乙女ゲームの悪役令嬢は妹に振り回されています!

葉菜子

文字の大きさ
27 / 34

27

しおりを挟む
 私はシュタワイナ領に戻り、長期休みを満喫していた。
 ミッシェルの新作を作っているのである。

 ミッシェルは来年学園に入学すると料理が出来なくなるということもあり、勉強を放ったらかしにし、思いつく限りの料理を取り敢えず作っているらしい。

 私は野菜を切り、ボウルの材料をひたすら混ぜていた。気づいたら、お好み焼きとたこ焼きが出来ていた。それがそのままお昼になったので、食べ始める。
 ぱくりと一口食べると口いっぱいにソースの味が広がる。

 「お姉様! どうでしょうか?」
 「凄く美味しいわ! このお好み焼きとたこ焼き! すごいわね」
 「まだデザートもありますわ!」

 ふふん、と自慢気に出してきたのは、細長いまるで花瓶のような皿にたくさんのフルーツやらなんやらが乗っているものだった。

 「これはパフェですわ! アイスやチョコブラウニーや生クリームを頑張って作りましたわ! ここにはないんですもの!」
 
 本当に大変だったと叫ぶミッシェルを横目に、一口食べるとじんわりとした甘さが広がり、凄く美味しい。

 「こ、こんなものが作れるなんて……」

 衝撃でスプーンを持つ手が震える。それから、どこを食べても衝撃的なくらい美味しいそのパフェを無我夢中で貪っていた。

 自室のソファで息をつき、満足しつつ、お腹を撫でる。少し食べすぎた。ここに帰ってきてから、毎日食べすぎてしまう気がする。それもこれも美味しすぎるのである。

 「お姉様! 乙女ゲームのことなんですが……」
 「まあ」

 顔を上げると、ミッシェルが扉を開けて、仁王立ちをしていた。ミッシェルはそのまま部屋に入ってくると私の向かいの椅子に座る。

 「なにか新しいことが?」
 「ええ、じつは乙女ゲームの一番最初は学園祭に主人公が遊びに来るのです」

 学園祭……? 全く存在を知らないものだ。そんな祭りがあったのか。

 「主人公は孤児院の子供たちと一緒に学園祭に来ますが、その際に主人公と一緒に来ていた子供が出店の商品を盗もうとしたと言いがりをつけられてしまいます! そこで助けてくれるのが、攻略対象ですわ!」

 つまり、乙女ゲームで選んだキャラが主人公を助けてくれるらしい。それがきっかけで、主人公はその攻略対象のことが気になり、また会えたらお礼を言いたいと思っていたところに、お爺さんを助け、学園に編入することになるのだという。

 「そう……じゃあ、その学園祭で乙女ゲームの主人公が誰を選んだか分かるってことね!」
 「ええ! そうですわ! それが今度の学園ですわ!」
 「それって来年って訳じゃなくて、今年なの? 1年以上空いてしまうわ」
 「1年後の主人公は学園に編入するために勉強中だったはずですわ。進級試験をほぼ独学で受けたようなものですし……」
 「なるほどね、たしかに来年じゃ勉強する時間が全然無いわね」

 大きく頷く。そうなると、学園祭で主人公と相手を知ることが出来れば、2人に近づかないようにすればいいのだ。

 「ただ、攻略対象は5人もいますわ。正直私とお姉様で学園祭で1人を見張っていても、2人しか分かりませんわ」
 「そう言われれば、そうね……」

 運良く見張っていたどちらか2人が、主人公を助けるところを見れればいいが、見れなかった場合残りの3人のうち誰か、ということになる。
 正直、1人すら後をつけられる気もしない。

 せっかく進展がありそうだったのに、先が思いやられそうだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………

naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます! ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話……… でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ? まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら? 少女はパタンッと本を閉じる。 そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて── アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな! くははははっ!!! 静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

悪役令嬢だったので、身の振り方を考えたい。

しぎ
恋愛
カーティア・メラーニはある日、自分が悪役令嬢であることに気づいた。 断罪イベントまではあと数ヶ月、ヒロインへのざまぁ返しを計画…せずに、カーティアは大好きな読書を楽しみながら、修道院のパンフレットを取り寄せるのだった。悪役令嬢としての日々をカーティアがのんびり過ごしていると、不仲だったはずの婚約者との距離がだんだんおかしくなってきて…。

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。 ※他サイト様にも掲載中です

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

処理中です...