生き残りBAD END

とぅるすけ

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終章

君を救いたい

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 セラフィス 西区 街道

「ケルト隊長…この辺りに能力者の反応があります…数は1人です」

「そうか…1人なら僕が出るまでもないな…冴桐(さえぎり)くん…頼んだよ。僕達はとりあえず中央の塔を制圧してみるよ…スカイネクストって言ったっけ?」

 そう言われると、ケルトが率いていた人の群れの中から1人の男が現れる。

「あぁ、ケルト…まかせとけ…」

 その男は周りの兵士とは明らかに風格の違う立ち姿。

────武士

 一言で表すならこれだろう。
 黒髪の短髪に、鋭い目つき。

「2人くらい…俺について来い…」

「えぇ? もっと付けた方がいいんじゃない? 油断は禁物だぜ? 冴桐くん。もう5人あげるよ」



 その後、冴桐率いる先鋭部隊は能力者1人を狩るために西区 市街地に訪れていた。

「目標まであと10m…こちらに関心を持っていません」

「待て…止まれ…」

「? どうしました?」

 隊員達は冴桐の声に足を止める。

「───来るぞ!」


────刹那

 冴桐の前を歩いていた3人の隊員は雷に撃たれ、否、轢き殺された。

「────っ!?」

 姿を現したフードを被ったパーカー姿の電気を帯びた男。
 
「──撃て撃て!!」

 1人の隊員が叫び、あとの隊員もそれに釣られて持っていたアサルトライフルの引き金を引く。

「───よせ! 撃つな!」

 冴桐の呼びかけも遅く、数発の発砲音が響く。

 直後

 その場にいた全員をピリピリとした空気が襲う。

「…これは…電磁波…」

「返してやるよ」

 電気を帯びた男の周りには隊員達が放った弾丸が回転しながら浮遊していた。

 ────刹那

 その弾丸は発砲された時よりも早い速度で隊員達を撃ち抜く。

「ぐわっ!」

「うわっ!」

 あっという間に冴桐だけになってしまった。

「やるようだな…」

 冴桐は背中に装備していた柄を右手にとる。
 下に振りかざすと同時にその柄から白く発光した等身が姿を現した。

「俺もこの道のプロでな…電気使いだがなんだか知らんが、貴様の動きは見切った…───覚悟しろ」

 冴桐は切っ先を真っ直ぐ雷使いの男に向けた。

「……───っ!!」

 
 ─────刹那


 振り下ろし刀を持つ冴桐の両手首は刀と共に宙を舞っていた。

 冴桐は光速で近ずいてきた雷使いの男を切り伏せるために刀を振り下ろしたはずだ。

「───っ!?」

 しかし、コンマという絶大な遅さにより、刹那の勝負は雷に攫われてしまった。

「くはっ…!!」

「勝負ありだな」

 男は容赦なく両腕を失った冴桐の胸を右足で踏みつけた。

「最後に教えろ…お前らはこれからどこへ向かう…」

「かはっ! …な、何のために…教えなければならない…」

「さぁな、守れなかったものを盛り返しに…か…って…なんでお前に教えなければならない…」

「…中央の…塔だ…」

「そうか…まぁいい、殺す気は無い。さっき死んだ奴らは不可抗力だ…手が滑った」

「ふっ…なんだ貴様…随分と自分に適当じゃないか…」

「あぁ、最近…自分が自分で分からねぇ…」

「その…適当さに甘えさせてくれ…両腕を失った今…俺の剣の道は終わった……殺せ」

「構わないが…時間が無い…二言は無いな?」

「あぁ───」

 武士が最期に見た後継は左目を怪異に侵された黒髪の雷神だった。




「たっだいまー」

 居住区としている家具屋にショウ、真希菜、彩楓は仕事を終えて帰ってきた。

「あれ? 楓彩は?」

 帰ってくるなり、銃器を置いて辺りを見渡す。

「小雨ー…楓彩はー? …って…寝てんのかよ…」

 ショウはベッドでうつ伏せになっている小雨を揺する。
 
「んんー? あ、おかえり…」

「楓彩は?」

「あ、ごめん、わかんないや…多分洋服屋を見たいって言ってたけど」

「ったく…しっかりしてよ…1人が一番危ないんだから」

「ごめん」

「とにかく探してくるから」

 ショウはその場を離れて同じ階にある洋服屋へ向かった。


「楓彩ーー?」

 楓彩の名前を呼びながら薄暗いデパートを歩き回っていると、5分くらい歩いたところで楓彩と思わしき人影を見つける。
 ちょうど洋服屋へ入って行く所を見かけた。

「…見つけた」



「楓彩?」

 楓彩は後ろから呼ばれるとビクッと体を震わせて何かを隠した。

「ショ、ショウさん…」

「1人で散歩しちゃ危ないじゃないか…」

「ご、ごめんなさい…」

「で? 何を隠したの?」

「え、あ、いや…その…」

 楓彩は少し恥ずかしそうに何かを隠そうとしている。

「な、何でもないです! い、行きましょう!」
 
 楓彩がショウの手を取って歩こうとした瞬間、複数の衣服が楓彩の後に落ちていく。

「ん? なんか落ちたよ?」

「あっ!!」

 ショウはそれらを拾い上げて広げる。

「……こ、これ…下着…?」

「うにゃあっ!!」

 楓彩は変な声を上げて下着をショウの手から奪い取る。

「楓彩にはそれはまだ早いかなぁ…大きさが合わないでしょ」

「うぅ…大きさが…」

「うん、スポーツブラからの方がいいんじゃない? 今つけてるでしょ?」

「はい…小雨さんが前にくれた物と、瑛太さんの家に“なぜか”あった物を付けています」

 楓彩の何気ない一言は鋭い刃の如くショウの心に容赦なく切りかかった。

「……うん、今のでいいと思う」 

「そうですね…はぁ…私もいつかこういう大人っぽい物を付けてみたいです」

「さぁ、行こう? お昼にしよう」

「はーい」





 スカイネクスト 下層部

「上まで行くのダルいな…」

 レヴィアタンは謎の反応を目指してスカイネクストを登っていた。

「でも、行く価値はある…かな…待ってて…アスモデウス…!」




 西区 セントラルシティ

「冴桐くんの反応が無い…」 

「隊長…冴桐さんは…」

「あぁ、探そうにも生存者《サバイバー》が邪魔だ…彼らの判断に任せよう。…それにしても…生存者《サバイバー》が多すぎる…スカイネクストは安全な場所としては最適だな…」

 ケルトの細い目はしっかりとスカイネクストを見ていた。





 西区 市街地

「スカイネクストにいるのか…皆…まぁ、行く意味は無い…俺はこのまま、朽ちた方が俺らしいか…」

 雷使いの男、神ヶ丘 瑛太は自ら発している言葉通りには動かず、スカイネクストを目指して歩みを進めていた。

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