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第4章 見えた世界 偏
許せないこと
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楓彩と瑛太はとある生物の前で立ち止まる。
細身の体。
バランスが悪く、右腕がやけに長い左右非対称な腕。
そして、特徴的な渦巻いたヤギの角のような頭から生えている禍々しい物。
見てわかる。
生存者《サバイバー》だ。
「さ…さっきの奴に似てる…」
だが、先ほど、楓彩達を襲った個体はもっと小柄で、角など生えていなかった。
「と…とにかく…すこし離れましょう…───」
───刹那
眼前に黒い影が現れる。否、離れた場所にいた生存者《サバイバー》が瞬時にして移動してきたのだ。
「───あ…」
「───鬼月さん!!」
瑛太は右腕を構え、雷撃を放とうとする。
だが、生存者《サバイバー》はすぐには手を出してこなかった。
そして、
『オ……オニツキ…カエデ……ミツケタ…』
「え?」
『オレ…ト…コイ…』
言葉を発した…。
「…な…なに…?」
楓彩と瑛太は困惑した。
言葉に意味はある。
「鬼月 楓彩…見つけた…俺と来い…」ハッキリそう言った事がわかった。
「あ…あなた…は」
楓彩がその個体とコミュニケーションを図ろうとしたその時、
「楓彩から離れろ!!」
剣得の声。
────刹那
生存者《サバイバー》の腰あたりに剣得の左拳がめり込み、楓彩の目の前から姿を消す。
「───っ!?」
「──大丈夫か!! 楓彩!」
楓彩が、生存者《サバイバー》に目をやると、生存者《サバイバー》は近くの建物に埋まっていた。
「剣得…さん?」
剣得は尚、臨戦状態で生存者《サバイバー》に向かっていた。
「(ちっ! 手応えはあったが、まだだ!)」
剣得の予想通り、生存者《サバイバー》は瓦礫を掻き分けて這い出てくる。
『…ジャマ…』
「?」
──刹那
剣得の眼前に、生存者《サバイバー》は迫り、それに瞬時に反応した剣得の回し蹴りは生存者《サバイバー》の左頬を捉えていた。
空気を揺るがす振動とともに生存者《サバイバー》は大通りに沿って吹き飛ぶ。
だが、生存者《サバイバー》は見事な身のこなしで、受け身をとる。
顔面は蹴られた部分が凹み、黒い血の様なものを垂らしていた。
「おい…楓彩? よく聞け…この近くに人を寄せ付けないようにしてくれ…」
剣得は楓彩に横顔だけ見せて話しかけてくる。
「でも!」
「頼むから私情は捨ててくれ…あいつが憎くても勝てない…頼んだぞ」
剣得はそう言うと、生存者《サバイバー》に突っ込む。
「鬼月さん! 行こう!」
「…はい…」
剣得と生存者《サバイバー》の刹那の内に何度も怒号をぶつけ合うような戦闘から背を向け、剣得からの命を全うするため、楓彩は走る。
そして、楓彩達からの報告で商店街から半径1kmは閉鎖した。
「楓彩!」
そんな中、楓彩は商店街の方を見て歩いていると1人の女性に呼び止められる。
「ショウさん…」
黒く長い髪の毛で右目が隠れている白衣の女性、ショウだ。
「剣得が戦ってるんだて?」
「はい…」
「まさか…こんな時間に襲撃が来るなんてね…楓彩──?」
ショウが商店街の方から楓彩に目線を移すと、楓彩は倒れかけていた。
「──ちょっ!」
ショウはとっさに楓彩を抱き抱える。
「こんな時に…」
ショウが自分の端末で時間を確認すると時刻は9時ちょうど。
確時睡眠症の発症する時間だ。
《やぁ…久しぶり…“私”》
───あぁ、もう1人の私?
《覚えてたのね…今日…少しでも死を実感したよね…》
───うん怖かった
《あとは、そうね…人々の死体見てどう思った?》
───気分が悪かった…
《もう見たくない?》
───うん…
《じゃあ覚悟を決めようよ。このままじゃ、私が傷つくどころか大切なものを失うよ?》
───…うん
楓彩が目を覚ますと目の前はうすい緑色だった。
「…?」
たくさんの気泡が目の前を過ぎる。
「(あれ? 私…何を…? なんで水の中に…あれ? 苦しくない…息できる)」
今まで着ていた服の感触は無く、全身が液体にさらされていた。
「(何も見えない…ここは…? どこ…)」
その時、視界がハッキリしてくる。
緑色の液体の向こうに、ガスマスクに白衣の人々がこちらを除いて話し合っている。
「(ん? だれ? …まさか…私……!!)」
───12時間前───
楓彩が寝てしまった後。
「ショウちゃん? 大丈夫?」
楓彩を抱えるショウの近くに小雨と臨が駆け寄ってくる。
「うん…大丈夫…」
「楓彩ちゃんは例の?」
「うん…しばらく起きないから…安置できる場所を探して。臨は状況を見て剣得の援護をしてあげて…いい?」
「ショウは?」
「私はやることがある」
ショウは楓彩を小雨に預けて去っていった。
「さてと…じゃあ…臨! 頑張ってね…!」
「うん…」
2人はショウから出された指示に従い、動き始める。
臨は部下たちが集まっている場所に行き、戦況を確認する。
「…剣得さんは…」
「臨さん…依然として激戦状態です…度々、轟音が聞こえます」
「そう…じゃあ、天丸《とびまる》持ってきて…皆もいつでも戦闘に入れるように…」
その後、臨や部下達は封鎖範囲の1kmに入らないように武器を構えて包囲した。
立て続けに鳴り響き続ける戦闘の轟音。
「見えないけどわかる…すごい…」
臨は正直に言って、こんな戦闘には参加したくないと思っているだろう。
参加をすれば確実に無事では済まないだろう。
その頃、剣得は
「ちっ! 右腕が…!」
剣得は痛覚の通っていない右腕を使って防御をし、カウンターを決めていく戦法をとっていたが、生存者《サバイバー》の攻撃の威力が想定よりも高く、三撃目にして、ボロボロになってしまった。
「ちっ! ───」
────刹那
生存者《サバイバー》のミドルキックは遂に剣得の義手を砕いた。
だが、剣得はその隙を見逃さなかった。
義手のパーツがばら撒かれる中、剣得は左腕に炎を纏わせて力を込めた一撃を放つ。
その頃、戦闘外では
「な、なんだ!? 爆発が!」
商店街の方から一瞬で真夜中の辺りを明るくする炎が上がる。
「なに!? あれ!」
剣得の炎だと分かったものは包囲していた隊員の中では瑛太だけだった。
「総督…」
それ以来、外から見て戦闘は落ち着いたのか、終わったのか、静かになった。
「さっきの爆発…今だ! 突入するよ!」
臨の合図で、数人の先鋭隊員達が商店街へ向かう。
しばらく中へ進むと、人影が出てくる。
「止まれ! 何かいる!」
臨のその言葉に、銃を構える隊員達。
臨も槍を下段に構える。
「ったく…最悪だ…」
皆は、その声に聞き覚えがあった。
「剣得さん!?」
上半身の服は先ほどの爆発で無くなり半裸のまま、無事だった上着を左肩から掛けて歩いてきた。
「…逃げられた…」
そんな剣得に毛布や飲み物を持って駆け寄る隊員をよそに臨はたくましい剣得の姿に赤面していた。
その後、剣得以外が知らない内に状況は落ち着き、後々部下からの報告や監視カメラの映像でわかった情報だが、ベルゼブブには子機の様なものが存在していて、ベルゼブブに似た個体が街を動き回っていたらしい。
それも、事態の終息に合わせて姿を消した。
その後、剣得とショウは事後処理を終えると、小雨が楓彩を移動させてくれたG,S,Aの本部へ向かう。
剣得とショウがたどり着くと楓彩はベンチで小雨の膝枕で寝ていた。
「楓彩!」
「あっ…ショウちゃん、剣得くん!」
剣得とショウは2人に駆け寄って楓彩の寝顔を除く。
「よく寝てるな…」
その後、剣得は楓彩を背負い、臨と小雨の住んでいる家で世話になることになった。
その道中。
「悪いな…臨…小雨…」
「いやー楓彩ちゃんが来るなら私は構わないよー…ね? 臨…」
小雨が臨の方を向くと、臨は頭から湯気のようなものを出してロボットのように硬い歩き方をしていた。
「臨はどうしたんだ?」
「あははっ…わかんなーい♪」
臨はギシギシと音を立てて剣得の方を向く。
「だだだだ…大丈夫ですよ……!」
その時、
「───剣得さん!!」
臨はハッとし悲鳴に近い声で剣得を呼ぶ。
「──え?」
剣得が気づいた時には遅く背負っていた楓彩の姿が消えていた。
「───はっ!?」
その場にいた3人の気づかないうちに楓彩は姿を晦ましたのだ。
細身の体。
バランスが悪く、右腕がやけに長い左右非対称な腕。
そして、特徴的な渦巻いたヤギの角のような頭から生えている禍々しい物。
見てわかる。
生存者《サバイバー》だ。
「さ…さっきの奴に似てる…」
だが、先ほど、楓彩達を襲った個体はもっと小柄で、角など生えていなかった。
「と…とにかく…すこし離れましょう…───」
───刹那
眼前に黒い影が現れる。否、離れた場所にいた生存者《サバイバー》が瞬時にして移動してきたのだ。
「───あ…」
「───鬼月さん!!」
瑛太は右腕を構え、雷撃を放とうとする。
だが、生存者《サバイバー》はすぐには手を出してこなかった。
そして、
『オ……オニツキ…カエデ……ミツケタ…』
「え?」
『オレ…ト…コイ…』
言葉を発した…。
「…な…なに…?」
楓彩と瑛太は困惑した。
言葉に意味はある。
「鬼月 楓彩…見つけた…俺と来い…」ハッキリそう言った事がわかった。
「あ…あなた…は」
楓彩がその個体とコミュニケーションを図ろうとしたその時、
「楓彩から離れろ!!」
剣得の声。
────刹那
生存者《サバイバー》の腰あたりに剣得の左拳がめり込み、楓彩の目の前から姿を消す。
「───っ!?」
「──大丈夫か!! 楓彩!」
楓彩が、生存者《サバイバー》に目をやると、生存者《サバイバー》は近くの建物に埋まっていた。
「剣得…さん?」
剣得は尚、臨戦状態で生存者《サバイバー》に向かっていた。
「(ちっ! 手応えはあったが、まだだ!)」
剣得の予想通り、生存者《サバイバー》は瓦礫を掻き分けて這い出てくる。
『…ジャマ…』
「?」
──刹那
剣得の眼前に、生存者《サバイバー》は迫り、それに瞬時に反応した剣得の回し蹴りは生存者《サバイバー》の左頬を捉えていた。
空気を揺るがす振動とともに生存者《サバイバー》は大通りに沿って吹き飛ぶ。
だが、生存者《サバイバー》は見事な身のこなしで、受け身をとる。
顔面は蹴られた部分が凹み、黒い血の様なものを垂らしていた。
「おい…楓彩? よく聞け…この近くに人を寄せ付けないようにしてくれ…」
剣得は楓彩に横顔だけ見せて話しかけてくる。
「でも!」
「頼むから私情は捨ててくれ…あいつが憎くても勝てない…頼んだぞ」
剣得はそう言うと、生存者《サバイバー》に突っ込む。
「鬼月さん! 行こう!」
「…はい…」
剣得と生存者《サバイバー》の刹那の内に何度も怒号をぶつけ合うような戦闘から背を向け、剣得からの命を全うするため、楓彩は走る。
そして、楓彩達からの報告で商店街から半径1kmは閉鎖した。
「楓彩!」
そんな中、楓彩は商店街の方を見て歩いていると1人の女性に呼び止められる。
「ショウさん…」
黒く長い髪の毛で右目が隠れている白衣の女性、ショウだ。
「剣得が戦ってるんだて?」
「はい…」
「まさか…こんな時間に襲撃が来るなんてね…楓彩──?」
ショウが商店街の方から楓彩に目線を移すと、楓彩は倒れかけていた。
「──ちょっ!」
ショウはとっさに楓彩を抱き抱える。
「こんな時に…」
ショウが自分の端末で時間を確認すると時刻は9時ちょうど。
確時睡眠症の発症する時間だ。
《やぁ…久しぶり…“私”》
───あぁ、もう1人の私?
《覚えてたのね…今日…少しでも死を実感したよね…》
───うん怖かった
《あとは、そうね…人々の死体見てどう思った?》
───気分が悪かった…
《もう見たくない?》
───うん…
《じゃあ覚悟を決めようよ。このままじゃ、私が傷つくどころか大切なものを失うよ?》
───…うん
楓彩が目を覚ますと目の前はうすい緑色だった。
「…?」
たくさんの気泡が目の前を過ぎる。
「(あれ? 私…何を…? なんで水の中に…あれ? 苦しくない…息できる)」
今まで着ていた服の感触は無く、全身が液体にさらされていた。
「(何も見えない…ここは…? どこ…)」
その時、視界がハッキリしてくる。
緑色の液体の向こうに、ガスマスクに白衣の人々がこちらを除いて話し合っている。
「(ん? だれ? …まさか…私……!!)」
───12時間前───
楓彩が寝てしまった後。
「ショウちゃん? 大丈夫?」
楓彩を抱えるショウの近くに小雨と臨が駆け寄ってくる。
「うん…大丈夫…」
「楓彩ちゃんは例の?」
「うん…しばらく起きないから…安置できる場所を探して。臨は状況を見て剣得の援護をしてあげて…いい?」
「ショウは?」
「私はやることがある」
ショウは楓彩を小雨に預けて去っていった。
「さてと…じゃあ…臨! 頑張ってね…!」
「うん…」
2人はショウから出された指示に従い、動き始める。
臨は部下たちが集まっている場所に行き、戦況を確認する。
「…剣得さんは…」
「臨さん…依然として激戦状態です…度々、轟音が聞こえます」
「そう…じゃあ、天丸《とびまる》持ってきて…皆もいつでも戦闘に入れるように…」
その後、臨や部下達は封鎖範囲の1kmに入らないように武器を構えて包囲した。
立て続けに鳴り響き続ける戦闘の轟音。
「見えないけどわかる…すごい…」
臨は正直に言って、こんな戦闘には参加したくないと思っているだろう。
参加をすれば確実に無事では済まないだろう。
その頃、剣得は
「ちっ! 右腕が…!」
剣得は痛覚の通っていない右腕を使って防御をし、カウンターを決めていく戦法をとっていたが、生存者《サバイバー》の攻撃の威力が想定よりも高く、三撃目にして、ボロボロになってしまった。
「ちっ! ───」
────刹那
生存者《サバイバー》のミドルキックは遂に剣得の義手を砕いた。
だが、剣得はその隙を見逃さなかった。
義手のパーツがばら撒かれる中、剣得は左腕に炎を纏わせて力を込めた一撃を放つ。
その頃、戦闘外では
「な、なんだ!? 爆発が!」
商店街の方から一瞬で真夜中の辺りを明るくする炎が上がる。
「なに!? あれ!」
剣得の炎だと分かったものは包囲していた隊員の中では瑛太だけだった。
「総督…」
それ以来、外から見て戦闘は落ち着いたのか、終わったのか、静かになった。
「さっきの爆発…今だ! 突入するよ!」
臨の合図で、数人の先鋭隊員達が商店街へ向かう。
しばらく中へ進むと、人影が出てくる。
「止まれ! 何かいる!」
臨のその言葉に、銃を構える隊員達。
臨も槍を下段に構える。
「ったく…最悪だ…」
皆は、その声に聞き覚えがあった。
「剣得さん!?」
上半身の服は先ほどの爆発で無くなり半裸のまま、無事だった上着を左肩から掛けて歩いてきた。
「…逃げられた…」
そんな剣得に毛布や飲み物を持って駆け寄る隊員をよそに臨はたくましい剣得の姿に赤面していた。
その後、剣得以外が知らない内に状況は落ち着き、後々部下からの報告や監視カメラの映像でわかった情報だが、ベルゼブブには子機の様なものが存在していて、ベルゼブブに似た個体が街を動き回っていたらしい。
それも、事態の終息に合わせて姿を消した。
その後、剣得とショウは事後処理を終えると、小雨が楓彩を移動させてくれたG,S,Aの本部へ向かう。
剣得とショウがたどり着くと楓彩はベンチで小雨の膝枕で寝ていた。
「楓彩!」
「あっ…ショウちゃん、剣得くん!」
剣得とショウは2人に駆け寄って楓彩の寝顔を除く。
「よく寝てるな…」
その後、剣得は楓彩を背負い、臨と小雨の住んでいる家で世話になることになった。
その道中。
「悪いな…臨…小雨…」
「いやー楓彩ちゃんが来るなら私は構わないよー…ね? 臨…」
小雨が臨の方を向くと、臨は頭から湯気のようなものを出してロボットのように硬い歩き方をしていた。
「臨はどうしたんだ?」
「あははっ…わかんなーい♪」
臨はギシギシと音を立てて剣得の方を向く。
「だだだだ…大丈夫ですよ……!」
その時、
「───剣得さん!!」
臨はハッとし悲鳴に近い声で剣得を呼ぶ。
「──え?」
剣得が気づいた時には遅く背負っていた楓彩の姿が消えていた。
「───はっ!?」
その場にいた3人の気づかないうちに楓彩は姿を晦ましたのだ。
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