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第2章:シエルの捜索
2-14.夢の中で ※
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――夢を見ていた。
レオポルトとサーシャ、そしてまだ幼い頃の自分が、笑いながら家の近くの野原を走りまわっている。子供の頃はよくそうやって三人で遊んだものだ。
何をしていたんだっけ?
あぁ、そうか。「かくれんぼ」だ。
だがシエルは、かくれんぼが苦手だった。
隠れる分にはまだいい。
困るのは鬼になった時だ。
シエルは他の二人を見つけるのが絶望的に下手だった。
日が暮れる前に捕まえられた試しがない。
太陽が沈みかけて、もう家に帰らないと親に叱られるという段になって。
途方に暮れたシエルが泣きべそをかきながら、レオポルトとサーシャの名を呼ぶと――。
手を繋いだ二人がどこからともなく姿を現すというのが常だった。
そんなシエルと違って、レオポルトはいつだってサーシャのことを見つけ出すことができた。
あの二人が結婚を誓いあう仲になることは必然だったのかもしれない、とシエルは自分に言い聞かせた。
幼いシエルは夢の中でレオポルトを捜していた。
「レオポルト! やっと見つけたぞ!」
めずらしく日が暮れる前に彼を見つけることができた。
シエルは大きな樹の陰に佇んでいた。
サーシャは一緒じゃないみたいだ。
レオポルトが隠れているその樹は、大人の男のひとが手をまわしても足りないくらい太かった。
「レオポルト! はやく出てこいよ!」
樹の裏側に隠れたまま出てこないレオポルトに呼びかけると、彼はようやくシエルがそこにいることに気づいたのか、ゆっくりと振り向いた。
「次はレオポルトが鬼だ、ぞ……」
シエルは言いかけた言葉を途中で飲み込んだ。
こちらを向いたレオポルトが泣いていたからだ。
「ど、どうしたんだ? レオポルト……」
レオポルトに近づいたシエルは、レオポルトの目からこぼれ落ちる涙が赤いことに気がついた。次から次へと止めどなく流れ出てくるそれは――
「……血!?」
レオポルトの白皙の顔が、目から溢れる血の涙で真っ赤に染まる。
「だ、大丈夫か?」
シエルはどうにかして血を止めなければならないと思った。でも、どうしていいかわからなかった。その場でオロオロと見守ることしかできないシエルに、血まみれのレオポルトが何かを訴えるように口を開いた。
「え……何だ? なんて言ってるんだ!? 聞こえないぞ!」
シエルは叫んだ。
レオポルトの口は動き続けていたが、その声がシエルに届くことはなかった。
「おい、レオポルト! レオポルト! レオポルト……!!」
「……ハ……ッ!!」
夢から目覚めたシエルは股間を覆う生温かい感触に驚いて声なき悲鳴を上げた。
あんな夢を見ていたというのに、シエルの陰茎が驚くほど固く勃起している。
「んぁ……なに、してるんだ? ……やめて、くれ……」
シエルは彼の脚の間に顔を埋める女に懇願した。
「ダ~メ。これは罰ですよ……私に黙って出て行こうとした……」
女はニヤリと笑ってそう言うと、再び顔を埋めて、シエルの肉棒をパクリと咥え込んだ。まるで肉にでも齧りつくみたいに、ズボッ、ズボッ……と音を立てて、美味しそうにむしゃぶりついている。
シエルは女の寝台に寝かされていた。起き上がろうとしたが、両手が頭の上で一つに縛りつけられていて、思うように身動きが取れなかった。
「ぁあ……やめ、ろ…………」
「どうして? こんなに固くなってるのに……」
女がシエルの怒張にフゥッと息を吹きかけた。
「あぁ……」
思わず腰を引いて反応してしまったシエル。彼は自分が情けなくてしょうがなかった。女にされるがまま弄ばれている自分が……。
女の長い舌にツツー……ッと裏筋を舐め上げられると、
「んっ……ぁ、あぁ……」
騎士にあるまじき声が漏れて、シエルはまた深い自己嫌悪に陥った。
そんな彼の思考とは裏腹に、彼の分身は森の女に可愛がられて、ますます熱を帯びていく。まるでソコだけが別の生き物になって、女に飼い馴らされてしまったみたいに。
――この女との情交ではいつもそんな風に思う。
それにしても、さっきの夢は何だったんだ?
不吉な夢だった。
レオポルトの名を呼び続けたのに、結局、彼を捕まえることはできなかった。
レオポルトは何を言おうとしたんだろうか?
血まみれだった。
怒っているのかもしれない。
あいつを捜しにきたはずなのに、一時の情欲に囚われて、こんなことをされている自分に……。己れの欲望をろくに制御することもできない情けない自分を知られたら、きっと呆れられるに違いない……シエルはそう恥じ入った。
彼の股の間では、女の口淫が続いている。
レオポルトとサーシャ、そしてまだ幼い頃の自分が、笑いながら家の近くの野原を走りまわっている。子供の頃はよくそうやって三人で遊んだものだ。
何をしていたんだっけ?
あぁ、そうか。「かくれんぼ」だ。
だがシエルは、かくれんぼが苦手だった。
隠れる分にはまだいい。
困るのは鬼になった時だ。
シエルは他の二人を見つけるのが絶望的に下手だった。
日が暮れる前に捕まえられた試しがない。
太陽が沈みかけて、もう家に帰らないと親に叱られるという段になって。
途方に暮れたシエルが泣きべそをかきながら、レオポルトとサーシャの名を呼ぶと――。
手を繋いだ二人がどこからともなく姿を現すというのが常だった。
そんなシエルと違って、レオポルトはいつだってサーシャのことを見つけ出すことができた。
あの二人が結婚を誓いあう仲になることは必然だったのかもしれない、とシエルは自分に言い聞かせた。
幼いシエルは夢の中でレオポルトを捜していた。
「レオポルト! やっと見つけたぞ!」
めずらしく日が暮れる前に彼を見つけることができた。
シエルは大きな樹の陰に佇んでいた。
サーシャは一緒じゃないみたいだ。
レオポルトが隠れているその樹は、大人の男のひとが手をまわしても足りないくらい太かった。
「レオポルト! はやく出てこいよ!」
樹の裏側に隠れたまま出てこないレオポルトに呼びかけると、彼はようやくシエルがそこにいることに気づいたのか、ゆっくりと振り向いた。
「次はレオポルトが鬼だ、ぞ……」
シエルは言いかけた言葉を途中で飲み込んだ。
こちらを向いたレオポルトが泣いていたからだ。
「ど、どうしたんだ? レオポルト……」
レオポルトに近づいたシエルは、レオポルトの目からこぼれ落ちる涙が赤いことに気がついた。次から次へと止めどなく流れ出てくるそれは――
「……血!?」
レオポルトの白皙の顔が、目から溢れる血の涙で真っ赤に染まる。
「だ、大丈夫か?」
シエルはどうにかして血を止めなければならないと思った。でも、どうしていいかわからなかった。その場でオロオロと見守ることしかできないシエルに、血まみれのレオポルトが何かを訴えるように口を開いた。
「え……何だ? なんて言ってるんだ!? 聞こえないぞ!」
シエルは叫んだ。
レオポルトの口は動き続けていたが、その声がシエルに届くことはなかった。
「おい、レオポルト! レオポルト! レオポルト……!!」
「……ハ……ッ!!」
夢から目覚めたシエルは股間を覆う生温かい感触に驚いて声なき悲鳴を上げた。
あんな夢を見ていたというのに、シエルの陰茎が驚くほど固く勃起している。
「んぁ……なに、してるんだ? ……やめて、くれ……」
シエルは彼の脚の間に顔を埋める女に懇願した。
「ダ~メ。これは罰ですよ……私に黙って出て行こうとした……」
女はニヤリと笑ってそう言うと、再び顔を埋めて、シエルの肉棒をパクリと咥え込んだ。まるで肉にでも齧りつくみたいに、ズボッ、ズボッ……と音を立てて、美味しそうにむしゃぶりついている。
シエルは女の寝台に寝かされていた。起き上がろうとしたが、両手が頭の上で一つに縛りつけられていて、思うように身動きが取れなかった。
「ぁあ……やめ、ろ…………」
「どうして? こんなに固くなってるのに……」
女がシエルの怒張にフゥッと息を吹きかけた。
「あぁ……」
思わず腰を引いて反応してしまったシエル。彼は自分が情けなくてしょうがなかった。女にされるがまま弄ばれている自分が……。
女の長い舌にツツー……ッと裏筋を舐め上げられると、
「んっ……ぁ、あぁ……」
騎士にあるまじき声が漏れて、シエルはまた深い自己嫌悪に陥った。
そんな彼の思考とは裏腹に、彼の分身は森の女に可愛がられて、ますます熱を帯びていく。まるでソコだけが別の生き物になって、女に飼い馴らされてしまったみたいに。
――この女との情交ではいつもそんな風に思う。
それにしても、さっきの夢は何だったんだ?
不吉な夢だった。
レオポルトの名を呼び続けたのに、結局、彼を捕まえることはできなかった。
レオポルトは何を言おうとしたんだろうか?
血まみれだった。
怒っているのかもしれない。
あいつを捜しにきたはずなのに、一時の情欲に囚われて、こんなことをされている自分に……。己れの欲望をろくに制御することもできない情けない自分を知られたら、きっと呆れられるに違いない……シエルはそう恥じ入った。
彼の股の間では、女の口淫が続いている。
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