生き残りBAD END

とぅるすけ

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第6章 頂点に立つ

崩壊する世界

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 3人は空いた電車に揺られて街の中心部へ向かっていた。
 美桜を挟んで右に剣得、左に朝日と、並んで座り将来について話していた。

「アタシは、やっぱり、はやくんと一緒にいたいかなぁ…あ、あっくんとも居たいよ?」

「美桜? 俺は軍に入るんだけど…着いてくるの?」

 剣得は心配そうに美桜の顔を覗く。

「うぅ…軍の医療部門に行くもん!!」

「でも、美桜? 俺は軍には行かねぇぞ?」

「え!? あっくん、行かないの?」

 美桜はアホ毛を振り回して朝日を見る。

「まぁな、それに、剣得は父親のお陰で軍に入れるわけだろ? 俺らは資格とか勉強必要だぞ?」
 
「ま、俺は内定貰ってるようなもんだから勉強なんかしなくてもいいんだけどな」

「「ずるーーい」」

 2人は剣得に冷たい視線を向ける。
 その時、電車は停止する。

「どこで降りるんだ?」

「ぶらり途中下車! でもいいけど、せっかくだし、終点まで行こっか!」

 美桜の言葉に、無言で同意する朝日と剣得。

 剣得達が住んでいるのは街の片隅、海の方角なので街の中心に行くまでには2時間ほどかかる。
 中心の駅まであと一駅という所で

「ふわぁ…なんか、眠くなってきたぁ…」

 と、アホ毛をふにゃっとさせた美桜が剣得の肩に頭を乗せてくる。

「……公然の場所でもイチャつくのな、お前ら…」

「ふぇー? 別にイチャついてなんて無いよー? ね? はやくん?」

「あぁ、これはスキンシップだ」

「しね、リア充、せめて俺のいないところでやれ!」

 その時、遠くの方で何やら音がするのに剣得は気が付いた。
 ふと、窓の外を見ると中心の駅の方角から火の手が上がっているのが見えた。

「っ! おい! 火事じゃないか? あれ!」

 剣得の声に、美桜と朝日もその方向を見る。
 
「嘘だろ?」

「ねぇ! 次の駅で降りようよ…!」

 不安になった美桜は提案する。
 剣得と朝日は立ち上がり、美桜もそれに引っ張られるように立ち上がる。

『えぇ、お客様にお伝え致します、この先、電圧線のトラブルと思われる火災が発生しておりますので、この電車は次の駅で運転を見合わせていただきます』

 そう、車内放送が流れると電車は徐々にスピードを落とし始め、ゆっくりと徐行し始めた。

 数分ほどで次の駅に停り、乗客が一斉に降りて反対側のホームへ向かう。
 3人は離れずにその人の波に乗るように反対側のホームへ向かうが電光掲示板には「運転を見合わせている」としか、書かれておらず、いつ次の電車が来るか分からない状態だった。

 イライラする人々、駅から出て徒歩で目的地へ向かう人々も居た。

「どうする? 剣得? 美桜?」

「んーー…俺らも歩くか…」

 その駅から目的地の駅までは大して距離は無いので歩くことにした。

 次の瞬間

 剣得達のすぐ横に、車両が降ってきて、大量の人達を下敷きにする。
 その衝撃で、剣得達を含め、多くの人が尻もちをつく。

「「「───っ!!!!」」」

 悲鳴が上がり、人々は出口の方へ走り出した。
 混乱した人は駅のホームへ降りていち早く出ていこうとした。
 しかし、そこへ燃え盛る電車がホームに侵入してきて、その人々は轢かれていく。
 
「おい! 剣得! どうすんだ!!」

「………」

 怒鳴る朝日、恐怖で足に力が入らず、その場に座り込む美桜、唖然とする剣得。

 諸悪の根源が剣得達の前に姿を表したのはその後の事だった。

「と、とにかく、駅から出よう! 立てるか? 美桜」

「うぅ…」

 剣得は怯える美桜をお姫様だっこして人の流れに乗る。

 駅の外に出た瞬間、目の前に巨大な犬の口のような物が上から現れ、すぐ目の前を逃げていた人達を食い荒らす。

「──うわぁ!!」

  剣得のその声に、美桜も剣得の胸の中で悲鳴をあげる。

「こっちだ!!」

 朝日の声に、3人は下り方面へ駆ける。
 それに釣られて周りの人達も朝日達を追いかける。

「何なんだよ! あれ!」

「しるか! とにかく走れ!!」

 剣得は後ろの方を見ると、先程まで剣得達が居た場所は血まみれになり、人っ子一人残っていなかった。

「っ!!」



 その後、剣得達はいつの間にか人の波から外れ、屋内に身を潜めていた。

「はぁ、はぁ、はぁ…」

「はぁ…美桜…降りてくれ…」

 剣得は抱えていた美桜を優しく下ろし、座り込む。
 そこは、どこかの建物の2階にある事務所の様な場所で、停電しているのか電気がつかない。

「はぁ…なにが起こってるんだ…」

 朝日は、壁に寄りかかり上を向いて肩で息をしていた。
 美桜は剣得の服を強く握りしめて離さない。
 
「美桜? 大丈夫か?」

「……」

 いつもはお喋りの美桜がここまで静かになるほど、今は恐怖が強い。

「さて、これからだけど…───」

 朝日が話そうとした瞬間、剣得は朝日と美桜の口を塞ぎ込み、黙らせる。

「静かに…」

 「「!?」」

 その時、外から獣のような聞いたことのない吐息と、ドス、ドス、と言った重い足音が聞こえる。

『──グォォォ………』

 その足音が過ぎ去った頃、剣得は静かに、窓に近づき、恐る恐る下の方を見る。すると、2階にも関わらず、白濁した巨大なカニの硬皮のようなものが見えた。

「…」

 その角度からは全体は見えないが、見えただけで、犬のような足で四足歩行と思われる。全身は蟹の甲羅の様なゴツゴツした硬皮に覆われており、尻尾だろうか、長い尾の先には魚の尾ビレの様なものが付いていた。
 高さは目視で6m、長さは見えただけでも2mはあった。

 そのバケモノの姿が見えなくなった頃、剣得は「移動しよう」と、朝日に告げて、美桜を抱き抱えると、その建物から忍び足で出ていった。
 その時、バラバラになった人体が道路に散乱していたが、無闇にリアクションをとり、美桜を心配させるわけにいかず、感情を押し殺して自分たちの家の方角を目指す。




 
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