生き残りBAD END

とぅるすけ

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終章

その女、嫉妬の化身

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 「とにかく、下層へ向かおう」

 下へ向えば、レヴィアタンと出会えるだろう。しかし、それは言わずとも危険なことである。それは花麗の犠牲によって証明された。

「大丈夫なのか? レヴィアタンは…」

「うん…わかってる。でもね、逃げてるだけじゃダメな気がして…」

 この場にレヴィアタンの存在があることを知ってから、ショウの中で何かの覚悟が出来たようだ。

「だが勝算はあるのか? どうせ、帝は味方だから殺さずに…とか言うんだろ?」

 彩楓はショウに詰め寄る。彩楓も必死なのだ。これ以上仲間を失わないためにも、これ以上ショウを苦しませないためにも。

「拘束だけでも…」

「だめだ! 俺は反対する! それなら人間と戦う方がマシだ! 奴はもう人間じゃない!生存者《サバイバー》だ! 完全に飲まれてる! 俺は! 奴を相手にお前らを守れる自信がない!!」

 その彩楓の珍しい怒鳴り声にショウは面を食らう。
 これまでに見たことがあるだろうか、こんなに情熱的になった彼の姿を。

「ちょっと待って…」

 その時、小雨が彩楓とショウの間に口を挟む。

「家具屋の階から脱出した時から思ってたけどさぁ…? なんでいっくんの能力使わないの? あれがあれば凄く簡単にこの状況を打破出来るじゃん」

 ショウと彩楓に取っては割と痛いところを突かれてしまった。

「…ショウ…いいぞ、話せ」

「………彩楓は…能力の酷使のし過ぎで…」

「しすぎで?」

「能力を使用すると体が壊れる…。それは彩楓が感覚でわかってると思うけど」

 ショウは暗い雰囲気で彩楓を見る。

「あぁ、これは俺の問題だからな…お前らに言う必要はないと思った…そこのマッドドクターだけに言えば何とかなる問題だと思ったからな…。まぁ、そうもいかないみたいだが…」

「そうですか…隠し事は良くないですね」

 真希菜は機嫌が悪そうな顔でショウと彩楓を見る。

「とにかく、もめていても意味がありません…何か策があるのでしょう? ショウさん…」

「あ、うん…真希菜? 勝たなくていい臨…レヴィアタンを少しでいいから塞き止めることはできる?」

「えぇ、閃光を使えばいくらでも時間は稼げるはずです」

「その間に最下層へ向かう…私の記憶が正しければ、あそこは要塞だ…装備は何でもあるし、対 生存者《サバイバー》用の兵器もある…そこを目指して何とかレヴィアタンから臨を取り戻す」




「ケルトさん…外を見張っている別働隊からの信号が途絶えました…」

「やられたな」

「え?」

 ケルト率いるハワイ島の軍隊はスカイネクストの最上階まで来ていた。

「外へ逃げられた…おそらく窓から飛び出したんだろう…。急ぎ下へ降りろ!」




「クリア…進んでください」

 その頃、ショウ達は地下にあるエデンの園に到着していた。

「レヴィアタンはここら辺で身を隠していたのか…だが、おかしいな…何かと争った形跡がある」

「可能性としては…」

「ロウ……ルシファーと争ったんだろう…?」

 ショウのその言葉にルシファーとの戦闘経験がある彩楓に戦慄がはしる。
 
「ひとつ質問をいいですか?」

 先頭をあるいている真希菜が、振り向かずに質問を投げかけてくる。

「私が目覚めたのはG,S,A本部の戦闘実演室でした…そこには氷の決勝と血痕だけが残され、他には何もありませんでした…単刀直入に聞きます…“朝日さんを殺したのはルシファー”ですか?」

 真希菜には分かっていたようだ。楓彩から話を聞いたあの夜から。
 あの強い人を殺せるのは強大な力を持つ生存者《サバイバー》しかいない。

「ルシファーだよ…。まさかだけど真希菜…復讐とか考えていないよね? 悪いけどあんたの戦闘力で敵う相手じゃない…奴のことは最悪、ハワイ島の連中をぶつければ済む話だ」

「まさか…ショウさん…そんな事考えていませんよ……っ?」

「…っ!」

 その時、真希菜と彩楓の足が止まり、皆もそれに合わせて足を止める。

「……来た」


────刹那


 上の天井が崩落し、楓彩に迫る鋭利な矛先と瓦礫を彩楓が切り払う。

「───っ!!」

 刹那の後に上がった砂煙。
 彩楓は瞬時に判断し、楓彩を抱えて砂煙から斬撃を掻い潜って脱出する。

「──ぎっ! くっ…」

 楓彩の苦鳴に彩楓は気づき、抱えている楓彩の様子を確認する。
 右の二の腕から指先にかけて鮮血が流れているのがわかった。

「だ、大丈夫ですっ!」

 涙目の楓彩は強がっているようだが、今はそれどころではない。砂煙が晴れる。

「はははっ…すごいすごい! 不意打ちを凌ぐなんて!」

 コンクリート製の床に出来たクレーターの中心で、高らかに笑うレヴィアタン。
 床に突き刺さった銀槍を抜き取り、慣れた手つきで体の周りで回す。
 
「さぁ、誰からかな? んー? アッチの目的はそこのアスモデウスを食べることだ…! 全員でかかってきてもいいぜ? そっちの方が手っ取り早い」

 余裕な表情を浮かべる彼女はもう皆が知っている彼女では無かった。
 茶髪だった髪の毛は白濁し、透き通っていた瞳は右目だけ禍々しく黒い眼光を発していた。

「臨……真希菜!! お願い!」

 そのショウの声に真希菜は武装を展開し、身構える。

「了解です!」


────刹那


 真希菜の体はショウの右側を凄まじいスピードで吹き飛んでいき、後ろの壁を突き抜けていく。

「はい、1人目…次は?」

「───!!」

 おそらく臨の持つ能力、S(サイコキネシス)だろう。真希菜を触れることなく倒してしまった。
 ショウや彩楓は唖然としてしまった。

 次の瞬間

 鋭く眩い光がレヴィアタンに向かって伸び、寸前のところで阻まれるように離散する。

「わ、私が相手だ…」

 そう声を上げたのは異型の銃を提げた小雨だった。

「へぇ?」

「小雨!?」

「お願い、ショウちゃん! いっくん! 楓彩ちゃんを連れて逃げて! こいつは! 臨だけは! 私が!!」

 もう選択の余地はない。

「小雨! 死なないでね! 絶対に迎えに来るから!」

 そう言って、ショウと彩楓、楓彩は飛んでいった真希菜を探しにその場を離れた。

「舐められたものだね…人間1人で、アッチに立ち向かうなんて…」

「お前なんか強くはないさ…強いのはその体だろ? 臨が強いだけだ」

「言ってくれるね…じゃあ、見せてやるよ!!」

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