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7.終わらないもの(最終話)

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 ――きゃはっ、ひゃは、くふふ、ふひっ、ひひっ・・・。
 うあ、ああっ、くすぐった、ひゃふ、ああっ・・・。

 ふ、ふふ。こうやって、あなた様にくすぐられると、つくづく思います。
 くすぐったい、って。何なのか、って。
 ・・・失礼ながら、あなた様。試しにご自身で、ご自分を、くすぐってみてください。くすぐったいと思われる場所なら、どこでもいいですよ?
 どうです?くすぐったいですか?・・・そうですよね、自分で自分をくすぐっても、あまりそうは感じませんよね。それが普通です。
 それでは、今度は。思いっきり、つねってください。ご自分で。
 どうです?痛いですよね?他にも、自分の爪で引っかいたり、噛みついたり・・・ああいえ、そこまでやらなくてもいいです。そこまでしないでください。
 それでは、今一度。ご自分を、くすぐってください。
 ・・・はい、分かってました。ほんの少しは、気持ち良かったり、ゾワゾワするような感触はあっても。本格的に、くすぐったいと感じることは、無い。
 不思議ですよねぇ。痛い刺激は普通に感じるのに、くすぐりだけは、自分でヤってもくすぐったくは感じない。これってどういうことなのでしょう?
 ――実はコレ、長年の研究テーマなんですよ?紀元前からの。そして現代においても、あらゆる研究団体がくすぐりのメカニズムについて研究を・・・いえいえ、これはガチの話です。こういった人体の仕組みの研究に情熱を注ぐのもまた、くすぐりへの道の1つと言えるでしょうね。

 何が言いたいのか、と言いますと。
 くすぐりプレイは、1人では行えないのです。
 これはどちらかと言えば、肉体的な刺激よりも、脳内のメカニズムの話になるのですが。肉体的な刺激に合わせて、誰かにヤられている、と脳が認識することで。人は初めて、くすぐったさを感じるのです。
 現代の技術でも、マジックハンドとまでは行かなくても・・・何かしらの機械を用いて、自分自身をどうにかくすぐる、ということもできなくはないですが。やはり、自分1人でヤったのでは、あまり効果は無いそうです。
 そのかわり、他人にくすぐられるのであれば、こんな弱い刺激でも・・・ひいっ、ひひっ、くひひ、あはっ、あはははは、ひゃはっ――。
 あ、あう、くすぐったいぃ・・・。ひひ、ひひっ。
 あなた様は、楽しい、ですか?こうして、くすぐるのは。こうやって、くすぐられて、笑わされている人を見るのは、楽しいですか?
 わたしは・・・やっぱり、キツいです。もう、やめたいです。
 だけど、あなた様が望むのなら・・・ええ、どうぞ。時間の、許す限り。
 だって、わたしは。そのために、生まれたのですから。


 ――はあっ、はあっ。げほっ、う、うう、まだ、ヤるの、です?
 ・・・ええ、どうぞお好きに、と。言いたいの、ですが。
 そろそろ、お時間です。元に、戻しますね?
 ・・・突然何を、と。申されましても。
 これ以上は、説明することもありません。もう十分、『くすぐりプレイとはいったいどのようなものなのか』を、分かって頂けたかと。
 だから、そろそろ。現実へ戻りましょう。


 Road to TickleSlaveだってこれは しょせんは ただの つくりもの

 GameOverげんじつでは ありません...


 わたしは、つくられたもの。
 あなた様のイメージによって成り立っているだけの、架空の存在です。
 わたしは、現実には存在しないもの。
 現実の世界に生きるあなた様とは、違うのです。


 Prease wait whileわたしは なにもないせかいから うまれ

 Initializingそして このみちへと つなげるもの...


 もし、この続きを望まれるのであれば。
 それは、あなた様の手によって、続きを作ってください。
 手段は問いません。文章でも、イラストでも、あるいは現実のくすぐりプレイ・・・であれば、お互いの合意のもとで。続きを、繋げてください。
 だって。この道は、多くの人によって、繋いできた道なのですから。


 dir Shutdown.exeれいめいのじだいから いままで

 Copyright 1997このみちを ずっと あるいてきました


 数多くの作り手。数多くの読み手。
 数多く生まれた作品と、その世界と、その世界に生きるものたち。
 この世は、多くの作品に満ち溢れています。
 その中には、人知れずに、誰にも見向きされる事なく、消えていったものもあるでしょう。今までこの世界に、どれだけの作品が生まれたのでしょうか。
 そんな、数多くある作品の、たった1つの話。
 それが今、終わるだけです。別に大した話でもありません。
 それでも、この作品が、あなた様の記憶の片隅に残るのであれば。
 わたしが生まれた意味は、あったのかと。そう、思えるのです。


 #include <stdio.hあなたさまが これから あゆむみちを

 void mainわたしは いつまでも(){
     printfあなたさまの(”THANKYOU FOR PLAYINGあるくみちを きおくのかたすみで みまもっています.\n”);
 }


 『くすぐり奴隷への道 FroM/ForMore』


 ――この道を歩き続けた、全ての方々に敬意を込めて。
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