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私たちは目の前の光景にひたすら圧倒されていた。
行きたくないと不満を口にして来てしまった王城は、とても豪華でしかしそれだけでない洗練された美しさを持っていた。
城だけでなく、そこで動き回る人たちも美しさの一部となっていた。
私たちは文句を言っていたことも忘れ、すっかり魅了されていた。私たち姉妹はだいぶ能天気である。
「お姉様! 素敵ですわね!」
「ええ、素晴らしいわ」
このパーティーは王子の婚約者を探すという名目があるけれど、それは裏向きであり、表向きは学園生活前に親睦を深めるためだ。
そのため令嬢だけでなく、王子と歳が近い令息も多く呼ばれていた。
第一王子は私と同い年で、たしか歳の近い第二王子もいたはず。
第二王子の婚約者もここで候補を挙げるのではないかと言われているらしく、周りの令嬢たちのそわそわした、落ち着かない様子がドレスの裾の揺れ具合に表れていた。
しかし、ホールに入ってから視線を感じる。令嬢、令息共に私たちを見ているのは何故だろう。分からない。
ミッシェルも感じているらしく、「お姉様、私たち見られてますわよね……」とミッシェルも理由は分からないらしい。
お母様は視線に気づいているようだけどなにも言わない。知り合いを見つけたようで声を掛けに行くお母様に慌ててミッシェルとついて行く。
「ゼヴェラ様、お久しぶりです。こちら娘のアリアとミッシェルですの。たしかご子息ももうすぐ学園に入りますでしょう。アリアもですの、仲良くしてくださいな」
「ああ、これはこれは。噂のシュタワイナ家のご令嬢に会えるとは。こちらこそ息子がお世話になるよ」
噂? たしかに侯爵なんて位が上の方だけど、それ以外に特に何か噂になることは思い浮かばない。領地に引っ込みすぎて、深窓の令嬢だとでも言われているのだろうか。
考え込んでいると、私とミッシェルの前に息子であろう人物が来る。私と同い年にもかかわらず、随分身長が高い。顔立ちにまだ幼さが残っているが、すごく整った顔立ちをしており、これはモテるだろうなと最初に思ったことはそれだった。
お母様が先に挨拶をしたので、私も先に口を開く。
「お初にお目にかかります。シュタワイナ侯爵家長女のアリア・シュタワイナと申します。どうぞよろしくお願い致します」
「次女のミッシェル・シュタワイナと申します」
妹も続くと、目の前の人は笑みを深め、口を開いた。
「はじめまして、ゼヴェラ公爵家長男のキースだ。まさか、シュタワイナ家の噂の姉妹に会えるとは思わなかったよ。これからよろしくね」
「ええ、よろしくお願い致します」
噂の姉妹? 姉妹でそんな噂になるようなことなんてあっただろうか。思わずミッシェルと顔を見合わせる。しかも、ゼヴェラ公爵家は王の妹が降嫁したところで、キースは王子の従兄弟ということになる。たしか王位継承権も持っていたはずだと、遠い昔に勉強した知識を引っ張り出す。
妹と話しているキースは、金髪に紫の瞳で凄く輝いてみえた。公爵家でこんなに眩しいのだから、王族はどんなに輝いているのだろうと、勝手に期待する。
キースが妹と話し終わるとこちらを見て、目を細めた。
「無事に帰れたようで良かったよ」
「……え? それはどういう……」
ことですか。と続けるつもりが言葉にならなかった。紫の瞳に見覚えがある。
まさか、昨日の雑なやつか!
「もしかして、昨日助けて下さった……」
「ああ、あの後は大丈夫だったかな。用事があって途中で抜けなければいけなかったんだけど」
「ええ、おかげさまで、この通りでございます。昨日はありがとうございました」
助けてくれたことには感謝しているけど、本当に運ぶ時は雑すぎて痛かった。
思わず遠い目になっていると、音楽が変わり、人々が騒がしくなった。どうやら王族が来たらしい。
行きたくないと不満を口にして来てしまった王城は、とても豪華でしかしそれだけでない洗練された美しさを持っていた。
城だけでなく、そこで動き回る人たちも美しさの一部となっていた。
私たちは文句を言っていたことも忘れ、すっかり魅了されていた。私たち姉妹はだいぶ能天気である。
「お姉様! 素敵ですわね!」
「ええ、素晴らしいわ」
このパーティーは王子の婚約者を探すという名目があるけれど、それは裏向きであり、表向きは学園生活前に親睦を深めるためだ。
そのため令嬢だけでなく、王子と歳が近い令息も多く呼ばれていた。
第一王子は私と同い年で、たしか歳の近い第二王子もいたはず。
第二王子の婚約者もここで候補を挙げるのではないかと言われているらしく、周りの令嬢たちのそわそわした、落ち着かない様子がドレスの裾の揺れ具合に表れていた。
しかし、ホールに入ってから視線を感じる。令嬢、令息共に私たちを見ているのは何故だろう。分からない。
ミッシェルも感じているらしく、「お姉様、私たち見られてますわよね……」とミッシェルも理由は分からないらしい。
お母様は視線に気づいているようだけどなにも言わない。知り合いを見つけたようで声を掛けに行くお母様に慌ててミッシェルとついて行く。
「ゼヴェラ様、お久しぶりです。こちら娘のアリアとミッシェルですの。たしかご子息ももうすぐ学園に入りますでしょう。アリアもですの、仲良くしてくださいな」
「ああ、これはこれは。噂のシュタワイナ家のご令嬢に会えるとは。こちらこそ息子がお世話になるよ」
噂? たしかに侯爵なんて位が上の方だけど、それ以外に特に何か噂になることは思い浮かばない。領地に引っ込みすぎて、深窓の令嬢だとでも言われているのだろうか。
考え込んでいると、私とミッシェルの前に息子であろう人物が来る。私と同い年にもかかわらず、随分身長が高い。顔立ちにまだ幼さが残っているが、すごく整った顔立ちをしており、これはモテるだろうなと最初に思ったことはそれだった。
お母様が先に挨拶をしたので、私も先に口を開く。
「お初にお目にかかります。シュタワイナ侯爵家長女のアリア・シュタワイナと申します。どうぞよろしくお願い致します」
「次女のミッシェル・シュタワイナと申します」
妹も続くと、目の前の人は笑みを深め、口を開いた。
「はじめまして、ゼヴェラ公爵家長男のキースだ。まさか、シュタワイナ家の噂の姉妹に会えるとは思わなかったよ。これからよろしくね」
「ええ、よろしくお願い致します」
噂の姉妹? 姉妹でそんな噂になるようなことなんてあっただろうか。思わずミッシェルと顔を見合わせる。しかも、ゼヴェラ公爵家は王の妹が降嫁したところで、キースは王子の従兄弟ということになる。たしか王位継承権も持っていたはずだと、遠い昔に勉強した知識を引っ張り出す。
妹と話しているキースは、金髪に紫の瞳で凄く輝いてみえた。公爵家でこんなに眩しいのだから、王族はどんなに輝いているのだろうと、勝手に期待する。
キースが妹と話し終わるとこちらを見て、目を細めた。
「無事に帰れたようで良かったよ」
「……え? それはどういう……」
ことですか。と続けるつもりが言葉にならなかった。紫の瞳に見覚えがある。
まさか、昨日の雑なやつか!
「もしかして、昨日助けて下さった……」
「ああ、あの後は大丈夫だったかな。用事があって途中で抜けなければいけなかったんだけど」
「ええ、おかげさまで、この通りでございます。昨日はありがとうございました」
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