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「……そういえば、ミッシェルは学園祭に来るつもりなのね、ルークはここに置いていった方が良くないかしら?」
執事のルークを置いていけば、5人が4人になると考えたが、ミッシェルは違うらしい。
「いいえ! お姉様、もしルークが主人公のお相手だったらどうしますの!? 2人はせっかくの運命の相手なのに可哀想ですわ! それに、ここシュタワイナ家には借金や不正は無いはずなのにルークが来たのですわよ!? ルークだけでも学園祭に行くことになるかもしれないですわ」
「たしかに……。私たちの我儘に運命の相手を引き裂くのも悲しいことね。それにルークだけくるのなら、ミッシェルにも来てもらった方がいいかもしれないわね」
思わず頬に手を当て、考える。たしかに自分の命がかかっているが、それが人の犠牲の上に成り立つのも悲しい。
「ええ、お姉様の考えることも分かりますが……ただでさえ色々変えてしまったのに、さらに変えて、未来を全く予測出来ないのも困ることになってしまいますわ……」
「そうね、ごめんなさい」
だいぶ独りよがりだったと反省する。せっかくだから周りを幸せにしつつ、自分も幸せになりたいものだ。
「いえ! お姉様は悪くありませんわ! 私が勝手に決めていますが、もしかしたらお姉様の言うとおりにした方がいいかもしれませんわ。だけど、私の記憶が曖昧だから……」
ミッシェルが眉を下げているのを見ると、申し訳なく思う。ミッシェルは私のために頑張って思い出そうとしてくれるけど、記憶が曖昧だ。だから、乙女ゲームのなかの1年間はどのような感じだったか思い出せていない。
魔王の復活方法も出ていた気がするが思い出せない様だし、3年生に向けて一体なにを準備すればいいかも分からない。学園祭は初めて、明確にやらなければならないことだった。
「……そういえば、ルークって私が帰ってきてからあまり見ないわね。見たのはお迎えの時くらいかしら」
シュタワイナ邸全員でわざわざ出てきて迎えてくれたのは、大げさだと思ったけど、嬉しかった。そこにルークはいたが、それ以来見ていない。
「ええ、ルークは私付きですが、正直特にやることもないですし、お父様に付くことが多いですわ」
「あら、そうなの」
まあルークは王族の手足みたいだし、優秀だろうから執事兼秘書みたいな感じにでもなっているのだろうか。
「一応毎日顔を見にきてくれますわ」
「そう、ルークにはシュタワイナ家の料理はミッシェルが全て作ったものだと知られているのかしら」
世間は姉妹が作った物だと言われているが、ここにいればさすがにミッシェル発案だと知っているだろう。
「いえ! お姉様が書いたメモを参考に考えていると伝えているので、むしろお姉様が発案されたと思っているはずですわ!」
いやそれもそれでどうなんだろうか。いそいそとわざわざ用意したらしいメモを取り出してくる。見せてもらったメモはミッシェルの癖のある字で書かれており、これで騙せるのか……? と不安だ。私が口頭で言い、ミッシェルが記録したとでも言えばいいのだろうが。
「これはミッシェルが書いたと言ったの?」
「いいえ! お姉様が書いたと言いましたわ!」
うーん、不安なことがたくさん出てきて思わず頭を抱えた。
執事のルークを置いていけば、5人が4人になると考えたが、ミッシェルは違うらしい。
「いいえ! お姉様、もしルークが主人公のお相手だったらどうしますの!? 2人はせっかくの運命の相手なのに可哀想ですわ! それに、ここシュタワイナ家には借金や不正は無いはずなのにルークが来たのですわよ!? ルークだけでも学園祭に行くことになるかもしれないですわ」
「たしかに……。私たちの我儘に運命の相手を引き裂くのも悲しいことね。それにルークだけくるのなら、ミッシェルにも来てもらった方がいいかもしれないわね」
思わず頬に手を当て、考える。たしかに自分の命がかかっているが、それが人の犠牲の上に成り立つのも悲しい。
「ええ、お姉様の考えることも分かりますが……ただでさえ色々変えてしまったのに、さらに変えて、未来を全く予測出来ないのも困ることになってしまいますわ……」
「そうね、ごめんなさい」
だいぶ独りよがりだったと反省する。せっかくだから周りを幸せにしつつ、自分も幸せになりたいものだ。
「いえ! お姉様は悪くありませんわ! 私が勝手に決めていますが、もしかしたらお姉様の言うとおりにした方がいいかもしれませんわ。だけど、私の記憶が曖昧だから……」
ミッシェルが眉を下げているのを見ると、申し訳なく思う。ミッシェルは私のために頑張って思い出そうとしてくれるけど、記憶が曖昧だ。だから、乙女ゲームのなかの1年間はどのような感じだったか思い出せていない。
魔王の復活方法も出ていた気がするが思い出せない様だし、3年生に向けて一体なにを準備すればいいかも分からない。学園祭は初めて、明確にやらなければならないことだった。
「……そういえば、ルークって私が帰ってきてからあまり見ないわね。見たのはお迎えの時くらいかしら」
シュタワイナ邸全員でわざわざ出てきて迎えてくれたのは、大げさだと思ったけど、嬉しかった。そこにルークはいたが、それ以来見ていない。
「ええ、ルークは私付きですが、正直特にやることもないですし、お父様に付くことが多いですわ」
「あら、そうなの」
まあルークは王族の手足みたいだし、優秀だろうから執事兼秘書みたいな感じにでもなっているのだろうか。
「一応毎日顔を見にきてくれますわ」
「そう、ルークにはシュタワイナ家の料理はミッシェルが全て作ったものだと知られているのかしら」
世間は姉妹が作った物だと言われているが、ここにいればさすがにミッシェル発案だと知っているだろう。
「いえ! お姉様が書いたメモを参考に考えていると伝えているので、むしろお姉様が発案されたと思っているはずですわ!」
いやそれもそれでどうなんだろうか。いそいそとわざわざ用意したらしいメモを取り出してくる。見せてもらったメモはミッシェルの癖のある字で書かれており、これで騙せるのか……? と不安だ。私が口頭で言い、ミッシェルが記録したとでも言えばいいのだろうが。
「これはミッシェルが書いたと言ったの?」
「いいえ! お姉様が書いたと言いましたわ!」
うーん、不安なことがたくさん出てきて思わず頭を抱えた。
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