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 今日は王子主催のお茶会だ。私は昨日学校が終わったその足で、王都のシュタワイナ邸に行った。エリーは実家に帰っていったが、ニーナは一緒について来てくれた。

 「ミッシェル様はお茶会が始まる時間には間に合わないようです。途中から参加できるよう頑張りますわ、だそうです!」
 「そうなのね、ありがとう」

 ニーナの使い魔である、梟がバタバタと返事をする様に翼を揺らす。
 ニーナの使い魔によってミッシェルと連絡が取れたが、事故により道を遠回りしたらしく、昨日着く予定が今もまだ着いていなかった。

 正直、お茶会にミッシェルといっしょに行けないのは不安だが、エリーも参加すると言っていたから大丈夫だと信じたい。

 「アリア様、そろそろ準備しませんと……」

 時計を見れば準備をしなければギリギリになりそうな時間だったが、行きたくなさすぎて、粘っていた。
 重い腰を上げつつ、ため息を吐く。

 ニーナやシュタワイナ邸の侍女にドレスに着替えるのを手伝って貰いながら考える。

 結局、魔法大会の後4人でお昼をたべることは一度も無かった。皆それぞれ忙しかったのだろう。エリーとお昼を食べるのがやっとなくらいだった。

 おかげでこのお茶会について探りを入れようと思っていたのに、全く出来なかったためお茶会の規模などさっぱり分からない。
 エリーが言うにはクラスの人たち皆お茶会に何を着ていくか楽しそうに話していたようなので、1学年の人数である100人は少ないともいる……? みたいな感じである。

 「アリア様終わりましたよ!」
 「ええ、ありがとう」

 鏡の前でくるりと回って確認し、馬車に向かう。

 ああ、どうか、早く私とミッシェル以外の婚約者を作ってください。本当にお願い致します。

 馬車の中で私は神に祈った。



 城の庭園に案内されると、すでに結構人がいた。
 クラスが同じ平民の子がおり、この間の魔法大会でひたすら魔法を出していた先輩だろう人も見かけたので、少なくともここには学園の生徒が大体いると考えていいだろう。
 少なくとも300人はいる!
 そう考えると少し安心した。今日は殿下と会話する暇なんてほとんどないだろう。できれば挨拶をさらっとして、終わりたいものだ。

 ミッシェルが来るまで、エリーといっしょにいるかと、すでに来ているはずのエリーを探して、キョロキョロと辺りを見回していると、今来たばかりらしいキース様と目が合った。

 思わず、嫌な顔をしてしまいそうになった。

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