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急6
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しかし、ようやく異変が起こってくれた。
「尚登様!!」
暗部の人間は口を揃えて、驚愕の反応を示した。
「なんですか? これからの殺戮(おたのしみ)の邪魔しないでくれますか?」
「いや、それどころでは!! 尚登様、平気なのですかっ?!」
私ははっきりと目で捉えていた。
影縫の話によると、尚登はインドラの箱が持つ悲しい運命を辿ることになる。
今まで変化が起きなかったため、最悪な結末も有り得るかもしれないと覚悟してしまっていた。
だが、尚登の変化に私は確信に変わる。
影縫の言葉、インドラの箱の伝承に間違いはなかった。
尚登の身体は下半身、もう完全に消えていた。
光っている身体は、神が力を与えているのではなく、存在を消す過程なようだ。
下からどんどん、光が薄まっていき、やがて空気と同化する。
「なんだこれはッッ!!」
尚登も大分遅れて気がついたらしい。けれども、もう遅い、何もかも。
私はようやく足に力が戻ってきた。
そして、影縫の傍に駆けていく。
貼り付けられた呪符を全て剥ぎ取り、晒を取る。
翼は完全にもがれ、鞭の跡が痛々しく体全体に残っているが、命に別状はない。
その青碧の美しい瞳で、影縫は私を見つめる。
だが、キッと眉を吊り上げて、私の頬をぶつ。
「馬鹿!! なんでインドラの箱を使おうとしたのさっっ!! 約束しただろ?!」
「ごめん・・・・・・」
私はそれ以上言葉にできなかった。目に大粒の涙が込み上げて、弁解することさえできない。
影縫・・・・・・。影縫が無事だ。これから共に生きていける。そう何度も何度も幸せを噛みしめた。
影縫はそんな私を見てフッと優しい笑みをこぼした。
そんな私の影縫のやりとりを尚登は目を大きく開きながら見ていた。
「どういうことだッッッ!! お前達は何を言っている?!」
死期が近いことの恐怖はなさそうだ。それよりも焦燥、焦慮。考えられない程の汗を分泌させている。
その様子を見て、影縫は尚登に言う。
「僕はお前に供物は命だとしか言わなかっただろう?!」
「ああ、確かにそう言った、違うのか?」
「違わないさ。だが、このことを言うと、十中八九、お前は僕を供物にしようとするから、都合がいいと思っていたんだ」
「回りくどいことはイイ!!! 早く説明シロ!!!」
尚登は悲鳴のような声を上げた。
「あやかしの神宝、インドラの箱は決して使ってはならないことになっている。我々は一人の命でも、絶対に軽く見ないからだ。そして、インドラの箱は使うこと、そんな自己犠牲はあやかしは絶対に許すことはできない」
「早クイエとイッテいるダロッッッ!!!!」
影縫は溜息をついた。
「インドラの箱は、願いを叶えてもらった人は必ず、死ぬ。自らの命を神に捧げることで願いを叶えることができる。残念な頭でも分かったかい?!」
「貴様ぁああああああああ!!!!」
尚登はもう、胸の辺りまで完全に消失してしまっている。
奴が死ぬのは時間の問題だ。
「お前が馬鹿でよかった。奇しくも、お前の部下の言うことを聞いていればお前の望みは叶ったというのに・・・・・・」
「クソオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
最悪の断末魔だった。
尚登は完全にこの世界から存在が無くなった。
やがてバン!! と大きな音が鳴った。
インドラの箱の蓋がはまっている。
空を見上げると、天に輝いていた恒星も消えていき、分厚い雲も薄くなって、元の満月が綺麗な夜に戻っていた。
それとともに、インドラの箱は最初からなかったように、消えていた。
「尚登様!!」
暗部の人間は口を揃えて、驚愕の反応を示した。
「なんですか? これからの殺戮(おたのしみ)の邪魔しないでくれますか?」
「いや、それどころでは!! 尚登様、平気なのですかっ?!」
私ははっきりと目で捉えていた。
影縫の話によると、尚登はインドラの箱が持つ悲しい運命を辿ることになる。
今まで変化が起きなかったため、最悪な結末も有り得るかもしれないと覚悟してしまっていた。
だが、尚登の変化に私は確信に変わる。
影縫の言葉、インドラの箱の伝承に間違いはなかった。
尚登の身体は下半身、もう完全に消えていた。
光っている身体は、神が力を与えているのではなく、存在を消す過程なようだ。
下からどんどん、光が薄まっていき、やがて空気と同化する。
「なんだこれはッッ!!」
尚登も大分遅れて気がついたらしい。けれども、もう遅い、何もかも。
私はようやく足に力が戻ってきた。
そして、影縫の傍に駆けていく。
貼り付けられた呪符を全て剥ぎ取り、晒を取る。
翼は完全にもがれ、鞭の跡が痛々しく体全体に残っているが、命に別状はない。
その青碧の美しい瞳で、影縫は私を見つめる。
だが、キッと眉を吊り上げて、私の頬をぶつ。
「馬鹿!! なんでインドラの箱を使おうとしたのさっっ!! 約束しただろ?!」
「ごめん・・・・・・」
私はそれ以上言葉にできなかった。目に大粒の涙が込み上げて、弁解することさえできない。
影縫・・・・・・。影縫が無事だ。これから共に生きていける。そう何度も何度も幸せを噛みしめた。
影縫はそんな私を見てフッと優しい笑みをこぼした。
そんな私の影縫のやりとりを尚登は目を大きく開きながら見ていた。
「どういうことだッッッ!! お前達は何を言っている?!」
死期が近いことの恐怖はなさそうだ。それよりも焦燥、焦慮。考えられない程の汗を分泌させている。
その様子を見て、影縫は尚登に言う。
「僕はお前に供物は命だとしか言わなかっただろう?!」
「ああ、確かにそう言った、違うのか?」
「違わないさ。だが、このことを言うと、十中八九、お前は僕を供物にしようとするから、都合がいいと思っていたんだ」
「回りくどいことはイイ!!! 早く説明シロ!!!」
尚登は悲鳴のような声を上げた。
「あやかしの神宝、インドラの箱は決して使ってはならないことになっている。我々は一人の命でも、絶対に軽く見ないからだ。そして、インドラの箱は使うこと、そんな自己犠牲はあやかしは絶対に許すことはできない」
「早クイエとイッテいるダロッッッ!!!!」
影縫は溜息をついた。
「インドラの箱は、願いを叶えてもらった人は必ず、死ぬ。自らの命を神に捧げることで願いを叶えることができる。残念な頭でも分かったかい?!」
「貴様ぁああああああああ!!!!」
尚登はもう、胸の辺りまで完全に消失してしまっている。
奴が死ぬのは時間の問題だ。
「お前が馬鹿でよかった。奇しくも、お前の部下の言うことを聞いていればお前の望みは叶ったというのに・・・・・・」
「クソオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
最悪の断末魔だった。
尚登は完全にこの世界から存在が無くなった。
やがてバン!! と大きな音が鳴った。
インドラの箱の蓋がはまっている。
空を見上げると、天に輝いていた恒星も消えていき、分厚い雲も薄くなって、元の満月が綺麗な夜に戻っていた。
それとともに、インドラの箱は最初からなかったように、消えていた。
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