空ノ街~風乗り少女~

新浜 星路

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素知らぬ風

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シンシアの後を追うようにアリエッタは飛行していく。
「わわわ、スカートがめくれる」
「アリエッタ、耐風スプレーはどうしたの?」
「忘れてきちゃったよ、どうしよう」
私はスカートを抑えながらも顔を赤くしていたでしょう。
このままでは前代未聞、パンツ丸見え大サービスの飛行です。
おそらく……人類初の。
「……それぐらいで半泣きにならないでよ。私が予備で持ってるから」
「うぅ……ありがとう、シンシア」
とてもいい親友を持っていたんですね。
私は胸がジーンとするのを感じながら、耐風スプレーをスカートにかける。
すると、風の煽りを受けていたスカートは、何もなかったかのように私のお尻にぴたりとつきました。
「アリエッタは女子力がねー」
「わ、私そんな女子力ない?」
「どう思う?」
シンシアは苦笑いをして訊ねました。
「ある!あるよぉー!」
「はははっ。アリエッタはあるよ、私よりね、ふふふ」
「そんなに笑う事ないじゃん」
「ふふふ、じゃあもうエチケットを忘れないでね」
「本当にそうだよ。パンチラ飛行少女じゃ格好悪いよ」
「パンチラっていうよりパンモロになるよ」
「え……経験者?」
「あれは私が5歳の時だったわ。当時は飛行器具を手に入れてはしゃいでた。
パパに飛び方を教わった時、あの時の私はロングスカート。そりゃもう盛大にスカートが顔にへばりついたわ」
「良い思い出っぽく言うよね」
「じゃなかったら恥ずかしいじゃないのさ」
「ああ、だからいつも忘れずに耐風スプレーを持ってるってこと?」
「そうなるわね」
「じゃあシンシアに耐風スプレー係を任せよー」
「自分の持ってきなさいよ!」
「私、忘れっぽいから」
唐突に案内放送が流れました。
「本日は絶好の風日和となりました。風神様もきっとお待ちしていた事でしょう。これより、第125回風の儀式を始めます

。供い者は、ガートゥン地方のシュクレーヌ・リリ」
「へぇ、ガートゥン地方とは、随分高貴な人を供い者に選んだわね」
アイシアの言うように、ガートゥン地方は、ソルを作り上げた功績を持つ貴族達のように偉い方々が住む土地です。
本来、そんな所から供え者を出すとは考えにくい事なのですが。
「何かの間違い……じゃないよね?」
「そうよね」
シュクレーヌ・リリと思われる人は、祭壇でお祈りをしています。
遠くからではっきりと見えるわけじゃないけど、なんか……おかしい。
祭壇で祈りをするリリさんは、そのまま――祭壇から落ちた。
「あ、あの子!」
「シンシアちゃん!まってて!」
「あ、アリエッタ! 私達の飛行速度じゃ……」
私は気がついたら飛び出してリリさんが落ちていく所へと一直線にとんでいった。
――遅い、遅すぎるよ、私。
「おじいちゃん、ごめん」
私は耐風ブーツを脱ぎ捨てた。
ブーツを失った私は風に煽られ、バランスが取りづらくなる。
彼女との距離は一瞬遠ざかった。

――だけど、見える

――風の流れが、動きが見える

――風を感じている

足に直接伝わってくる風の動きは私を加速させた。
彼女の落下速度を超え、彼女を追い抜く。
耐風ブーツがないから慣性が働いて……うまく止まらない。
「止まってええええええええ」
私は一瞬、風の向きが上昇するのを読みとった。
そしてそれは今一番の好都合!
それに合わせ、彼女を抱きとめ――。
私達は落ちていった。
風も見えなかった私達は下へ下へと。
飛ばされていった。
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