生き残りBAD END

とぅるすけ

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終章

色欲の化身

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 「遂に本性を表したか…生存者《サバイバー》」

 ケルトはアスモデウスを睨みつけ、これまで以上に警戒をする。

「この子に撃ち込んだのは“私用の弾丸”ね? 少し焦ったわ? なかなかやるのね貴方…。でも残念、私には聞くかもしれないけどこの子に対してはただの弾丸よ?」

 アスモデウスはそう言って胸にあいた小さな穴を撫でて修復する。

「ほら、お返しするわ───プッ」

 アスモデウスは口から撃ち込まれた弾丸をものすごい勢いで吐き出し、ケルトの右足を貫通させる。

「───くっ!!」

 ケルトは体制を崩し、その場に膝をつく。

「ちっ!」

「今逃げるなら追わないわよ? どうするの? 僕?」

 アスモデウスは余裕な表情でケルトを見下ろす。

「そ、そうさせてもらおうかな…」

「───引け…」

 その威圧感にケルトは近くの建物の屋上まで飛び、姿をくらました。

「さてと…羽虫は消えた…」

 アスモデウスはケルトが去るのを見届けると、ゆっくりと瑛太に近づいてくる。

「貴方…弱ってるわね…治してあげるわ」

「はぁ…はぁ…?」

 アスモデウスはうつ伏せになっている瑛太を返し、仰向けにする。

「?」

「あら? 貴方…瑛太くんね? なるほど…」

 アスモデウスはそう言って瑛太の顔に顔を近づけてくる。

「な、何を…──むぐっ!!」

「んむ…」

 気がつけば瑛太の唇に楓彩の柔らかくあまい唇が覆いかぶさっていた。

「んんん!!」

「んぱっ…ちゅ…ん……ん…ぱぁ…はぁ…」

「ぷはぁ…! はぁ…はぁ…あ? あれ…体が…軽い…」

「さ、甘い時間は終わりよ? 立って? 瑛太くん?」




 その後、瑛太はアスモデウスを連れて家に戻り、ケルトに話されたことを全てを皆に話す。
 しかし、

「うん、瑛太の話したことは瑛太の隣にいる人のせいで全く話が入ってこなかった!」

 瑛太の隣で浴衣を着崩している、どこかエロい女性。
 姿は楓彩だ、髪の色は青から白になっていて、目の色も紫がかっている。

「あら、もうお話は終わり? 私も興味があったのだけれど」

「いやいやいや!! なんでアスモデウスになってるの!? 楓彩は!?」

 ショウは声を荒らげてアスモデウスに言い寄る。

「んん? あぁ死んじゃったわよ?」

「え…」

 その場にいた全員が絶句する。

「あはっ! うそうそ! 私が生き返らせてあげたから、明日には私はもう居ないわ? でも、せっかくの機会だし、すこし遊んでもいいかしら?」

「……」

 瑛太と彩楓以外はジト目を向ける。
 確かに、胸元をはだけさせた女性が遊ぶと言ったらそっちの方向しか思い浮かばないからだ。
 それも、目の前にいるのは色欲を司る人物だ。

「んん? あ、“お兄ちゃん”じゃない…」

 アスモデウスは彩楓と目が合うなり楓彩の声でそんな事を吐いた。

「っ!」

「ふふっ? 私はこの子と記憶を共有してるのよ? 貴方が生まれる時に、“そっちに遺伝しようと思った”けど…“二連続で男は嫌だから”妹の方にしたわ?」

「どういう事だ」

「貴方達のお父さん…椛《もみじ》? だったかしら…彼に憑依していた時は彼の力が強すぎてなかなか表に出れなかったわ? まぁ、それは彼の目的でもあるんでしょうけど…だから彼らが愛し合っていた時を見て妻の体に移動して『楓彩』となって生まれたわけよ? まぁ、少し後遺症は残ってしまったのだけれど…」

 アスモデウスは少し悲しそうな顔をする。
 何をやっても色っぽい。

「それはどんな?」

 ショウはそれを他所に訊ねる。

「性欲が弱くて…前なら男を見ただけで襲っていたのだけれど今はそんな気分にはなれないわ?」

「なんだ…そんな事か…」

 ショウは肩に入っていた力を抜く。

「むっ! 重要なことよ? まったく…ま、私の体じゃないからいいのだけれどね…だねど、今日は男と寝たいわ? んーそうね…そこの黒髪の…瑛太くん? だっけ? 頼むわ?」

「え!? お、俺…ですか?」 
 
 アスモデウスのお姉さんっぽい話し方に楓彩の姿でも敬語を使ってしまう。

「大丈夫…食べたりしないから…ね?」

 アスモデウスはそう言いながら四つん這いになり、谷間を作ったつもりだ。

「あれ? この子相当発育が悪いのね…」




 その晩、皆が寝静まった後、予告通り瑛太の寝床にアスモデウスは訪れた。
 着物を着崩して肩を出しながら。

「こんばんは…? 瑛太くん?」

「ど、どうも」

 瑛太は正座して、電気を付けてまっていた。
 心の底では少し期待しているようだ。

「あら? 枕元にティッシュ?」

 前言撤回、かなり期待しているようだ。

「あ! いえ! これは! なかなか鼻水が出ると言いますかなんと言いますか…」

「そんなに緊張しないで? 気持ち良いものも気持ち良くなくなっちゃうわよ?」

「気持ちいもの…!」

「クスッ…冗談よ…少し一緒にお話したいだけ…」

 アスモデウスはそう言って電気を消した。
 暗闇の中、瑛太は押し倒されてしまった。
 だんだん目が慣れてくると、楓彩の顔が目の前にあることが分かる。

「いい? 瑛太くん…今から話すことは貴方だけに話すことだから…他言は無用よ?」

「は、はい…」

 アスモデウスは瑛太の体をそっと抱きしめる。

「この子…楓彩はね? 貴方の事が大好きなの…。この子が心を開いたのは貴方と、剣得くんくらいだから…。貴方、この子のこと抱きしめてあげたでしょ? すごく嬉しがっていたわ? この子…」

「は、はぁ…」

「貴方だけにはこの子も知っておいてほしいと思うの…だから…話すわ…」

 瑛太は耳元で甘い声で囁かれ、話が入ってくるか不安になった。

「───記憶がだんだん磨り減っていくのよ」

 確かに聞こえた、信じ難い発言。

「私のじゃない…楓彩のよ……今ではこの子の母親、楓生《ふうせい》の名前すら思い出せないどころか、今では細かい出来事も忘れていっている…」

「そ、そんな…げ、原因は…」

「わからない…多分傷心がトリガーになっていると思うのだけれど…。私もこの子の内側から色々直そうと試みているわ…」

 その時、心なしか、アスモデウスの声に恐怖が見て取れた。
 そして、抱きしめられている力も少し強くなっている。

「……いい? 楓彩が貴方達の事を忘れても…貴方は…貴方だけは絶対に楓彩の事を覚えておいて…お願いね?」

「は、はい…」

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