に躍り出る。 

「───っ!!」

 咄嗟に繰り出した瑛太の後ろ回し蹴り。
 
 ヒット……したはず。

「──なっ!!」

 狙いは完璧、威力も充分。
 しかし、その蹴りは空振りのような感覚だった。

「んーー…キックボクシングってもっと速いでしょ?」(無知)

 瑛太は理解した。
 ショウはあの蹴りの軌道を右手で上手く受け流したのだ。
 決して正面から捉えず、蹴りの威力を殺さないで。

「私の武術はね? 考えた人がイキリオタクでさ、しょっちゅう頭の中で戦闘してたんだよ…で、その戦闘を実現させたのが、この私の武術…名前は知らない」

 何とも薄っぺらい歴史だ。
 しかし、相手が相手だけに、瑛太は油断できなかった。

「なんか…悔しいっすね…イキリオタクの考えた武術と競るなんて」
「競ってなんかないよ…私の方が強いし」

 その後、瑛太の全力の攻撃はすべて流されたり、自分の攻撃と攻撃の間を縫うようにかわされ、ついに、

「ほらそこ!」

 瑛太がチャンスと思った右ストレートの下に潜られ、胸に強烈な掌底打ちをもらう。

「こふっ!!」

 瑛太は後ずさりしながら距離を取ると、瑛太の目の前にショウの姿はなかった。
 
「股下いただき」

 その声と同時に、瑛太の背中にショウの踵《かかと》が入る。
 ショウはバランスを保つために開いていた瑛太の足の間から全身を滑らせて潜り込み、体を反らしなら攻撃したようだ。

「くっ!?」

 瑛太は後ろに振り向き、ショウの姿を捉えるも、

「──はっ」

 ショウは逆立ちの状態で、ジャンプし、瑛太の顔面に自分の股を押し当てる。
 瑛太の視界は黒と白のしましま模様になる。
 そして、その勢いのまま、瑛太は後ろに倒れてショウの尻に頭が敷かれる状態になる。

「ぐむっ!!」
「…私の勝ち…」

 ショウは瑛太の顔から尻を離すと、瑛太の腹に馬乗りになる。

「? まだ、技かけるんですか…?」

 瑛太は苦笑いしながら聞いた。

「いや? 別に? お話しようと思って」
「ならこうじゃなくても」

 瑛太の胸に置いてある両手が妙にエロい。
 服も運動したからか、はだけ、白黒のしましま模様の下着が丸見えだ。
 おまけに汗でしっとりした肌が密着しているので瑛太は興奮しそうだった。

「ねぇ、瑛太──」

 ショウが話をするために瑛太に顔を近づけたその時だった。

「ああぁぁぁぁあ!!!!」

 格技場の開いている大戸の方から花麗の叫び声が聞こえる。

「ん? 花麗…?」

 2人が同時に視線を送ると
 涙目で、目を見開いた花麗の姿が。

「瑛太が寝取られたぁぁ!!!!」(2回目)


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

ネットワーカーな私は異世界でも不労所得で生きたい 悪役令嬢として婚約破棄を狙ったら、王家全員に謙虚な聖女と勘違いされて外堀を埋められました

来栖とむ
ファンタジー
「私の目標は、十七歳での完全リタイア。――それ以外はすべて『ノイズ』ですわ」 ブラックIT企業のネットワークエンジニア兼、ガチ投資家だった前世を持つ公爵令嬢リゼット。 彼女が転生したのは、十七歳の誕生日に「断罪」が待ち受ける乙女ゲームの世界だった。 「婚約破棄? 結構です。むしろ退職金(慰謝料)をいただけます?」 死を回避し、優雅な不労所得生活(FIRE)を手に入れるため、リゼットは前世の知識をフル稼働させる。 魔法を「論理回路」としてハックし、物理法則をデバッグ。 投資理論で王国の経済を掌握し、政治的リスクを徹底的にヘッジ。 ……はずだったのに。 面倒を避けるために効率化した魔法は「神業」と称えられ、 資産を守るために回避した戦争は「救国の奇跡」と呼ばれ、 気づけば「沈黙の賢者」として全国民から崇拝されるハメに!? さらには、攻略対象の王子からは「重すぎる信仰」を向けられ、 ライバルのはずのヒロインは「狂信的な弟子」へとジョブチェンジ。 世界という名のバックエンドをデバッグした結果、リゼットは「世界の管理者(創造主代行)」として、永遠のメンテナンス業務に強制就職(王妃確定)させられそうになっていて――!? 「勘弁して。私の有給休暇(隠居生活)はどこにあるのよ!!」 投資家令嬢リゼットによる、勘違いと爆速の隠居(できない)生活、ここに開幕!

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

隠れ居酒屋・越境庵~異世界転移した頑固料理人の物語~

呑兵衛和尚
ファンタジー
調理師・宇堂優也。 彼は、交通事故に巻き込まれて異世界へと旅立った。 彼が異世界に向かった理由、それは『運命の女神の干渉外で起きた事故』に巻き込まれたから。 神々でも判らない事故に巻き込まれ、死亡したという事で、優也は『異世界で第二の人生』を送ることが許された。 そして、仕事にまつわるいくつかのチート能力を得た優也は、異世界でも天職である料理に身をやつすことになるのだが。 始めてみる食材、初めて味わう異世界の味。 そこは、優也にとっては、まさに天国ともいえる世界であった。 そして様々な食材や人々と出会い、この異世界でのライフスタイルを謳歌し始めるのであった。 ※【隠れ居酒屋・越境庵】は隔週更新です。

婚約破棄された元OL悪役令嬢、コンサル知識で潰れかけのギルドを王国一に再建します

黒崎隼人
ファンタジー
エルムガンド王国の第一王子から、卒業パーティーの最中に婚約破棄を宣告された公爵令嬢イザベラ。 断罪のショックで、彼女は自分が現代日本で経営コンサルタントとして働いていた前世の記憶を取り戻す。 ここは乙女ゲームの世界。このままでは爵位剥奪、領地没収の破滅ルートが待っている! 「冗談じゃない。そんな未来、絶対に受け入れてなるものか」 イザベラは破滅フラグを回避するため、父の道楽である赤字続きの冒険者ギルド「白銀の獅子」の運営を引き継ぐことを宣言。 前世で培った現状分析、プロジェクト管理、成果報酬制度などのビジネススキルを駆使し、潰れかけのギルドの改革に乗り出す。 クエストの可視化、新人教育、そしてエルフの賢者や獣人ギルドのマスターとの異種族間連携。 最初は彼女を馬鹿にしていた荒くれ者の冒険者たちも、その圧倒的な手腕とカリスマ性に惹かれ、いつしか彼女の頼もしい仲間となっていく。 やがて彼女のギルドは王都最大の組織へと成長し、彼女を陥れた敵の陰謀すらも打ち砕く! 恋愛よりも仕事! 最高の仲間たちと共に、すべての種族が笑って暮らせる未来を創り上げる、元悪役令嬢の痛快お仕事ファンタジー、開幕!

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

処理中です...