生き残りBAD END

とぅるすけ

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終章

全てはここから

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 数分前、食料調達へ向かった彩楓、小雨、臨は近くのちょっとした集落に訪れていた。
 そこはハワイ島に来てからの半年ずっとお世話になっている所だ。
 最低限の素材が集まれば後は花麗シェフに任せれば何とかなる。

「今日はどうしようか…」

「いつも通り適当に買って後はあの猫娘に頼めばいいだろ」

 驚くことに通過システムはセラフィスの時と大して変わらない。変わるとしたら硬貨や紙幣の絵が違う程度。
 それも集落にある銀行で変金してくれた。

「もぉー“いっくん”は適当すぎるよぉ、これ作ってって言えば花麗ちゃんも助かると思うけどぉ」

 小雨はふくれっ面で彩楓の前に出る。

「その、いっくん? それ、やめろ…」

「えぇ? なんで?」

「恥ずかしいんでしょ」

「恥ずかしいんだ」

 小雨と臨が彩楓を挟んで悪戯な笑を浮かべる。

「お前らなぁ…」

「そうだ、栄養剤を買って来てってショウちゃんに頼まれたんだ」

「こんな、集落にそんなの売ってるのか?」

 3人は近くの店に立ち寄り、食材を買うついでに栄養剤は無いか訊ねた。
 そこで、

「栄養剤かい? うーん…ここら辺には薬局が無いからな…近くの街にも無いし…。それなら中心の街に行けば何でもあると思うよ」

 と、店の店主の中年男性に言われた。
 3人は店を出て、少し悩む。

「遠いね…中心か…」

 その位置から見える、銀色のビルが立ち並ぶ場所のことだろう。

「テレポート使えばいいだろ、ったく、人使いの荒い…」

「じゃあ、頼むよ…彩楓」

「お願いねーいっくん!」


 次の瞬間、3人の目の前は急に都会になる。

「「さっすが…」」

「はぁ、割と疲れるんだよなぁ…」

 3人が薬局を探し歩こうとした瞬間。

『警報、警報、能力者を発見。近くの市民はモニターの人物から離れてください。繰り返します───』

 警報とともに街道ビジョンに彩楓達3人の姿が映し出される。

「な、なに!?」

「っ!」

「動くなっ!!」

 気がつけば3人の周りを盾を装備した機動隊に囲まれていた。

「セラフィスの人間か…」

 その機動隊の中から、ヘルメットを着用していない金髪に細い目、優男風の男性が出てくる。

「入り込んだネズミかぁ…生かしてはおけないねぇ」

「なんだお前は…」

 彩楓は警戒する。
 だが、今は武器を持っていない。
 
「(オレ達ならこのくらい余裕だけど…あの金髪の男…すごく嫌な感じ取りがする)」

 臨はその男から漂うただならぬ気配を感じ取り小雨の手を握り彩楓に体をくっつける。

「臨?」

「帝?」

「飛んで!」

 彩楓はその言葉に瞬時に状況を察し、テレポートを発動させた。
 3人の視界はコテージの前に戻る。



「そんな事が…」

 森の中を走りながらショウは彩楓から話を聞いた。
 
「あぁ、恐らくだが、顔を覚えられた! 俺達にこの島での居場所は無い!」

 ショウと彩楓の後を臨、花麗、シロンを抱き抱えた小雨と、楓彩をお姫様抱っこした瑛太が付いてきていた。

「す、すみません…瑛太さん…」

「鬼月さ…楓彩が軽くて良かったよ!」

 その時、島を覆っているであろう壁に行き当る。

「でも、逃げるってどこへ?」

「そりゃ───」



 一行はハワイ島の監視下から逃げるために戻ってきた。

「久しぶりだな…セラフィス…」


 
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