少年時代

新浜 星路

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大地、侵略される

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「なあ、掛川」
「おいおい、大地ぃーまたお前。また彼女がなんだとか言わないよな」
「言わねえよ!まぁ聞けって」
「そんなに言うなら聞いてやるよ、なんだよ?するめくうけど」
もちゃもちゃもちゃ。
「俺達がオタクなのはなんでだ」
もちゃもちゃもちゃ。
「はぁほれはな、ほんらり(女に)、んぐ(飲み込む音)相手にされないからじゃね?」
蝉の音が響く。
「本当にそうなのか?」
大地、冷や汗が吹き出る。
掛川、またするめ食う。
もちゃもちゃもちゃ……んぐ。
「まあそうだろうな」
もちゃもちゃもちゃもちゃもちゃもちゃ。
「お前……するめ食うなよ」
「どうしてだよ? うまいぞ」
もちゃもちゃもちゃ。
蝉の音と交差する掛川のするめ咀嚼音。
大地、黙る。沈黙ともちゃもちゃが交差する。
もちゃもちゃもちゃもちゃもちゃもちゃもちゃ。
「う、うーん。掛川のするめ音が耳から脳に響いて俺をバカにする」
大地の脳内では、銀河の中にスルメ星人が飛び交っている。
スルメ星人は言う。
<我々こそが人間だ>と。
大地、思ったことを口に出す。
「いや、お前はただのスルメだよ!」
「お、おい、大地、頭大丈夫か?」
「大丈夫じゃねえよ!てめえのするめのせいでな」
もちゃもちゃもちゃもちゃもちゃ。
「あーうめぇ……ほんらりふめぇ」
また一つスルメを口に放り込む掛川。
「あーまた俺の脳内がスルメ星人に侵略されるうううう」
二人しかいない教室で大地の声は響き渡る。
そしてまた、蝉の声がスルメ音と共鳴し合った。
「風流だなぁ」
掛川の情緒が二人しかいない教室に囀り渡った。
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